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INTERVIEW

2022.12.29

【対談】にじさんじ・叶が2ndミニアルバム『夜明かし』で魅せた新たな表現、サウンドプロデューサー・yuxuki wagaが語る叶の魅力とは?

【対談】にじさんじ・叶が2ndミニアルバム『夜明かし』で魅せた新たな表現、サウンドプロデューサー・yuxuki wagaが語る叶の魅力とは?

初作詞で見せた言葉のセンス

――そして叶さんが作詞した「惜別」ですが、これは曲があって作詞をしたという感じですか?

 そうですね。曲先でした。

――ではどんなイメージで作曲・編曲のKijibato(Dream Monster)さんには発注されたんでしょうか?

yuxuki waga この曲も夜中の12時、1時くらいのイメージで、ジャンル的には2ステップにしてほしいとオーダーしました。深夜の曲なのでクラブミュージックがいいのかなと思ったんですけど、普通の4つ打ちだと面白くないし、2ステップやUKガラージなら夜のイメージにピッタリなので。Kijibatoさんはクラブ文化にも理解がある方なので、それを踏まえてお願いしました。

――そういう曲に叶さんはどんな歌詞をつけようと思われたのですか?

 ぶっちゃけると、あまり歌詞のテーマを考えるときに曲調は気にしませんでした。すごいハッピーな雰囲気の曲なのに歌詞はめっちゃ暗いというようなギャップもすごく好きなので、まず自分の中でテーマを決めてから曲に合うように寄せていく感じで書いていきました。

――ではどんなテーマで作詞されたのですか?

 最初は親鳥が雛鳥に餌をあげる行為をテーマにしていたんですけど、気付いたら違うテーマになってましたね。もう少し感情的なテーマに寄っていったんですが、そこが作詞して面白いなと思ったところでもありましたね。最初のテーマとは違うんですけど、歌詞を書いていて芽生えた気持ちに対するアンサーみたいな感じでどんどん進んでいきました。

――歌詞に書かれている内容をそのまま受け取るとかなりディープな内容で、愛や人の感情に絶対はないという部分と、その変化すらも楽しんでるような雰囲気が感じられました。

 おっしゃる通りで、僕らは(ライバーの)活動をしていくと「変わったよね」って言われることが結構あるんですね。でも、例えば親と子ども、先生と生徒みたいに、与える者と与えられる者という関係でスタートしたとしても、お互いの感情は時が経つにつれてどんどんすれ違っていくと思うんです。親が思う幸せの形と子どもが思う幸せの形も、きっとどこかですれ違うはずで。それが俗にいう「変わった」ということなのかなと思いながら、この曲の歌詞を書いていましたね。

――“愛し愛され刺し違えて”なんて、ドキッとするフレーズもありますね。叶さんは作詞家としても世界観のある歌詞を書かれる方なんだなという印象を受けました。

yuxuki waga 言葉のセンスが良いんですよね。ちゃんと文字としてもパンチがあるし、歌ってもかっこいいし。これは勉強して出てくるものではないので、持って生まれたものなのかなって。

――しかも歌も良いんですよね。

yuxuki waga これは聞いてみたかったんだけど、自分で作詞したほうが歌いやすかった?

 ほかの曲よりも理解は深かったですね。情景が浮かびやすくて、練習量に対しての理解量がすっと入りやすかったです。

yuxuki waga また機会があれば、ぜひ作詞をお願いします(笑)。

――次の曲「声を聴かせて」は和賀さんの作曲・編曲ですが、どういうイメージで作られたのですか?

yuxuki waga 今年の夏に“Aim Higher”というにじさんじのライブがあったんですけど(2022年7月27日、ぴあアリーナMM)、そこで叶くんのステージを観たときに、刹那感というか儚さというか、そういうエモーショナルさがある人なんだなというのをすごく感じて、その勢いとテンションで作った曲です。当たり前だと思っていた止まっていたときが動き出す、「ずっとこのままじゃないよね」という刹那感を表現したら面白いのかなって。夜の2~3時は物思いにふける時間帯だから、そんな心境を曲順で表現している感じです。

――その刹那感がエモーショナルな曲調で表現されているから、聴いていて本当にエモくなりますね。

yuxuki waga 自分で聴いていてもエモくなります(笑)。歌がほかの曲よりも若干、儚げなのがいいですね。

――叶さんはこの曲をどのように受け止めて表現しようと思われたのですか?

 この曲は今までの雰囲気とは打って変わって、ちょっと寂しさを感じつつ、それでも大丈夫だよという、慰めるような気持ちで歌いましたね。

――叶さん自身は、和賀さんがおっしゃったような刹那感を自分の要素として意識することはありますか?

 要素、というとわからないですけど、僕は刹那的という意味では、もし活動を辞めるようなことがあったとしたら、「明日辞めます」とかは言わないで、終わりはパッと終わりたいなと思っているんです。どんなことでもいつか終わりはくるから、そういうことも考えちゃうじゃないですか。だから、後よりも今を大事にしたいという気持ちはすごい強いので、刹那的な印象というのはそういうところなのかなぁという気がしますね。

――これはこじつけかもしれないですけど、前作のインタビューで「花は咲いて枯れるところが好き」とおっしゃっていたこととも繋がってくるのかなと思いました。

 そうですね。それも花であるか人であるかの違いはあるけれど同じ思想です。

次回作ではギターに挑戦!?

――最後の「水性のマーブル」は夜明けに位置する曲なのかなと思いますが、チルな感じがありますね。

yuxuki waga そうですね。ギリギリ太陽が出てない、外がまだ暗い夜明け前のイメージ。テーマは出発、もしくは“開戦前夜”という感じで、今作は2枚目のアルバムでもあるので、アーティストとしての叶と、普段の配信者をやっている叶、色んな叶が並行しているんだけど、混ざりきらない感じが“マーブル”ということですかね。色んな自分がいるなかであえて主体的に歌うというのが、この曲で表現できたらいいのかなぁと。「夜明かし」という夜を一緒に過ごしたリスナーと、夜明けを迎えようという曲です。

――叶さんはこの曲でどんなことを表現したかったのですか?

 この曲は割とお任せした部分も多いのですが、曲を聴いてからはこのアルバムの中でも特に好きな曲になりました。マーブル柄ってそれまであまり注目したことがなかったんですけど、歌っていて情景がイメージしやすかったですね。

――この曲も歌詞が良くて、最後には“この夜が明けてゆく”というタイトル回収があって上手いなという印象でした。

yuxuki waga その最後の最後の瞬間に、リバーブが全部消えるんですよね。それが夜が明けた感があってすごく良いですね。あれはエンジニアさんの粋な計らいなんですけど。歌詞は今回初めてやぎぬま(かな)さんにお願いしたのですが、面白い視点で書いてくれたので、時間軸が違う感じが出たのかなと思います。

――さて、今回のアルバムはどんな作品になったと思いますか?

 僕は自分が歌で表現してきたなかでは、一番良くできたんじゃないかなと思っています。すべての曲に対して僕が共感できることや感じられることがすごく多くて、自分が出すアルバムとしては、これが正解の形に一番近いんじゃないかなという印象がありますね。

yuxuki waga 僕も最初に思い描いたように、叶くんらしさを上手く表現できたのではないかなと思っています。色んな叶くんを表現したかったし、それをリスナーが「叶くんってこうじゃないよね」と思わないようにしたかったんですよ。「そうそう、これが叶くんだよね」というふうになる曲であり、しかもパンチのある楽曲が揃ったので、自分的にはとても自信を持って出せる、良い作品に仕上がったと思ってます。

――今後、和賀さんが叶さんに期待することはなんですか?

yuxuki waga 今回、作詞も含めて色んな新しい面を見ることができたんですが、叶くんの視点がすごく良いんですよね。制作陣にない視点から発言してくれたりするので、その良さを自分ももっと引き出して、濃い作品を作っていけたらいいなと思っています。一緒にいると、叶くんにしかないような強味が見えてくるので、それを上手くパッケージングしたいなって。「俺の知ってる叶はこんなにすごいんだぜ」というところをぜひ(笑)。それは叶くんのリスナーさんにも喜んでもらえると思うし、叶くんの魅力をもっともっと広げられたらいいなと思っているので、まだ知らない人にも届けられる形でやっていきたいですね。叶くんはそれができる人だと思うので、一緒に頑張れたらいいなと思っています。

 頑張ります!本当にありがとうございます。

――逆に叶さんが和賀さんとしてみたいことってありますか?

 和賀さんはめちゃめちゃ新しいことを提案してくれるんですよ。和賀さんとアコギを買いに行ったので、来年、再来年……いつか少しでも弾けることができたらいいのかなと思っているんですけど、現状ではまだ難しいかもしれないですね(笑)。

yuxuki waga じゃあ、次か、次の次の作品で叶くんが弾いた音を入れましょうか(笑)。

 でも、こうやってちょっと話しておくと、すぐ大人たちに囲まれて想定より早くやることになっちゃうんですよ(笑)。

yuxuki waga ギターならいくらでも教えますよ(笑)。

 精進します(笑)。


●リリース情報
叶 2nd mini album
『夜明かし』
発売中

■mora
通常/配信リンクはこちら
ハイレゾ/配信リンクはこちら

【初回限定盤(CD+グッズ)】

価格:¥2,970(税込)
品番:LACA-35030

【通常盤(CD)】

価格:¥2,310(税込)
品番:LACA-25030

<収録内容>
1.セイテイノア
作詞:Cocoro.(Dream Monster) 作曲・編曲:eba
2.Midnight Showcase
作詞・作曲・編曲:かめりあ(Camellia)
3.K/D Dance Hall
作詞:烏屋茶房 作曲:丸⼭真由⼦編曲:⽇⽐野裕史, 清⽔武仁
4.惜別
作詞:叶 作曲・編曲:Kijibato(Dream Monster)
5.声を聴かせて
作詞:Cocoro.(Dream Monster) 作曲・編曲:yuxuki waga
6.⽔性のマーブル
作詞:やぎぬまかな 作曲・編曲:佐藤厚仁(Dream Monster)
※7~12は各曲のinstrumental を収録

<初回限定盤・通常盤共通:初回生産分のみ>
・ランダムでトレーディングカード1枚が封入(初回限定盤ジャケットイラスト・通常盤ジャケットイラストの2種+左記に本人の複製直筆コメントが入った2種の合計4種類)

・叶 1st Concert「午前0時の向こう側」
叶 2nd mini album「夜明かし」シリアル封入先行抽選受付 チラシ封入

・叶 2nd mini album発売記念オンラインおしゃべり会 抽選応募シリアル封入
開催日:2023年2月5日(日)
配信プラットフォーム:WithLIVE
応募期間:2022年12月20日(火)10:00~2023年1月15日(日)23:59

●ライブ情報
叶1st Concert「午前0時の向こう側」

会場:グランキューブ大阪 メインホール
日時:2023年3月16日(木) OPEN/17:00 START/18:00
出演:叶

イベントHP:https://event.nijisanji.app/kanae_1stconcert
席種:全席指定¥9,900(無線制御ペンライト付き)
受付期間:2022年12月21日(水)12:00 ~ 2023年1月15日(日)23:59

●fhánaライブ情報
イベント名:fhána New Year Live 2023 あけおめの集い
開催日:2023年1月26日(木)

開場:18:30 開演:19:00
会場:渋谷PLEASURE PLEASURE
出演:fhána
HP :http://fhana.jp/blog/?p=5251
チケット:¥6,500(全席指定)※入場時ドリンク代別途必要

イベント名:fhána Cipher Live Tour 2022 名古屋公演 振替公演
開催日:2023年1月29日(日)

<1部> 開場 14:00 / 開演 15:00
<2部> 開場 17:00 / 開演 18:00
会場:名古屋ReNY limited
出演:fhána
HP :http://fhana.jp/blog/?p=5220
チケット:¥6,500(全席自由)※入場時ドリンク代別途必要

●アルバム情報
fhána
『Cipher』
発売中

【初回限定盤(CD+Blu-ray)】

価格:¥5,280(税込)
品番:LACA-35946
https://www.lantis.jp/release-item/LACA-35946.html

【通常盤】

価格:¥3,300(税込)
品番:LACA-15946
https://www.lantis.jp/release-item/LACA-15946.html

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