VALSHEにとっての“転生”とは? 7thシングル「TRANSFORM / marvelous road」リリース記念 スペシャル・インタビュー

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自らのアイデンティティを込めた2ndアルバム『V.D.』を発表してから初となる7thシングル「TRANSFORM / marvelous road」はVALSHEの活動の「第二幕」であるという。その意気込みは一見してわかるジャケットデザインから、歌詞・楽曲への取り組みまでさまざまだ。この真意についてVALSHE本人に楽曲解説とともに話を聞いた。

 

――ニュー・シングルの「TRANSFORM / marvelous road」ではこれまでとは違った印象のジャケットになりましたね。

VALSHE 今回は歌詞の方からビジュアルコンセプトを作っています。方法は毎回違うのですが、このシングルは前作の『V.D.』を踏まえて自分のなかで生まれた感情を先行させて、そこからイメージコンセプトを作っているところがこれまでと決定的に違うところですね。『V.D.』や『Butterfly Core』は、「こういうものを絶対に作るんだ」という明確な目的を持って作っていたのですが、今回は『V.D.』を出したあと、自分がどういう心情で何を作りたいか、そこに行き着いてみないとわからない部分だったので。その意味で自分の最新版を表現したシングルになっていると思います。

――2ndアルバムの『V.D.』で自分らしさを全面に出した作品を作ったからこそ、でしょうか。

VALSHE そうですね。出したからこそ感じることもありましたし、遡るとライブ(ファンクラブ限定LIVE)を経たから感じた気持ちでもあり、そういうところがいちばん色濃く反映されていると思います。イラストジャケットから実写になってこれからどう転じるのか、第二幕として本当にふさわしいものができたのではないかと思います。

――第二幕。ここからまた新しい一歩を踏み出されるわけですね。

VALSHE 「TRANSFORM」というのは転生という意味で、今回の一番の題目として掲げています。そこから次はどう動くのかという指標になる作品ですね。

――『V.D.』でVALSHEさんのアイデンティティを表現して次に転成のシングルになるというのは年譜としてすごくきれいな感じがしますね。

VALSHE 時系列に並べるとこのコンセプトは予定調和に見えるかもしれませんね(笑)。でも、あまり考えずに作った結果がこうだったので、自分ではすごくナチュラルな感じで制作したなと思います。

――歌詞作りや曲作りも気負わずに?

VALSHE いえ、そこは逆にいちばん気負ったかもしれません。今回、転生のほかに“気付き”というコンセプトもあります。ライブをやって『V.D.』を出したことで、本当の意味で“気づいた”んですね。制作チームで作り上げてきても最終的にステージに立つのは自分だけなわけで、各々の役割とか自分しか担えない物事がより明確になったというか。それは実写になったことでより見えやすくなったと思うんです。自分自身でちゃんと発信していいんだと思ったのが『V.D.』を出してからだったので。そんな気持ちが今回、すごくよく表れていると思います。なので、手応えとしてはすごく満足しています。

 

VALSHE「第二幕」への転生となる楽曲

 

――では具体的に各曲の解説をお願いします。今回、両A面ということですが、トラック順に「TRANSFORM」から。

VALSHE 『V.D.』のあとのシングルというところで、新しさを聴いた人にもっと分かりやすく提示してみてもいいよねというのがminatoと互いに共通の見解を持っていたので、そこはおまかせでした。メロディがすごくすんなりと体に入ってきましたね。音作りでも初めてのことはいろいろ採り入れています。今回、表題曲としては初めて生のストリングスを使いました。6人の奏者さんに入っていただいて、生演奏で収録をしています。デジタルを基調にしているところは以前と違いはないのですが、そこに中山真斗さんが初めてアレンジを担当をしてくれたことで、今までとかなり違う流れが作られていると思います。

――中山さんのアレンジメントの印象はいかがでしたか?

VALSHE 今まで自分もたくさん聴かせてもらっていて、一緒に作ってみたいとサウンドプロデューサーと話をしていたんです。そして予想以上のものを持ってきてくれたと思います。なのに、出来上がりを聴いたときに良い意味で初めて感がないというか。押さえたいポイントが聴いていて気持ちよく、音作りへのこだわりもすごくマッチしていて、これからも一緒にやりたいなと思う人に巡り会えてすごくうれしいです。

――この曲では歌詞のなかでも強い愛情を歌っていますが、ここまでの表現はこれまでなかったように思えます。その意図は何でしょうか?

VALSHE 自分の作詞するはじめてのラブソングなんです。その意味でもすごく新しいと思います。これまではminatoが書いた、ある意味ではラブソングと解釈できるものはありましたし、自分の書いた歌詞のなかでそう読めるものもあったんですけど、自分としてはラブソングとして書いたことはなかったんです。こんなふうに明確にそうであるものは初めてなんです。「TRANSFORM」に関してはファンの方に向けて書いている歌詞です。自分がファンの人に対して抱いている感情が周りの人から言い聞かされる恋愛感情に似ているって思うところがあって、それを正直に歌詞に書いた感じです。心情の変化がいちばん根底にあるんですけど、もっとちゃんと向き合ってみたいと思ったというか。

――VALSHEさんの中にそういう強い感情が生まれたのはなぜでしょうか?

VALSHE ライブがあったからというわけではないんですが、自分がこの形で活動をしている理由ってそこしかないと思っているので、それを表立ってあまりちゃんと言えなかったなと。ファンの方が新しい作品を楽しみに待っていてくれることは分かっていても、「時間があれば聴いてみてください」みたいな無難な言葉でしか表現できなかった部分があったと思うんです。それって、考えようによっては応援してくれる人に申し訳ないなと思って心のどこかで引っかかっていたんです。だから、そういうファンの方にだけに向けるとしたらきっと違う言葉を選ぶだろうなと思って、今回その人たちだけに言いたい言葉を選んで、言い切りの言葉で表現してもいいんじゃないかっていう気持ちがグッと詰まっているのが「TRANSFORM」だと思います。その意味ですごく本心なので、ある種これまでのようにモチーフに当てはめるように物語を作り上げるより、もっと赤裸々でダイレクトなので、書いているときに恥ずかしいなと思うような部分はありましたけど、出来上がって読んでみるとすごく気持ちよかったですね。

――歌ってみての手応えはいかがでしたか?

VALSHE メロディがすごく難解に動くので、そこに自分の歌詞に込めている思いを乗せるのがこれまで以上にパワーのいることではあったんですけど、それを乗りこなせたときに乗れたという手応えがすごくあって、気持ちよかったです。それが新しいアレンジのストリングスと噛み合ったときにより気持ちが良いものでその意味での達成感が強くありましたね。

 

王道の応援歌と、新たに見せるコミカルさ

 

――2曲目の「marvelous road」はVALSHEさんが密接に関わられているメディアミックス・プロジェクトの『WRITERZ』のテーマソングですが、まだまだ作品世界観が広がっていくなかで、どのようにこの曲に落としこんでいきましたか?

VALSHE 『WRITERZ』は大ざっぱに言うとヒロインに対してメンバーが勇気づけて引っ張り上げるというコンセプトがあるゲームなので、歌詞の内容も大きく分類すると応援歌ですね。歌詞だけを読んでいるとそういうふうにはちょっと取りにくい部分もあるかもしれないんですけど、「キミが自分で選んだその道がすばらしい道なんだ。間違いを恐れずに進んで」そういう意味では前向きな応援歌になっています。ゲームや書籍と合わせて世界観を楽しんでもらうのもいいですし、多くの人が必ず経験しているような状況だったり心情だったりするとも思うので、人生観を当てはめて聴いてくださるのもいいかと思います。この曲だけではないのですが、こういう応援歌に分類される自分の楽曲って、「がんばってね、なんとかなるよ」というよりは「何やっているんだ、しっかり前見ろ!」って強い気持ちで叱咤するような気持ちが投影されているなと感じます。

――楽曲を聴いて歌に向かうにあたって想いはどのように持っていましたか?

VALSHE 個人的にかなりお気に入りな楽曲で、VALSHE王道のデジタル楽曲だと思います。「TRANSFORM」で新しいことをいろいろ取り入れ、歌うときも難解なメロディに乗せることが自分の挑戦だったぶん、「marvelous road」に関しては楽曲面も詞も世界観もVALSHEらしいかなと。「jester」と近い部分があるかと思いますが、「marvelous road」の方がよりスリリングなサウンドでエッジが効いた感じに仕上がっているとは思います。レコーディングも今ある自分をフルに活かしているような形だったので楽しかったですね。

――もう1曲の「Chewing girl」は最初から驚かさられる展開の楽曲でした。

VALSHE これもすごく新しい試みでした。自分が作詞作曲の両方を手がけたものって、シリアスなものだったりダークなものが多かったので、もうちょっと違った感じの明るいものを書きたいなと漠然と考えていたんです。これまであまり自分の日常生活に近いところを曲にしたことはなかったので、今回は身近な人物との実体験をもとに書いてみました。テーマとしては感情論の人と理論の人の平行線の戦いを書いていて、人によっては男女の会話のように読むこともできますし、共感できる部分が多いんじゃないかなと思います。この曲は部分的に詞先にしている点が最も新しい取り組みですね。サウンド的にもシャウトを入れてみたりと、制作の段階でもコミカルな部分がより際立つように作っているので、それぞれの立場で聴いていただくと面白いかなと思うので、反応も楽しみです。

――歌入れはいかがでしたか?

VALSHE 自分の作詞作曲という点でいつも以上にこういうふうに歌いたいっていうところを自由に歌った感じですね。言葉のニュアンスをよりうざったく聴こえるようにこだわったりとか(笑)。楽曲の合間とラストに入っている悲鳴は何度も何度も録りました。このときの状況をスタジオで思い出して「ああああ~!!!」と声を上げたところがいちばんのこだわりかも(笑)。楽しんでレコーディングしていくことができました。

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