『繰繰れ!コックリさん』のEDテーマ「This Merry-Go-Round Song」発売記念!末光篤インタビュー

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“非日常系モフモフコメディ”として話題のTVアニメ『繰繰れ!コックリさん』のEDテーマを担当するのは、『のだめカンタービレ』などにも主題歌を提供してきた末光篤。本作への参加のきっかけや、楽曲制作について末光氏に話を伺った。

 

――今回、『繰繰れ!コックリさん』のEDテーマ「This Merry-Go-Round Song」を担当されたきっかけから聞かせていただけますか?

末光篤 はい、直接的なきっかけは『繰繰れ!コックリさん』のアニメプロデューサーからお話がいただいたことですね。この原作のことはよく存じ上げなかったものですから、お引き受けしてからマンガを拝見したんですが……まず題名をちゃんと読めるようになるとこからのスタートでした(笑)。

――原作にはどんな印象を持たれましたか?

末光 正直、戸惑いましたね(苦笑)。以前、担当させてもらった『のだめカンタービレ』は、僕も音楽大学出身なのでストーリーも描かれている内容も理解しやすかったんですが、『繰繰れ!コックリさん』は登場人物もとてもユニークでファンタジック。ストーリーでぐいぐい引っ張っていくお話でもない。僕にとっては、今まで自分が知らなかった新しいスタイルの作品なんだなと思いました。

――アニメのキャッチコピーには“非日常系モフモフコメディ!!”とありますが、非日常的なキャラクターが織りなす、ほのぼのとした“日常”のお話になっていますね。

末光 そうなんですよね。なので、この世界観のどの部分を曲として切り取ればいいのかは、ちょっと悩みましたね。ただプロデューサーからは、小学生の主人公と物の怪?のキャラクター達とが日常で触れ合うなかで心を通わせながら、次第にお互いが欠かせない存在になっていく……その温かさを描いて欲しいというオーダーがあったので、それを拠りどころに曲にしようと。そこで出てきたのが“Merry-Go-Round”というキーワードだったんです。1日はメリーゴーランドのようにいつも同じように回っているけど、周りの風景は、色が見えたり光が見えたりと少しずつ変わっていく。それがさりげない幸せとなって、日常を彩っていくんだという。

――そんな“日常のさりげない幸せ”は、末光さんにとっても身近なキーワードだったりしますか?

末光 やっぱり、歳を取るとそういうことを見つめるようになってきますね。10代、20代はとにかく刺激が欲しくて退屈が嫌い。でも本当は、退屈に思える普遍的なことこそが大切で、いちばんの幸せはそこにあるんじゃないか? 40歳を過ぎると、そういうことを考えて自分と向き合うようになるんですよ。若い頃は、守りに入っちゃダメだ、人生攻めなきゃ! と思っていましたが、“ささやかな幸せを死守する”ことも大事な戦いだなと今は思います。

――『繰繰れ!コックリさん』が描いているテーマに、末光さんご自身の問題意識もシンクロする部分があったんですね。制作は詞、曲どちらが先でしたか?

末光 いつも曲が先ですね。作曲はピアノでするんですが、まずサビを先に作って、そこから肉付けしていきます。アニメのテーマソングの場合は、オンエアで流れるのが89秒と尺が決まっています。その中で曲の展開をたくさん作りたかったので、転調を効果的に使うことを意識しました。

――サウンドとしては、リズミカルなピアノにのせた美しいコーラスワークも非常に印象的です。

末光 コーラスで曲に広がりを持たせていくのは、僕のひとつのカラーでもあるんです。クラシック風のストリングスも僕らしさだと思います。ただし曲調は作品のテイストに合わせて、ふだんの僕の曲より柔らかい感じにしていますね。

――この曲はアレンジも末光さんご自身が手がけられていますが、よく動くベースラインも躍動感をしっかり支えていますね。

末光 このベースはクラムボンのミトくんです。

――ミトさんとは長く一緒にレコーディングをされていますね。

末光 はい、彼はまるでメロディーのように弾いてくれます。ミトくんはアニメに詳しいので、『繰繰れ!コックリさん』のこともご存じでしたね。

――歌詞のほうでは、どんなことを意識されましたか?

末光 やはり柔らかさ、おだやかさを意識しました。主人公達の心の触れ合いと自分が考えていることをリンクさせながら。

――歌詞の中に「メロディ」「テンポ」「ハミング」といった音楽にまつわる言葉があしらわれているところにも、末光さんのアーティスト性が出ている気がしました。

末光 そうですね。音楽用語は、僕がよく歌詞に使うフレーズなんです。アニメのタイアップの話をいただく時はいつも、自分とアニメがコラボレーションしている感覚で曲作りをします。100%僕のものでも、100%アニメのものでもない。『のだめカンタービレ』のOPになった「Allegro Cantabile」などはまさにそうで、CDではのだめ役の声優・川澄綾子さんに喋ってもらい、ジャケットも原作の二宮知子先生に僕とのだめがピアノを弾いている絵を描いてもらいコラボレーションさせていただきました。「This Merry-Go-Round Song」も考え方は同じです。作品らしさと僕らしさを、うまく融合できればと思いました。

――末光さんが、ふだん作詞をする上でこだわっていることはなんでしょうか?

末光 “血の通った言葉”を大切にすることですね。詞を書かれる方は、いろいろなものからイメージをインスパイアされるかと思いますが、僕は小説や映画などのフィクションをモチーフにすることはまずないんです。それよりも心打たれるのは、生身の人の言葉。偉人や有名人の言葉、身近な人との会話のなかでハッとした言葉から、イメージが湧き出すことが多いですね。「This Merry-Go-Round Song」も原作を拠りどころとしながらも、生身の言葉であることを意識しました。

――おだやかで温かな歌詞、洗練されたメロディとサウンドがとても魅力的な「This Merry-Go-Round Song」ですが、ボーカルで気をつけたことはありましたか?

末光 「Allegro Cantabile」でもそうだったんですが、どうも僕は、曲を作っている最中は歌も自分が歌うんだということを忘れがちで。つい難しい節回しや音の跳躍があるメロディーラインを書いてしまうんですよ。そもそも僕は歌があまり得意ではないので、それで後から苦労することは多いですね(苦笑)。この曲も展開部の「回る 回って 淋しい夜に」あたりのフレーズは音のインターバルが取りにくいし、曲調も変わるので、みなさんがカラオケで歌われる時は苦労されるかも知れない。歌のレッスン用曲として活用していただければ(笑)。

――末光さんご自身、この曲でお気に入りのポイントは?

末光 やはりサビですかね。全体的にはおだやかな歌なんですが、サビは一瞬激情する。あとは「回る 回って」のパート。聴きどころになっていたらいいなと思います。

――ちなみに「This Merry-Go-Round Song」シングル盤にはピアノバージョンも収録されていますね。

末光 はい。ピアノバージョンは、主人公達がかけがえのない人と過ごす楽しい日々を思い出すようなイメージにしたかった。ノスタルジックな響きを出すためにピアノの生音を加工して、ちょっと遠くから聞こえてくるようなサウンドを目指しました。

――改めまして、「This Merry-Go-Round Song」が完成して、感じられたことはなんでしたか?

末光 僕も今まで、主題歌以外にも例えば『BLEACH』のキャラクターソングを作詞・作曲・プロデュースさせていただいたり、アニメにまつわる楽曲はやらせていただいてますが、作品やキャラクターに寄せて曲を書くことには、オリジナル楽曲の制作では味わえない面白さ、楽しさがあるなと実感しています。じつは先日、『繰繰れ!コックリさん』のOPテーマを担当している前山田さんと対談をしたんです。彼は僕とは曲の作り方も、この作品に対するアプローチも全く違うんですが、音楽性の部分では同じアーティストを好きだったり、同じタイプの曲が好きだったりと共鳴する部分がある。スタイルの違うミュージシャンが、同じ作品で共演できるのもアニメならではの面白さ。僕もますます、いろいろなアニメの曲作りに挑戦したくなりました。

Interview & Text By 阿部美香


 ■CDリリース情報
末光篤「This Merry-Go-Round Song」(TVアニメ『繰繰れ!コックリさん』EDテーマ)
発売中

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価格:¥1,200+税
品番:ZMCZ-9716 JAN:4935228145409
発売・販売元:株式会社KADOKAWA メディアファクトリー

<収録内容>
1.「This Merry-Go-Round Song
作詞・作曲・編曲:末光篤
2.「This Merry-Go-Round Song 〜Instrumental〜」
3. 「This Merry-Go-Round Song 〜Piano Version〜」
4.「This Merry-Go-Round Song 〜TV size〜」

(c)遠藤ミドリ/スクウェアエニックス・「繰繰れ!コックリさん」製作委員会

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