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2017.09.22

みもりんが作り上げた、真夏の人魚の物語。 “三森すずこ LIVE 2017「Tropical Paradise」”幕張公演 1日目レポート

みもりんが作り上げた、真夏の人魚の物語。 “三森すずこ LIVE 2017「Tropical Paradise」”幕張公演 1日目レポート

9月2日・3日、幕張メッセイベントホールにて“三森すずこ LIVE 2017「Tropical Paradise」”が開催。ただのライブの域にとどまらない三森すずこならではの“ショー”とも呼ぶべき演出がふんだんに盛り込まれた、作り込まれたステージを体感することができた。

開演前のメインステージにかかった黒のカーテンも、その“ショー感”を演出。スティール・パンの立つ客入れBGMがライブタイトル通りトロピカルな世界に観客を招き入れる。

そんななか会場がブザーとともに暗転すると、“人魚の姫・みもりん”を主人公に、海中と陸地で同時にパーティーの開かれるという“トロピカルムーンの夜”を舞台にしたライブステージが幕を開ける。
すると、メインステージの階段上に据えられていた貝殻が開き、椅子に座ってみもりんが登場。足までベールで覆った衣装で“人魚”として現れた彼女は、そのシートに座ったまま「ドキドキトキドキトキメキス♡」を歌い始める。イントロからシャボン玉が飛び海中の雰囲気をさらに濃くするなか、そばではふたりのダンサーが舞い“姫とお付き”のような構図を作る。そんな姫からの、大サビ前の「トキメキス♡」のウィスパーには、もちろん会場中が沸き返っていた。
後奏での暗転中に立ち上がったみもりんは、続く「夢見る!信じる!未来叶えて!」でメインステージへと降りてダンサー4人を従えてのパフォーマンス。ストーリーの流れにもピッタリの楽曲で、かわいらしくも要所要所をピッタリと、ステップも軽やかに決めていく。

曲明けには、水音のSEの流れるなか「海のみなさーん、こんばんは!」と投げかける人魚・みもりん。「うろこかわいい?」とこの日の姿(=衣装)にも触れつつ、人魚が1日だけ人間になれてしまうというトロピカルムーンの夜の、みもりんの秘密の計画をストーリーは追っていく。
そこから2曲は、早くもクライマックスかのような盛り上がりを見せるゾーンに。まず「サマーバケーション」では会場全体でのウェーブが起こり、さらに「みんなでイエー☆オーッ!!」ではヒレだったレースを回しながら海の仲間たちを煽る。頭サビからコールがアツく、みもりんとダンサーのそのヒレの動きに合わせて客席でもタオルが回っていた。また、2サビ明けには会場を二分してのコール・アンド・レスポンスも敢行。これでまだ4曲目だというから驚きである。
ここまでピンクに染まっていた会場が、イントロで緑に変わったのが「せいいっぱい、つたえたい!」のREMIXバージョン。フロアライクなアレンジながらも、少しだけサンバっぽいMIXなのがこの公演のテーマによくマッチする。美しく腕をしならせての間奏のダンスタイムなど、ガツガツ動くわけではないものの、スムーズな動きが自然と彼女のダンススキルの高さを改めて感じさせたのがこの曲だ。と、ここで「秘密の寄り道、しーちゃおっ!」とステージ袖のトロッコに搭乗。「ミライスタート」のREMIXバージョンとともに、ぐるりとアリーナを巡る。この寄り道で「たくさんお魚がいるー!」と無数の輝きを前にはしゃぐみもりん。「Hi Hi Hi!」のコールのやり取りもしながら、笑顔を基軸に表情豊かに歌い、無事センターステージへと到着する。
そして「ヒカリノメロディ」ではそのセンターステージの四隅にも時折赴きつつ、スポットライトにもバッチリ当たりながら笑顔を振りまくみもりん。バレエ由来のダンスのしなやかさが、彼女の姿を観客の目に、月夜に浮かび上がる人魚の姫のように映らせる。そんななか、曲中にセンターステージがスモークに包まれるが、それが晴れるとステージ上にはドレス姿にチェンジし、人間の姿になったみもりんが!

直後のMCでは「みんな見て! 脚生えた!」とはしゃぎ、「人間界の皆さん、こんばんはー!」と改めて挨拶。「こんなに近くで人間を見るの初めて!」とみもりんは、ここでもコールタイムをスタートさせる。しかしその「ヤッホー!」からはじまったコールは、だんだんと彼女を賞賛する長文へと発展。完璧に返ってくるそのコールを受け、「あー、楽しかった」と満足しきっていた。

するとメインステージでは、今度は人間たちのパーティがスタート。「全部受け取って、強く抱きしめて。」で再びトロッコに搭乗して会場へと急ぐ。そのメインステージでもサウンドに合わせたダンスパフォーマンスが繰り広げられるなか、再びぐるりと場内を一周したのち会場に到着。ドレス姿になってから初のダンスでの、スピン時のスカートのきれいな円錐形は、目に焼きつくほど美しいものだった。
ラスサビをパーティ会場の少女たちとともに歌い踊ると、そのまま「ROLLER COASTER♡」で階段上に。夜の街を描いたCGをバックに、人間世界をドキドキのおさんぽだ。パーティの準備に大忙しな人間界に目を輝かせるみもりんは、スッと階段上にリフトアップして「WONDER FLIGHT」でその準備をお手伝い。モップをマイクにしたりと、まわりのダンサーも含めてオフ・ブロードウェイのステージをほうふつとさせるパフォーマンスを展開していき、この曲では“ショー”の様相をより色濃くして観客を魅了していった。そうこうしている内にパーティ飾り付けも無事完成し、スクリーンの映像はいつの間にかきらびやかなパーティ会場に。場内には観客からの「Oh yeah!!」のコールが響いていた。
そして「パーティがはじまるよー!」とのみもりんのセリフに、「TINY TRAIN TOUR」が続く。背景の映像では花火も上がり、ブラスが前出る賑やかなサウンド・ダンスとともにパーティの幕開けを飾る。ストーリーは歌声とともに展開し続け、2サビ明けには彼女の指示に合わせてスタンド・アリーナの観客全員で、パーティの参加者みんなで踊り楽しんでいった。

そこに突然鳴り響いたのは、雷鳴。トロピカルムーンが雲にかかって満月が欠けると、彼女は人間から人魚に戻ってしまうのだ。しかしそこでのみもりんのママ(CV:佐々木未来)からの「伝説の人魚姫は、その歌声で天気を良くしたと聞いたわ」との言い伝えを受け、ここからはその天気に立ち向かうゾーンがスタート。まずは「Spinning Stars」を凛とした表情で歌っていく。それにともなってダンスも少々テイストが変わり、精度そのままにキレのあるものに。また、続く「サキワフハナ」は天へと祈る歌としては的確すぎるチョイス。階段上でスタンドマイクを前に歌声を天に捧げるかのように見えたみもりんの表情は、どこか切なさをたたえていた。その祈りが通じつつあったのか、2サビ明けには雲間からの光のような幾本もの白のライトが客席を照らす。
嵐を無事去らせたみもりんは、喜びとともに初披露となる新曲「Colorful Girl」を歌う。再びダンサー4人を従えて、パラソルを活用してタイトル通りの鮮やかなステージを展開。みもりんが手にしたパラソルの色は、もちろんピンクだ。そのパラソルとみもりんとドレスの組み合わせは、キュートさ溢れるパフォーマンスに実によく似合うものだった。また2サビ明け、次々カラーがコールされていく部分では、事前に予習動画がUPされていたこともあってかMIMORIN BLADEを手にした観客が会場を次々とカラフルに染め替えていく。その光景を目にしたみもりんも、ウィンクで曲を締めくくると「カラフルにしてくれてありがとう!」と感謝の言葉。「雨が上がってよかったねー!」と続けてパーティも再開され、純白のドレスのダンサーとともに「会いたいよ…会いたいよ!」でハッピー全開なステージへ。このキラーチューンのお出ましに会場のボルテージはどんどん高まっていったのだが、大サビではドレスから序盤に見られたヒレのレースがちらりとのぞく。しかしそれには気づかず笑顔でパーティを楽しむみもりん。最後はライブ冒頭同様に、階段上のシートに腰掛ける。
そのまま始まった「Xenotopia」ではまずはダンサーがそこに座る三森を引き立て、サビでは立ち上がってそのシートを活用しながら力強くパフォーマンス。ロック調の楽曲においてパーツごとのメリハリをつけつつも、そのベースはやはりしなやかなものに感じられた。

楽しい時間はあっという間で、みもりんはそろそろ海へ帰らなければならない時間に。やはり先ほどのヒレは、やはり伏線だったようだ。そして「みんなのところに帰るからねー!」と客席へ声をかけると、今度は「ユニバーページ」を披露しながらスタンド通路をトロッコで周回していく。オレンジ一色に染まる会場を前に、穏やかに微笑みながらステージ奥へと姿を消したみもりん。メインスクリーンに映された不思議なゲートは、このストーリーに沿ったものである。

入れ替わるようにメインステージに再び海の仲間たちが登場すると、トロピカルなインストをバックにしばしダンスタイム。その後みもりんがステージに再登場し「Shall we dance?」のイントロが流れるも、彼女が勝手に海を抜け出して心配していた仲間たちは少々ご立腹の様子。しかし帰ってきた彼女に、仲間たちはドレスが光るというサプライズを用意! 「クラゲみたーい!」と喜びながら、改めて「Shall we dance?」の披露へと移る。弾むようなベースラインとともに、海中のパーティもハッピーにスタート。みもりんも、間奏でGt.とBa.のセッションに笑顔を見せながら楽しそうにこの曲を披露していく。
さらに「まだまだパーティは続くよー!」と宣言し、「純情 Da DanDan」からラストスパートへ。歌いながら海の仲間と一緒に踊る彼女は、サビでは貝の形のハットを用いたダンスを全員ピタリと揃えたりウェーブのように連動して立ったりと、チーム感のあるパフォーマンスを見せていく。そのムードを引き継いだのが、オシャレでダンサブルな「恋はイリュージョン」。この曲のキモは彼女の軽やかな脚運びで、2サビ明けには自らがレコーディングで入れたタップの音に合わせて華麗なステップも披露していった。
さて、いよいよパーティもクライマックス。再びシャボンの舞った本編ラストナンバー「スマイリウム」は、バンドメンバーやダンサーの紹介もなされるなどまさにステージのエンディング。階段上には人間世界の、メインステージには海中のパーティ会場が並び立ち、そのふたつがこの曲で、みもりんによって笑顔で繋がれた。そしてその笑顔が客席とステージも繋いだところでストーリーは大団円。「今日は楽しい夢を見させてくれてありがとー!」との感謝の言葉とともに、笑顔で手を振るなかカーテンは降りた。

その後も幾筋もの青の光が客席を照らし続けると、アンコールの声が上がる。するとそれに応えて「Light for Knight」のイントロとともに幕が上がり、“三森すずこ”によるアンコールが凛々しく始まった。改めて、スピン・ターン・ジャンプすべてにおいて安定感のあるパフォーマンスであることを感じさせられるとともに、凛とした表情と歌声が彼女をより“美しく”感じさせた1曲となった。
曲明けには今回のステージのコンセプト等について語ると、小さな頃からの「人魚になりたい」との夢をかなえたうれしさからか、「どうでしたか? 誕生の瞬間」などと反応を笑顔で尋ねていた。さらに「Colorful Girl」の話題が出た際には、今度は三森から観客へ間奏のカラフルタイムのアンコール。色とりどりに変化する客席を先導する姿は、歌唱中とはうってかわってかわいらしいものになっていた。

そんなファンに向けて、ライブの終盤を前に自分の言葉でこの日の感想を述べていく。「本当に……感無量です! ありがとうございます!」改めて感激を言葉にし、「これからもみんなに後押しされながら、笑顔でみんなのことをチラッチラッと振り返りながら、前に前に進んでいきたいです!」と前向きに宣言したところで、10月リリースの新曲「エガオノキミヘ」を初披露。メロディアスなこの曲、決してスローではないけれども、ここではフリなくスタンドのあらゆる方向を向いて歌声を届けていく。そのみずみずしくもどこか和の雰囲気を漂わせる三森の歌声は、爽快感のあるサウンドやこの曲の表現したい世界との相性が良好に感じられた。
そして「素敵な思い出がまたひとつ増えてとっても幸せです」と言葉を届けたら、キュートに「約束してよ?一緒だよ!」と楽曲のタイトルコール。三森とファンとのこの夏のEDテーマであり、同時に再び会うための約束のナンバーを、彼女はステージの端から端まで移動しながら披露し、スタンドへと視線を向ける。そんななか、落ちサビでアリーナを向いた彼女へ掲げられた数多のサイリウムは、この曲の、このステージの終わりを惜しむ夕焼け空のようにも見え、最後の最後に思わずジンと胸を打つ光景を作り上げたのだった。

コンセプトを明確に打ち出したうえで、観客も参加できるパートも織り込み一体感を生じさせた、“三森すずこらしさ”満載のものに仕上がった今回の公演。そのショーとライブの融合したような、彼女にしかできないオンリーワンのステージの進化は、これからもきっと続いていくことだろう。

Text by 須永兼次

“三森すずこ LIVE 2017「Tropical Paradise」”幕張公演 1日目
2017.09.02@幕張メッセイベントホール
【SET LIST】
M1.ドキドキトキドキトキメキス♡
M2.夢見る!信じる!未来叶えて!
M3.サマーバケーション
M4.みんなでイエー☆オーッ!!
M5-1.せいいっぱい、つたえたい!(REMIX)
M5-2.ミライスタート(REMIX)
M6.ヒカリノメロディ
M7.全部受け取って、強く抱きしめて。
M8.ROLLER COASTER♡
M9.WONDER FLIGHT
M10.TINY TRAIN TOUR
M11.Spinning Stars
M12.サキワフハナ
M13.Colorful Girl(新曲)※初披露
M14.会いたいよ…会いたいよ!
M15.Xenotopia
M16.ユニバーページ
M17.Shall we dance?
M18.純情 Da DanDan
M19.恋はイリュージョン
M20.スマイリウム

EN1.Light for Knight
EN2.エガオノキミヘ(新曲)※初披露
EN3.約束してよ?一緒だよ!

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