アニメーションの歴史に輝く不朽の名作『宇宙戦艦ヤマト』をリメイクし、2012年から2014年に渡り、劇場上映から全国ネットでのTV放送まで展開、大きな支持を得た『宇宙戦艦ヤマト2199』。2017年2月からはヤマトファン待望の完全新作シリーズとして、全七章が順次劇場上映中の『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』の第二章「発進篇」が6月24日より公開となる。
それを記念して、クラウス・キーマン役・神谷浩史のオフィシャルインタビューが到着した。
──第一章「嚆矢篇」は今年2月に劇場上映され大ヒットを記録しましたが、本編をご覧になられた感想をお聞かせください。
神谷浩史 本作『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』(以下『2202』)に関わらせて頂くにあたって、前作『宇宙戦艦ヤマト2199』(以下『2199』)は全話拝見しました。もちろん、『2202』から観始めても十分に楽しめる内容になってはいますが、『2199』を観たことでキャラクターの関係性などを把握した上で作品に入ることができ、とてもプラスに働きました。第一章「嚆矢篇」第一話の冒頭の戦闘シーンは“変態的”と言っても過言ではないくらい凄かったです(笑)。相当こだわって制作されていることをひしひしと感じました。そもそも完全新作としてリメイクした『2199』のさらにその続編を制作するというのは、かなりハードルが高いことをやっていると思うんです。その意気込みみたいなものが第一章では映像からも感じられたので、劇場まで足を運んで良かったなと思いましたね。
──日本アニメ史に燦然と輝く名作『宇宙戦艦ヤマト』シリーズに初めて出演されてみて、改めて感じたことなどがあればお聞かせください。
神谷 誰もが知っている作品であったとしても、関わり方が他のアニメーションと大きく変わることはありません。ただ、やはり「誰もが知っている作品」ということ自体が、まず他の作品と大きく違うところではあるんです。ですから、僕より年齢が上の方は『ヤマト』のことをよくご存知で、上映前にも関わらず、ここまで周りの方の反応が大きかったのは、今まで自分が携わってきた作品ではなかったことだったので、改めて『ヤマト』という作品の大きさを実感しましたね。ただ、アフレコに関しては、そこまで気負い過ぎることなくやっているつもりです。
──第二章「発進篇」(第三話〜第六話)のアフレコに臨むにあたって、どんなことを考えましたか?
神谷 第一章の時に福井(晴敏)さんと羽原(信義)監督からキーマンというキャラクターについての話を伺って、それを踏まえた上でキーマンという役の声を演じさせて頂いています。僕個人としては、キャラクターの根幹に関わっている部分がブレないように演じていけば問題ないだろうと思っています。第一章をご覧になられた方なら分かって頂けるのではと思いますが、キーマン自体が何を考えているのかよく分からないんですよね(笑)。具体的にこういうことを考えていますという明確な意図を持って演じるのが一番だとは思いますが、全てのセリフにおいてそれを成立させるのは難しいです。もちろん、そういう意図が必要な場面に関しては監督や音響監督の方に確認した上で演じますが、そうではない部分に関してはおそらくこの方向だろう、というくらいのバランスで演じさせて頂いています。キーマンの意図を細かく伝える必要はないと思って演じているので、ご覧になっている方が「なんだろう、コイツ?」と思ってくれていたら正解かなと。
──キーマンを第二章「発進篇」まで演じられてみて、最初に感じていたキーマンの印象と変化したところはありましたか?
神谷 今のところ、そんなにないですね。唯一、キーマンの上官であるバレルとの関係は気を付けなければいけないところかなと思っています。キーマンとバレルが二人きりで出ているシーンは、他とはちょっと雰囲気が違って観えるように意識して演じています。ただ、それは僕個人で判断している部分なので、果たして監督の意図と合っているのかは確かめていないんですけど…(笑)。『ヤマト』という原作があって、福井さんのシナリオがあって、監督が画にして、それに僕が声をあてるというように、色んな要素でアニメーションは作られているので、そこは僕が足してもいい要素かなとは思っています。今のところ、キーマンは自分が想定していた人物像から大きくブレてはいないので、変化が垣間見えるとしたら、この先もっとこの物語が展開していった時かなと思っています。
──キーマンの人物としての魅力は、どこにあると感じていますか?
神谷 正直あまりよく分からないですね。これはキーマンに限ったことだけではなく、作品に関わっている渦中において、このキャラクターにはどんな魅力があるのか、あまり考えないようにしています。そういうことを分かった上で演じてしまうと、自分はどうしてもあざとくしてしまいがちなので(笑)。ただ、何を考えているか分からないミステリアスな部分に、魅力を感じている人は多いかもしれないですね。
──現在公開されている予告編の中に「甦った地球が美しい自然の裏で秘かに抱え込んだ闇」という、キーマンの意味深なセリフがありました。気になっているファンも多いと思いますが…。
神谷 今回の『2202』が『2199』の続編であるということを象徴するセリフだと思って頂ければ間違いないと思います。『2199』で起こった何か、その先に存在している地球が今こういう状態にありますよという説明のセリフです。その起こっている何かに関しては、第二章「発進篇」で明らかになりますので、ご自身の目で確かめて頂ければと思います。
──神谷さんが個人的にオススメする第二章「発進篇」の見どころや注目シーンを教えてください。
神谷 なんといっても予告編の中にもあった「ヤマト対アンドロメダ」という構図ですね。あれは燃えると思います。古代と山南が「衝撃に備え!」と互いに異口同音で怒鳴りあうところがあって、アフレコではバラバラに収録しなかったんです。通常セリフが被ってしまうところは、各々で収録してダビングの時にミックスしてバランスを整えるのが普通だと思いますが、あそこはやっぱり小野(大輔)くんと江原(正士)さんの二人の芝居の勢いというものを監督やスタッフさんが信じたんだと思います。ベテランの江原さんと中堅の小野くんが対峙する構図。音圧で負けてしまうとどうしても弱く聞こえてしまうので、そこで負けないような音を互いに作っていかなければ、たぶんバラバラで録り直しになっていたと思うんです。でも、テストを2回やって本番でもそのまま同時に収録していたので、すごく印象に残っています。あとは、第二章のタイトルにもあるようにヤマトの発進シークエンスです。非常に緊張感がありましたね。どういう経緯でヤマトが旅立っていくかに関しては、みなさんが興味を持っている部分だと思いますので、ぜひ劇場で確認して頂きたいですね。
──第二章「発進篇」の劇場上映を楽しみにしているファンへ一言メッセージをお願いします。
神谷 第一章と比べると単純に尺が倍になっているので、そこに関してはきっとご満足頂けると思います。今回はTVシリーズでいうと全4話分になります。長い尺をたっぷり使って、ヤマトが発進するまでの話をやっていて、なおかつ次のエピソードに繋がるところまでを丁寧に見せていきます。ヤマトが旅立つまでには、こういう裏があったのかとか、こういう風に葛藤してみんなが旅立っていったのかとか、みんなの頭の中で勝手に脳内補完されていたものが、一流のスタッフによってきちんと丁寧に描かれているというところが第二章の最大のポイントだと思います。『2202』のモチーフとなっている『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』を過去に観た方ならば、その答え合わせをして頂くというのも面白いかなと思いますね。
<profile>
神谷浩史(かみやひろし)
千葉県出身。青二プロダクション所属。高い表現力で多彩なキャラクターを演じ分けると共に、ナレーターとしても活躍。主な出演作に『化物語』阿良々木暦役、『黒子のバスケ』赤司征十郎役、『進撃の巨人』リヴァイ役、『おそ松さん』松野チョロ松役などがある。
●作品情報
『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』第ニ章「発進篇」
2017年6月24日(土)より、新宿ピカデリー他、全国20館にて期間限定劇場上映
〈シリーズ全七章順次劇場上映〉
劇場にて特別限定版Blu-ray最速先行販売
デジタルセル版配信も同時スタート!
©西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会
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