リスアニ!WEB presents ClariS~ SINGLE BEST 1ST ~発売記念SPECIAL SITE~

リスアニ!WEB presents ClariS~ SINGLE BEST 1st ~発売記念SPECIAL SITE


ClariS公式サイトはコチラ

menu

全曲クロスレビュー

アイコンDROP

drop

2010.04.24 【01st MAGAZINE CD】
雑誌『リスアニ!Vol.01』付録CD
作詞・作曲・編曲:kz

「DROP」

ミドルティーンとは思えないこの神秘性

驚くべきは、今こうして聴いても、古さをまったく感じさせない点。5年という時の経過を感じるのは、アリスとクララそれぞれのソロパートにおけるほんの少しの幼さだけだ。ダンサブルなサウンドに、抑制の効いたマリオネット調の声。主メロにもハモにも丁寧に声を重ねていくレコーティングスタイル……ClariSの基礎はもうこの頃にはすでに完成していたと言っていい。それにしてもミドルティーンとは思えないこの神秘性。リスアニ!Vol.01にてこの曲を発表し、「ほんとに中学生!?」という声が内外から多々上がったが、今なおまだ信じられないと思わせるところに、ふたりの才能を改めて感じるのである。

西原史顕(リスアニ!編集長)

澄明で無垢な歌声

ClariSがまだ“アリス☆クララ”と名乗っていた2010年4月、彼女たちによる記念すべき初のオリジナル楽曲が“リスアニ!”創刊号によって世に送り出された。今創刊号を見返すと『「リスアニ!」“新人発掘プロジェクト”アリス☆クララを誌上デビュー?させてみた!』なんてお気楽な文字が踊っている。誌上デビューの数か月前に筆者が出会ったアリスとクララは、愛らしくも極々普通の女の子たちだった。実は今も、彼女たちに対する印象はあまり変わらないけれど(笑)。kz謹製の煌びやかなエレクトロ・ポップに乗せて、2人が少し背伸びしたような、それでもやはり幼い声音で歌う「DROP」は筆者にとっても特別な曲である。この時期の少女にしか出せない、澄明で無垢な歌声。ClariSのプロトタイプがここにはある。

冨田明宏(音楽評論家)

アイコン君の夢を見よう

君の夢を見よう

2010.07.24 【02nd MAGAZINE CD】
雑誌『リスアニ!Vol.02』付録CD
作詞・作曲・編曲:kz

「君の夢を見よう」

“ゆらぎ”が、ふたりの神秘性を生み出しているのだ

「DROP」とは打って変わってのバラード曲。アリスとクララが切なく淡い恋心をしっとり歌い上げた。こうした音数の少ないスロウなメロディによって、ふたりの独特なゆらぎを伴った伸びのある声質が強調される。この均一なようでいて絶妙に変化する“ゆらぎ”が、ふたりの神秘性を生み出しているのだ。「DROP」「君の夢を見よう」というデビュー前の2曲をプロデュースしたのはkz(livetune)だが、アリスとクララの特性を本当によく見抜き引き出したと思う。その慧眼に脱帽しつつ、結果的にメジャーデビューへと繋がった我々リスアニ!の功績についても、ちょっぴり誇らしく思うのである。

西原史顕(リスアニ!編集長)

淡い恋心を丁寧に丁寧に歌う2人の歌声

「君の夢を見よう」も“リスアニ!Vol.02”の付録として読者の皆様にお届けしたのだが、ここで早くも『「リスアニ!」“新人発掘プロジェクト”アリス☆クララ主題歌デビュー決定!!』という見出しが特集ページに躍っている。あまりに急転直下の出来事だったため、取り乱して「“オレオレ・アニプレックス詐欺”なのか!?」などと当時は失礼極まりないことを書いてしまい本当にすみませんでした!今聴き直しても、夏の情景の中で描かれた淡い恋心を丁寧に丁寧に歌う2人の歌声は、どこか儚くて切なくて、なんとも魅力的である。ここまででアリス☆クララ時代は終了。ここからClariSの快進撃が始まるのである。

冨田明宏(音楽評論家)

アイコンirony

irony

2010.10.20 【01st SINGLE】
TVアニメ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』OPテーマ
作詞・作曲・編曲:kz

「irony」

優しげではあるがやはり感情の抑制された歌声

現役中学生がヒロインであるアニメーションのOPテーマを、現役中学生が歌う……もうこの事実だけでお腹いっぱいだ。と冗談はさておき(笑)、この「irony」こそClariSのデビュー曲。アリスとクララが音楽シーンに躍り出た瞬間だった。タイプ的には主題歌らしく、「DROP」にも通ずるデジタルアップチューン。特筆すべきはハモりの精度がデビュー前と比べてグンと上がっている点か。ClariSの魅力が独特な声のゆらぎにあることは先に述べたが、それが声を重ねれば重ねるほど波紋のように増幅されることを、ふたりは教えてくれた。一音・一拍にまでこだわったユニゾンやハモりによって、優しげではあるがやはり感情の抑制された歌声が、どこまでも気持ち良く響き渡るのである

西原史顕(リスアニ!編集長)

彼女たちの歌声を引き立てる爽やかなアレンジメント

ClariSにとって記念すべきデビュー曲であり、「DROP」「君の夢を見よう」とアリス☆クララ時代からサウンド・プロデュースを手掛けたkzが本作でも作詞・作曲・編曲を担当。音楽性はエレクトロ・ポップで、シンプルなメロディと彼女たちの歌声を引き立てる爽やかなアレンジメントが改めて絶品である。「リスアニ!」創刊号の誌上デビューから半年も待たずにメジャー・デビューを果たし、ご存じのとおりこの「irony」は大ヒットを記録。絵にかいたようなシンデレラ・ストーリーを歩み始めたが、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』のヒロインである桐乃、黒猫とClariSが同世代であり、作品とClariSのキャラクター性も含めた楽曲の親和性が最大限に図られていたことが、華麗なスタートダッシュを飾る上で重要だったのだろう。まさに最高のマッチングだったのだ。

冨田明宏(音楽評論家)

今聴いても心がザワっとする

ClariSメジャーデビュー曲として、TVアニメ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』オープニング曲として、こんなにキラキラした最高のポップスを書けるのはkz(livetune)だけだっただろう。メロディ、歌詞、サウンドの全てが美しいバランスの元に成り立つ名曲。今聴いても心がザワっとする。

石川 大(SMEレコーズ Director/A&R)

アイコンコネクト

コネクト

2011.02.02 【02nd SINGLE】
TVアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』OPテーマ
作詞・作曲:渡辺翔、編曲:湯浅篤

「コネクト」

これまでの楽曲と比べ感情豊か

奇跡の一曲。まるで第10話のために書かれた歌詞(実際には偶然です:渡辺翔 談)が、『魔法少女まどか☆マギカ』を観る者の心を抉った。10年に一度の傑作となったアニメのOPテーマは、「irony」がヒットし注目されていたClariSを一躍トップアーティストへと押し上げたのだった。音の話をすれば、この曲のふたりの歌声はこれまでの楽曲と比べ感情豊か。ポイントはリバーブなのだが、声の重なりで透明感を生み儚げな雰囲気を醸し出している。サウンドもデジタルからストリングス主体のバンドサウンドになったことで、人肌感が増した。おそらくClariSにとってこの曲は“新しいチャレンジ”だったのではないだろうか。それが自身最大のヒット曲になってしまうあたり、さすが“持ってる”としか言いようがないのである。

西原史顕(リスアニ!編集長)

ClariSという存在が呼び寄せるミラクル

ClariSが一般的な知名度を得るきっかけになった楽曲と言えば、誰もがこの「コネクト」を推すのではないだろうか。本作でも『魔法少女まどか☆マギカ』のヒロインたちと同世代であるClariSならではの、ストレートかつシリアスな表現力が高い評価を獲得したとともに、作詞を手掛けた渡辺翔による物語の進行に合わせて意味性が変化した歌詞の驚くべき演出も相まって、作品と楽曲の最高のマッチングが生まれていた。もっとも、渡辺翔は作詞の段階で脚本は渡されておらず、その“最高のマッチング”は奇跡の産物ではあるのだが……。とにかくClariSという存在が呼び寄せるミラクルは留まる事を知らず、メジャー・デビューから半年を待たずにリリースした本作が日本レコード協会からゴールドディスク認定を受けるという快挙を成し遂げた。

冨田明宏(音楽評論家)

奇跡を形にしたような1曲だろう

今となれば『魔法少女まどか☆マギカ』は社会現象まで巻き起こしたモンスターアニメと皆が認識しているが、この曲が生まれた時ClariS本人たちも、作家渡辺翔もそんなことは全く想像できていなかった。なにせストーリーの断片すら聞かせてもらえていなかったのだから。そういう点から見てもこの曲は奇跡を形にしたような1曲だろう。渡辺翔の作家としての奇才ぶりがいかんなく発揮された曲に、アレンジャー湯浅篤が普遍性を与えた。ちなみにこのコンビはその後の『まどか☆マギカ』作品でも続くこととなる。

石川 大(SMEレコーズ Director/A&R)

アイコンnexus

nexus

2011.09.14 【03rd SINGLE】
「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」原作テーマソング
作詞・作曲・編曲:kz

「nexus」

よりダンサブルな楽曲に仕上がっている

作家がkz(livetune)に戻り、再びデジタルポップチューンへ。「irony」よりもテンポが上がり、よりダンサブルな楽曲に仕上がっている。スタッカートの効いたAメロと滑らかで伸びやかなBメロのメリハリが、実に軽快で爽やかな印象を生み出している。こうしてデビュー前・デビュー後の楽曲を順番に聴いていると、ClariSの表現の幅がどんどん広がっていくのがわかる。それは本人たちの努力によるものでもあり、作家が引き出したものでもあるのだろう。この速くて難しい曲を難なく歌いこなすふたりに、ついつい親心を抱いてしまう筆者なのであった。

西原史顕(リスアニ!編集長)

心地よいポップ・ナンバーに仕上がっている

小説『俺の妹がこんなに可愛いわけがない。』第9巻のテーマソングとして制作れたこの「nexus」。アニメ主題歌を担当したkzが作詞・作曲・編曲を担当しているが、この楽曲で聴かせたのはエレクトロやハウスのマナーに則ったクラブ・ミュージック・サウンド。しかしながら、デジタル・サウンド特有の硬質な印象は希薄で、ラテン・ハウス調の明るく軽快なリズムとキャッチ―なメロディが心地よいポップ・ナンバーに仕上がっている。とはいえ、綺麗にリズムを取って歌うには非常に難解な楽曲でもあり、アリスとクララはこのリズムと譜割を乗りこなすために相当苦心したそうだ。そういう意味では、当時の彼女たちが志向していたダンス・ミュージック×ポップスという音楽性の中に独自性を見出し、そのポテンシャルを引き出した楽曲ともいえる。

冨田明宏(音楽評論家)

ClariSという存在の独自性を明確にすることとなった1曲

小説『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』テーマソングとしてkz(livetune)が書き下ろした、いわば「irony」の姉妹曲という位置づけが出来る曲だろう。ポップネスはそのままに、ビートがより際立ったダンスミュージックテイストが、ClariSという存在の独自性を明確にすることとなった1曲。ちなみにこの曲は歌うのがとても難しい。

石川 大(SMEレコーズ Director/A&R)

アイコンナイショの話

ナイショの話

2012.02.01 【04rd SINGLE】
TVアニメ「偽物語」EDテーマ
作詞・作曲・編曲:ryo(supercell)

「ナイショの話」

俺のこと絶対好きなんだろうな〜

ふたりにとって念願だった、supercell・ryoとのコラボレーション。アニメ『偽物語』のために書かれたこの曲は、今作のメインヒロインであるファイヤーシスターズのエキセントリックなテンションそのままに、突き抜けたバンドサウンドに仕上がっている。冒頭の1、2、1・2・3・Oh!に代表される、様々な合いの手がキャッチーで可愛らしく、kz(livetune)曲や渡辺翔曲のときとはまた別の、無邪気な女の子の魅力が溢れている。いつもよりちょっと甘めなふたりの歌声から、ヤキモチ焼きで、ちょっぴり小悪魔っぽくもあり、ツンツン文句も言ってくるけど、俺のこと絶対好きなんだろうな〜なんて女の子を妄想させられて……赤面しちまったじゃねえか、このやろう。

西原史顕(リスアニ!編集長)

目の覚めるような感動

ClariSが憧れていたクリエイターであるsupercellのryoを作詞・作曲・編曲に迎えたパンクでロックンロールな逸品。個人的には元JUDY AND MARYのTAKUYAによるアグレッシヴでトリッキーな前のめりなギター・リフの応酬に、目の覚めるような感動を覚えた1曲でもある。月火と火憐というキャラの立ったブラコン姉妹の愛らしいヤキモチ要素を、ClariSの2人の歌唱がその魅力を増幅させ、ClariSの2人にとっても新しい魅力の芽生えを感じさせる楽曲となった。あらゆる意味でryoのサウンド・プロデュース能力の高さをうかがわせる。

冨田明宏(音楽評論家)

今では良い想いでだ

ClariSが動画サイトに「歌ってみた」動画を投稿していた「君の知らない物語」の作者、ryo(supercell)の書き下ろし曲。TVアニメ『偽物語』EDテーマをつとめたこの曲には、ryoたっての希望で、Co.Sound ProducerとしてTAKUYA(ex.JUDY AND MARY)が参加。もちろんギターもTAKUYAが弾いた。パンキッシュなサウンドに、ティーンネージャーの気持ちが絶妙に表現された歌詞が踊る。朝まで続いたMIX作業は今では良い想いでだ。

石川 大(SMEレコーズ Director/A&R)

アイコンWake Up

Wake Up

2012.08.15 【05th SINGLE】
TVアニメ『もやしもん リターンズ』OPテーマ
作詞・作曲・編曲:丸山真由子

「Wake Up」

大人の女性に成長していた

デビューからシングル4枚、アルバム1枚を立て続けにリリースしたClariSがほんの少しだけ期間をあけて発表したのがこの「Wake Up」。ふたりが中学を卒業し、高校1年生となったタイミングだ。この曲から滲み出ているのは、優しさ。活発なアーティスト活動ゆえ忘れがちだが、姿を表に出していない彼女たちの日常は学校生活にあり、そこでは“普通”の女の子として生きている。アルバム『BIRTHDAY』の中で中学卒業に伴う友との別れを歌い、そしてこの曲で新しい友との新しい生活にワクワクする気持ちを歌ったふたりは、通学時に浴びる太陽の光に幸せを感じるような、日々を慈しむことのできる少しだけ大人の女性に成長していた。

西原史顕(リスアニ!編集長)

少しだけ大人になった等身大の言葉と世界観を与えた歌詞

1stアルバム『BIRTHDAY』においても、女流作家視点で描かれた思春期的少女性に溢れた楽曲で、ClariSから厚い信任を得ていた丸山真由子によるシングル曲。高校生になり、新しい生活に希望を見出していたClariSに、少しだけ大人になった等身大の言葉と世界観を与えた歌詞が実に素晴らしい。イントロから聴けるコーラス・ワークも新鮮味に溢れ、爽やかなアレンジメントと相まって瑞々しい魅力を湛えている。アルバム制作も経てさまざまな楽曲を歌ってきたClariSの、新しい扉を丸山が楽曲の力で開いて見せた。

冨田明宏(音楽評論家)

ウーハーコーラスがたまらなく好きです

フジテレビノイタミナTVアニメ『もやしもん リターンズ』OPテーマとして、今やClariSには欠かせない作家丸山真由子が書き下ろした作品。女性ならではの視点から生まれる歌詞、ポップで優しいメロディとサウンド。稀代のメロディメーカーとしての才能が存分に発揮された1曲。僕は丸山作品のウーハーコーラスがたまらなく好きです。

石川 大(SMEレコーズ Director/A&R)

アイコンルミナス

ルミナス

2012.10.10 【06th SINGLE】
『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[前編]始まりの物語』主題歌
作詞・作曲:渡辺翔 編曲:湯浅篤

「ルミナス」

年上になったふたりが歌った「ルミナス」には、明らかな違いがある

“夢見る少女じゃいられない”と誰かも歌っていたとおり、女の子は誰しも、少女のままではいられない。ClariSにとって初めてとなる同一アニメ作品でのタイアップ。中学生のときに無我夢中で歌った「コネクト」と、高校生になり作中の主人公たちよりも年上になったふたりが歌った「ルミナス」には、明らかな違いがある。前者は少女がそのまま少女を歌ったものであり、後者は少しお姉さんの目線から描かれた、アリスとクララが表現した少女の歌なのだ。相変わらず透明感があり美しいリバーブの中に、「Wake Up」のときのような慈しみや優しさをほんの少し感じるのは、きっと筆者の勘違いではないはずだ。

西原史顕(リスアニ!編集長)

やっぱり奇才

『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [前編] 始まりの物語』の主題歌として、渡辺翔が書き下ろした1曲。「コネクト」制作の時とは違い、既に大ヒットを記録した『まどか☆マギカ』がどんな物語なのかTVシリーズで放送された上で制作されたという点で、作るのは難しかったと思うのだが、奇才渡辺翔があげてきたデモが1発OKだった事はとても印象に残っている。やっぱり奇才。

石川 大(SMEレコーズ Director/A&R)

アイコンreunion

reunion

2013.04.17 【07th SINGLE】
TVアニメ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない。』第2期OPテーマ
作詞・作曲・編曲:kz

「reunion」

“愛”だと勝手に思っている

デビュー曲「irony」に続き、TVアニメ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない。』第二期OPテーマとなった1曲。作家はもちろんkz(livetune)。彼の凄いところはタイアップ作品への理解度&シンクロ度だと、当時思ったことを今思い出した。表面をとりあえず綺麗に整えるだけではなく、作品として深く耐久性が高いのは、才能はもちろんだがデビュー前からかかわってくれた彼の“愛”だと勝手に思っている事をここで発表させてもらう。

石川 大(SMEレコーズ Director/A&R)

天性のケミストリー

人気作の続編というものはクリエイターたちにとって「~らしさ」という前提が期待となり、同時に自身も過去作と向き合う必要があり、なかなか大変な代物である。まして当時中学生だった彼女たちが高校生へと成長していった「続編」である。預かるkz(livetune)のプレッシャーたるや、いかばかりであっただろうか。エレクトロポップで続編としての繋がりを示したところ、クララの歌声の変化という天性のケミストリーが働き、新しいユニゾンという結実を見る。続編主題歌として理想的な着地である。「君とまた物語が始まるの」―これは彼女たちと作品の再会だけでなく、ファンに対しても向けられた言葉に聞こえてならない。

日詰明嘉(ライター)

アイコンカラフル

カラフル

2013.10.30 【08th SINGLE】
『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』主題歌
作詞・作曲:渡辺翔 編曲:湯浅篤

「カラフル」

渡辺翔という作家は奇才なんです

もう言うのも飽きてきたが渡辺翔という作家は奇才なんです。エジソンが1+1は何故2なのか本気で質問していた感じと近いんじゃないかと思う雰囲気を彼は持っている。そして特筆すべきはこの曲、またしても『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語』がどんなストーリーなのか知らされずに制作されたこと。そうそう奇跡は起こらないものだが、彼はまたしても起こしてしまったと思っているのは僕だけではないはずだ。

石川 大(SMEレコーズ Director/A&R)

少女感に満ちた等身大の内容になった

TVシリーズのときに内容を知らされずに書いた主題歌「コネクト」で"奇跡の一致"を果たした作詞作曲の渡辺翔は「新編」でもそれを期待され内容を知らされずに書いた結果、最初に本作で一発OKをもらったという。彼が念頭に置いたのはTVシリーズの延長線ということ。『魔法少女まどか☆マギカ』のモチーフのひとつは少女性であり、それを詞曲にストレートに表現した結果、ClariSにとっても少女感に満ちた等身大の内容になった。こう説明するとスムーズすぎてまるで「新編」の序盤のようだが、ClariSがこれまでの歌を通じて少女たちのアイコンとなっているのは揺るぎない事実。それを純粋に実践したのが本作なのだといえる。

日詰明嘉(ライター)

アイコンCLICK

CLICK

2014.01.29 【09th SINGLE】
TVアニメ『ニセコイ』前期OPテーマ
作詞・作曲・編曲:kz

「CLICK」

女の子の気持ちが丁寧に紡がれた青春の一曲

歌い手に高い技術力を要求するkz(livetune)のアップチューン。これまでの彼の曲と比較すれば、デジタルとピアノが主体だったサウンドから、ディストーションギターが冴える変貌を遂げている。歌詞にはアニメ作中登場人物の名である「棘=千棘」や「咲=小咲」「つぐんで=鶫」「追憶=橘」などがさりげなく散りばめられてあり、相変わらずやることがニクイ。ClariSのふたりがkz(livetune)を信頼してやまないのは、彼のこうした“女子力”の高さにあるのだと筆者は踏んでいる。甘酸っぱい女の子の気持ちが、丁寧に紡がれた青春の一曲。

西原史顕(リスアニ!編集長)

是非今一度歌詞を見てみて欲しい

『俺妹」シリーズに続きタイアップとしてはClariS×kz(livetune)2作目となる、TVアニメ『ニセコイ』前期OPとして書き下ろされた1曲。kz(livetune)という人はなんてしなやかに気の利くことをする人だろう。歌詞に散りばめられた仕掛けに気付いた人はどのくらいいるのか気になるところ。あなたは気づきましたか?是非今一度歌詞を見てみて欲しい。

石川 大(SMEレコーズ Director/A&R)

透明感あるコーラスという基盤

『俺妹』の主題歌を手がけたkz(livetune)とのタッグ。リスナーや制作サイドからその延長線を求められていたところ期待に応えつつも変化をつけてきたkzである。ギターを歪め、ベースの音を太く、キーも低めに抑えている。総誘導した結果、彼女たち自身と同年代の作中のキャラクターを結んだ歌声が生まれた。その意味でプロデュース冥利に尽きる楽曲になったのではないだろうか。そうした変化もこれまでの透明感あるコーラスという基盤ができあがっていてはじめて試せることである。

日詰明嘉(ライター)

アイコンSTEP

STEP

2014.04.16 【10th SINGLE】
TVアニメ『ニセコイ』後期OPテーマ
作詞・作曲・編曲:kz

「STEP」

アリスのその後の決断を予言

キラキラとした躍動感のあるサウンドに対しあえて滑らかにメロディを紡ぎ、たゆたうような歌声を意識した「CLICK」とは反対に、「STEP」はサウンドのほうが滑らかで、歌声には躍動感が意識されている。サビの“今を変えることは?”を最も力強く歌っている点が、今となっては胸を熱くする。変わることの怖さ。でも勇気を振り絞った先には待ち望んだ未来が広がっている。kz(livetune)が『ニセコイ』のために書き下ろした歌詞は、結果的に当時のClariSの心境とシンクロし、アリスのその後の決断を予言した。「コネクト」「カラフル」の渡辺翔と同様に、クリエイターの神託を見た思いである。

西原史顕(リスアニ!編集長)

節目を迎えさらに進化していこうとする意志

ClariSにとっては記念すべき10枚目のシングルでもある「STEP」。「CLICK」から『ニセコイ』の物語が進展した情景や心情が歌詞で描かれ、「CLICK」と同様に楽曲と『ニセコイ』が抜群のリンクを果たしている。また前向きになれるポップな曲調の中に詰まったポジティヴな歌詞とメロディが、小咲や千棘と同年代であるClariSともシンクロし、10枚目のシングルという節目を迎えさらに進化していこうとする意志が楽曲から立ち上る。エレクトロ~EDMサウンドに定評のあるkzナンバーの中にあって、生音のサウンド・プロダクツがしっかりとフィーチャーされているのもこの曲のポイントかもしれない。

冨田明宏(音楽評論家)

「次なるステップ」を意識

引き続き『ニセコイ』の1期後半主題歌。ストリングスを使っていても疾走一辺倒ではないサウンドが切ない距離感をイメージさせる。それがつまり、踏み出す「ステップ」なわけである。承知のように本作の発売後、衝撃的にアリスの卒業がアナウンスされた。遡って出来上がっている音源と活動自体を結びつけるのは制作関係者や彼女らの懸命なパフォーマンスに失礼に当たると思うので行なわない。ただ、「リスアニ!」(vol.17)のインタビューにて詞曲が「次なるステップ」を意識させた趣旨の言葉が本人から発せられていることはお伝えしておく。

日詰明嘉(ライター)

アイコンClear Sky

Clear Sky

2014.11.08 【03rd MAGAZINE CD】
雑誌『リスアニ!Vol.19』付録CD
作詞・作曲・編曲:丸山真由子

「Clear Sky」

新生ClariSの第一歩

クララとカレンのふたりによる、新生ClariSの第一歩。突然の卒業が発表された“アリスショック”にまだ心の整理がつかないファンを、優しい歌声とサウンドが包み込む。ふと思い出したのは、松任谷由実の「やさしさに包まれたなら」。クララとカレンが静かな木漏れ陽=アリスを浴びながら、カーテンを開けそっと歩みを進める情景が浮かんでくる。この細やかな愛と親しみに溢れた楽曲を制作したのは丸山真由子。ClariSの原点である神秘的で透明な声のゆらぎが、クララとカレンのふたりになっても変わらぬことを証明した。

西原史顕(リスアニ!編集長)

ClariSが希望に満ちた未来へと漕ぎ出す

新生ClariSがついに始動、その序章を告げるべく生まれた「Clear Sky」はやはり特別な曲だ。これまでClariSに等身大の少女性を与え続けて来た丸山真由子の描いた歌詞は、アリスの卒業を迎えても前を向き続けたクララと、クララを支える新しいパートナーとなったカレンによる今のClariSとその船出を祝福し、“はじまり”を高らかに鳴らした。さらに歌詞では太陽=アリスが新生ClariSの背中を押し、心の中ではいつも2人のそばにいると、アリスの想いもしっかりと汲んだものになっている。当時のインタビューを振り返ると、2人はまるで今の自分たちの気持ちを代弁してくれているかのようだと語っていた。ClariSが希望に満ちた未来へと漕ぎ出すための曲として、これ以上に相応しい曲はなかっただろう。

冨田明宏(音楽評論家)

新たな一歩がスタート

人気ユニットの新メンバー加入という事実にリスナーはドラマを期待する。それに対してパフォーマンスをする立場のふたりはそれぞれの"自然体"で応えた。「出逢い」や「太陽が背中を押す」、「待っている人がいる」といった、現在のClariS自身を想起させるフレーズに身を任せ、カレンはクリアな状態から彼女自身の歌を表現し、クララは彼女らしく受け止めてふたりの楽曲を歌い上げた。ドラマチックな落ちサビから新たな一歩がスタートすることを表現した感動的な楽曲だ。

日詰明嘉(ライター)

アイコンborder

border

2015.01.07 【11th SINGLE】
TVアニメ『憑物語』EDテーマ
作詞:meg rock 作曲・編曲:重永亮介

「border」

新しい世界に胸をときめかせたふたりの笑顔

新生ClariSとして初のシングルは、〈物語〉シリーズ『憑物語』のEDテーマ。同シリーズにふさわしいエモーショナルなロックチューンに仕上がった。感謝と慈しみの気持ちに溢れていたのが「Clear Sky」ならば、力強い言葉が綴られた「border」は決意の歌なのだろう。思い浮かぶのは、新しい世界に胸をときめかせたふたりの笑顔だ。サビのユニゾンが美しく響けば響くほど、過去の思い出が美化され、まだ見ぬ未来がキラキラと輝き出す。ClariSという実在するティーンエイジャーの青春そのものが描れたこの曲が、こんなにも胸を刺すのはなぜだろう。「自分も頑張らないと」……たまには感傷に任せて夕日に向かって走ってみようかな。

西原史顕(リスアニ!編集長)

クララの成長、そしてカレンの頼もしさ

この曲を聴くとやはり"リスアニ!LIVE-5"、日本武道館のステージに立った2人の姿が今も思い浮かぶ。彼女たちのことが気になり、スタンバイしていたステージ袖を覗きに行くと、お互いの手を取り合い、向かい合いながら「border」を練習していた2人の姿が見えた。2人の表情は緊張とワクワクで50:50という感じだったが、初の武道館という大舞台に対して恐れるだけではなく、「楽しもう!」という前向きな意思が表情から感じられたのは、改めて印象的だった。そしてステージ・スタッフから声がかかり、我々と握手をしてステージへと消えていったClariS。あっという間の出来事ではあったが、力強いバンド・サウンドや煌びやかな照明、そして大歓声にも気圧されることなく「コネクト」と「border」を歌い切っていた。クララの成長、そしてカレンの頼もしさに感動させられたあの武道館。7月のワンマンライブが、今から楽しみで仕方がない。

冨田明宏(音楽評論家)

表現したいことへの切実な思い

『物語シリーズ』のカラーを色濃く映す骨太なロックはmeg rockによるスコア。ドラマチックな楽曲構成、少女らしいもどかしさをじっくりと描き出す歌詞のこの曲は、1番・2番という分け方をせず、想いの欠片を告げる最後まで一気に聴き通して味わいたいところ。11thシングルとして差し出されたリスタートの名刺。伸びやかなコーラスや歯切れよく跳ねた歌声には、今の彼女たちが表現したいことへの切実な思いが乗っているように感じられてならない。

日詰明嘉(ライター)

ClariS公式サイトはコチラ