3月8日、ポニーキャニオンのアニメ音楽レーベル・P’s Recordsが主催する音楽フェス“P’s LIVE! 08 ~P’s GR∞VE~”のDAY1が開催。今回が8回目の開催となる本フェスは、多数のポニーキャニオン所属アーティストに加え、様々なコンテンツやカバープロジェクトからもアーティストが登場。レーベルの総力を挙げて作り上げたステージが、観客の心を捉え、次々に揺さぶっていった。
TEXT BY 須永兼次
PHOTOGRAPHY BY 武田敏将(GEKKO)
まずはOP映像として、所属アーティストのデビュー日やレーベル加入日などが“P’s LIVE! ”の歴史と共に順々に映し出されると、この日のトップバッター・鬼頭明里が登場。まずは「23時の春雷少女」でステージを始める。真っ直ぐで澄んだ、それでいてロックなアッパーチューンに負けない芯の1本通った歌声を響かせる鬼頭。従えたダンサー4人と揃ったパフォーマンスを見せながら、間奏などでは拳を振り上げ観客のボルテージUPを先導すると、後奏中にダンサーが降壇して最新ナンバー「With a Wish」の歌唱へ。ボーカルにも表情にも切なさを込めつつ、青に染まった場内へと歌声を響かせ、じっくりと聴かせていった。そして再びダンサーを従えての「キャンバス」では、メインスクリーンに映し出された歌詞に合わせて観客が大きくコール。大サビでは客席へとマイクを向けてさらなる大合唱を受け止め、場内の一体感を作り上げる。また、Dメロではロングトーンを長く長く伸ばして歌声の力強さでも観客を惹き込み、最後まで全力のパフォーマンスで2日間のフェスの幕開けを見事に飾ってみせた。
続いて登場した立花日菜は、デビュー曲「I’m GAME!」から出番をスタート。黄色のペンライトが輝く客席に向けて、キュートで甘い歌声を響かせる。頭サビや1サビ前にはウインクも織り交ぜたりと非常に巧みなパフォーマンスを見せていくと、歌唱後には「次は皆さんで手を振ってほしい」と予告。練習を挟んで2曲目に歌い始めた「TOKIMEKI」では、イントロから黄色のペンライトを左右に揺らす。その後もステージの両端へと行って場内の隅々にまで手を振ってオーディエンスとコミュニケーションを取り、サビでは再び腕振りで一体感を作り上げ、ラストナンバー「最強?最高!Brave My Heart」へ。このアッパーチューンを笑顔で歌唱し、大サビではエネルギーをさらに込め、一段ギアを上げて歌唱。アガれるナンバー3曲でまとめたステージを締め括った。
そしてここで、カバーソングプロジェクト・CrosSingから内田真礼が登場し、リリースされたばかりの『CrosSing Collection vol.5』収録の「世界は恋に落ちている」を披露。歌い出しの瞬間に場内が沸いたほどの名曲を、爽やかでキュンとくる歌声で響かせていき、自身の色を出しながらしっかりと歌い届けてくれた。
それに続いたのは、作曲家・俊龍による音楽プロジェクト・Sizuk。この日はボーカリストとしてAYAMEが出演し、まずは「Lover’s Eye」を歌唱。サビをはじめとする要所でぐっと力を込めたパワフルかつソリッドな歌声が、観客のハートにさらに熱を帯びさせていく。
曲明けのMCではAYAMEが「全力で、歌でみんなと一緒に遊びたい」と意気込みを語り、続いてのナンバー「Para Bellum」へ。引き続き、身振り手振りも含めて力強さを感じさせるステージングで観客を巻き込んでいく。2サビ明けの間奏では「聞かせて?」と呼びかけ大歓声を浴びると、嬉しそうに笑う場面も。さらにイントロで観客のコールを引き出してから始まった「Dystopia」では、ステージ上を飛び跳ねたり拳を振り上げて観客を煽ったりと、“パワフル”を体現するかの様なステージ。サビ中におけるコールのポイントや、間奏での腕を振りかぶる動作で歓声を巻き起こし、最後までアツくパワフルに駆け抜けていった。
余韻残るなか登場した、TVアニメ『魔都精兵のスレイブ』発の鬼頭明里(羽前京香役)・宮本侑芽(東日万凛役)・日野まり(駿河朱々役)・立花日菜(大川村寧役)によるユニット・魔防隊七番組が「嵐を駆けよ波乱の鬣よ」を歌唱。イントロ中に一言ずつセリフを繋いでから、真っ赤に染まった客席へと歌声を叩きつけていく。テンポが速く、サビを筆頭にトリッキーなメロディラインを持つナンバーではあるものの、4人ともキャラクター性を出しながら軽快に乗りこなして、本楽曲をしっかりと印象付けてくれた。
続いては、コナミデジタルエンタテインメントによるキャラクターバンドコンテンツ「ひなビタ♪」から生まれたバンド・日向美ビタースイーツ♪から日高里菜(山形まり花役)・津田美波(和泉一舞役)・山口 愛(春日咲子役)の3人が登場。まずは「凛として咲く花の如く」で、艶やかさを伴わせた三者三様の個性のある歌声を響かせ、場内を沸かせていく。間奏などでの振付も和ロックテイストのサウンドにマッチしたあでやかなものだ。そして2曲目に披露した「走れメロンパン」では、イントロ中に観客に手を振りながら、フレンチポップテイストのナンバーを3人それぞれのキュートさで歌い繋ぐ。サビでは追っかけなども駆使しながら歌唱し、ステージを彩っていった。
太陽と踊れ月夜に唄えは、最新シングルの表題曲「プラスティック・ショーケース」からスタート。統率の取れた美しいフォーメーションワークと共に、シリアス感のあるナンバーを披露。そしてMCを挟むと、ここから2曲は一転してハイテンポのアッパーチューンを続けていく。まず「トランジション」は、ペアやトリオになっての動きをみせながらのフォーメーションチェンジなどで、序盤から見どころ満載。フレッシュさを強く感じさせながら生き生きとパフォーマンスすると、立て続けにお祭りナンバー「スプらっしゃい!」を披露し、さらなる盛り上がりを呼び込む。サビでは動きを揃えた楽しさが伝わるエネルギッシュなダンスを見せ、場内のボルテージを上げてみせた。
続く土岐隼一は、1曲目「約束のOverture」のイントロ中に「一緒に盛り上がってくれますか?」と呼びかけ、手拍子も交えて一体感を作り上げてステージをスタート。その後も歌いながら客席に向かって指差しをするなどのステージングを見せながら、伸びやかで情熱・熱量を感じる歌声を披露していく。そして2曲目「Glorious World」のイントロでは「ここからはもっと声出していこうぜ!」と煽ってコールを引き出してから、ロックチューンを爽やかな歌声で彩ってみせる。また2コーラス目ではバンドメンバーと向き合ってステージ上でコミュニケーションを取り、気持ち良さそうに自身の出番を楽しみ尽くしていく。そんな彼が最後に披露したのは、「Another Birthday」。歌声の爽やかさはそのままに、ここでは暖かさや柔らかさを付加して、ボーカルワークの巧みさを感じさせていく。サビでは歌声が伸びやかさを帯び、この曲での照明演出のように7色の歌声表現を、この3曲を通じて見せてくれた。
続いては新感覚リモートエンターテイメント「リモート☆ホスト」のキャストたちの出番。ステージに登場するやいなや、1曲目「R・M・H・S アンセム」の冒頭から一気にコールを呼び起こしにかかる。そしてMCでは、大野智敬(安曇役)の「「リモート☆ホスト」、この言葉だけ覚えて帰ってください!」との言葉に続いて「「リモート☆ホスト」!」とのコールアンドレスポンスでその名を確かに刻み込むと、もう1曲「ゲラメキユ」を披露。90年代J-POP風のサウンドにパラパラのエッセンスのあるダンスが組み合わさったナンバーにコールが巻き起こり、場内は大いに沸いたのだった。
休憩を挟み、後半はJUVENILEのステージから幕開け。『望まぬ不死の冒険者』アニメ映像とのコラボMVを背負いながら、「IMMORTAL」をスタイリッシュにパフォーマンス。2コーラス目ではラップをキメたりと、1曲のみではあったものの鮮烈な印象を残し、休憩明けの会場の空気を再びライブモードへと引き戻してみせる。
曲明けには今回出演が叶わなかったものの、P’s LIVE!の初回から出演していた三森すずこからのメッセージビデオが上映され、サプライズに沸き立つ場内の観客へ向けて、笑顔と共にコメントを届ける。
そしてTVアニメ『2.5次元の誘惑』から、前田佳織里と鬼頭明里が登場。まず1曲目に歌ったミドルバラード「逢い合い傘」は、歌声に可憐さを色濃く出した前田と、キュートさを出しつつ真っ直ぐ歌う鬼頭といった、2人それぞれのボーカルの妙を味わえるものに。そのうえで2人とも切なさや想いの高まりを、曲の起伏に応じて歌声に込めて表現。この日初披露であった楽曲を通じて観客の胸をキュンとさせてくれた。そしてMCでの「Dance Danceできる準備はできてますかー!?(前田)」の前フリに続いたのは、もちろん大反響を生んだポップなダンスチューン「Watch Me」だ。2人はイントロでは左右対称に、サビでは2人揃えてのダンスを見せ、2-Aメロのラップ部分も軽快に乗りこなしていく。歌声を含めてこの曲に欲しいキュートさを散りばめて、2曲を通じて見る者を楽しませてくれた。
と、ここでサプライズコラボ!TVアニメ『推しが武道館いったら死ぬ』(以下、『推し武道』)に登場したChamJamのメンバーでもある石原夏織と立花日菜が、劇中歌「ずっとChamJam」を披露する。このサプライズに沸き返る客席は、メインスクリーンに表示されたコールを響かせる。中央に2人が集まって披露した大サビでは顔を見合わせながらの歌唱となり、エモさも感じさせるステージとなった。