INTERVIEW
2015.02.03
ファンならびにVALSHE自身も待望の『名探偵コナン』のエンディング主題歌でもあり、初のバラードシングルとなった「君への嘘」は、これまでのファンタジックなモチーフの作りから一転し、自身のノンフィクションな部分に敢えてスポットを当てた歌になったという。制作について詳しく聞くと、彼女の苦心が表れた楽曲であることが明らかになった。その内容とは――。
――今回の新曲、「君への嘘」はノンフィクションな歌とのことですが、どんな作品なのでしょうか?
VALSHE 制作している途中で実際に自分が置かれている状況をそのまま音楽に落とし込みました。今までは今の自分の感じているものを何か別のものに例えて、ある種抽象的な世界観で見せるという方法でしたので、今感じていることをそのまま音楽に当てはめるという作業をしたのははじめてじゃないかなと思います。
――歌詞を読む限りハードな内容を想像します。内容的に辛くはありませんでしたか?
VALSHE 簡潔に言うと別れの曲で、辛かったです。ただ、今回の別れの曲に関しては自分の思いでもあり、サウンドプロデューサーのminatoの思いでもあり、イラストレーターの白皙の思いでもあります。また、今回はじめてリード曲でminato&dorikoという共作になっているんですけど、そのdorikoの思いでもあり、全員が同じ心境のなかで書いた楽曲という意味では満足いく作品になったと思います。
――制作プロセスとしてはVALSHEさんの書く歌詞ありきの事だったのでしょうか?
VALSHE いえ。いつかリード曲でバラードを出してみたいという話は以前から出ていまして、自分自身のそのときの心境や状況が上手くマッチングした結果なんです。リード曲としてバラードを作るにあたって、アルバム収録やカップリングでのそれとは違う形で作りたくて、いつものminatoによる作曲という形を一度取っ払ってみてもいいんじゃないかという話になり、フラットに選考をしていきました。それで最後に残した2曲がminatoとdorikoの曲だったんです。自分とminatoが出した結論としては、今回はdorikoの曲のほうが良いという話になり、メロディは切なくサウンドは壮大に、というイメージに近づけるためにdorikoの原曲にminatoらしいスパイスを投入しつつできあがったのが「君への嘘」のサウンドです。
――dorikoさんの楽曲の特徴をどのようにご覧になりますか?
VALSHE メロディラインが独特なので、聴いてすぐ分かるんですよ。dorikoの場合はどんな人に提供する場合でも彼自身の個性が色濃く出ていて、コード進行にすごく特徴があったりとか、メロディラインにいわゆるdoriko節のようなものを感じますね。
――レコーディングについてはどのような思いでしたか?
VALSHE いつも自分にとって楽しい時間のレコーディングも、思いが声以外のところに出ることをすごく心配していました。パッケージとして届ける歌声とライブでの歌声は同じではいけないと思っていて、収録の時もライブのようなテンションにならないよう、自分の気持ちを抑えられるように意識して取り組んだレコーディングでした。でも、minatoしかり自分しかり、どうせ作るなら楽しくやろうという思いが端々から感じられて、レコーディングもどうにか無事乗り切れたのかなという感触ですね。時間はそれほどかからなかったのですが、切り替えがすごく必要でした。「いつもどおりにやらないと」という気持ちを持って制作した時間ではあったかもしれないですね。去年の”LIVE THE TRIP 2014″で、自分がこの歌を歌ったとき、dorikoも聴いてくれていたんですけど、終わった後に会いに来てくれて「あんな歌い方をされたらこっちまで……」と辛そうで、そんな彼を見るのも長い付き合いの中ではじめてだったので、この楽曲はみんなにとってある種特別な思い入れがある作品なんだなというのを肌で感じました。
――VALSHEさんのパーソナルな部分の表れた歌詞の内容ですが、リスナーにとっても共感できる部分は多いのではないでしょうか?
VALSHE 別れの曲であるという、自分をさらけ出すような曲を5年目で出したのは、いつも聴いてくださるファンの方は受け止めてくれるんじゃないかという信頼の証でもあって。こういう曲を作ったということは、この後もライブでやるという証でもあるので、それを受け止めたからこそ見える希望というのも一緒に感じ取っていただけたら自分は作った意味があるし、嬉しいなと思います。自分の音楽活動の中でも重要な位置づけの作品になったことは間違いないですし、人生の中で忘れられない重要な作品になっただろうと思います。
――カップリングの「microSOLDIER」はどんな楽曲でしょうか?
VALSHE サウンド的にはいつも通りのVALSHEらしいデジタルロックに仕上がってはいつつも、なかでも高速な刻みが「君への嘘」とはすごく対照的な楽曲になっています。実はこちらも「君への嘘」を制作している時点でのリアルタイムな心境を書いていて、それもすごく対照的だなと。同じ時期に同じ心境で書いていることに注目して聴いていただけるとまた違った発見があるんじゃないかなと思います。別れの曲を書いている時の別の角度で感じていることをこの曲に詰め込んだ感じですね。
――歌詞も力強い言葉が多く、それもこの時のVALSHEさんの心境なんですね。
VALSHE そうですね。その時の状況があってこそなんですけど、「君への嘘」を制作している時、すごく辛くて悲しいと感じている一方で、近くにいる人達に支えられて心が救われることが何度もあって、今まで関わりがなかった人とか興味がなかったできごとに救われたんです。大切なモノをなくすと同時に他の大切なモノが力を発揮するという状況でもあって、なくしたからこそ分かる、「自分は幸せなんだ」という気づきって、すごく皮肉な話じゃないですか。でも、それはきっといいことだと自分の中で思えた。それがライブ前後ということもあり、その存在を強く意識することがなければ、”LIVE THE TRIP”のステージで歌うことはできなかったんじゃないかなと思うくらいの出来事ではありました。「あなた達のお陰で自分はすごく救われているし、それに向かって次を見たい」という思いをライブ色の強い曲で意思表示をしたかったんです。次のライブではきっとこの曲をやるだろうなと思っていただきたいですし、自分もそのステージを楽しみにしています。
――「TRUTH ~A Great Detective of Love~」はTWO-MIXのカバーソングで、数々の『名探偵コナン』の主題歌のなかでこの曲を選ばれた理由は?
VALSHE 単純明快にいうと、大好きだからです(笑)。以前から勝手に、カバーをするならどの曲っていうリストを作っていて、自分自身が『名探偵コナン』のファンということもあって、そのなかには歌いたい曲がいっぱいあるのですが、今回特典物の中で対談という機会を与えていただけたこともあって、ぜひできることなら「TRUTH」を歌いたいと。それにサウンドプロデューサーもTWO-MIXさんのファンで、大好きなアーティストの一人なのでこのタイミングでということになりました。
――リアレンジについてはどのように?
VALSHE minatoとVALSHEの共通見解として、TWO-MIXさんの原曲の特徴的なところ、たとえばオーケストラヒットなどは敢えて入れないでおこうと。とはいえ好きな曲をカバーさせていただくことが多い手前、今回の曲もガラッと変えてしまうことはしたくなくて、原曲で自分たちが良いよね、肝だよねって思う部分はしっかり残して、VALSHEらしさも残してという部分で、今回のアレンジはスゴくいいとこ取りができたサウンドに仕上がっていると思います。
――歌う上でのテクニック的なところで気をつけたポイントは?
VALSHE ずっとキーが高いところでメロディラインが動いている楽曲なので、あまり癖をつけすぎずに声で表現したいなと。歌い方に癖をつけるとか節回しを変えることはせず、普段との抑揚を変えることで「TRUTH」での表現がより活かされたかなと思います。
――今年は活動5周年にあたり、そのなかで本シングル作の位置づけをどのように考えているかお聞かせください。
VALSHE 今年でVALSHE5年目を迎えさせていただくなかでの第1段目のシングルとして、悲しく辛い出来事を反映させた作品作りは辛いプロセスではあったのは確かなのですが、ちゃんと作り上げることができたということは自分にとってすごく糧になっていくだろうと思います。5周年に向けてせっかくこういうリアルタイムな作品を作ったので、皆さんに直接届けに行きたいと思っていますし、ぜひたくさんの方に聴いていただきたいですね。5周年の「5」という数字は、十分な重みのある数字であるとともに、これからまだまだ自分の中でやりたいことを残した状態の数字でもあるので、次に向かってどういう動きをしていけるんだろうと考え、今年はたくさんいろんなものをつくろうと思います。楽しみにしてください。
Interview&Text by 日詰明嘉
●CDリリース情報
VALSHE 9thシングル「君への嘘」
2015年2月4日発売
【初回限定盤 CD+DVD】
価格:¥1,800+税
品番:JBCZ-6015
<特典DVD>・「君への嘘」MUSIC VIDEO・メイキング映像
【封入特典】 直筆メッセージ[プリント]入り差替えジャケットA
【名探偵コナン盤 2CD】
価格:¥1,500+税
品番:JBCZ-6016
<特典CD> VALSHE×江戸川コナン×毛利小五郎 夢のスペシャル対談
【封入特典】 直筆メッセージ[プリント]入り差替えジャケットB
【通常盤 CD】
価格:¥1,200+税
品番:JBCZ-4013
<Bonus Track>
M-3. TRUTH ~A Great Detective of Love~(TWO-MIX cover)
【封入特典】直筆メッセージ[プリント]入り差替えジャケットC
【Musing盤 CD+GOODS】
価格:4,000+税
品番:JBCF-1005
<特典GOODS>
タペストリー ※A3サイズ
【封入特典】 直筆メッセージ[プリント]入り差替えジャケットD
※音楽ポータルサイト”Musing”のみでのお取り扱いとなります。
【初回限定盤/名探偵コナン盤/Musing盤 収録曲】
M-1. 君への嘘
M-2. microSOLDIER
M-3. 君への嘘 -Instrumental-
M-4. microSOLDIER-Instrumental-
【通常盤 収録曲】
M-1. 君への嘘
M-2. microSOLDIER
M-3. TRUTH ~A Great Detective of Love~(TWO-MIX cover)
M-4. 君への嘘 -Instrumental-
M-5. microSOLDIER-Instrumental-
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