dorikoが9年間の歩みを詰め込んだベスト盤『doriko feat.初音ミク doriko BEST 2008-2016』発売記念インタビュー!

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8月31日、初音ミクの誕生日にdorikoが9年間の歩みを詰め込んだベスト盤『doriko feat.初音ミク doriko BEST 2008-2016』を発売。タイトルの数字だけを見たら8年間なのに、なぜ9年間の歩み?いろんな謎は、これから紐解きましょう。

――dorikoさんのボカロPとしての9年間の歩みを集大成した、ベスト盤『doriko BEST 2008-2016』が完成。数字だけを見ると8年間ですけど……。

doriko 僕がボーカロイドを使った楽曲を作って動画サイトに上げ出した最初の年が、2007年。そこから数えて9年目ということから、今回9年間の集大成と伝えています。ただ、最初の1年間は、その楽曲を聴いた人が笑ってくれたら満足という遊びに徹した曲ばかりでした。いわゆるHAPPY SONGみたいな楽曲を作っては、反響を楽しんでいました。その頃の自分は、まさに就活を控えた大学生だった時期。そろそろ就活に力を注ぐため、最後の記念にとシリアスな楽曲を発表し、それで活動を止めようと「歌に形はないけれど」を上げました。その楽曲がとても大きな反響をいただきまして、「こういう曲が受け入れられるのなら、こういう歌も作って聞かせたい」とふたたび動画サイトに上げたところ、また多くの反響が返ってきた。その繰り返しを続けてくうちに、今年で9年の歳月が流れました。今回発売するベスト盤の『doriko BEST 2008-2016』は、2008年に発表した「歌に形はないけれど」以降のシリアスな楽曲をまとめあげたことからそうタイトルしたんですが、ボカロPとしての活動自体は9年間になることから、9年間の歩みと言っているわけです。

――なるほど。dorikoさんが表現活動の主戦場にしていたのは、リスナーたちの反響がダイレイトに返ってくる場。リアクションが増えるたびに、それが創作へ向かう刺激に繋がっていた形だったのでしょうか?

doriko そうですね。リアクションによって好奇心を掻き立てられ、そこからいろんな表情を持った楽曲を作ってみたり。ただし、発表するごとの反応に怖さを感じてもいました。僕の楽曲がバラードが多いのは、得意なスタイルという理由もありますが、バラードに対する皆さんからの評価が高いんですね。その反響に応えたくてバラードを多く書いてしまう傾向もあったと思います。同時に、異なる表情を発表したときに、「こういう曲あんまり好きじゃありません」という書き込みがあると、そういう曲調の歌を作るのを控えてしまう自分も正直いました。そうは言いつつも、毎回「こういう楽曲を作りたい」という想いに突き動かされ作り続けてきたのも確かです。

――動画サイトで楽曲を発表していると、リスナーの言葉を無視するのは難しいですからね。

doriko なので、そこは「自分で作りたい楽曲」「反響に応える歌」などうまくバランスを取りながら、同時に「つねに新しいスタイルを」と模索し続けています。

――『doriko BEST 2008-2016』を聴いて感じたのが、dorikoさんの作る楽曲には「あなた」と「わたし/ぼく」という関係性や、相手を想いあう気持ちを投影した歌詞が多いこと。その優しさへ触れるたびに、心がキュッと疼かされます。

doriko 今回、2枚のアルバムに収録した30曲を改めて聴き返しながら、僕自身も「そこに味があるのかな?」と感じていました。確かにリスナーの方の反応って怖さもあるんですけど、うれしさのほうが強いからこそ曲を作り続けてきたように、そういうところへ反応や反響をいただけるのは素直にうれしいなと思っています。もちろん、伝えたい想いや作りたい曲調は常にあることですが、ボーカロイドの初音ミクに自分の気持ちを歌ってもらうのってどうなのかな?と思う節も、正直あるんですよ。

――自分の想いをミクの声に代弁してもらうのに、どこか違和感を覚えているのでしょうか?

doriko シンガーソングライターであれば、自分の想いをみずからの歌声に乗せて届けるのは当たり前ですけど、「自分の中にある重い気持ちまでミクに歌ってもらうのはどうなんだろう?」という想いも正直あります。実際には、自分の感情を投影した楽曲も多いんですけど、なるべく初音ミクには、そうじゃない曲を歌ってもらおうとも心がけながら楽曲を作っています。それが、「ロミオとシンデレラ」のような恋する少女のお話だったりします。物語として楽しんでもらえる楽曲のほうが、じつは初音ミクに歌ってもらう面では良いのかなとも僕は思っています。

――聴いてる側としては、ミクの歌声を通してdorikoさんの優しい心模様が見えてくるからこそ、強く惹かれてしまいます。

doriko そう言ってくれる方が多いのも、僕としてはうれしいことです。

――『doriko BEST 2008-2016』の収録曲はどのように決めたのですか?

doriko Disc.1は、これまで動画サイトにアップしていた楽曲ばかりを集めました。初回限定盤の特典DVDには、その映像もすべて収録しています。Disc.2へはCDでしか聴けない曲たちの中でも、とくに自分の色の出た歌たちを集約しています。もちろん過去の曲たちも収録していますが、軸に据えているのは『Nostalgia』『origin』『finale』と出した3枚のコンセプトミニアルバムへ収録した歌たちになっています。ただし、Disc.2に収録した「笹舟」は、花たんという歌い手の方に提供した和テイストの楽曲。それを、今回は初音ミクの声で収録しています。もともと歌い手の方を意識して作った楽曲なので、最初から初音ミクを使う前提で作った曲たちとは異なる力強さを、この歌には感じてもらえると思います。

――歌い手の方を意識して曲を作ると、雰囲気も変わるものなのでしょうか?

doriko だいぶ変わります。作っている根本からして違いますから。

――9年間という歩みの中、機材の進化と共にサウンド面での変化も楽曲には見られますが、dorikoさんの伝えたい芯となる想いの部分は変わってない印象も受けました。

doriko そこは変わってはいないです。この作品を聴いてそう感じていただけたのであれば、良い選曲ができたということでしょう。ここには僕の9年間の想いが詰め込まれています。ただし、9年間という数字だけを捉えると長い気がするんですけど、僕自身は、「あっ、そんなにも経ってたんだ」というような、気がついたらという感覚なんです。それこそ1曲出すごとにいろんな反響が返ってくれば、それに対して、「じゃあ、次はこうしてやろう」ということを繰り返しながら、ただただ目の前のことへ全力で没頭し続けた結果として、今がある。そういう感覚なんですよ。

――きっと、その衝動へ突き動かされ続けながら、これからも楽曲を作り続けていくんでしょうね。来年は活動10周年ですからね。

doriko きっと誰もが10周年のほうがベスト盤としての区切りも良かったと思うんでしょうけど、そこにも理由があって。と言うのも、今年5月に三部作の最後を飾るミニアルバムの『finale』を出したことで、今のボカロPとしての楽曲の作り方に一区切りがついた気持ちが僕の中にありました。そのうえで、僕自身のボカロPとしての9年間の歩みを集大成したベスト盤を初音ミクの誕生日である8月31日に出すことで、次へ向かっていくうえでのより良いひと区切り感が出るなと思い、そうしました。ただし、ひと区切りと言ってもボカロPを辞めるわけではないですし、今後もボーカロイドを使った楽曲は作っていくつもりです。ただ、その表現の仕方が変わっていくのかな?としか、今はまだ言えないんですけど……。それに、「letter song」という10年後のわたしをテーマにした楽曲も中に収録していて、この歌を支持してくれる声も大きいので、そこに対してのこともいろいろと考えています。

――Disc.2の最後に収録した「ロミオとジュリエット」のヴォーカルバージョン。歌っているのが小林幸子さんなのもうれしい驚きでした。

doriko 小林幸子さんに対してちょっと失礼な言い方になってしまいますが、恋する少女の気持ちを小林幸子さんが自分らしい歌い方を用いて歌うことに面白さを感じて欲しいと思っています。小林幸子さん自身大人な味わいを出しながらも、可愛い感じも見せながら歌ってくださいました。MVでは、小林幸子さんと一緒に、元柔道家の銀メダリストだった篠原信一さんも共演してくださったように、こちらは見てくれた人たちが笑って楽しんでもらえたらということで作りあげています。今回のベスト盤で9年間と表現していた意味は、ここに繋がってくると言いますか。最初の一年間でやっていた、歌を通して楽しんでもらえるエンターテイメントとしての要素。それを今回、僕の代表曲でもある「ロミオとシンデレラ」を小林幸子さんに歌ってもらい形にすることで、僕のボカロPとしての9年間の歩みをすべて集約出来たなと思っています。今回、自分で曲解説のライナーノーツも書いていますので、ぜひ、そちらも読んでください。普段ならあまり口にしない想いも、そこには書き記していますので。ぜひ、僕の9年間の歩みを『doriko BEST 2008-2016』を通して感じ取ってください。

Interview&Text By 長澤智典


●リリース情報
doriko feat.初音ミク
BEST Album「doriko BEST 2008-2016」
8月31日発売

【初回限定盤(2CD+DVD+ライナーノーツ付き)】
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品番:JBCZ-9031~9032
価格:¥3,611+税

【通常盤(2CD)】
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品番:JBCZ-9033~9034
価格:¥2,593+税

<CD>
Disc1
01.私とジュリエット
02.last will
03.過ぎし3月の君へ
04.雪がとける前に
05.あなたの願いをうたうもの
06.コペルニクス
07.文学者の恋文
08.bouquet
09.キャットフード
10.ロミオとシンデレラ
11.Winter Alice
12.モノクロアクト
13.letter song
14.夕日坂
15.歌に形はないけれど~last mix~
Disc2
01.1+1
02. Myself≒Yourself
03.茜コントラスト
04.水彩画
05.飴か夢
06.海の見える坂道
07.紙飛行機
08.Electric Sheep
09.笹舟
10.六月病
11.カクザトウ
12.桜の社
13.Alive~rearranged~
14.Birthday
[bonus track]
15.ロミオとシンデレラ 歌:小林幸子

<DVD>
[Music Video]
01.私とジュリエット
02.last will
03.過ぎし3月の君へ
04.雪がとける前に
05.あなたの願いをうたうもの
06.コペルニクス
07.文学者の恋文
08.bouquet
09.キャットフード
10.ロミオとシンデレラ
11.Winter Alice
12.モノクロアクト
13.letter song
14.夕日坂
15.歌に形はないけれど~last mix~

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