Tom-H@ck新プロジェクト“MYTH & ROID”、TVアニメ『オーバーロード』主題歌のデビュー・シングル「L.L.L」リリース記念インタビュー!

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『けいおん!』や『ダイヤのA』の主題歌を手がけたことで知られるTom-H@ckが、新プロジェクト“MYTH & ROID”を始動! このユニットでボーカルを務めるMayuこそ、CHEMISTRY、ゴスペラーズ、西野カナら数々の有名アーティストを発掘した音楽プロデューサーの西岡明芳が見出した稀代の新人アーティストだ。Tom-H@ckをして「10年にひとり」と言わしめる彼女は、デビュー曲である『オーバーロード』主題歌「L.L.L」をどのように表現したのだろうか。そしてまだまだ謎に包まれたMYTH & ROIDについて、ユニットとしての方向性やスタイルについて話を聞いた。

今までのアニソンでやったことがないようなハイレベルなもの目指している(Tom-H@ck)

――MYTH & ROIDというユニットを始動させるにあたって、まずはどんな思いでしたか?

Mayu 私は元からアニメが好きで、『けいおん!』を観ていたときも音楽がすごく斬新だなと思っていました。そんな音楽を作られたTom-H@ckさんと一緒にお仕事ができると聞いたときには、自分のルーツや引き出しとはまた別の角度からの音楽ができると思い、すごくうれしかったです。

――Mayuさんは音楽的なバックグラウンドを幅広くお持ちだそうですね。

Mayu BGMとして常に洋楽がかかっている環境でした。家族が聴く音楽も’80年代のロックとかディスコ・ミュージックなどで、私が小学生の頃に好きだったのがブリトニー・スピアーズやアヴリル・ラヴィーン、ビヨンセです。彼女たちの歌の歌詞を、英詞と和訳と両手に持って歌えるようになるまでずっと巻き戻して練習していましたね。

――Tom-H@ckさんは、Mayuさんの歌を最初に聴いたとき、ユニットとしてどんな方向性を考えましたか?

Tom-H@ck 実は正直、プロデュースが難しいなと思ったんです。彼女は魅力的で高級な歌声を持っているんですが、その魅力を一般的な人気を得るためにどうアプローチしたらいいのか、すごく悩みました。

――高級さというのはどんな部分でしょうか?

Tom-H@ck 彼女は日本人のボーカリストのなかでも英語がとても似合う声質を持っていたり、それに合った歌いまわしができて、バラードを歌ったときに映えるような上品さがあります。良い意味で、少しはみ出たアーティスト性を持った声なんです。それをどうしようかと考えあぐねていたときに『オーバーロード』の主題歌のお話をいただいて、この作品からイメージされる攻撃的なサウンドとか狂気的な歌詞に落とし込むのが彼女に合うのではないかと思ったんです。

――『オーバーロード』の主題歌という、ひとつの着地点を設けたことで、ユニットとしての第一歩が踏み出せたんですね。

Tom-H@ck そういうことです。僕はこのユニットで、今までのアニソンでやったことがないようなハイレベルなものを創っていきたいと思っています。またそれらを皆様に楽しんでいただき、つねにオリジナリティある表現方法で新しいアニソンという領域を創り、牽引していくのが夢です。それはビジュアル面もそうですし、楽曲の幅広さといった意味においてもです。ただ、そこで“大衆性”というものを忘れてはならないとも思っています。

――“大衆性”というのはどんなところに?

Tom-H@ck サウンド面でいうと、表題曲の「L.L.L」のメロディは複雑に聴こえるけど、実はペンタトニック(※1オクターブを5音で構成する音階。日本の民謡や演歌、スコットランド民謡などで使われる“ヨナ抜き音階”などが代表例)だったりするんです。名曲と言われる類いの楽曲にペンタトニックでできているものが多かったり、こうしたメロディはすごく耳を惹きつけるんですね。それと若い層の耳に馴染みがある、過剰な刺激のあるサウンド、たとえば高域に特徴があるギターや声を歪ませたりするようなアプローチ、効果的なブレイク、ドキドキさせる声の質感など数えたら切りがないくらいいろいろな要素を取り入れています。

――Mayuさんの高級な声を歪ませるのに躊躇はありませんでしたか?

Tom-H@ck それはまったくありませんでした。そうした音作りは手段のひとつとして考えています。MYTH & ROIDは長い期間を見据えたユニットとして考えているので、高級さは今回のA面曲ではないところで別に表現していければと思っています。

――なるほど。では、表題曲の「L.L.L」についてお話を聞かせてください。まず、このタイトルの意味は何でしょうか?

Mayu 「L.L.L」は、Leashed Luminans Loveの頭文字で「鎖に繋がれた・輝かしい・愛」という意味です。『オーバーロード』の作品に登場するアルベドというキャラクターの性格や心情を反映した内容です。彼女は主人公である魔王アインズに忠誠を誓っていて、その狂信的な愛情が表現されています。そうした愛を歌うという経験は私の中にはなかったので、噛み砕いて自分に落としこむような感覚で、私がアルベドになる、といった感覚でした。

Tom-H@ck 歌詞は僕の幼なじみのhotaruに書いてもらっています。MYTH & ROIDというクリエイティブユニットは、僕とMayuのふたりが前面に立っていますが、それ以外にも優秀なスタッフたちを含んだクリエイター集団の名称なんです。そのひとりがhotaruで、今回「L.L.L」とカップリングの両方で歌詞を書いてもらっています。

――歌ってみた印象はいかがでしたか?

Mayu ひと言でいうと難しい楽曲でしたが、やりがいもありました。歌声や歌い方やニュアンスの付け方を考えて、プリプロダクションでもTomさんたちと意見を出しあって相当いろんなパターンを重ねていきました。

Tom-H@ck 僕としてもこれまでにないほどプリプロダクションの段階で突き詰めました。ファーストテイクからOKまででは相当変わっています。というのも、彼女はこれがデビュー曲になるので、プリプロの段階で完成度を相当高めておく必要がありました。この曲には英語詞の部分があるのですが、歌ってみてハマりが良いほうに合わせるため、ネイティブに強い英語監修のNadiaさんも交え、hotaru含め4人で話し合いながら、その場で変更するといったことも行ないました。

Mayu 英語についてはそれほど問題はなかったんですけど、日本語の歌い回しが特徴的でして、たとえばBメロに「永遠(とわ)になりたい」という歌詞があるのですが、そこは「とわなたい」ぐらいの感じで歌うんです。

Tom-H@ck 「とわになりたい」はその直後の「Don’t wanna cry」と対になるように書かれているんです。そういった箇所がいくつかあるので、その意味において英語詞の部分より日本語の方が難しかったかもしれませんね。そうしたプリプロの作り込みのおかげで、本番のレコーディングについては収録する分量は多かったのですが、迷ったりすることはなくスムーズに進めることができました。

――カップリングの「The first ending」はどんな楽曲でしょうか?

Mayu 「草原に風がサッと吹いている」バラードといった印象です。自分としてはカントリーとかハワイアンのような軽くて音数の少ないものを歌っているときがいちばん素の声に近いという感覚なのですが、それに近かったですね。歌詞の内容もすごく共感できるもので、自分の感情にスッと落とし込めました。私は歌によって歌い方が変わるのですが、「L.L.L」に続けてこの曲を聴くとそれが特に顕著に現れると思います。

Tom-H@ck 彼女は10年にひとりぐらいのスゴイ才能を持っていると本当に思っていて、激しい音楽でも静かな音楽でもミディアムな音楽を歌っても、どんなシチュエーションでもそれぞれ魅力的な歌声を持っています。この曲でいうとBメロのファルセットなんて普通の人に出せないニュアンスを持っていて、そうしたカリスマ性をこの曲で出せたらなと思って。MYTH & ROIDは激しい音楽だけではなく、いろんなタイプの音楽で一段・二段上を表現していくというのをこの曲で提示したかったんです。音楽的にもパワーがあるし、彼女の振り幅の広さも感じられるし、純粋に良い曲だねと思ってもらえるような楽曲になっていると思います。

――去る7月20日にはMYTH & ROIDとして初のステージに立たれましたが、どんな経験でしたか?

Mayu 皆さんに直接、私が実際に歌っているところを聴いていただける機会が自分としてはすごくうれしかったです。会場もお客さんの表情がひとりひとり見える空間で、皆さんが楽しんで聴いてくれていたり、『オーバーロード』も見てくれているんだろうなと肌で感じることができたので、とてもいい経験で楽しかったです。

Tom-H@ck このプロジェクトではライブを重視していきたいと思っているんです。この初ライブではいい意味でも悪い意味でも見えた部分が多々ありました。MYTH & ROIDのアーティスト像には演出も必要ですし、見せ方ひとつとってもすごくこだわる必要があるなと感じたので、もっと多くのライブを経験して、楽曲や世界観をもっと作りこんでいこうと思いました。僕自身もステージに立つのでふたりのやり方とかパフォーマンスの仕方も含め、とても勉強になりました。

――デビュー盤を作り終えた感想はいかがですか?

Mayu ちょっとひと安心という感じですが、もう次のいろんなことを考えています。どういう歌声でみなさんにMYTH & ROIDを見てもらおうかと考えると今からワクワクしています。Tomさんもおっしゃっているように一段、二段上を目指していくわけですから、そこに向けて精進するよう日々努力だと思って自分を鼓舞している感じですね。どんな曲が来ても常に良いパフォーマンスで応えられる準備を整えたいなと思いながら過ごしています。

Tom-H@ck 僕としては、奇抜でアニソンらしからぬ手法や魅せ方を使って、人を惹きつけたいなというのがひとつ夢でもあったので、それが形になったのかなと思っています。単純に作り終えて良かったね、というのではなく今回の制作を通じて見えた部分もあるので、それをプラスにして次の作品に活かしたいなと。引き続き作品をリリースするごとにもっともっとみんなを驚かせる一面を音楽と映像で表現していきたいなと思っています。

Interview&Text By 日詰明嘉


●リリース情報
TVアニメ『オーバーロード』EDテーマ
発売中
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品番:ZMCZ-10180
価格:¥1,200+税
<CD>
1.L.L.L.(TVアニメ『オーバーロード』EDテーマ)
 作詞・作曲・編曲:MYTH & ROID
2.The first ending
作詞・作曲・編曲:MYTH & ROID
3.L.L.L. (instrumental)
4.The first ending (instrumental)

© 丸山くがね・KADOKAWA刊/オーバーロード製作委員会

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