【連載】畑 亜貴「回想という名のアニソントマソン」<br>第3回目ゲスト:茅原実里

【連載】畑 亜貴「回想という名のアニソントマソン」
第3回目ゲスト:茅原実里

2020.03.02
連載

リスアニ!本誌連載「骸になるまで声を出せ」でお馴染みの作詞家・アーティストの畑 亜貴が、毎回ゆかりのあるゲストを迎えてお届けする回想トーク連載「回想という名のアニソントマソン」。第3回のゲストは畑さんが数多く歌詞を手がけてきた声優・アーティストの茅原実里さん。長門有希役としてブレイクした『涼宮ハルヒの憂鬱』のキャラクターソング、そして2007年の「純白サンクチュアリィ」から一躍脚光を浴びたソロ活動と、茅原さんの歌う楽曲にはずっと畑さんの歌詞があった。デビュー15周年を迎えた茅原さん本人とともに、そのキャリアを回想。そしてQ-MHzとして提供した茅原さんの新曲に、畑さんが込めた想いとは……?

畑さんの連載「回想という名のアニソントマソン」、第3回のゲストは茅原実里さんです!

茅原実里よろしくお願いします! 畑さん、出来立てホヤホヤのベストアルバムです!

畑 亜貴ありがとうございます! 回想せざるを得ないよね、『SANCUTUARY Ⅱ』なんて出たら。

茅原そうなんですよねえ。

今回の茅原さんのベスト盤は2015年以降の楽曲を中心にした1枚と、キャラソンアルバムから成る2枚組となっています。DISC 1の1曲目から「純白サンクチュアリィ」ですからね。

もう1曲目から泣いちゃうでしょ……私が!

茅原始まりの曲ですからね。

ちなみに茅原さんが畑さんの歌詞で歌ったのは何の曲が最初ですか?

茅原最初に畑さんの歌詞を歌わせていただいたのは、2005年の……。

『らぶドル!』だよね。

茅原TVアニメ『らぶドル ~Lovely Idol~』のEDテーマ「LoveLoveLoveのせいなのよ!」が畑さんなんですよ。それが初めてだと思うんですよね。

そう。

茅原ランティスさんでお世話になる前から畑さんの歌詞を歌わせていただいていて、本当に長いお付き合いですよね。“LoveLoveLoveが見えちゃった”んですよ!(笑)。

“決めた!”ですよね(笑)。

今思うと「……見えるの?」って感じだけど(笑)。

15年前から見えていたんですよ(笑)。

今、改めてびっくりした(笑)。

茅原畑さんは何年前から作詞家として活動しているんですか?

ちょっと待って、振り返ると長くなるから(笑)。私は1990年から仕事を始めて、そのときは作曲で仕事を始めて、そこから作詞に移り変わっていき、という感じ。このあたりは辿ると長いので、主にみのりんと出会った辺りから再生していい?

畑さんが作詞家として注目されていったのが2000年に入ってからになりますね。

そうだね。

なかでも2006年の『涼宮ハルヒの憂鬱』での楽曲が大ヒットしたわけですが、その『ハルヒ』で長門有希を演じてブレイクしたのが茅原さんというわけですね。

『ハルヒ』もいっぱい歌ってもらったね。

茅原畑さんも「もう、何曲書いたんですか?」ってぐらいすごい曲数ですよね(笑)。私も年間で何曲ハルヒ関連の楽曲をレコーディングしているんだろう?っていう時期がありましたもん。

茅原さんにとっても長門のキャラソンをきっかけにソロアーティストとして活動を再開していくことになります。

茅原「雪、無音、窓辺にて。」は、私の単独ライブでも、アニメのフェスでも、どこで歌ってもファンの方は喜んでくださるし、海外に行ってもCDを買ってくださっている方も多くて、私にとってただのキャラクターソングではない存在になっていますね。この曲があったからこそソロ活動に繋がっていったというのもあって。

そうですよね。……畑さん、何を見ているんですか?

(『SANCTUARY Ⅱ』のジャケットを見ながら)このドレス、いいね(笑)。

茅原そうなんですよ! 「純白サンクチュアリィ」と1枚目のベストアルバム『SANCTUARY』を継承する形でパズルが印象的なジャケットになっています。今回はパズルのピースがドレスになっていて。これは撮影も大変だったんですよ〜。シンプルで真っ白なドレスを着た私と、ほぼ裸の私と、パズルのドレスを着たマネキンと、その3つを組み合わせて作られているんです。愛情たっぷりのデザイナーさんのこだわりで。

すごい……「これどうなってるんだろう?」って思っていたら。このパズルのピースみたいなアクセサリーも探してもらったの?

茅原そうなんですよ。アクセサリーもパズルがいいってスタイリストさんにお願いして。やっぱり「純白サンクチュアリィ」なんですよね…。

このジャケット写真もキュンって強気なところと、ウフってなっているところとのバランスがすごくいい!

茅原でも大人になりましたよね?

十分成熟した大人になっていますよ(笑)。

たしかに「純白サンクチュアリィ」の頃から比べると表情の豊かさもまた成長しているようですね。

茅原当時はまだあどけないですもん。

まだね、「ここに立たされちゃった」っていう感じ。

茅原ドヤ顔ができるようになりました(笑)。

アクトレスだからね。かっこいい。

茅原さんが「純白サンクチュアリィ」をリリースした2007年頃、畑さんから見た茅原さんのイメージはいかがでしたか?

みのりん個人のイメージは、すごく昔なんですけど、いつかのランティスの新年会に行くのに待ち合わせたことがあって。

茅原畑さんとですか?

うん。それで駅で待ち合わせをしたのね。そこに行ったら、みのりんが心細い感じで立っているの(笑)。

茅原ええっ?

流れは思い出せないんだけど、なぜか「一緒に行こう」ってなって、待ち合わせ場所でみのりんが一人で待っていて。なんかこう……「抱きしめたい!」って(笑)。

わははは、抱きしめたい!(笑)。

走って行って「お待たせ!」って抱きしめたくて。そこだけがすごく印象的で。そのあとの会のことは一切覚えていないんだけど(笑)。みんなに囲まれて笑っていたりはしゃいでいるみのりんは前から見ているんだけど、そのなかにすごく印象的な、一人で待っているみのりんがいて。そのあともちょっと孤独なキャラクターを演じているからなのかもしれないけど、みのりんにはきっとそういう引き出しがあるんだろうなって思っていて。自分ではそこがメインのキャラクターではないという意識はあるかもしれないんだけど、きっと心の中に一人で、しんとたたずんでいるキャラクター像があるんだろうなって。

それが「純白サンクチュアリィ」など、茅原さんのソロ初期のアーティストイメージと繋がっているわけですか?

そう、それがアーティストイメージとして切り取られたのかなって思ったの。多分みのりんは自分でそういうイメージを強く持っているわけではないと思うんだけど。

茅原でも、なんでかデビューしたときから「憂いがあるよね」とか、自分ではそう思ってなかったんですけど、「ちょっと寂しそうに見える」「孤独に見える」っていうのは言われていて、「なんでだろうな?」っていうのは思っていましたね。

きっと本人が自覚していない孤高な魅力があったんですね。

うん、あったんだろうね。でもそれは弱いってわけじゃないの。ちゃんと一人で立っていられる強さでもあるじゃない? そういうところが、歌に向かう真剣な態度とか、歌に向かう強い情熱とかとリンクしているのかなって。「歌があれば私は一人で立っていられるよ」っていう。でも普段のみのりんに会うとふわっとしていて(笑)。

たしかに、音楽性と本人のパーソナリティといういい意味でのギャップがありますよね。

あるよね。

ランティスでソロ活動を再開した2007年、茅原さんはそうしたアーティストイメージについてはどう思っていましたか?

茅原当時は本当に、ただただうれしさが大きかったです。元々私が持っていた夢は歌手になることだったので… 2004年に声優デビューして、その年に歌手活動もさせていただいたんですけど、そこからなかなか先に繋がっていかなくて。ちゃんと音楽活動をしたいなっていう想いがちっとも叶わないものだから、自分で曲を作ったり、路上ライブをしたりとか試行錯誤をしていたら、その途中で『涼宮ハルヒの憂鬱』の長門有希役が決まって、そこでランティスさんとも出会ってソロ活動することが決まって…だからようやく地に足をつけて茅原実里として音楽が再開できるんだっていう喜びがいっぱいだったんです。楽曲をいただけたこともすごくうれしかったし、あのときチームのみんながものすごく情熱を持って、「茅原実里を世の中に広めるぞ」っていう勢いがありました。その期待に応えていきたいし、私も大好きな歌を思いきり歌ってやるぞ!っていう強い想いもありました。……だけどそれプラス、大きなプレッシャーもありましたね。

そうだよね。

茅原あれだけ作り込まれた世界観、音楽もそうだしビジュアルもそうだし、こういうマイペースでふわっとしている私が(笑)、この作り込まれたかっこいい美しいイメージに寄り添っていいけるのか……という不安も少しありましたね。

でも、ないものって作れないから。やっぱり「茅原実里はこういきましょう」っていうのは、みんながみのりんを見て感じたわけで、だから作れたイメージだと思うのね。

畑さんや菊田大介(Elements Garden)さん、プロデューサーの齊藤 滋さんを中心としたチームの情熱とともに、非常に高品質な世界観が形成されていったわけですよね。

そうだね。セルフイメージとは違うかもしれないけど、歌に対する情熱っていうのもどうにかすごい形にして出したいなって。「茅原実里ってこんなにすごいんだよ」っていうのをみんなに伝えたいというのはスタッフ全員の想いだったから、私はそこで、作詞でそれを表現したいなって思ってた。たとえみのりんの中から出てこない言葉だとしても、世界観を歌の中で一瞬で作り上げることができるんだよ、茅原実里は!っていうのをみんなに見せつけたいという想い。それって今考えると、その当時のみのりんには背伸びをさせてしまったなっていう気持ちもあるんだけど、でもそれができるんだよっていうのをとにかくみんなに知ってほしいっていう気持ちのほうがすごく強かった。

茅原たしかに必死でした(笑)。背伸びしている部分もあったし。

畑さんはアーティストやキャラクターの成長に合わせて言葉を選ばれたりしますが、茅原さんは最初の段階からその成長より少し高めのハードルを設定していたわけですね。

もっと冒険して、もっとできるということを見せつけて、最初からインパクトを与えたいと思っていたから。できる子だから大丈夫、って(笑)。

茅原そこに育てられてきましたからね。

そこは茅原さんならできるという信頼感で作られていたと。

私はそう思ってた。絶対できるし、ほかにもっと違うこともできると思っていたから。あとはトーンと背中を押すだけで(笑)。

そこから十数年経て、茅原さん自身当時からの成長を実感されることはありますか?

茅原ありますね。特に去年の誕生日に15周年記念ライブをやらせていただいて、シングル曲を「純白サンクチュアリィ」から順番に歌ったんです。

すごい、歴史の1ページをめくっていくみたいな。銀河の歴史を(笑)。

茅原当時は歌うことに必死になっていた歌たちが、「ああ、こういうことを言いたかったんだね」って歌と会話できるようになってきたなって感じたんです。自分のなかで受け止めて歌にできる余裕……と言ったらおかしいんですけど、ギリギリで歌っていた頃とは、曲との距離感だったり関係性が全然変わってきているのは、やっぱり長い時間をかけて歌と一緒に生きてきたからだろうなって思います。

成長によってストレージが増えたというかね。「まだ入るよ?」って余裕ができた。

茅原笑いながら歌えなかったものが笑えるようになったり。

「純白サンクチュアリィ」「君がくれたあの日」、そしてアルバム『Contact』をリリースした2007年以降も、茅原さんがぐんぐんと成長していく姿が見られましたよね。

そうなんですよね。みのりんが言っていたんだけど、最初のガムシャラな感じなのに周りがみんな「できるできる」って進めていくなかで、すごく成長しているなって思ってた。だんだんと、自分がどうしたいとかどう思っているかを伝えてくれるようになったり、曲の解釈や歌詞の解釈も聞いてくれたりとか、余裕がなかったところから自分でも掘り下げられるようになっていて、成長を感じました。だったらじゃあもうちょっと階段昇ろうか!とか。やっぱり違うことをやってもらいたくなって。

それこそ初タイアップ曲となる「Paradise Lost」をリリースした2008年から「優しい忘却」辺りの2010年頃までは成長著しく、世界観が完成されていくわけですよね。

そう、完成度が高まっていって。あとみのりんは作詞もするようになったじゃない?

茅原そうですね。

自分が思っていて、自分の感情を伝えるのは自分の歌詞でできると思うのね。でも自分が思いもしないものを歌うこともまた一つの歌手の在り方じゃない? 思っていないけどこの世界観を歌う、歌の中で演じる女優になる、みのりんはそれがすごくできている。そうしたら自分が思っていることも等身大で伝えるのではなくて、みのりんの世界観の中で歌ってもらいたいなって思うのね。歌いこなして乗りこなして、みんなに伝えてほしいっていう。

2007年当初に描いていた世界観がどんどん完成されていき、特に2011年の「TERMINATED」や2012年の「ZONE//ALONE」でそれが一気に極まった感はあります。

あの頃の楽曲は凄味がありましたね。「あのみのりんが……」という。

茅原楽曲のパワーがとても大きかったりもしたので、自分が負けるわけにはいかないし。ガムシャラだった頃から「やっちゃるよ!」っていう姿勢に変わってきている時期だったかもしれないですね。

茅原さんの中でも意識がはっきりと変わったわけですね。

茅原「うまく歌えるかな?」とか「応えられるかな?」っていう不安とかよりも、「やってみよう!」という。元々自信家でもないし保守的な人間なので、「これ、自分にできるのかな?」っていう弱い部分がチラチラあったりするんですけど、そういうところから少しずつ変わっていって、いろんな曲や歌詞をいただいて、ハードルを越えさせていただいて、そうやってちょっとずつ階段を昇っていった感じですね。

そこから2013年に入ると、「この世界は僕らを待っていた」や「境界の彼方」をリリースしますが、それまでの完成された世界観とは少し異なる様相を呈した印象ですね。

そう。変わった感がある。

その変化に対して、畑さんの歌詞も変わっていった?

変わっていきましたね。歌いやすい言葉やわかりやすい言葉っていうよりも、もっと圧倒できる言葉の領域に入っていきたいなって。そうすればもっと印象に残るんじゃないかなって思って、前はちょっと決めつけるような言葉とかを使っていても、その直後にフォローするような流れにしていたんですけど、この頃からそれをしなくなった。

茅原すごい! アニメのタイアップ曲だとアニメの世界観もすごく大事なのに、同時にその瞬間瞬間の茅原実里のことを考えながらバランスをとって歌詞を書いてくださってる。いつも大きな愛を受け取っているんですよ……もうだからだよ~!(笑)。

だからこそそれが茅原さんの成長に繋がっていくと。

茅原だから強くなるんですね。やっぱり育てられているんですよ、確実に。

そうした歌詞の変化というのはここ数年の楽曲でも感じられますね。例えば個人的には2016年のアルバム『Innocent Age』収録の、「Dancin’世界がこわれても」の歌詞には驚いたというか。

ああ、はいはい(笑)。

茅原大好き!

私も大好き(笑)。

畑さんは、茅原さんにここまで踏み込んだ歌詞を提供するのか!と思いましたね。

「情熱的にグイグイくるみのりんが見たい!」っていう。好き、あのみのりん(笑)。

茅原ありがとうございます(笑)。

みのりん、身勝手も似合うんだなって。「勝手に私が思っちゃうんだから」っていうね。たしかに感慨深かった、「そうか、私もみのりんにこういう暴れた歌詞を書けるんだ」って。

それを歌いこなす茅原さんもまた成長しているわけですよね。

みのりんは素直だからね、「そっか激しいのか、やります!」って。

茅原でも、畑さんからいただく歌詞は、もうスッて入りますね。

ある意味畑さんの歌詞に、素直にさせられるというか。

習慣?(笑)。

茅原なんというか、「畑さんがこう言っている」みたいな。

「そうか、歌わねば」と(笑)。

そうした畑さんの歌詞とともに成長を重ねてきた15年ですが、あらためて現在のアーティスト・茅原実里をご自身はどう見ていますか?

茅原まだまだだなって思うことばっかりですね。悔しい思いばっかりしています、相変わらず。

おっ。今いちばん悔しいって思うことって何?

茅原今はですね……やっぱり、まだまだ自分がこうありたい、こう表現したいという歌に辿り着けていない、歌うたびに悔しくなるんです。

そのゴールってどこなんだろう?

茅原たぶんないんだと思います。

歌えば歌うほど、自分の理想像が更新されていって、そこにまだ追いつけないような?

茅原そういう悔しさもありつつ、その戦いもずっと続いていくと思うんですけどね。でもそこだけじゃない部分を大切にしないといけないなって思う部分もあって。歌に関してはデビューするまではずっと自分のために歌ってきて、デビューしてからは聴いてくれるファンのみんなのために歌うようになって。今はもっとこう、広い世界に向けて人の幸せや安らぎを願ったり祈ったりしながら歌うことも大切にしたいなって思うんですね。

うんうん。

茅原でも歌い手だから歌のスキルはもっと上げていきたいし、上げることでもっと伝えられることが増えたり深くなるかもしれないと思ってて、だけどそれよりも、もっと大事なものを歌にしたいなってすごく思ったりもして……すみません、何言ってるかちょっとわからなくなっちゃった(笑)。

うん、今一生懸命理解しようとしてた(笑)。わからないけど想いは伝わった。

お話を聞いていると、今の茅原さんはそれほど歌に没入して、より探究している状態にあるわけですね。

茅原そうですね、うん。

それが15周年のタイミングで今というよりこの先を見つめていることだとも思います。それこそ、今回『SANCTUARY Ⅱ』に収録されている新曲「We are stars!」にも表れているのかなと。

茅原そうですよ! もうすごい曲で。

大変だったでしょ。ごめんね! 謝っちゃお(笑)。

畑さん、田代智一さん、黒須克彦さん、田淵智也さんからなるユニット・Q-MHzによる楽曲ですが、すさまじい1曲に仕上がりましたね。

Q-MHzの暴れ馬がね(笑)。

“Q-MHzの暴れ馬”! 誰のことでしょう(笑)。

ずいぶん暴れちゃったなと(笑)。

茅原最初聴いたとき、びっくりしましたよ!

うん、私もびっくりした(笑)。

畑さんもびっくりされたと(笑)。15周年記念ソングということで、茅原さんからは“誕生”をテーマにオーダーしたんですよね。

茅原そうです。誕生を一つのテーマにお願いしました。

それが伝言ゲームのように巡り巡ってQ-MHzの元に届き、出来た曲が「We are stars!」。

そうそう(笑)。

茅原めちゃくちゃかっこいいんですけどね!

ロッキンなサウンドにラップやトースティングのようなセリフ回しもあって、非常に攻撃的なサウンドになりましたが、Q-MHzとしてはどういう想いでこうしたアプローチにしたのでしょう?

今日はほかのメンバーがいないので、Q-MHzのなかでの私の気持ちとして言うと……なんか冒険してほしかったんですよ。

茅原冒険……。

またこれから始めてほしいなっていう気持ちがあって。今まですごく頑張って、今すごく輝いていて、じゃあそんなみのりんがうたう歌は、今まで聴いたことのないような歌であってほしいなっていう想いになったんですね。

茅原たしかに聴いたことのない歌でした。

もちろん“誕生”とか“世界に対する大きな愛”という根本のテーマがあるんだけど、それを優しく包み込むのではなくて、みんなで駆けていくような、ついでに戦っちゃうような力があってもいいんじゃないかなって思って。何か爆発的なエネルギーを秘めて、今から何かとんでもないようなことをしてしまいそうな期待感、15年のまとめじゃなくてこれからの期待に向けて誕生してほしいという想いが強くて。

たしかに歌詞についてはこれまでを振り返るような要素もありますが、そこはあくまでクールに振り返るというか、あくまで視線は未来に向いていますよね。

その、クールに振り返るというのが、さすがに私にはできなかったんですよ。私はどうしてもクールになれなかった、なのでそこはウチの若頭兼暴れ馬が(笑)。

田淵さんに暴れてもらったと(笑)。

嘶いていました(笑)。

これまで茅原さんに多くの歌詞を提供してきた畑さんが振り返ると、想いが溢れてしまうわけですね。

みのりんの音楽人生へ向けて書きたいところは自分でガッと書いて、振り返ったりそういうところもやろうとしたんですけど、「……あ、やっぱダメだ、ここ書いて」って(笑)。でもそこは私が書かないほうが絶対面白いと思うし。

茅原最後も「またね!」で終わりますからね。

あの締めは私には書けなかった(笑)。これはQ-MHzで担当することができてよかったなって。Q-MHzだからこそこういう冒険ができたので。

茅原本当に育てがいのある曲ですし、ライブでやればやるほど育っていく曲だと思います。

さて、最後になりますが、畑さんから15周年を迎えた茅原さんの今後に期待することはなんですか?

今後は……「We are stars!」を書いたからではないですけど、暴れてほしいなって(笑)。あんまりいい子にならないで、自分の思うままに暴れてほしいなって。ビキニも素敵だし(笑)。

茅原(写真集の告知写真を)見てくださったんですか! プレゼントしますよ!

買う買う!(笑)。かっこいい、さすがだよ。思わず画像拡大しちゃったもん(笑)。

冒険して暴れるという「We are stars!」そのままの姿を期待していると。

なんかね、人に引かれてもゴリゴリやってほしい。「だってやりたいんだもん!」って。

茅原そうですね。16年目からはそうなっていく感じもすごくしています。もっと私でいていいのかなって。今はもう20周年を見ているし、もっと面白いことしたいなって10周年のときより素直に思えるし。もっと自分でいいのかなって。

そうそう。20周年のときには、「いやー5年間やらかしたね!」って言っているかもしれないし(笑)。

茅原本当にそうですね。

落ち着くのもまとまるのもいつでもできるから。暴れちゃおう!

茅原そうですね……暴れます!(笑)。

茅原さんの16年目も、畑さんとのタッグが楽しみですね。

茅原よろしくお願いします!

こちらこそ! いやあ、それにしてもこのアルバムはうれしいなあ。キャラソンもいっぱい入ってるもんね。「Only Lonely Rain」(『ヴィーナス・ヴァーサス・ヴァイアラス』キャラソン)なんか思い入れが強くって、収録されてるのがうれしいですね。

茅原キャラクターソングなんですけど、少しその枠を越えているような感じもします。私もとっても好きな曲です。

透明感半端ないし……好き(笑)。

茅原ありがとうございます(笑)。

好きすぎてとうとう語彙力なくなっちゃった。作詞家とあろうものが(笑)。

Interview & Text By 澄川龍一

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