INTERVIEW
2015.11.28
1st single「Stella-rium」でメジャー・デビューを果たし、今回TVアニメ『ヘヴィーオブジェクト』のEDテーマとして、11月18日に2nd single「ディアブレイブ」をリリースしたアーティスト・鹿乃。幻想的で透明感のある聴き心地でありながら、戦う意志を秘めた力強さを感じさせるボーカルに仕上がった本作はいかにして生まれたのか、うかがってきた。
すこっぷさんとは今回メジャーでお仕事するのは初めてだったので
お互い違った緊張感がありました
――前回の「Stella-rium」に引き続きアニメのタイアップ、今回は”戦争もの”ということでアーティスト盤のジャケットイラストの角の女の子からしてボロボロですね（笑）。
鹿乃 そうですね（笑）。水玉子さんがこのイラストを上げてくれてびっくりしました。
――『ヘヴィーオブジェクト』の印象はどんなものでしたか？
鹿乃 『とある魔術の禁書目録』シリーズを書いている作者さんの原作だ！っていうのが最初でした。「戦争がテーマの作品を歌わせていただくのでどんなものなんだろう？」「EDだからバラードな曲なのかな？」と思っていましたが、思ったよりもアップテンポな感じで。完成したときに「これOPテーマっぽいね」って一緒に作ったすこっぷさんと話してました(笑)。
――作曲されたすこっぷさんとはよくコミュニケーションを取りながらの制作だったんですか？
鹿乃 そうですね。同人でご一緒させていただくことはよくあったんですが、今回メジャーでお仕事するのは初めてだったので、お互い違った緊張感がありました。かしこまった場で改めて会うと、どう接したらいいかわからなくなって、「本日はよろしくお願いします」みたいな（笑）。制作は作品を読ませていただいてから、ふたり同時にどんなイメージを持ったかを言い合って、それから制作に入ったという感じです。
――では鹿乃さんの印象も楽曲に込められているんですね。
鹿乃 そうですね。あとは歌詞を一緒に作るという段階では響きを大事にしました。歌詞の意味は変わらないけど、歌っているときにキレイに聴こえるように歌詞を調整したり、そんな風にお互いに意見を出しながらの制作でした。
――そしてできたのがこの曲ということで、イメージ通りの印象でしたか？
鹿乃 生音をたくさん入れていただいて、思ったより厚みのあるアレンジになっていました。特にストリングスが4・4・3・2編成(第一ヴァイオリン4人、第二ヴァイオリン4人、ヴィオラ3人、チェロ2人)と大人数で録っていただいて。
――確かにストリングスは印象的でしたね。
鹿乃 ベースもギターも以前から「もしお願いできるならお願いしたい！」と思っていたミュージシャンの方々にお願いすることができて、とにかくオケが豪華になっています。
――歌詞もストレートな少女の悩みが出つつ、いろいろと解釈の幅がありそうな内容になっていますね。
鹿乃 基本的にはすこっぷさんにほとんどお任せしていて、響きの部分だけは私がすごくうるさいくらい言ったかもです。オケがとにかくキレイなので、濁った感じの響きの言葉を避けたいと思って。
――なるほど。イメージが固まっているならレコーディングはそこまで苦戦しなかったのでは？
鹿乃 レコーディングにはすこっぷさんにも来ていただいたんですが、彼はすごく緊張体質な方なのでどちらかというとすこっぷさんが苦戦してました（笑）。手が震えてたみたいでモニターの音を返すボタンをうまく押すことが出来なくて、ディレクションがモールス信号みたいに聴こえてきたりして。なのでいい意味で緊張感はありつつ、和やかな瞬間もあるという感じでした。
――自分よりも緊張している人がいたら、気が楽になりますよね(笑)。
鹿乃 自分がしっかりしなくちゃって思うんですよね。でも歌っている途中で歌い方を変えることが難しかったので頭に戻って歌い直したりと、けっこう時間はかかったかもしれません。
――テイクを重ねて、良いテイクを選択する感じではないんですね。
鹿乃 気に入った歌い方が見つかるまで何度も繰り返して歌ったという感じです。最終的にキレイな感じと力強い感じのちょうど中間を狙って、あまり声を張り上げてしまうとキーンとなってしまうし、逆も良くないんですよね。ここの調整にはかなり時間がかかりました。
――その甲斐あってか透明感と力強さを併せ持った歌になったと思います。アニメをご覧になっていかがでしたか？
鹿乃 第１話で、戦争や軍隊の説明をしっかりして世界観をきっちり作って行くんだなと思っていたら、ちょっとエッチな展開があって思わず二度見してしまいました(笑)。あとトナカイを狩りにいくシーンがあって個人的にはショッキングでした。ファンから私に合わせてるんじゃないかって言われたりしてましたが全くの偶然です！あとは姫様のミリンダちゃんが超かわいい！ヤキモチを焼いちゃう感じも最近見られるので、萌えを感じながら毎週楽しみに観ています。
――EDテーマのアニメでは日常感あふれるイラストが使われていますね。
鹿乃 ミリンダがピックアップされていますよね。最初に出てくるベイビーマグナムのストラップがすごく欲しいので商品化してほしい！後半に行くに連れてお話が加速していってるので、どちらかというと普通にお話を楽しんじゃってます。
――そしてカップリングの２曲ですが、こちらもすこっぷさんと相談しながら作られましたか？
鹿乃 「ディジーシンドローム」に関しては「かっこいい曲でお願い」しか言ってなかったりという感じです。
――丸投げですね(笑)。
鹿乃 本人からも「え？それだけ？」って(笑)。「ディジーシンドローム」はかっこいい曲なので、私らしい楽曲として3曲目の「Toy-toi」を作ったというところです。
――なるほど！「ディジーシンドローム」はさすがオーダー通りきちんとかっこいい曲に仕上がってますね。
鹿乃 「こんな曲作れるんだね！」って最初に驚いちゃったくらいで(笑)。想像以上にかっこいい曲でうれしかったです！
――印象的なイントロだったりと派手な印象ですが、歌い方で工夫されたところは？
鹿乃 ミックスにこだわりがあって派手な曲になっているので、ボーカルが負けないように意識しました。ボーカルのミックスではエンジニアさんも私の意見を取り入れてくれまして、「こんな雰囲気を出したい」ということに答えてくれました。2番ではラジオボイス的な声になっていたり、いい意味で遊び心が満載な楽曲です。
――なるほど！そして3曲目「Toy-toi」は鹿乃さんらしさのあるキュートな楽曲で他の楽曲と比べて歌いやすかったのでは？
鹿乃 そうですね。ボイトレの先生から「踊りながら歌うといいよ」っていうアドバイスをもらっていて、収録当日は音のならない服を着て服をひらひらさせながら歌いました。レコーディングしてくださるエンジニアさんに「ノイズ入ってないですか？」って何度も聞きながら（笑）。楽しく歌わせていただきました。
――ボーカルの楽しげなリズム感はそういうところから来てるんですね。そして今回MVが3曲ともついて、「ディアブレイブ」に関しては2バージョンあるということで力が入ってますね。
鹿乃 YouTubeに上がっているバージョンはヒロインのミリンダちゃんをイメージした女の子の物語です。お祈りをするのが職業の女の子が自分の本当の願いを探して見つけたときに動けるかっていうストーリー仕立てのMVになっています。アナザーバージョンもストーリーのあるMVで、「正しい」と思ってやっていることが本当に正しいのかな？って悩むお掃除屋さんのお話です。
――それぞれ、アニメのEDも含めて同じ曲に違う映像が付いていると、曲の解釈や印象も違いがでてきて面白いですね。そして「ディジーシンドローム」はかなりとげとげしいイメージになっています。
鹿乃 毒が満点な感じで、きっとストレスがたまっているんだなって（笑）。こうして見ると、3曲とも全体的に悩んでいる主人公の歌詞になってるんですよね。
――確かに！前の2曲は分かりやすいですが、「Toy-toi」はガーリィな印象なのによく見ると歌詞が……。
鹿乃 かわいいふりして実はけっこうトゲのある内容で、「誰も近づいてこないで」って内容になってます（笑）。どのMVも前々からお願いしたかった方々にイラストや動画をお願いできて、とてもうれしかったです。かなり豪華な面子なので自分個人だとお願いしづらかったんですが、念願叶いました。
――いいですね（笑）。リリースイベントがいくつかあってお渡し会などを予定していますが、どんなものになるんでしょうか？
鹿乃 前回と同じく色紙などプレゼントをご用意しているんですが、すごいんですよ、色紙が前回と絵柄が違っていまして、私が何気なくtwitterに上げた落書きがデザインに組み込まれていたんです（笑）。
――勝手にですか（笑）。
鹿乃 そうなんです！ビックリしました。デザイナーさんが機転を利かせてくれたみたいで、いただいたとき「あれ？この絵見覚えあるな」って。こんなことならもっとおしゃれに描けばよかったです（笑）。
――ファンは是非お渡し会の会場で手にとってほしいですね。ありがとうございました！
Interview＆Text By 大用尚宏（クリエンタ）
●リリース情報
TVアニメ『へヴィーオブジェクト』EDテーマ
ディアブレイブ
発売中
【アーティスト盤（CD+DVD）】
品番：1000582740
価格：￥1,500+税
【アニメ盤（CD）】
品番：1000582741
価格：￥1,000＋税
＜CD＞
1.ディアブレイブ（TVアニメ『へヴィーオブジェクト』EDテーマ）
作詞・作曲・編曲 すこっぷ
2.ディジーシンドローム
作詞・作曲・編曲 すこっぷ
3.Toy-toi
作詞・作曲・編曲 すこっぷ
4.ディアブレイブ-instrumental-
＜DVD>
1.ディアブレイブ Music Video
2.ディアブレイブ Music Video（another ver.）
3.ディジーシンドローム Music Video
4.Toy-toi Music
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