INTERVIEW
2021.12.27
シンガーからクリエイターなど、アニメにまつわる才能を幅広く求めるオーディション「Smile Group presents アニメ音楽のこと!マッチング・オーディション2021 supported by リスアニ!」。その審査員に話を伺う連続インタビュー、第5回は2000年代から数々のアーティスト、声優に楽曲提供し、現在もArgonavis(ARGONAVIS(アルゴナビス) from BanG Dream!)の楽曲などで活躍する渡辺拓也が登場。10代からバンドを始め、そこからクリエイターとして活躍する彼が見るアニソンシーンのクリエイティビティの現在地、そこで求められる人材について話を聞いた。
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――まずは拓也さんの音楽キャリアをお伺いします。音楽を始めたきっかけは、学生時代のバンド活動からなんですよね?
渡辺拓也 中3の文化祭で「バンドを組もう」と思い音楽を始めました。そのとき僕はボーカルをしていて、そこから高校でも軽音楽部に入ったのですが、そのときもボーカルでしたね。そのバンドは19歳ぐらいまで活動していたんですけど、それが解散して、次はギターで女性ボーカリストとユニットを組んで、そこでアニソンタイアップでCDも出したんですけど、そのあとにギターボーカルでバンドを組みながら並行して作家活動も始めました。
――中学生のときは、どんなバンドをコピーしていましたか?
渡辺 コピーしていたのはLUNA SEAでしたね。中学のときに流行っていたので「LUNA SEAやろうぜ」って(笑)。僕は元々スポーツマンで、そのときはバンド組む予定はなかったんですけど、「ボーカルやってくれない?」って言われて。
――そうした音楽活動を経て、2000年代には多くのアーティストに楽曲を提供するクリエイターとして活動していましたが、そうしたアニソンや声優さんへの楽曲をするのはどのような経緯があったんですか?
渡辺 出会った方々に導かれていった、という部分はありますね。出会った方がアニソンを作る方であったりディレクターであったりしたので、その方に求められる曲を出していき、そのアウトプットがアニメだったり声優アーティストだったというのが、2000年代の主な活動でした。
――2000年代の拓也さんの楽曲といえば、小野大輔さんや伊藤かな恵さんといった、バンドものからフォーキーなもの、あるいはシンガーソングライター然とした楽曲が印象に残ります。当時、楽曲提供をされるときに気をつけていたことはなんでしたか?
渡辺 ありがたいことにアーティスト本人から気に入っていただくことが多くて。僕はそんなに1人のアーティストにたくさんの引き出しを出すタイプではなくて、「一緒にやるならこれだよね」って決めていくタイプなんです。そこがハマっていったときに、ずっと繋がる仕事になるんですよね。
――アーティストに合わせるというより、自分の楽曲のチャームにフィットするアーティストと長くタッグを組むというか。
渡辺 自分のテリトリーに引き込んでいくみたいな。
――その一方で拓也さんはアーティストのライブでもバンド参加されていますよね。
渡辺 最近は少しライブの仕事は抑えているんですけど、小野大輔さんや伊藤かな恵さんとか、がっつり1枚アルバムを作った方のライブにギタリストとして出始めたのが最初ですね。そうしたなかで知り合ったミュージシャン、それこそ黒須(克彦)さんがバンマスでやられている三森すずこさんのライブにも呼んでいただけるようになって、自分が編曲していないアーティストにも参加させていただくようになりました。最近は自分ががっつり関わったアーティストや本人からオファーがあった場合はやらせていただく感じですね。
――さて、今回開催中の「Smile Group presents アニメ音楽のこと!マッチング・オーディション2021」ですが、拓也さんはオーディション経験はありますか?
渡辺 高校で組んでいたバンドのときに「TEENS’ MUSIC FESTIVAL」というコンテストがあって、それに応募してグランプリを獲りました。高校生限定の大会でしたけどね。10代で音楽をやっていたら一度出ておこうと……当時の目立った大会というと「TEENS’ MUSIC FESTIVAL」で、今でいう「閃光ライオット」などはまだなかったんですけどね。
――そうしたオーディションで心がけたことはなんでしたか?
渡辺 高2の夏休みだったんですけど、毎日空き教室を使って9時から16時くらいまで、部活なので自由に練習できたんですよね。とりあえずオーディションでやる曲を100回くらいやろうと。正の字を書いていった記憶はあるんですけど、3日目くらいで「これ意味ないね」って(笑)。もうちょっと話し合いながらやらないと、って勉強になりました。100本ノックみたいで、良い青春の思い出ですけどね。
――そんな拓也さんが審査員として参加される「Smile Group presents アニメ音楽のこと!マッチング・オーディション2021」ですが、最初にオーディションのことを聞いたときの印象はいかがでしたか?
渡辺 僕個人としても常に新しいボーカリストを探していたので、良い出会いがあると嬉しいなと思いました。
――そうしたなかで拓也さんと同じくクリエイター志望の方たちのどんなところを見ていきたいですか?
渡辺 クリエイターだったら、その母体に何がある人なのかなというのは一番見ますね。音楽ジャンルでもいいですし、楽器とか、この人はギタリストなのかDJなのかなとか、アニソンが好きなのかな、ロックが好きなのかな……とか、まだ楽曲が甘くても、そういうところから「あ、この人良いかも」と思うことはありますよね。
――応募した曲の内容もあるけれど、まずはその人のバックグラウンドが見たいと。
渡辺 DTMがここまで根づいているので、バックグラウンドがなくても曲を作れちゃうんですよね。それでDTMerです!ってくらい作り込めることができればバックグラウンドがなくても面白いんですけど、そこまで到達できるのは一握りですし。であれば、ずっとギターをやってきた人とか、何か見えるものがあれば後々仕事にもなっていくだろうし、実際残っている人たちはそういう人だと思うんです。
――やはり技術の一方で何か光るものを見たいと。
渡辺 例えば自分が一発コード弾いたら、「あ、渡辺っぽいね」というのは意識していますし、発注する側もそういうのが好きな人が多くて、そういう方と繋がっていくことが大事なのかなと思います。ただ、それだとハマらないところにはハマらないですが、最初はそのほうがいいのかなって。
――そうした光るものがあって、それが後々の仕事に繋がっていくと。
渡辺 例えばとある案件でも「お試しで」と指名がくることがあるんですけど、そこで自分の色を出して、次があるかないか……という形で1つ1つの精度を高めていくのがいいと思いますね。
――たしかにDTMが普及して、楽曲を作る環境が整っているだけに、そこから突き抜けるものが必要だと。
渡辺 グラフで見たときに、1つ飛び抜けているほうがいいと思います。全部のグラフが高いのもいいと思いますが、そのままだと最後まで残れる人にならないんじゃないかなと。そこから「最後はどれでいくの?」っていうのがわかりやすいと、ディレクター側もアーティスト側も、選ぶ側が選びやすいと思います。グラフは大きいほうがいいですが、どこか飛び抜けているほうがいい。
――それが最終的に自分の武器になると。でもそれを早い段階から見つけられる人がいるかどうか……。
渡辺 そうですね。まずは何が好きかでいいと思うんですけどね。好きなものを伸ばしていけば。
――そうしたクリエイター志望の一方で、応募のなかにはバンド部門というのもありますね。
渡辺 楽しみですよね。アニソンでやっていきたいっていうバンドがどういう音を鳴らしているのか、そういう人たちって戦略があるバンドの子たちなのかなっていうところは気になります。ライブハウスで「ゼロからやっていくぞ」みたいなバンドで最終目的はアニソン!っていう人たちがいたりしたら、それも面白いなと思います。
――それこそ拓也さんが作編曲しているArgonavisのような。
渡辺 彼らはまさにそういう物語ですからね。リアル・Argonavisみたいなバンドが出てきたら面白いかな。どんな順番でもいいと思うんですよ。それこそ「アニソンをやりたいからバンドやる」っていう人たちがいてもいいのかなって。