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INTERVIEW

2016.09.09

リスアニ!本誌連載出張版「GOT’S & TAKE(FLOW) ロケ物語 第16章 ufotable編 ロングバージョン」

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ufotableが生まれるきっかけ

TAKE そのufotableさんの始まりは以前テレビで放送されていた音楽番組「うたばん」のオープニングと書かれているのを見たんですが、それは本当ですか?

近藤 はい。今のufotableの主軸になるメンバーに声をかけて、北池袋の友だちの家の四畳半の一部屋を借りてみんなで作ってたんですよ。だからあの「うたばん」のOPアニメは、その四畳半から生まれたものです。

ufotable Caféとマチ★アソビを始めた理由

TAKE なるほど。それが今は多角的で総合的な会社になったわけですね。何といってもカフェまでされている。今ではコラボカフェも当たり前にありますが、当時は先駆的だったわけですよね。どうしてカフェをやろうと思われたんですか?

近藤 カフェを始めたのはもう10年も前になります。FLOWさんなら作品を作ったあとにはライブがあったりするんでしょうけど、僕らはアニメを作ったらそこまで。僕らの顔もお客さんの顔も見えないんですよね。僕らも作品を観てくれる人の顔もみてみたいし、コミュニケーションをとりたいと思ったんです。もしかしたら、作品を観てくれている人の中に、作り手に興味がある、そういう人がいるかもしれない。スタッフもきっと作品を観てくれている人の顔が見えたほうが頑張れるんじゃないかなって思ったんです。

TAKE それが理由だったんですね。コラボカフェのパイオニアですね。

近藤 初めは、いろんな人に「こんなのうまくいきっこない」って散々言われました。ただ、驚くくらい不安はありませんでした。もともとカフェをつくった理由が、僕らの作品を観てくれている人との交流にありましたから、高円寺の東京カフェは35坪くらいで、40席くらい作れる広さだったんだけど、そこをあえて20席にして、空間を作って作品を飾れるようにしました。料理もスタートからしっかりとしたものを作っていこうっていうのもあって、オープニングメニューには手作りのベーグルサンドまでありました。手作りって、ただベーグルサンドを作ったんじゃなくて、ベーグルそのものから作りました。早朝から、ベーグルをひとつひとつ生地をねってました。凝り性なんですかね。そうすればスタジオのスタッフもそこでごはんが食べられるし、体にもいいし、と。だから、お客さんから「ufotableのカフェのご飯が美味しい」って言われると、すごくうれしいです。そうそう、特に北九州のマチ★アソビ カフェは美味しいですよ。ここのお店は設備がすごくて。カフェの統括をやっているスタッフの集大成みたいになっちゃってます(笑)。

GOT’S さらに凝っていったんですね。

近藤 200坪近くあって、厨房もホテルの厨房みたいな設備にしたし。ステージもあって、初日はKalafinaさんが来て歌ってくれました。不思議ですよね。当時はそんなことはなかったけど、今ではカフェが当たり前になって来てますしね。

TAKE ファン同士の交流の場所としてもわかりやすくていいですよね。

近藤 結果的にはうまくいったんじゃないかなと思います。FLOWさんはやらないんですか?

GOT’S FLOWカフェ(笑)。

TAKE 曲のタイトルに絡ませたメニューとか楽しそうですね。

近藤 それも楽しいし、あとはお客さんとのコミュニケーションは大きな力となりました。プレッシャーもあるけど、やっぱりモチベーションとしては大きい。ユーザーさんがカフェまで来てくれて、喜んでくれる。これは作品力に確実に反映しています。

TAKE この流れでやっぱり「マチ★アソビ」の話しも聞きたいんですが、近藤さん、そこもすごいですよね。徳島で表彰されていますからね。

近藤 ありがとうございます。頂戴しました。

GOT’S 阿波踊りのポスターもですよね!

近藤 はい。「マチ★アソビ」は本当にお客さんにたくさんの方に来ていただけるようになって、今では8万人くらいになりました。来てくれるユーザーさんにも、ゲストや関係者の皆さんにも感謝です。

GOT’S 眉山もすごいことになっていると聞きましたよ。

近藤 ロープウェイだけではみんなを山の上にあげることができなくて、バスも出しています。あと、コスプレイヤーの方がすごく増えていて登録だけでも3千人をゆうに越えています。地元の方だけじゃなく、県外が6~7割くらい、リピーターが大半というのも「マチ★アソビ」の特徴です。

TAKE 我々もツアーで四国に行ったときに、知り合いにたまたま会って「『マチ★アソビ』で来てるんです」って言われたことがあって。3年くらい前だったかな。最近は徳島がアニメの県みたいに言われていますが、その起源はここだったんですね。

GOT’S いつから始まったんですか?

近藤 2009年の4月に徳島スタジオを作ったんです。そして、その7月には阿波踊りのポスターを発表しました。その反響が大きかったんです。観光協会から話があって、普段は「眉山山頂秋フェスタ」っていう祭りを毎年やっているんだけど、一緒にできませんか?というオファーをいただいたんです。僕らのスタジオは徳島にあるけど、僕はほとんど徳島にはいない。でもうちのスタッフは徳島で日常生活を送っているわけなので、彼らが仕事をしやすい環境を作ること。それにスタジオを作るということは地元の人たちとも関わっていくということだしなと思ってやったのが第一回の「マチ★アソビ」だったんです。

TAKE だとすると、地元に錦を飾るぞ、ということではなかったんですね。

近藤 なかったですね。地元の力になるのであれば、という気持ちはありましたけど。

TAKE 僕は地元(埼玉)が東京から近いこともあって、錦という感覚はないんですよ。東京と徳島くらい離れてれば、そういう感覚になりそうだな、とも思ってしまうんですが。

近藤 業界に入ってから地元に帰るのは冠婚葬祭くらいでほとんど帰ることが出来なかったんです。徳島スタジオをつくって、「マチ★アソビ」もあるので年に2回は帰ることになって、それは個人的によかったんじゃないかなと思ってます。

TAKE 親孝行だ。

近藤 親孝行ってわけじゃないけど、春の「マチ★アソビ」が母の日のタイミングじゃないですか。毎回、「マチ★アソビ」が終わって、空港まで車で母親に送ってもらうんだけど、その流れで、お店に寄ってプレゼントを買うことが恒例になりました。

TAKE 母ちゃんの自慢の息子ですよね。

近藤 いやぁ、そういうのはないんじゃないかなぁ。

TAKE あるもんですよ!

近藤 でも、親孝行できるうちにどんどんしたいと思っています。

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