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INTERVIEW

2023.01.14

【連載】Diggin’『D4DJ All Mix』第1回:幕開けを飾った“絶対王者”タッグに迫る!Peaky P-key×上松範康(Elements Garden)スペシャル対談

【連載】Diggin’『D4DJ All Mix』第1回:幕開けを飾った“絶対王者”タッグに迫る!Peaky P-key×上松範康(Elements Garden)スペシャル対談

DJをテーマに、アニメ、ゲーム、ライブなど様々なメディアミックス展開を行うプロジェクト「D4DJ」。そのTVアニメ2期『D4DJ All Mix』が、2023年1月から放送をスタートした。個性豊かな音楽性と魅力を持った6ユニットの活躍が描かれる本アニメを、リスアニ!では連載企画「Diggin’『D4DJ All Mix』」として徹底特集!

連載第1回では、アニメ第1話のラストをスタイリッシュなライブで鮮烈に飾った、“絶対王者”と呼ばれる高校生4人によるDJユニット・Peaky P-key(通称:ピキピキ)のキャストより、愛美(山手響子役)、高木美佑(犬寄しのぶ役)、倉知玲鳳(清水絵空役)と、同ユニットの音楽プロデューサーを務める音楽家・上松範康(Elements Garden)との対談を敢行。同ライブで初披露された新曲「OVERWHELM!」についてはもちろん、ユニットのこれまでとこれからについても存分に語ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY 須永兼次

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【連載】Diggin’『D4DJ All Mix』――「D4DJ」TVアニメ第2期を徹底特集!

共に歩み積み上げてきた約3年、ほかのユニットにはない“特別な距離感”

――最初に上松さんに、音楽プロデューサーとして見守り続けてきたPeaky P-keyのライブや音源などを通じた成長が、今どのように見えているかお聞きしたいのですが。

上松範康 いや、もう成長を感じるところばかりです!まずは愛美さんの演技の深み。「D4DJ」以前に自分が聞いていた「BanG Dream!(バンドリ!)」の戸山香澄とはまた印象が違って、かっこいい系のちょっと太めな声質で演技をしている。なおかつ歌の深みもあるし、キャラクターの理解度が深くなっていくと共に、歌声がさらに曲にマッチしていって……「まさにPeaky P-key!」という歌がしっかりと確立されていくなかで、すごさを感じました。そんな愛美さんを支える3人も、Peaky P-keyの“「D4DJ」の中での王者”らしいオーラがちゃんと出てきているのもすごいですよね。最初はライブパフォーマンスに戸惑いも少し見えていましたが、そこから愛美さんを中心にだんだんとみんなで合わせられるようになって、今では王者らしいオーラが出ている。あと……メンバー以外の話もいいですか?

上松範康(Elements Garden)

上松範康(Elements Garden)

――ぜひ、お願いします。

上松 自分は基本、音楽を作るうえでの質を確認する関わり方なので、ライブの制作で意見することはほぼないんです。そんななかでも、ブシロードミュージックの皆さんの理解度が高くて、照明やライブ演出のこだわりがすごい。そして自分が主宰しているElements Garden所属の竹田祐介も含めて、みんながPeaky P-keyのサウンドを完成させるのに欠かせない1つのチームとして成熟してきた。自分はそんなみんなの様子を見守りながら「いいなあ」と思っています(笑)。

――逆にメンバーの皆さんは、ピキピキ楽曲の魅力はどういうところにあると感じられていますか?

愛美 私は「全世代に刺さるサウンド」です!現代っぽさがありながらも、昔ながらの“王道のアニソン”感もしっかりあって。しかも色んなジャンルを取り入れて、すごく攻めているので、幅広いユーザーにも刺さるし……沼が深いユニットだなぁと思っています(笑)。

高木美佑 その“全世代に刺さる”という意味も含めて、私は「フェスに強いユニット」だと思うんですよ。久々の声出しのライブだった“ブシロード15周年記念ライブ”(2022年11月13日に開催された“ブシロード15周年記念ライブ in ベルーナドーム”)でも、はじめましての方もたくさんいたはずなのに、「電乱★カウントダウン」でみんながバッチリ一緒にカウントダウンをしてくださって。元々曲を知らなかった人でも、すぐにノレてしまうわかりやすさにも魅力があるのかなと思っています。

倉知玲鳳 確かに!ライブのとき、ノリ方がわからなくなる曲がないのがすごいですよね。しっとりした曲でもリズムを取りやすいサウンド感で作ってくださっているので、お客さんはもちろん私たちも「どうリズムを取ってパフォーマンスしたらいいんだろう?」となったことがないんです

上松 それはほぼ竹田の仕事なんです!自分は編曲をしていなくて、彼がアレンジで最終的にピキピキらしいサウンドを完成させてくれているので。あと、「ピキピキは最強なんで!」みたいな言葉で、良い曲が書けるようにノセてくれるブシロードミュージックさんも上手くて。

愛美 その竹田さんも含めて、Elements Gardenの皆さんはオタク心をわかりすぎている気がしていて。それはやっぱり、研究の賜物なんでしょうか?

上松 はい。DJを題材にした作品となると、どうしても“今っぽさ”ばかりが注目されて、“アニソンらしさ”が置き去りになってしまう危険性もあるじゃないですか。その“アニソンらしさ”を押さえるために、自分に声をかけてくださったんだろうなと感じていたので、そういうアプローチをしています。

――今お話に出た“ブシロード15周年ライブ”では、全曲トロッコに乗ってのパフォーマンスという接近戦を通じて、観客を巻き込んでいったような印象がありました。

愛美 実はそのライブでは、Elements Gardenさんにかなりわがままを聞いていただいたんです。

高木 そうなんです!そもそもあのライブでは、最初はトロッコではなくて他のユニットと同じようにセンターステージに立つことになっていたんです。なので当初はダンス曲も入れてセットリストを構成する予定だったんですけど……。

愛美 それが途中で声出しOKのライブに決まったので、セトリを「声出しで一緒に盛り上がることができる曲」を中心のものに、結構ガラッと変えたんですよ。

高木 それでミックスや繋ぎを調整していただいて。

倉知 タイミング的には、本番まで2週間切ってたぐらいでしたよね。

上松 そこは竹田が頑張ってくれました(笑)。

愛美 それも、積み重ねの絆とチームワークがあったからできたことですよね。

――まさに、チームとしての成熟あればこそというか。

愛美 でも、上松さんの立ち位置は、ほかの「D4DJ」のユニットのプロデューサーとは全然違いますよね。なかには密に連絡を取り合っているユニットもあるらしいんですけど、ピキピキは見守り型というか。

上松 そうだね。自分は誰か1人がリーダーシップを取るよりも、1人1人が活躍しやすいようなチーム作りを心がけているので。やはり時代というのは若い人が作っていくものだと思っているんです。だから、さっきからキーワード的に名前を出している竹田をチームの中心にして、自分は少し後ろで見守るようなプロデュースの仕方を、最初から思い描いていました。

愛美 上松さんも要所要所でアドバイスや感想をくださったり、色々なお話を聞いてくださっていて。でも、「あとは自由にやっておいで」と送り出してくれるんです。

上松 自分は仲良しすぎるよりも、あまり顔を合わせないほうが、“真剣勝負”みたいになるので好きなんですよね。だから歌のレコーディングにもあまり立ち会わないようにしています。雑談とかを通じて、馴れ合ってしまいそうなので。それよりも、みんなでプロとプロの共鳴みたいなものを作る仕事をしたいと思っています。

ミラクルが生んだ!? 新曲「OVERWHELM!」の方向性を決めた出来事

――では、ここからは『D4DJ All Mix』第1話のライブシーンで披露された新曲「OVERWHELM!」についてお聞きしていきます。まずこの曲は、上松さんにはどんなオーダーがあったのでしょうか?

上松 最初に第1話の挿入歌と聞いたので、総監督の水島(精二)さんがどんな意図を持っているのかを知りたくて打ち合わせをさせてもらったのですが、そのときに「1年を通じた町おこしイベントのトップを飾るライブの新曲」や「“新年”“新たな決意”“前進”を、明るく情熱的なメッセージとして観客に届ける」といったオーダーをいただきました。その後、水島さんと飲む機会があったのですが、そのお店でラテンの音楽が流れていて、「そういえばラテン音楽はどこのユニットも取り入れていないなぁ」とハッと気づいて、「このジャンル、Peaky P-keyで押さえていいですか?」と提案したんです(笑)。

倉知 えー! そうだったんですか!?

上松 そうそう。ラテン音楽はメロディがキャッチーだし、音楽の歴史的にもラテンミュージックを歌謡曲に取り入れる文化があるから、実は日本人には意外と耳馴染みがあったりする。しかも「6ユニットの中で一番実力を持つPeaky P-keyが、イベントのテーマを方向づける楽曲を披露することになります!」みたいにすごく期待されてもいたので(笑)、「これまでにやってきたものとは違うジャンルだけど、キャッチーですごいことをやりたい!」と思って、やらせていただきました。

――メンバーの皆さんは楽曲を最初に聴いたとき、どんな印象がありました?

愛美 まず英語の歌始まりを聴いて、「どえらいのがきたな」と思いました(笑)。ピキピキの曲には毎回驚くような仕掛けがあるので、新曲をいただくたびに「どんなチャレンジが待っているんだろう?」と緊張するんですよ。この間も、みんなでハモった曲があったよね?

高木 「響乱☆カウントダウン」?

愛美 そう。でも、最初の頃よりは(山手)響子ちゃんとしてドヤ顔で歌えるようになったので、「今回はどんなドヤ顔で歌おうかな?」と楽しみにもなりました。

上松 そうやって楽しんでもらっているのはもちろん、「王者であることにかまけていない」というキャラクター設定に沿った緊張感は、役者の皆さんにも感じてほしいことなので、本当に嬉しい言葉です。

――ちなみに、本日の取材に参加できなかった笹子・ジェニファー・由香役の小泉萌香さんからも、新曲についてコメントをいただきましたので紹介します。「実際のライブでは嬉しいことに、大トリや後半を任せていただけることが多いのですが、「OVERWHELM!」が第1話で使われたときみたいに、オープニングアクトのように一発目にガツンと魅せてくるのもカッコいいなと思いました」とのことです。

上松 やはり今回は第1話を任せられたということで、この後に新曲を披露するユニットたちに「ヤバい!どうしよう?」と思ってみんなで高めあってもらえるような曲にしたかったんですよ。なので、この曲に触発されてくれていたら嬉しいですね。

愛美 歌始まりの曲なので、ざわついていた会場を歌で掴んで一気に「あっ、ライブだ!」という気持ちにさせてくれる曲でもありますよね。だから、今後私たちがライブをするときにも、セトリのどこに置くのかがすごく重要な曲になりそうな気がしています。

上松 さっき言っていた英語詞のところ以外に、この曲を歌って苦労したところはある?

愛美 Aメロで自分以外のみんながメインパートを歌っているときに、裏で響子が“Stand up!”と声を伸ばしているところです。実は意外とここのキーが、響子の歌的には頑張りポイントなんですよ。

高木 え、そうなんですか?

愛美 でも逆に、この辺りの音域は今までのPeaky P-keyの歌で鍛えられたポイントでもあるんです。これまでなら少しつまずいていたかもしれないところを、少ないテイクで響子として歌えるようになったうえに、メインを歌うみんなの邪魔にならないよう「難なく歌ってますよ」みたいな感じで歌えるようになったことは、すごく嬉しかったですね。無理して出した感じの音だと、耳障りになって気になってしまうと思うので。

高木 そのAメロはそれぞれのパートが短めなんですけど、その中でもキャラクターらしさはパチンとハマるようにしたいんですよね。私、(犬寄)しのぶちゃんの声は自分の普段の声よりも低い位置でやっているんですけど、そのしのぶのキーにはすごく合っている曲なんです。だからAメロでは、ちゃんとした音圧でパチっとハメられるように頑張りました。

上松 短いパートのほうが楽に思われがちだけど、逆に緊張するよね。

高木 はい!そっちのほうが難しいです。

倉知 そのキャラクター性を表現するお話だと……「OVERWHELM!」はフラメンコギターが入っていて、華やかさもあって、結構濃い楽曲だと思うんです。だからそのアレンジにも負けないよう、今回は割と強めに歌っているかもしれません。

――例えばどういう部分に違いを出されたんですか?

倉知 私は(清水)絵空ちゃんとして歌う場合、母音を少し抜くというか、子音を強めにすることが多いんです。例えば“信じていこう”の“し”とか“進むだけ”の“す”がそれに当たるのですが、この楽曲ではさっき美佑ちゃんが言っていた「パキッと感」を出したほうがいいと思ったので、絵空ちゃんにしては割と母音をしっかり出しています。

上松 母音・子音の細かいコントロールまで意識して、1つ1つのフレーズを表現しているってことだよね……尊敬します!

倉知 いえいえ!ただ、私はこの楽曲は結構難しく感じまして。サビのメロディが細かく動いているので、練習段階から大変だったんです。でも「これを歌えたら、絶対かっこいいなぁ」と思いながら、練習しました。

高木 でも、私はレコーディング順が3番目か4番目だったのですが、まだミックス前の歌声なのに「みんなのユニゾン、今回すごくきれいだなぁ!」と思いました。サビはキーも高めだったりするのに……。

上松 進化を感じたんだ。

高木 はい。あと「これはみんなの気持ちが1つになっているのかも!」とも思って、それも嬉しかったです。

上松 そのユニゾンの一体感は、自分も「これまでの最高を超えてきたな!」と思ったんですよ。今回は歌がすごくかっこいい!

愛美高木倉知 嬉しい!

上松 歌声の入った音源を聴いたときに、とにかくみんなの歌での表現の素晴らしさを感じたんですよね。さっき話に出た愛美さんの歌い出しはもちろん、オケが強い曲にみんなの表現が勝ってきているのが、すごく嬉しい!「これからは音数を減らしていきたいな」という気持ちさえ湧きました。音数を減らすことでサウンドの輪郭がよりはっきりすると思うから。

愛美 えー!? もっといっぱいください!(笑)。

上松 そう思えたのは、みんなの歌の信頼度が、スタート時点の頃よりすごく上がってきているから。今後は「みんなの歌をもっと立たせるために自分たちはどうするか?」という、ピキピキの新しいステージを見据えた仕事をしなければいけないと考えています。

次ページ:メンバーとプロデューサーが、今後ピキピキで挑戦したい楽曲とは?

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