INTERVIEW
2023.04.02
――楽曲の発表順でいくと、続いてはPhoton MaidenとLyrical Lilyによる「妙なる星と」ですが。
紡木 この楽曲は、もう想像の範疇を飛び越えていたといいますか……賛美歌でコラボというのもすごく斬新でしたし、しかも8人みんなが交代しながらメインを歌っていくのかと思いきや、フタを開けたらサビでは咲姫ちゃんが1人で主線を歌っているんですよね。(桜田)美夢ちゃん(CV:反田葉月)がハモリで入ってくれていますし、ほかのメンバーは後ろですごく綺麗なハーモニーを奏でて支えてくださっていて……なんだか「咲姫ちゃん、出世したねぇ!」ってすごくびっくりしましたし(笑)、個人的にも思い入れの深い楽曲になりました。
――ほかの7人が支えてくれているなかで、咲姫がメインを歌っているわけですからね。
紡木 そうなんです! 「こんな贅沢な思いをしていいんですか?」と今でも思っているくらいで(笑)、完成品を聴いて本当に感動しました。でもそれも、皆さんの綺麗なハーモニーがあってこそのものなんですよね。こちらの楽曲は配信されたばかりなので、ぜひぜひ何度でも聴いていただけたら嬉しいです。
――そして、先日の第11話でオンエアされたばかりなのが、Happy Around!とPeaky P-keyの「Peaky Around!!」です。
西尾 二声でお互いに違うメロディラインをハモることって、今までハピアラの楽曲では『First Mix』(TVアニメ第1期)の劇中歌「HONEST -happy a word-」くらいだったんです。だからまたそういうスタイルの曲を歌えたことが嬉しいですし、しかもそれを愛美さんと、(愛本)りんくと(山手)響子ちゃんとして一緒に歌えたことも嬉しかったですね。りんくが響子ちゃんをリスペクトしているのと同じように、私自身も愛美さんをリスペクトしているので。
愛美 ハピアラちゃんが関わってくると、楽曲の世界観がすごく広がるなぁと思っていて。今回も、ピキピキだけでは出せないポジティブな明るさみたいなものが楽曲にすごく乗っているんですよ。おゆちゃん(西尾)とは、「グルミク」(※アプリゲーム「D4DJ Groovy Mix」)でもりんくと響子として「White Macaron」という楽曲をデュエットさせていただきましたが、そのときと同じように世界がすごく暖かく、優しく、包まれる感覚があって、ピキピキ単体では味わえないような楽曲になりましたし、ハモリの部分はすごく好きなポイントになりました!
西尾 レコーディングでは「完成したらどうなるんだろう?」とワクワクドキドキしながら歌っていたのですが、いざ出来上がったらスタッフさんたちからも「声の相性もいいし、すごくいい曲になったね」と言っていただけることが多くて。その反応も含めて「良かった!」って思っています。
愛美 楽曲自体もピキピキチームとハピアラチームが合同で作っていることもあって、まさに2つの世界が素敵に融合した曲になっているしね。「Peaky Around!!」も第11話の放送後から配信が開始しているので、耳を澄ませて誰がどのメロディを歌っているのかを聴きながら楽しんでほしいと思います。
――ここまでコラボソングについてお聞きしてきましたが、続いては6ユニットから1人ずつ代表する形で歌われている『All Mix』のEDテーマ「Around and Around」についても、印象深い部分などをお聞きできますでしょうか?
西尾 まず、一番は曲調ですね。どのユニットもやってこなかったエレクトロスウィングというジャンルの曲なので、最初は「6人曲でこの曲調をやるんだ!」という驚きが強かったんです。すごくかっこいい楽曲になっていますし、それぞれソロパートもあって“どんどん繋いでいる”という感じが「D4DJ」らしいのも素敵ですよね。
加藤 しかも歌っている6人の声の個性が、明るい子からクールな子、かわいい子までまったく違うじゃないですか? なのに完成版を聴いたら、すごく一体感のある楽曲に仕上がっていたので驚きました。
平嶋 私はこの曲、最初は「アイドルの5曲目くらいに出すシングルっぽいなぁ」みたいなイメージがありました。デビューした頃は結構元気でキャッチーな曲が多いですけど、シングルも5作目とかになると大体デビュー3年目に差し掛かるくらいだろうから、みんなの年齢も上がって「ちょっと大人っぽい曲も出してみよっか」みたいになると思うんです(笑)。しかも、一般的にはメジャーな曲ではないけど、ファンの間では超人気曲……みたいなイメージもありましたね。
――そのイメージは、どういうところから湧いてきたんですか?
平嶋 「#D4DJ_DJTIME」(※キャストがDJパフォーマンスを行うライブ/配信イベント)で私がこの曲を流そうとしたら「ほかのキャストさんもみんなかけたがっているので、変えられませんか?」みたいに言われてちょっと落ち込んだくらい(笑)、キャストの間で人気曲になっているのを実感したんですよ。それに、ついステップを踏みたくなるような曲調でもあるので、ライブでやったら絶対盛り上がる必要不可欠な楽曲になりそうな予感がしました。
――その他の皆さんも、お気に入りのポイントはありますか?
愛美 私は元々ハモりが大好きなのですが、この曲は冒頭の“Da da la da…”のところからみんな高低に分かれてハモっているので、そこからもう最高に楽しいんですよ。しかも普段の響子はハモることが少ないので、この楽曲はハモりもかなり気合いを入れて歌わせていただきました。
――好きなだけに、よりこだわりたかったというか。
愛美 そうですね。きっと6人それぞれの声質の良さを活かして録っているとは思うのですが、そのなかで「響子にできる役割はなんだろう?」と考えて、ピキピキ単体の楽曲よりもクセや深みのある部分をより強調しようと意識しながら歌っています。
――以前、Peaky P-keyの楽曲「Deja Boon」のレコーディングでも色んなニュアンスをつけた、といったお話もありましたが、それともまた違った感じに?
愛美 はい。私が歌うときにはすでに何名かレコーディングされていたあとだったので、その歌とのバランスも見ながら「この子はこう歌っているから、私はこう歌おう」みたいな感じで、差別化を図りました。
紡木 今あいみん(愛美)さんが「それぞれの声の良さを活かして録っている」と言ってくださいましたが、私は自分の地声と咲姫ちゃんの声が離れているので、咲姫ちゃんとして歌うことは永遠の課題なんです。しかも全体曲はノリ全開の楽曲が多いので、「咲姫ちゃんの中でMAXの『イエーイ!』とか『フー!』をお願いします」みたいなディレクションに、毎回必死で食らいついていまして(笑)。ただ、今回はアップテンポではありつつ聴かせる部分もある曲ですし、咲姫ちゃんのパートも比較的しっとり歌い上げるような箇所をいただけたので、今回はブレス感を多めに録っていきました。
――Bメロのような高音部のパートでは、咲姫感が出ながらも楽曲にも埋もれず、素敵なバランスの歌声だったように思います。
紡木 良かったです! 咲姫ちゃんらしい上の音域のパートをいただけたので、とても嬉しくて。ほかの皆さまと比べるとパワー感がちょっと落ちちゃったかな……とか考えることは色々ありますけど、出雲咲姫としてのあの歌声が、楽曲の中でいい感じのエッセンスになれていたらいいなと思っています。
西尾 私もレコーディングでは、曲調は気にしつつも、やっぱり6人いるので“りんく感”をどーん!と出していかなくてはと思って。サウンドの中の妖しさも意識しつつ、「パーティでーす!」とか「元気でーす!」みたいな(笑)、跳ねる感じを意識して歌いました。
――おっしゃるようなりんくらしい元気さが、こういった曲調でもはっきり表れていますよね。
西尾 特に、前半を椿ちゃんが歌って後半をりんくが歌う1サビのソロは、それが強く出ていると思います。この2人は、声色はもちろん、歌い方も「歌い上げるタイプ」と「とにかく跳ねて楽しさを出すタイプ」と真逆なので、より個性が際立ってよかったです。
加藤 その部分みたいな跳ね方をする楽曲は、燐舞曲にはあまりないので、「椿として、どう表現しよう?」ということはすごく考えまして。でもそれを突き詰めたことで、この楽曲でもまた新しい椿に出会えたような気持ちになりました。
――そのなかで、今回は特にどんなことを心がけましたか?
加藤 歌詞の内容などを踏まえながら、あまり強く歌いすぎないように、「儚さを演出するには、どの部分で声を裏返したほうがいいかな?」ということを、一番意識して歌っていきました。
――そのサビの部分は、以前のインタビューで燐舞曲をプロデュースする中山雅弘さんも絶賛されていましたね。
加藤 そうなんです。ほかにも色んな方に褒めていただけたことが、すごく印象深くて。だからこそ、より嬉しさを感じた楽曲になりました。
平嶋 少ししっとりしているけれども体が自然と動いてしまうような曲調だし、メロディもすぐに頭に入ってきて覚えやすくて。一度聴いたら頭から離れないしクセになる、「もう1回聴きたい!」って思うような楽曲でもありますよね。なので、私はライブでお客さんがこの曲で踊ってくれている光景を想像しながら歌っていきました。
――その光景が現実になることを期待しているディグラー(※「D4DJ」のファンの呼称)さんも、きっと多いと思います。
平嶋 そうですね。この楽曲の6人だけでステージに上がって歌うことは今までなかったので、ぜひ実現してみたいです。
――ちなみにこの楽曲のエンディングアニメを、そこに登場するキャラクターの担当声優陣が再現した「踊ってみた動画」がYouTubeの公式チャンネルにアップされています。紡木さんも、咲姫の部分の担当で出演されていますよね。
紡木 はい。完成した動画を観たとき、自分でも「あれ? 全然咲姫ちゃんっぽくない」と思いましたし、コメントにも「ただの紡木」という声が結構ありまして(苦笑)。でも、キャラクターが存在しつつ、その中の声優さんが表に出てパフォーマンスもできる二面性を持っているところは、「D4DJ」ならではの素敵なところですよね……と言って、逃げておきます(笑)。
――でも咲姫も、内心では楽しいわけで。
紡木 そうなんですよ。実際、咲姫ちゃんには「ステージ上で二面性が出る」という設定があるので、楽しくなっちゃって弾けている一面が出ている……と思っていただければ幸いです(笑)。