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2017.07.09

アキバニの世界が、個性豊かな出演者陣を繋ぐ! “AKIBA’S FESTIVAL”第1部レポート

アキバニの世界が、個性豊かな出演者陣を繋ぐ! “AKIBA’S FESTIVAL”第1部レポート

5月20日、TVアニメ『AKIBA’S TRIP -THE ANIMATION-』のライブ・イベント“AKIBA’S FESTIVAL”が神奈川県民ホールにて開催。同作のEDテーマを担当したアーティストが顔を揃えたこのライブイベントは、作品の枠にとどまらない多彩な楽曲の披露あり、サプライズゲストありの大充実のイベントとなった。本稿では、そのうち第1部の模様をお届けする。

イベントはまず、伝木凱タモツ(CV:石谷春貴)、万世架まとめ(CV:高橋李依)、伝木凱にわか(CV:高野麻里佳)、有紗・アホカイネン(CV:長久友紀)の4人が登場するボイスドラマの、「自警団のパトロール直前にゲームを始めたばかりのタモツが、そのOPムービーを観ようとする」ところからスタート。そのOP曲を担当するという形でステージに上がったイヤホンズが『AKIBA’S TRIP -THE ANIMATION-』のOPテーマ「一件落着ゴ用心」を歌唱し、TVアニメのように直前のドラマパートをいわゆるアバンとするような形で、イベントは開幕を迎える。いつも通りパキパキとメリハリのついた振付が揃うのはもちろんのこと、曲中にそれぞれの特徴も垣間見える。膝の使い方の巧い高野は1-Bメロやサビでのフリが大きく見え、同じくサビでは冒頭の手の振りの大きさで長久が目立つ。また、高橋はDメロで際立つ存在で、歌声の通りはもちろんのこと、フリとリンクしてのダンスのキレが目を引いていた。そして後奏で事件は起きた。なんとこの曲で司令官として客演参加した串田アキラが、まさかのサプライズ登場!力強く生ゼリフを披露する姿に、観客は大いにどよめいた。

曲明けは再びボイスドラマがスタート。ゲームをプレイしだしたタモツがマヨ(まとめ)にコントローラーを渡したところで、次に登場するキャラ(=アーティスト)は“耳と目にかなり訴えてくる”、みみめめMIMIであるとコールする。このように本イベントは、ドラマ中で4人がプレイするゲームやその登場キャラという設定で、次々とアーティストが呼び込まれていく――という、この作品ならではの特色を持っていた。

そうして呼び込まれたみみめめMIMIが、まず1曲目に歌ったのは「晴レ晴レファンファーレ」。“AKIBA’S FESTIVAL”としては意外な選曲だったが、前述のような呼び込まれ方を踏まえれば、それぞれの固有の“得意技”である持ち歌を披露することにも、大きな違和感はない。だがそのきっかけとなったこの曲では、頭サビが歌われた瞬間にはかなり大きな歓声が上がっていた。ステージに立つボーカル・タカオユキは堂々とステージを大きく移動し、観客を意識したステージング。加えてサビではフリを交えたり、2サビ明けにはエアギターも披露したりと、視覚の面でも観客を盛り立てる。曲明けのMCでは「アキバズトリッ(タカオ)」「プー!(観客)」の分担で声出しも完了したら、第2話EDテーマ「リライミライ」へ。イントロでは頭を振り乱し、Dメロではその歌声を力一杯振り絞ってから観客を思いっきり煽るなど、エモさ満載のステージングに、場内は大興奮! サビ締め部の手振りのキレも見事で、まさしく耳と目の両面を魅了していった。

続けて、ステージにはA応Pが登場。第5話EDテーマの「超反応ガール」からそのステージを開始する。楽曲全体を通して、個人としては歌声・ダンスの両面から広瀬ゆうきが図抜けている印象で、1-Bメロの水希 蒼との芯のあるユニゾンも耳に心地よい。一方で3-Bメロの巴 奎依と福緒 唯のユニゾンが持つ甘さもまた魅力だ。加えて間奏でのフォーメーションチェンジも美しく、様々なポイントで観客を楽しませていった。曲明け、出演者陣の豪華さに興奮を隠せない様子の広瀬だったが、「そこにA応Pとして加われてすっごくうれしい」と語り、キラーチューン「はなまるぴっぴはよいこだけ」の披露へと移る。観客から大きなコールを受けつつも、この曲でも彼女たちの持つフォーメーション入り乱れた際の美しさは健在。特に2サビ明けに顕著にそれが現れていた。また、広瀬・福緒/巴・水希のペアも、並び立ったときのバランスが実にいい。加えて個々人の魅力も発揮され、特に後奏で広瀬がターンしながらセンターに入り来るパートは、はなはだ鮮烈なものだった。

そして今度は、“タモツのおすすめキャラ・イブとエリイ”と紹介されたevery♥ing!のターン。メジャー・デビュー曲「カラフルストーリー」から観客のテンションを爆上げしていく。笑顔全開で舞台に立ちながら芯のある歌声を響かせていく木戸衣吹と、ふわっとした歌声を尻上がりにキレていくダンスに乗せていく山崎エリイのふたりのステージングは、いいコントラストでありながら、実にキュート。それぞれ違った“かわいい”を提示する。さらに続けて、今度はゆるりと優しい第6話EDテーマ「心のメモリー」を、穏やかに歌っていく。この曲では振り付けはなく、歌声を響かせることに専念するふたり。それでもにじみ出るかわいらしさが客席に沁み入っていき、動と静両方の魅力を伝えることに成功していた。そして曲明けMC、彼女たちのラスト曲を「『出欠取りまーす!』の曲(木戸)」と予告すると、観客からは大歓声! その「ゆめいろ学院校歌」では冒頭から観客からのラララの歌声が響き渡り、前述の出欠のくだりも大いに盛り上がる。ふたりも視線を合わせての掛け合いなども含め、最後まで歌声・ダンス双方でキュートさ全開のステージを届けていった。

と、ここでM1に続けて串田アキラがステージに登場!“筋肉ムキムキでめちゃくちゃ強そう”なキャラとドラマ中で描写された彼の歌声は、1曲目「太陽戦隊サンバルカン」から全力全開だ。客席も真紅に染まって彼の登場を喜んで迎え入れ、串田自身も「みんなに会えてうれしいよ!」と喜びを伝えていた。さて、今回歌唱した3曲はいずれも往年の名曲。そのため若いファンを意識してか、「知らない人は新曲だと思って聴いてくれ!」とアピール。そんな観客の巻き込み方も、さすがすぎる。続く「疾風ザブングル」では頭サビからコールが揃い、曲中でのノセ方も巧み。また「今日はこれを歌いに来た!」と断言した「宇宙刑事ギャバン」でもサビラストにて観客は大合唱。串田の歌声もこの2曲も終始超絶パワフルで、なおかつ歌いながらの決めポーズもいちいちカッコよすぎるのは、本当にズルすぎると思う。そして最後にはしっかり“蒸着”し、力強くも美しく出番を締めくくった。

続いてドラマでプレイされたのは、謎解きゲーム。とくればこの4人、ミルキィホームズの出番だ。interludeで世界観を作ると、「横濱行進曲」のイントロから会場は大盛り上がり! 特にこの曲では、佐々木未来の元気さがとりわけ目立っていたように感じられた。また、間髪入れずにどんどん展開するトークもこの4人の魅力のひとつ。その丁々発止のやりとりはまさに“立て板に水”との言葉がドンピシャで、観客からも終始笑いが起こっていた。そんな彼女たちは、続けて第8話EDテーマ「Fighting☆Dramatic」を披露。序盤のサウンドが本格的に鳴り出す前、1-Aメロでの橘田いずみの歌い上げっぷりは他曲にも増して印象的なものだったし、ハイスピードなロックに転換したあとの徳井青空の、楽曲とマッチしたボーイッシュな歌声もまた聴きどころのひとつだった。そして、自身の出番ラスト曲に選んだのは、彼女たちのデビュー曲「雨上がりのミライ」。間奏での三森すずこをフィーチャーしたダンスパートは実に華麗で、3曲通して見せてきたその質の高いパフォーマンスに、さらに自ら華を添えるようでもあった。

そしてステージには、秋葉原のレジェンドとも呼ぶべき存在・桃井はるこが降臨。“どことなくモモ(桃井が声優を担当)に似ているRPGの主人公”として呼び込まれた彼女は、音楽ユニット・UNDER17時代の楽曲「ここだよ。」をまず披露する。現在では有名曲には分類されないかもしれない楽曲だが、とらのあなのイメージソングでもあるこの曲をこのフェスでの1曲目に選んだ桃井の、秋葉原への愛情が強く伝わる素晴らしい選曲だったように思う。しかもその歌声にはキュートさと上手さを共存しており、そのうえ舞台をゆったり闊歩し観客と次々と目を合わせていくその姿からは、ディナーショーでの歌手のような貫禄さえ感じられた。曲明け「今日はみんなモモイスト(=彼女の熱心なファン)だと思って頑張ります!」と宣言した彼女は、続けて第9話EDテーマ「セカイじゅうのAKIHABARAで」を歌唱。イントロに8bitサウンドを散りばめるという“らしさ”もあるミドルテンポの踊れるナンバーを楽しそうに歌いつつ、間奏では笑顔で観客へマイクを向け、自身の発する楽しさで会場中を巻き込んでいく。そして最後に、「LOVE.EXE」の「エ・グ・ゼ!」コールでさらに会場をひとつにしながらボルテージの天井を上げていく桃井。その瞬間、彼女の背後のライトも「E・X・E」の文字に。また、落ちサビでは手にしたUOを折り、会場を扇動していく。その引き込む力のすさまじさをラスト一瞬まで感じさせたところで、彼女はステージを降りた。

続くi☆Risは、“6色の星に合わせてタップする音ゲー”のライブモードという設定での登場。まずは対外戦鉄板ナンバー「幻想曲WONDERLAND」で、彼女たちのライブは幕を開ける。その冒頭のセリフを担当した久保田未夢は最初からノッていたのか、終始振り付けに締まりのある大きさを感じられた。もちろん6人全員この曲ならではのしなやかさのあるダンスをピタリと揃え、連動部分もきれいに見せてくる。加えてサビ後半の重厚なハーモニーも美しく決めるなど、パフォーマンスのどこを取っても隙がない。また、2曲目として披露した第11話EDテーマ「DIVE TO LIVE」では冒頭から澁谷梓希が観客を思いっきり煽り、観客のボルテージを上げる。それに比例してメンバーのボルテージも上昇したようで、山北早紀は1-Aラストに非常に高さを感じるジャンプを見せる。1サビでは茜屋日海夏のダンスの力強さに普段以上の気合いの入りっぷりを感じさせられ、2サビの途中では芹澤 優がフリの合間にきれいに煽りを挟んでさらに場内のテンションを高める。Dメロでの若井友希の歌声の伸びも素晴らしく、めまぐるしいこの曲で全員がその全力を尽くしてくれた。そしてラストを飾ったのは、キラーチューン「Make it!」。Aメロではこの日のテンションならではのアドリブパフォーマンスも飛び出したが、ポイントをしっかり押さえて基本は一切崩れない。これは彼女たちの地力がなせる技であり、繰り返しステージを観てきたファンにとっても、毎回あらたな発見ができるのはうれしいポイントだったはずだ。

そして「今からライブに出るから来い」とボイスドラマでまにあ~ずが呼ばれたところで、トリを飾るイヤホンズが再びステージに上がる。まずは3度EDテーマに使用された「サンキトウセン!」へ。早口で駆け抜ける楽曲の中で、長久による力一杯のコブシがいいアクセントになっている。加えてキュート方向に振り切れて高野の歌声も、あわせて観客を魅了する。もちろん、サビラストの「サンキトウセン!」のコールでは、場内大揺れだ。そしてラストを飾るのは、第13話挿入歌「ヨロコビノウタ」。クラシックの名曲を繋げたこの曲は、まずソロでの優しい歌声から入り、高橋の「まだまだ声出ますかー!?」のシャウトと同時にピアノロックに変貌。その高橋、この曲での魅せ方がピカイチで、観客へのレスも積極的。全員がわちゃわちゃ走り回る間奏部分でもひと際目立っていた。また、客席に黄・ピンク・青の3色の光が輝くさまは、まさしくこの曲が使用されたシーンのよう。そうして最後にアニメと現実の世界を繋いで、彼女たちはフェス本編を締めくくった。

アンコールでは、まずイヤホンズと串田アキラが登場。そしてこの日出演の各アーティストが、串田とサトームセンCMソングの1フレーズをデュエットする形で順に登場し、全員が揃ったところで大サビを合唱。串田の「Go Fight!」の掛け声に合わせて観客をバックに記念写真を撮ったら、最後に串田の持ち歌・富士サファリパークCMソングを再び全アーティストで歌唱する。それぞれのステージを務めきったあとだからか、舞台上の誰もが心底楽しそう。もちろん観客もその楽しさは同様で、会場一体となっての「富士サファリパーク!」のコールがホール内にはこだまするなか、“AKIBA’S FESTIVAL”は幕を下ろしたのだった。

蓋を開けてみれば、『AKIBA’S TRIP -THE ANIMATION-』の世界観を楽しみつつもただの作品イベントにとどまらず、出演アーティストの個性も存分に楽しませてくれた本イベント。もし可能なのであれば、今度は全EDアーティスト集結のもと、よりパワーアップしたイベントを観てみたい――そう思わせるほどの、充実度合いの実に高いイベントだった。

Text by 須永兼次

“AKIBA’S FESTIVAL”第1部
2017.05.20@神奈川県民ホール
【SET LIST】
M1.一件落着ゴ用心/イヤホンズ+串田アキラ
M2.晴レ晴レファンファーレ/みみめめMIMI
M3.リライミライ/みみめめMIMI
M4.超反応ガール/A応P
M5.はなまるぴっぴはよいこだけ/A応P
M6.カラフルストーリー/every♥ing!
M7.心のメモリー/every♥ing!
M8.ゆめいろ学院校歌/every♥ing!
M9.太陽戦隊サンバルカン/串田アキラ
M10.疾風ザブングル/串田アキラ
M11.宇宙刑事ギャバン/串田アキラ
M12.横濱行進曲/ミルキィホームズ
M13.Fighting☆Dramatic/ミルキィホームズ
M14.雨上がりのミライ/ミルキィホームズ
M15.ここだよ。/桃井はるこ
M16.セカイじゅうのAKIHABARAで/桃井はるこ
M17.LOVE.EXE/桃井はるこ
M18.幻想曲WONDERLAND/i☆Ris
M19.DIVE TO LIVE/i☆Ris
M20.Make it!/i☆Ris
M21.サンキトウセン!/イヤホンズ
M22.ヨロコビノウタ/イヤホンズ

M23.サトームセンCMソング/ALL CAST(キャスト呼び込み)
M24.富士サファリパークCMソング/ALL CAST

(C)2017 ACQUIRE Corp./AKIBA’S TRIP製作委員会

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