彼方より此方へ、アイドルたちを招いた魔法。「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 4thLIVE TriCastle Story」神戸公演初日レポート

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『アイドルマスター シンデレラガールズ』のライブイベント「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 4thLIVE TriCastle Story」神戸公演初日が9月3日、神戸・ワールド記念ホールで開催された。

『シンデレラガールズ』初となる大型地方ライブの初日公演には、島村卯月役の大橋彩香、多田李衣菜役の青木瑠璃子、双葉杏役の五十嵐裕美、白坂小梅役の桜咲千依、三村かな子役の大坪由佳、前川みく役の高森奈津美、小日向美穂役の津田美波、佐久間まゆ役の牧野由依、諸星きらり役の松嵜麗、安部菜々役の三宅麻理恵、城ヶ崎美嘉役の佳村はるか、藤本里奈役の金子真由美、松永涼役の千菅春香、向井拓海役の原優子、大和亜季役の村中知、上条春菜役の長島光那、サプライズゲストとして木村夏樹役の安野希世乃が出演した。

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昨年11月に開催された「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 3rdLIVE シンデレラの舞踏会 – Power of Smile -」では、通常の寄りの表情などを見せる大型スクリーンとは別に、セットの中に演出専用のLEDディスプレイを仕込むことでビジュアル的な演出を強化していた。今回の神戸公演では、セットに仕込まれたLEDディスプレイに『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』のキャラクターを人間大に表示することで、「S(mile)ING!」を歌う大橋彩香のバックで踊る渋谷凛と本田未央、といった初めて見る光景をステージ上に現出させるアプローチが行なわれた。ステージ上のキャストも、画面の向こうのキャラクターも、着ているのが同じ『デレステ』1周年記念衣裳「アクロス・ザ・スターズ」であることが、よりシンクロ度合いを深めている。

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そんな演出を最大に活かしたサプライズが、初日のみ参加のユニット「炎陣」組が歌う「純情Midnight伝説」だ。金子、千菅、原優子、村中と、オリジナルメンバー5人中4人が出演した炎陣。残る一人、安野希世乃が演じる木村夏樹はスクリーンに『スターライトステージ』のキャラクターモデルが表示され、次元を超えてユニット5人が勢揃い、という演出だ。夏樹パートは基本は原優子が担当していた。だが曲中、炎陣リーダー向井拓海役の原優子が「なつきちィッ!」と鋭く活き活きと呼びかけると、ステージの中央に魔法のように安野希世乃が登場! CD版では千菅(涼)や金子(里奈)が担当している「本気 正義 仁義は 黙って貫くが華さ らしくもないと笑われたってこれが自分の生き様」までを安野がロングソロとして熱唱すると、会場から巻き起こる驚きと興奮の叫びがバックコーラスのように重なっていくのが実にロック! マイクスタンドを軽くギターのように扱ったり(ガチのエアギターではなく、ちょっと遊びながら余裕のある足取りで歩むのがかっこいいのだ)、安野の一挙一投足がかっこいい。安野は金茶っぽいエクステを幾房かつけて夏樹らしさを出しているのだが、その佇まいと歌声が何より強く「木村夏樹」を感じさせるのだった。

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全員揃ったことを泣きそうに喜んでいる5人。客席から見れば初めての5人も、厳しい練習を一緒に重ねてきたのはもちろん、リーダー役の原優子が全員にお揃いの指輪をプレゼントしてステージに臨んだりと、5人で積み重ねてきた想いがあったようだ。この日の炎陣のパフォーマンスは非常にライブ感があって、キャラクターの幅から少しはみ出すぐらい各人の個性が色濃く出ていた。会場のテンションと炎陣のパフォーマンスが燃え上がると、安野の少しハスキーがかった清涼で、熱いのにどこか涼やかな歌声が却って際立つのも面白い。それにしても初めてアイマスのライブステージに立つ、ソロ曲がまだないメンバーも多いユニットがこれだけのドラマを見せたのだから、サプライズを含めた演出力には完敗だ。逆に5人で歌う「Rockin’ Emotion」では、それぞれが歌うパートで安野が任せた! という感じで振っていく空気感が信頼関係を感じさせるのだった。

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そういったドラマとはベクトルが違うキャラクターとパフォーマンスで印象を残した初日オンリー組が、上条春菜役の長島光那だった。上条春菜と言えば何より眼鏡を愛するアイドルだが、長島が赤いフレームの眼鏡をかけた姿がそれだけで「上条感」を濃厚に感じさせるのは眼鏡の才能を感じる。昔々そのまた昔、765プロの若林直美が初めてステージに立った時に「リアル律子だ!」と感じたのにも通じる感覚だ。そんな長島だが、オープニングの「とどけ!アイドル」や「ゴキゲンParty Night」を見ていると、妙に視界に入る。ひとつは一生懸命でひとつひとつの動きが大きいこと。ジャンプの振付などもめいっぱいだ。長島が比較的長身なことからスケールの大きな動きがより目立つのもあるかもしれない。もちろん立ち姿だけでかっこよく美しい青木瑠璃子ほど際立って背が高いわけではないのだが、長島の場合近い立ち位置に、小柄な妖精のような桜咲がいる対比の妙もあったのかもしれない。「Snow Wings」では炎陣組や、存在そのものが太陽のような大橋と一緒に歌ってもきっちり存在感を放っていたし、「咲いてJewel」ではクールで、ちょっと近づきづらい新しい上条春菜を感じさせてくれていた。

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両日参加組について初日に印象的だった部分を拾っていくと、まずは「S(mile)ing」の大橋の“笑顔”。昨年の舞踏会での、涙を堪えながら笑う強さ、気高さも感動的だったが、物語の感動から少し離れた、大橋本来と言ってもいい笑顔はやはり無敵だ。「GOIN’!!!」の歌い出し、「さぁ、同じ夢奏でよう!」の部分を大橋がソロで歌うライブバージョンが個人的にたまらなく好きなのだが、ニュージェネの仲間がいない神戸にあっても、真ん中で大橋が輝くような笑顔で存在していればそれはアイマスでありシンデレラガールズなのだ…と改めて実感してしまった。今回もかわいさが際立っていたのが津田で、「アクロス・ザ・スターズ」は相当きらびやかで派手な衣装にもかかわらず、歌う津田の佇まいはなんとなく楚々としているというか、目が離せない控えめさ、なのは小日向美穂感が強い。小首をちょっと傾げる仕草、無双である。なんだかかわいすぎて会場がちょっとざわめく感じが、「Naked Romance」終わりにはたしかにあった。

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牧野由依という個人が素晴らしいアーティストであることは間違いない。間違いないのだが、彼女がまゆとして歌う時、普段とは逆手にマイクを持って歌い、リボンのなびきや、掲げた小指を手首に添える決めポーズを最大限に効果的に見せていることに気がついた時以来、ステージではむしろ彼女の「役者」としてのこだわりや入りこみを感じることが多い。センターステージに立つ時、右を向いたり左を向いたりしてなるべく多くの人に正面からのパフォーマンス姿や評定を見せるのは基本なのだが、そういう時にちょっと8の字を描くような動き、どこに行ってしまうかわからないような浮遊感があって、端々からまゆ感を感じる。髪の毛にはカチューシャがわりにリボンを編みこんでもらったそうだ。高森の猫耳は、過去最大のみく耳再現度で高森もお気に入りの様子。お城のような壮大なセットは、誰よりも高森と「おねだり Shall We ~?」に似合う。高森は「Tulip」で、ずっと曲調に合わせるのではなく、基本にこにこと楽しそうに歌っているのに一番の決め所「なんてね」のピンポイントで妖艶スイッチを入れるのが技ありだった。

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佳村は初日の「Starlight Casting」(指定曲・ハイファイ☆デイズを歌唱するメンバーを今日の出演者から投票し、5人を選抜する)で見事第一位となった。佳村はそのことをすごく喜ぶと同時に、ラジオで自身がネタとして見せる「小さくてかわいい子が好き」というキャラが、美嘉という純情なキャラクターにネタとはいえ重ねられたりすることに心を痛めていた様子。だがこの一位はネタだけではなく、アニメではシンデレラプロジェクトに一番近い頼れる先輩として、悩みながらも鮮やかな生き方を見せる城ヶ崎美嘉というかっこいい女の子が、てっぺんをとって真ん中に立つ姿が見てみたい、という気持ちも間違いなくあったのではないかと思う。

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青木の「Twilight Sky」で定番になった、客席を青とオレンジに塗り分けて夕焼け空を再現する客席自主演出は今回も健在。センターステージから思わず周囲を見回す青木だ。青木は「今日はふーりんがいないのではっしーの隣に並んでみたりして緊張しました」と語っていたが、福原や原紗友里がいない公演で、自然に青木たちが大橋を支える感じになるのは、チームとして長く走ってきたコンテンツならではのしなやかさを感じる。かな子として歌う大坪はその変わらなさ、ゆるがなさこそが魅力。「Tulip」では演者の普段と違う一面に注目することが多いのだが、大坪は楽曲のかな子の側に引き寄せる感じがあるし、「ましゅまろ☆キッス」に参加しても、とても華やかで印象的でありながらも、それでいて松嵜のパフォーマンスをより楽しくハッピーに感じさせる力もあって不思議な感じだ。

松嵜と五十嵐のあんきらに新しいプラスワンを感じたのが「きみにいっぱい☆」で、原優子が参加。炎陣ではイケイケの原優子だが、この曲ではコミカルな一面を見せる。強い個性を隣に迎えての松嵜の「きらりモード」はいつも以上に全開。あんきらの相性の良さと、他と組み合わせても違う魅力が見える広がりを感じた。五十嵐は良い意味で力みがない感じ。久々に一人で歌う「あんずのうた」を大切にした結果か、今まで聞いたことがないぐらい優しい「あんずのうた」だった。

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夏にふさわしい「涼しさ」を提供してくれたのが桜咲の「小さな恋の密室事件」で、スクリーンの向こうの星輝子やあやめ殿、珠美や幸子といったキャラクターたちと、怪しげにマントをふるうダンサーたちがフル稼働で共演。おどろおどろしい世界観ながらも、スクリーンのキャラクターたちは「かわいい」担当。特に「シンジツコダワリユイイツミツケ〜」のささやきパートの後ろで、ほっぺに人差し指をあててゆーらゆら揺れている輝子たちはたまらぬキュートさだった。MCでも準備中にチェック用の画像が乱れ、「神戸にも“あの子”がきたと思った」なんて話でどきっとさせる桜咲、流石である。

『デレステ』再現風の映像に注目が行きがちだが、神戸でも無双の頑張りを見せていたのがサポートダンサーたち。その存在感を強く感じたのが三宅の「メルヘンデビュー!」。今までは「動きの面でステージをサポートする」役割が強かったダンサーズだが、「メルヘンデビュー!」ではダンサーもうさ耳にメイド服で、「かわいい」成分もしっかり担っていた気がする。『デレステ』の動きをどう取り込むかを三宅が考えた時、ダンサーたちにダンスに関しては任せて下さいと言われ、本人は腕の回転を増やして安部菜々らしさを出したりといったニュアンスにこだわっていったとのことだ。サポートメンバーとコミュニケーションをしながら全体のクオリティを上げていくやり方は、『シンデレラガールズ』を息の長いライブコンテンツにしていく上で必ず役立つはずだ。

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雑感をつらつらと書いてきたが、『デレステ』ユニット曲については、2日目のレポートで厚めにふれていきたい。「Star!!」も「Shine!!」も「M@GIC」もないセットリストはアニメではなく『デレステ』フォーカスライブならではという感じだが、締めの曲はやはりこれしかない「お願い!シンデレラ」。特に、まだソロ曲がない初参加組にとっては、全員一緒にこの楽曲を歌うことが何よりも『シンデレラガールズ』の仲間に加わった証になったと思う。最後に、安野の「4thで炎陣が集まれるのは今日だけなので集まって歌わせて頂けて本当に良かったです。“プロデューサーさん、今夜、焼肉行こうぜ!”」のMCにより、初日の夜、神戸の焼肉屋という焼肉屋が超満員になっていたことを書き添えておきたい。

Text by 中里キリ

「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 4thLIVE TriCastle Story」神戸公演初日
2016.09.03神戸・ワールド記念ホール セットリスト
M01:とどけ!アイドル(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
M02:ゴキゲンParty Night(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
M03:S(mile)ING!(大橋)
M04:Naked Romance(津田)
M05:エヴリデイドリーム(牧野)
M06:おねだり Shall We ~?(高森)
M07:TOKIMEKIエスカレート(佳村)
M08:Snow Wings(大橋、金子、千菅、長島、原優子、村中)
M09:Twilight Sky (青木)
M10:ショコラ・ティアラ(大坪)
M11:ましゅまろ☆キッス(松嵜、大坪)
M12:小さな恋の密室事件(桜咲)
M13:Love∞Destiny(青木、津田、牧野)
M14.生存本能ヴァルキュリア(金子、千菅、長島、原優子、村中)
M15:「Starlight Casting」ハイファイ☆デイズ(佳村、三宅、原優子、五十嵐、桜咲)
M16:Tulip(五十嵐、大坪、高森、三宅、佳村)
M17:空と風と恋のワルツ(津田)
M18:メルヘンデビュー!(三宅)
M19:あんずのうた(五十嵐)
M20:純情Midnight伝説(金子、千菅、原優子、村中、安野)
M21:Rockin’ Emotion(金子、千菅、原優子、村中、安野)
M22:咲いてJewel(青木、桜咲、千菅、長島、村中)
M23:きみにいっぱい☆(原優子、松嵜、佳村)
M24:明日また会えるよね(大橋、五十嵐、大坪、金子、高森、津田、牧野、三宅)
M25:メッセージ(大橋、青木、五十嵐、桜咲、大坪、高森、津田、牧野、松嵜、三宅、佳村)
M26:GOIN’!!!(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
アンコール
EC01:BEYOND THE STARLIGHT(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
EC02:お願い!シンデレラ(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)

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