束ねられた世界線。新しい世界地図<アトラス>へ――fhánaツアーファイナル“Looking for the World Atlas Tour 2017”東京公演レポート

2017年5月12日、東京・Zepp DiverCity(TOKYO)にて、fhánaのツアー“Looking for the World Atlas Tour 2017”の最終公演が行われた。4月14日の北海道から始まり、愛知、福岡、大阪と巡ってきたツアーのファイナル。それはこれまでのfhánaが紡いできた物語の集大成でもあり、冒険の旅の終わり/新たな物語の始まりを示すものでもあった。

まずステージに現れたのはkevin mitsunaga。観客に手拍子をうながしながら、fhánaの世界へと誘っていく。メンバーが登場すると、一人ひとりとハイタッチを交わした。

1曲目は「Rebuilt World」。“World Atlas=世界地図”を探すと題したライブが、<世界の再建>というタイトルの曲から始まる――。それは、このツアー全体を通したテーマをまず最初に示したものだった。

「虹を編めたら」「コメットルシファー ~The Seed and the Sower~」「ワンダーステラ」と続き、会場のボルテージはどんどん上がっていく。towanaと観客との掛け合いも息がぴったり。きっとこのツアーの中でより精度を上げていったものなのだろう。曲が終わるとリーダーの佐藤純一は、「今日はみんなで世界地図を探しに行きましょう!」とひと言だけ観客にアピールした。

5曲目「little secret magic」では佐藤がギターを弾き、手拍子から始まった8曲目「アネモネの花」ではtowanaがピアニカを演奏する場面が見られた。こうして1曲ごとに何か新しいアイディアが詰めこまれているというのも彼らのライブの魅力と言えるだろう。

みんなを楽しませるこの日いちばんのサプライズは、次の9曲目。towanaが「次は『小林さんちのメイドラゴン』のオープニング……じゃなくて、エンディング!」と叫ぶと、会場からは大きな歓声が!fhánaが歌ったアニメ『小林さんちのメイドラゴン』のOP曲「青空のラプソディ」ではなく、出演声優のユニット・ちょろゴンずのED曲「インカン・コミュニケーション」を披露したのだった。towanaはkevinをステージの前方に引っ張り出し、kevinは「あ~殲滅したい!」というセリフを絶叫。これには観客も大喜びだった(直後のMCのときに「かわいかったよ~」と客席から声がかかるほど)。

メンバーによるゆるめのMCで観客をなごませたあと、10曲目はfhánaの記念すべきデビュー曲「ケセラセラ」。ライブではさまざまなバージョンを公開してきた曲だが、今回は京都の風情ある街、先斗町(ぽんとちょう)をイメージしたという「先斗町 ver.」が披露された(このバージョンは11thシングル「ムーンリバー」のアニメ盤に収録されている)。

続いての曲「現在地」と、最新シングルの「ムーンリバー」では、towanaが今回初挑戦のギターを披露。ギターのyuxuki wagaとのセッションで盛り上げた。
ちなみにこれはライブの終わりごろに語られた裏話だが、towanaはこのときずっとギターの静電気で唇がバチバチするのを我慢しながら歌っていたとのこと。人によっては出血するぐらいの激しい痛さらしいのだが、メンバーから「スタッフに言えばアースで静電気を抑えてもらえる」と教えられ、無用な苦労であることが判明してしまったのだった。

さて、「calling」のあとには佐藤による長めのMCがあったのだが、それはこのツアーの物語の謎を解いていくような内容であった。
よい音楽をみんなのもとに届けに行くという“calling=使命”を持って臨んだ今回のツアー。「青空のラプソディ」では違う価値観を持つ者たちが共に過ごす尊さを、「ムーンリバー」では苦悩から再生へと向かう希望を歌った。それは本来、バラバラだった“僕たち”がfhánaの音楽という一点によって出会い、この瞬間だけは心がひとつになれるという奇跡を表している。そして1曲目に歌われた「Rebuilt World」、すなわち<世界の再建>という主題へと結びついていく。

ステージ上では語られなかったことだが、towanaは1年前に同じ場所で行われたライブで、歌えないかもしれないという体調面の問題を抱えていた。そしてその困難を乗り越え、よりパワーアップして戻ってきた。他のメンバーもそれぞれの物語を抱えていて、足を運ぶ観客たちにもきっと物語があって、そういった一つひとつの物語のピースが集められたのが今回のツアーだった。
このツアーは、fhánaのさまざまな物語のピース――すなわち世界線を束ねて、再び構築し直し、新たな世界へ行くための地図を見つける旅でもあったのだ。

17曲目「青空のラプソディ」は、みんなで踊って一体感を得られる曲。佐藤もショルダーキーボードを持って前面に出る。会場の2階席から見ると、towanaとkevinの踊りに合わせて観客も左右に揺れていく様子がわかって、見ているだけでも非常に楽しい曲だった。

最後の曲は「君という特異点 [singular you] 」。みんなで虹の橋をかけて、冒険の旅に出る――そんな曲でライブ本編は幕を閉じた。

アンコールでは「The Color to Gray World」「光舞う冬の日に」「white light」の3曲を披露。メンバーが退場する中、佐藤が最後までステージに残って演奏し続けるという演出が印象的だった。

その後、ダブルアンコールに応えてメンバーが再登場。ここでfhánaの新情報の告知が行われた。まず、9月17日に開催される「Lantis presents 深窓音楽演奏会 其ノ四」への出演が決定。会場は新宿BLAZEで、fhánaの他にChouCho、TRUEが出演する。5月28日までfhánaのオフィシャルサイトでチケット先行受付を行っている。

また、この日も披露された「Relief」のMVが公開されるという発表もあった。fhánaのブログでは佐藤純一からのメッセージも掲載されているのでそちらもチェックしてほしい。

いよいよツアーも終わりの時を迎えた。4人は旅の終わりを惜しみ、towanaからはこの1年の思い出が涙ながらに語られた。そして、最後に佐藤は「この旅の経験は次へとつながっていきます。fhánaの物語はメンバーだけじゃなく、みんなで紡いでいっているものなのです」と語ると、もうひとつだけ報告したいことがあると切り出した。fhánaの3rdアルバム『World Atlas』の制作が決定!「(このアルバムは)これまでの旅の集大成。僕たちみんなが見つけた<世界地図>です。これからもどうか一緒にfhánaの物語を紡いでいってください」と、今回のツアーが次回のアルバムへとつながっていくことを示した。

この<世界地図>こそが、憂鬱の向こう側に広がる新たな世界線である――そんな言葉と共に最後の曲「Outside of Melancholy ~憂鬱の向こう側~」を歌い、今回の旅はひとつの結末へとたどり着いたのだった。

Text By 金子光晴

“Looking for the World Atlas Tour 2017”
5月12日(金)Zepp Diver City
セットリスト
M-1 Rebuilt World
M-2 虹を編めたら
M-3 コメットルシファー ~The Seed and the Sower~
M-4 ワンダーステラ
M-5 little secret magic
M-6 Critique & Curation
M-7 Antivirus
M-8 アネモネの花
M-9 イシュカン・コミュニケーション
M-10 ケセラセラ ~先斗町ver.~
M-11 現在地
M-12 ムーンリバー
M-13 calling
M-14 Releaf
M-15 divine intervention
M-16 星屑のインターリュード
M-17 青空のラプソディ
M-18 君という特異点[singular you]

EN-1 The Color to Gray World
EN-2 光舞う冬の日に
EN-3 white light
WEN-1 Outside of Melancholy ~憂鬱の向こう側~


●リリース情報
TVアニメ『有頂天家族2』エンディング主題歌
「ムーンリバー」
発売中

【アーティスト盤】
品番:LACM-14596
価格:¥1,200+税

<CD>
1.ムーンリバー
2.Rebuilt world
3.ムーンリバー -Instrumental-
4.Rebuilt world -Instrumental-

【アニメ盤】
品番:LACM-14597
価格:¥1,200+税

<CD>
1.ムーンリバー
2.ケセラセラ ~先斗町Ver.~
3.ムーンリバー -Instrumental-
4.ケセラセラ ~先斗町Ver.~ -Instrumental-

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