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INTERVIEW

2015.05.10

リスナーをアゲる構成のために、大事にした軸とは?『J-アニソン神曲祭り』新作2枚連続リリース記念 DJ和スペシャル・インタビュー

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先日リスアニ!レコMEN’sとして京都FANJでもプレイしたDJ和が、3月に2週連続でリリースした『J-アニソン神曲祭り-ハピネス-』『J-アニソン神曲祭り-まとめ-』。発売直後の反応もさることながら、依然ロングヒットを続けている2作について、DJ和へのインタビューを通して、それぞれのコンセプトや工夫に迫る。はたして、今回の2作において彼が持っていた、明確な狙いとは?

――まずは『ハピネス』からお話をお伺いしたいんですが、最初に選曲のポイントをお教えいただければ。

DJ和 今回は『ハピネス』っていうタイトルが決まる前から、“今アツい”1枚にしたくて。今までは“レジェンド”として昔の王道曲を繋いだものだったんですが、今回は逆にできるだけ最新にしたくて、ここ2~3年の曲をミックスして作りました。

――その中でも、この顔ぶれになったのはなぜですか?

DJ和 毎回CDを作るときに、大ヒットした曲や「これが入ったらアツい!」っていう曲をリストアップするんです。今回もまず100曲以上挙げて、その中から流れや前回との違いを考えて絞っていくんです。1枚に収まるギリギリにギュッと詰めたんですが、泣く泣く諦めたものもありますね。

――やはり曲順は悩む部分なんですか?

DJ和 悩みますね。曲を変えると雰囲気がすごく変わっちゃうこともあると思うので。例えば、今回のCDも曲順を真逆から聴いていくと、印象がぜんぜん違うと思いますよ。僕自身、そういう検証はいつも実験的にしているんですけどね。

――そんなこのCD、まず7曲目の「ENERGY」まででロケットスタートを決めた印象がありました。

DJ和 まさしくそんな感じです。今回は「最後はアツくなって終わる方がいい」と感じて、逆に「最後に『革命デュアリズム』を置こう」ということが最初に決まって。そのT.M.Revolutionさん水樹と奈々さんのアツいぶつかり合いに持っていくために、ある意味アニソンの中でも正反対にあるような田村ゆかりさんのかわいらしい声から流れを作りたくて。それに「Funtastic future」自体も人気曲だし、1曲目にふさわしい再生した瞬間の「うぉぉ!」ってなる感じがすごく強い曲なので。そうすると、かわいらしくてキラキラしたブロックを最初に作りたくなる。そして徐々にテンポを上げていって、「ENERGY」まででスタートダッシュを切る、という感じにしました。

――そして、そのあとはキャラソンゾーンが待っています。

DJ和 DJとして、BPMでの繋ぎやすさを優先するとこの曲たちはバラバラなところにいると思うんです。でも聴く方として考えると、イメージが近くてDJと一緒にどんどんアガっていけるほうがいいと思って。だから、キャラソンでひとつブロックを作りたかったんです。

――「メニメニマニマニ」なんて必殺ですもんね。

DJ和 この曲の威力を知ったときに「なんじゃこりゃ!」って思って。そういう飛び道具的な曲って、クラブでも破壊力が抜群で。そこがキャラソンのいいところだと思うんですよ。突飛でそのキャラじゃなきゃ成立しないところが、キャラソンの面白い部分だと思います。

――そしてそのあとはロックな男性ボーカルゾーンですが、後半部分はスポーツアニメの主題歌が並んでいます。

DJ和 そういう繋がりもありますが、曲の並びを少し変えるだけで雰囲気が結構変わったんで、曲が変わるたびにアガっていくためにはこの並びがいちばんだと思って、この並びに決めました。このあたりは曲自体も素晴らしいし、アニメも女性ファンが多いとはいえ男性ももちろん知ってる作品で。だからアニメを前提として、曲自体がみんなを引っ張っていってくれるパートだと思っています。そしてほぼ中間地点の「SPLASH FREE」で1回軽くエンディングを迎え、次からリスタートというイメージで。

――そこからは青空の似合う曲が並ぶ印象があります。

DJ和 「スタッカート・デイズ」から「世界は恋に落ちている」までの並びは、さわやかな感じのようなものをちょっとイメージしました。

――そして「フライト23時」からは四つ打ちの気持ちいい曲揃いで。クラブでそのままかかってもすごく盛り上がるのかな、と。

DJ和 このパートは本当に気持ちよくて好きですね。このあたりは雰囲気やリズム感がある程度一定だったので、グルーヴ感を大切にできるだけ気持ちよくなるように繋いでいました。

――一方、先ほどおっしゃったラストのアツさに向けて「reunion」あたりから助走が始まった感じも。

DJ和 このあたりからクライマックス感を匂わせるというか、自分の中の“アツさゲージ”が徐々に溜まってくるような感じで(笑)。

――途中の「ユメセカイ」が、「ここからいくよ?」という合図のようにも感じられます。

DJ和 そうですね。そもそもミックスCDって、毎回毎回最初から最後まで通して皆さんに聴かれることってないと思うんですよ。通勤通学の途中だったりとか。だから、“ここからここまででひと区切り”みたいに、途中から聴いても楽しめる感じにできればと思ってたんですよね。

――そして終盤は、“アツい階段”とおっしゃったとおり、ここ2~3年のそれぞれのアーティストさんの必殺曲で駆け上がっていきます。

DJ和 本当に大好きな曲ばかりなので、自分の中では何が最後に来ても盛り上がるんですよ。でも、リスナーのカタルシスを大事にすると、その“階段を作る”っていうことは大切だなと思っています。

――まさしく、その階段の頂点にあたるラスト2曲は、「Preserved Roses」「革命デュアリズム」とここ2~3年を語るならド定番の曲です。

DJ和 この2曲は本当に並びに悩みました。ただ、紅白歌合戦でこの順番で歌われていたときのイメージがあったり、「革命デュアリズム」のテンポが「Preserved Roses」の比じゃなかったので、この並びに。直前の「Light My Fire」で叫んでアツくなって、「まだあるのか!」という感じですけどね(笑)。

――全体を振り返らせていただきましたが、今回の『ハピネス』で今までと違う試みをされた部分はありますか?

DJ和 今までのアニソンミックスCDは、僕自身の趣向と買ってくださる方の比率から男性向け曲が割と多かったので、ずっと入れたかった女性向けアニメパートを入れたところでしょうか。だから、女性向けアニメの曲を入れたことによってどう見られるのか?という反応が気がかりではありました。

――では逆に、女性からの見られ方も気になるのでは?

DJ和 そうですね。ただ今って、かわいい女の子ばかり出てくる作品が好きな女性もいるじゃないですか?それに今回も序盤は男性向けアニメの曲から始まるので、女性向けブロックに行くまでに盛り上がれるかな?という点は結構気にしていますね。

――逆に男性にも女性向け作品が大好きな方も多いですし、今までと少し色合いの違う楽曲が入ってくるのはうれしいところだと思います。

DJ和 例えば、GRANRODEOさんとか男でもライブでアガるじゃないですか?そのパワーって、クラブでも変わらないんですよ。今回入れさせていただいたアーティストさんは、皆さん男女ともに盛り上がれるのもすごいなぁって思いますね。

――和さんご自身、『ハピネス』はどんな1枚に仕上がったとお思いですか?

DJ和 ここ数年のアニソン・シーンの盛り上がり方がなんとなく見えるような1枚になっていると思っています。なので、アニメ・アニソン好きにはもちろん、「最近アニメから離れてたな」っていう人には「今こんなにいい曲が生まれてるんだ!」っていうのを知ってもらえると思います。もし観たことのないアニメや知らない曲があっても、このCDをきっかけに「観てみよう」って思ってもらえたらうれしいですね。そしてライブに行って、またこのCDを聴いてもらって――アニメの中で、みんなに楽しんでもらえたらいいなと思っています。

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