第4回【春アニメを二度楽しむための楽曲集】

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今年も早くも4月クールのアニメが終了。世のアニメファンは7月クールの第1話を観るのに忙しい頃だと思いますが、ここでもうちょっと、4月のアニメをじっくり振り返ってみませんか? 数がかさむと観っぱなしになりがちなアニメ作品ですが、主題歌でも聴きながらじっと物語を反芻してみると、オンエア時とはまた異なる感想が浮かんでくるはず。今回はリスアニ!編集部の独断と偏見による楽曲セレクトで、印象的だった4月クールアニメ作品の解釈を掘り下げます。

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『きんいろモザイク』はここから始まった

第1期に引き続き暖かな感動とわずかばかりの寂しさを我々の心に残していった『ハロー!!きんいろモザイク』。最終回を終えたいま、第2期の主題歌としてなお耳に残る「夢色パレード」「きらめきいろサマーレインボー」で物語を反芻するのも手なのだが、ここでは敢えて第1期の「Jumping!!」の歌詞に注目してみたい。

第2期で通訳者への夢をさらに確かにした主人公だが、第1期の初期の頃を知る視聴者からすれば、今期はまるで保護者のような目線で彼女を見守ることができたのではないか。そんな心境で「Jumping!!」の歌詞を改めて読んでみると、これは女の子たちの夢の歌であると同時に、それを見守る大人たちの願いであったことにも気づく。だからこそラストシーンの「楽しめればいつだって青春時代ですよ」(烏丸さくら先生)が心に染みるのだが、「Jumping!!」には第1期の時にしてすでにこのセリフを内包するだけの懐の深さが備わっていたのだと思うと、感動がさらに倍増してしまうのである。

TRIGGER流フラットアートにふさわしい音とは?

この時代にあえて4:3の画角を選ぶなど、画作りと演出に圧倒的な存在感があった『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』。これぞTRIGGERという映像作品は、BOOM BOOM SATELLITESのスーパーかっこいい「BACK IN BLACK」で毎話スタートしていたのだが、こういう洋物なサウンド感にも、『フリクリ』や『天元突破グレンラガン』の音づくりに通ずるエッセンスがあって、やはりTRIGGERクリエイターの熱い血潮を感じてしまう。

というわけで、今回は同アニメスタジオ繋がりの楽曲をレコメンド。『キルラキル』サウンド群の洋楽ロック&ポップ感は、やたらと熱くてアヴァンとキッチュを意図的に崩壊させたアニメのテーマにしっくりハマり、いわゆるTRIGGERの正統派作品だったと再認識。一方の『異能バトルは日常系のなかで』も、日常に隠された狂気がしっかり画にも歌にも反映されていて、“見かけと中身のギャップ”を見事に作り上げている。ていうかこのアニメも主題歌も、よく観て聴いてみると頭狂ってますから。いやマジで。

藍井エイルと中川翔子の邂逅

2クール目に入り壮大なドラマの全貌を見せつつある『アルスラーン戦記』。まだ放送中ゆえ物語には触れないが(ていうか小説のどの辺までやるんだろうね…?)、個人的には藍井エイルのミドル・バラード「ラスピラズリ」が壮絶な時代を生きる男たちへの鎮魂歌として心に響いた。

『アルスラーン戦記』の漫画版は荒川 弘先生が「別冊少年マガジン」で連載中だが、「ラピスラズリ」を聴くとなぜか同先生のダーク・ファンタジー名作『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』を思い出す。去りゆく者への思いを歌った中川翔子の代表的バラード「RAY OF RIGHT」と「ラピスラズリ」には、戦記モノに現実感を増幅させる共通の“哀愁”が漂っているのである。

気がつけば楽曲が盛りだくさん

あのサンリオが深夜アニメに参入した『SHOW BY ROCK』は、その話題性も手伝い歌モノアニメとして大成功を収めたと思う。劇中からいくつかのユニットが出現し、いずれのCDもスマッシュヒットを記録。このバンド・サウンドには『けいおん!』で培ったメーカーの経験値を感じる。

そしてもはや安心感さえ抱くハチャメチャラブコメ『ニセコイ:』もまた、第1期と同様にエンディングに様々なキャラクター・ソングを用意し、本編では描ききれなかった各ヒロインの心情を代弁した。ここでは初心忘れるべからずという意味も込め、第1期の桐崎千棘のキャラソン「Heart Pattern」を猛プッシュ。一条楽を好きだと自覚した第1期の桐崎千棘も凶悪にかわいいが、この曲を聴いていると自身の好意に気付かずチクチクと胸を痛めていた頃の彼女を思い出すことができて、進んでいないようで進んでいる『ニセコイ:』の物語を感じるのである。

このアニメが伝えたかったことって?

虚淵玄が原案としてスタッフ・クレジットに名を連ねた『ガンスリンガー ストラトス』。TV放送版とネット配信版で最終話の内容が異なる前代未聞の試みには賛否両論あったようだが、個人的にはそれぞれの結末に理屈があり納得できるものだった。

さて今回も虚淵節、つまりは“自由”と“法”のせめぎ合いというテーマが発揮された物語であった『ガンスリンガー ストラトス』。するとやはり思い出してしまったのが、『魔法少女まどか☆マギカ』などの過去作だった。つねに“管理者”に対する疑問を投げかける虚淵作品は、善悪とは別軸の判断基準を視聴者に強いる。でもそれはとても人間らしい、当たり前の考えだということを、今作でも思い知った次第である。“法も理も所詮人間が考えたこと”的な虚淵氏のメッセージを、『Fate/Zero』『アルドノア・ゼロ』の主題歌を聴きながら吟味するのもまた、梅雨の夜のオツな楽しみ方のひとつだろう。 

Text By 西原史顕

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