幻のデビュー曲を含め4時間にわたるステージで「必ず帰ってきます」宣言!angela初の日本武道館公演ライブレポート!

「アニメロサマーライブ2016」で大トリを務めたangelaが、舞台上で武道館公演を行うと告知をしたとき、会場は怒涛のような歓声に包まれた。よく知られているように、angelaは路上ライブからチャンスを掴んでいったアーティストだ。atsukoは取材の席で、2015年のアニサマでトリを務めていたことについて「もうちょっと自分の立ち位置とか、やってきた年数をちゃんと受け入れないといけない」と答えていた。angelaは結成24年。現在、デビュー最遅”武道館公演の記録が結成30年といわれているので、それにほど近い。この武道館公演への”挑戦”にも、先の発言のような思いがあったのではないだろうか。angelaのステージングは十分に信頼しているし、これまでの公演を見てもライブの演出に間違いはない。だが、武道館という音楽に携わるすべての人にとってのシンボリックな存在は、客席側を含めた空気をいつもとは変えてしまうのではないだろうかと、個人的には懸念していた。しかし、それは杞憂に終わった。開演前からangelaのライブでおなじみのクラウンがアリーナを盛り上げ、観客はウェーブで応える。いつもの「大サーカス」が「特大サーカス」になっただけという空気を会場が共有しているようすだった。そんな中、会場が暗転しangelaがスクリーンに映し出された。中継場所は武道館正面。そこからレッドカーペットをゆっくりと歩き、楽屋前の廊下を駆け抜けるさまをカメラが追いかける。バンドメンバー&ダンサーと円陣を組み、ステージ入りするまでをさらけ出すという、武道館公演へのリスペクトとangelaらしいユーモアが見事に同居したオープニングが映し出される。

大声援に迎えられて会場入りすると間もなく、ド派手な花火から「DEAD OR ALIVE」へ。総立ちの客席は尋常ではないテンションで受け止める。2番になると2人はステージ左右に分かれ、いちはやくファンの元へ。間奏には「イグジスト」のコールアンドレスポンスの声も入り、非常に熱量が高い。つづく「その時、蒼穹へ」ではアリーナの小ステージで風とスモークに包まれながら体を反らしせたり、体を折って熱唱するなど熱いパフォーマンス。さらに接近して前方のファンと目線を合わせ指差すなど、客席との一体感を大切にするさまは、武道館という場所にあっても従来のライブと少しも変わることはない。最初のMCでは「来たぞ武道館!!」とKATSUがシャウト。atsukoが「デビュー14年、結成24年」と感慨を見せた後は「笑かしにいきますよ!」と宣言。客席コールで楽しんだ後「感無量です。ありがとうございました」と舞台下手に隠れると、客席側も「アンコール!」で呼び戻すというノリの良さを発揮する。さらに笑いの要素はこれにとどまらず、外ロケの中継を繋ぎangelaを発掘したキングレコード中西プロデューサーを呼び出す。angelaと出会った新宿アルタ前から、日本武道館まで走って駆けつけ、新曲のタイアップ権を届ける企画を入れるという、何段構えにもなった盛りだくさんな序盤の展開だ。


アニメ「K」のOP主題歌「KINGS」では作品に倣って、赤と青に会場を分け振り付けの練習をしてウェーブを作るという演出を行なうが、盛り上がりの要因はそれだけでない。atsukoの歌い回しはangelaの独自性を示すものだがそれが、何重にも繰り出される歌声は音楽パフォーマンスだけでも十分に陶酔させられる。つづく「此処に居るよ」は、インディーズ時代に作られ、atsukoが個人的に選ぶ”裏ベストCD”に収録するほどのお気に入りの曲。じっと立って、今よりもシンプルなメロディをしっとりと歌う彼女の後ろに映し出されたのはセピア色に加工されたインディーズ当時の写真の数々。歌い終えて一礼したatsukoにファンは温かい拍手を送った。KATSUのパーソナルベストCDからは「Yell for you」を選曲。アグレッシブなイントロからチアダンサーが登場し、angelaの得意とするキャッチーな楽曲をさらに盛り上げ、色とりどりのライトでファンも手を振り応える。「cheers!」ではクラウンたちが登場しパーティー感のあるこの曲を盛り上げ、途中にはangelaもジャグリングや輪投げ、皿回しに参加し、本職顔負けの妙技を見せるなど「特大サーカス」らしさを存分に発揮。もしかしたら、この日に最もふたりを緊張させたのはこの時間かもしれない。終えてからはホッとしてナチュラルにパフォーマンスするさまが見えた。ファストな新曲「Dream on」ではタイトなリズム隊に乗って情動豊かに歌い上げる姿が印象的で、今後のライブでもここ一番で盛り上げてくれそうな楽曲だ。「是、夏祭り」ではステージ上に大太鼓セットが登場し、ダンサーも祭りの衣装で大団扇を持ち、KATSUは沖縄音階を入れつつ三線を奏でる。こうして楽器を変えつつも、angelaらしさはしっかりと生きているところにふたりの個性の強さを改めて感じた。

個性といえばこの“キャラ”も負けていない。あっちゃん星のオムライス村から来たという“アイドルあっちゃん”が脱力のMCを見せ、「お願い!シャングリラ」なる曲を披露。大きな風船が飛び交う中、ホンモノの歌唱力を見せ、会場もそれに相応しい盛り上がりを見せる。MCではKATSUが絶妙な合いの手を見せ、angela随一のポップな楽曲の「蒼い春」へ。ブラスロックな演奏やキレキレのダンサーをバックに背負い、ハイテンションな歌声を聴かせる。“アイドルあっちゃん”退場後は、衣装替えをしたふたりがトロッコに乗ってアリーナ外周を回ってスモークを噴射するパフォーマンスを加えた「over the limits」。そしてイントロからこの日最も大きな盛り上がりを示したうちのひとつである「イグジスト」。それを予期したのかバンドのボリュームも非常に大きく、声の包容力と放出力の豊かさはいつにも増して大きい。じっくりとコールアンドレスポンスを繰り返した観客は燃焼しつつも、MCを挟んでデビュー曲の「明日へのbrilliant road」に再び大歓声になる。アニソンシーンに鮮烈な足跡を残したこの楽曲。この人数の歓声と拍手を受けつつ歌うことは当時、念頭になかったかもしれない。しかし楽曲の力強さはその頃からも現在も絶対的な存在だ。「私がいて ぢぇらっ子がいてる」とファンに向けて歌詞を変えるところが心憎い演出だ。


しっとりとしたピアノが流れるMCに乗せてatsukoは「武道館のような大きな会場をangelaでやれるんだろうかという不安が大きくて、自分ひとりで抱えきれないと思っていた」と、開催発表直前の思いを吐露する。それを吹き飛ばしたのが“ぢぇらっ子”の歓声だった。こうしたファンや関わる人々すべてに感謝の言葉を表して「Peace of mind」を歌い出す。まさにそれはこの日のためにあるような内容。まずピアノ伴奏のみでしっとり歌い、バンドが加わってからはさらにエモーショナルに表現していく。最後に大サビを会場に促し、それを聴くatsukoは実に幸せな表情でそれを返すようにまた温かく歌い、最後に大きく礼をしてこの曲を締めくくった。そこからラストスパートをかけるかのように「KIZUNA」、「蒼穹」、「僕は僕であって」と熱い曲を次々と投入し、ついにラスト曲の宣言。会場を紅白のライトに変え「騎士行進曲」のイントロがスタートする。ダンサーたちは白い学ランで登場し、KATSUが大太鼓を叩き、atsukoは指揮をするようにステッキを掲げ、凛々しく歌う。’70年代のアニメソングにはマーチ曲が多かったという。それをルネッサンスするangelaの幅の広さにリリース当時も驚かされたが、こうしてライブで観声とコーラス、ドラミングの迫力のなか感じると大きな高揚感を禁じ得ない。最後にatsukoは「結成して24年、デビューして14年、たくさんの辛いこと、楽しいこと、辞めたいと思うこともありました。でもこの日を迎えられたのは、ぢぇらっ子のみんな、スタッフのみんながいてくれたからです! 本当にありがとう!」と絶叫。アウトロは敬礼し、「栄光あれ!」と言い放ちステージを後にした。

アンコールにはファンが自然と同期してホイッスルを吹いて促すと、やがてSEが流れ「家族愛」のコールに黒の繋ぎを着た“弟分”のドメスティック♥ラヴバンドが登場。バッドボーイな口調で、スカコアアレンジで節を付けて「Shangri-La」を披露する。ややカオスな展開になりつつも、その後はライブの間継続していた中西プロデューサーのマラソン企画に向け「負けないで」をカバーして歌う。歌の終わりとともに到着した中西氏は見事、angelaに対しアニメ「アホガール」の主題歌を届けたのだった。そしてプロデューサー自ら「武道館はゴールではなく通過点」と発言。その前にも、ドメラブバとしての「ライブハウス武道館」発言をしたりと、武道館公演では定番となっているセリフをangelaからズラす演出は気恥ずかしさからだろうか。最後に「大団円の歌」を会場全員で歌ったあとは、本格的なアンコールへ。atsukoは純白、KATSUは漆黒の衣装で登場し、ピアノ伴奏とアコースティックで「幸せの温度」をしっとりと歌う。解き放たれたように大きく、長く「アンコールありがとう」と絶叫。軌跡を辿るコメントに続いて「最初のデビュー曲」と発言すると、一部のファンからは歓声が上がる。最初のデビューの後、チャンスを掴めなかったangelaは路上に戻ったのだった。彼女は続けて「もう18年歌っていません」と言う。その知る人ぞ知る曲が「memories」というタイトルだったのは運命的だ。ただ、このとき武道館の中にいるなかでの割合は多くないかもしれないがその当時から応援してくれたファン、あるいはangelaの曲ということで遡って聴いてくれた先のファンに向けて、複雑な思いを笑顔に包んで、堂々と歌ったのだった。そしてついに本当にエンディングの足音が近づき、それが「シドニア」のイントロとリンクすると、ファンは”総員敬礼”の姿勢で待つ。一糸乱れぬ4つ打ちと全身の激しいパフォーマンスは「ナイツ・オブ・シドニア」のコーラスと相まってどこまでも歌い続けられそうな力強さだった。再度のアンコールを受けた最後のMCではさすがに感慨深げな会話になる。KATSUにとって「memories」は、「正直、大嫌いな曲だった。売れなかったし辛かった」曲だという。それゆえ、ライブで披露したこともなかった。そのあと「でも、みんなのおかげで好きになれました!」と叫ぶと温かい拍手が長い間飛び、「泣かないはずと決めていた」というKATSUの声も少し震えていた。そしてangelaの口からついに「通過点」の言葉が出る。「また武道館に絶対戻ってくる」という思いを込め、会場全員で右腕を挙げ座標を掲げて「蒼穹のファフナー」の「蒼穹作戦」を再現し「俺らのシャングリラにもう一回帰ってこようぜ!」(KATSU)「私たちは死ぬまでangelaを続けます。そしてまたここに必ず帰ってきます。今日というこの日がangelaにとってシャングリラです!」(atsuko)と叫び、オーラスの「Shangri-La」を歌う。タオルを丸め、互いに目を合わせ左右に散り、大サビではホイッスルも使い会場全員で合唱し、約4時間に渡るこの日のステージを燃焼し尽くした。この日、「大サーカス」としては11回目に合わせて11回ジャンプしたあと、「来たぜ武道館、いくぜその先へ」と力強く宣言し、ぢぇらっ子にとっても念願だった初の武道館公演をangelaらしく目一杯詰め込んで記録したのだった。

Text By 日詰明嘉

angela「angelaのミュージック・ワンダー★特大サーカスin日本武道館~僕等は目指したShangri-La~」
2017年3月4日 日本武道館

セットリスト
01. DEAD OR ALIVE
02. その時、蒼穹へ
03. Different colors
04. KINGS
05. 此処に居るよ
06. Yell for you
07. cheers!
08. Dream on
09. 是、夏祭り
10. 沖縄っぽいインスト(メンバー紹介)
11. お願い!シャングリラ
12. 蒼い春
13. over the limits
14. イグジスト
15. 明日へのbrilliant road
16. Peace of mind
17. KIZUNA
18. 蒼穹
19. 僕は僕であって
20. 騎士行進曲
<ドメスティック・ラヴバンド コーナー>
21. Shangri-La
22. 負けないで
23. 大団円の歌
<アンコール>
24. 幸せの温度
25. memories
26. シドニア
<ダブルアンコール>
27. Shangri-La

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