INTERVIEW
2021.12.06
――そんななかで、今回のオーディションで作詞家を目指している人たちの、どんなところが見たいと思っていますか?
PA-NON 内容はともかく、丁寧に作っているものは伝わると思うので、私はそこの部分を拝見したいですね。気ままに自分勝手にというのが許されないお仕事なので、誰かに寄り添うこと。作詞ってオーダーメイドのお洋服とか肖像画と同じだと思っていて、ちゃんと相手を見ないとだめな職業だと思うんですよね。自分がこう書きたいからとか、私の感情はこうだから、私はこう思うっていうのだけだと作品にもアーティストに寄り添えないので、己というのものはちょっと置いておいて…。自分で歌うのではなく提供するのなら、相手の発注に合わせる必要があるんです。なので、ちゃんと見ながらスケッチしてねっていう。
――なるほど、提出作品にもテーマを設けて書いたほうがいいと。
PA-NON 例えば十代のアイドルに向けて書きましたとか、何かテーマを設けるのはいいことかなと。大きなお題の中でやるんじゃなくて、ターゲットを決めてもらえると私たちもそういう歌詞だと思って見られますし、自分でちょっとだけ”柵”を作るのはアリだと思います。
――そうした柵、いわゆる発注に忠実なものができているかが大事だと。
PA-NON 課題があったときに「この人はどうアプローチするんだろう」っていうのが伝わるとわかりやすい。「このテーマだとこういったことができます」っていうのがわかるというか。それと、何もないところから書くよりきっと書きやすいですよね、設計図があったほうが。真っ白な紙にいきなりひと筆書きで書き始めるよりはいいんじゃないかな、自分も助かるんじゃないかなって。
――そこで自分を出すのではなく、いかに自分以外のイマジネーションが上手く出せるかというのも重要なわけですね。
PA-NON 作詞家の面白いところは何者にもなれるところですよね。お芝居だと私が大人の男性になったり、年齢のかけ離れた人にはなれないけれど、作詞はなれるんです。想像したり調べたりして理解できれば、赤ちゃんの歌もおじいちゃんの歌も書ける。そうすると自然と使う語彙も変わってきますよね。
――PA-NONさんが作詞家講座で、あるいはプロとして活動していくなかで学んだ、作詞でこうしたほうがいいということはありますか?
PA-NON まず受け止めてくださる方がいることを考える、ということですね。私は現在、講師の仕事もしているんですけど、そこの部分を最初にお伝えします。自己主張の手段としての作詞だと、何を書いても自分の色が強くなってしまって、歌い手に対してどうしても入っていけないところが作品に表れてしまう。自分を大事に思うことってそれはそれで大切ですが、コンペで選ばれるという観点のみで考えると、求めていたのはコレだ!と喜んでいただけるように、やっぱり受け取ってくださる相手を第一に考えるのが良いんじゃないかなって。
――楽曲によっては、自分を出さないことも必要であると。
PA-NON 例えば、キャラソン想定で作詞をするときに、相手のことを考えている人は作品をきちんと解釈していたり、しっかりと相手の立場に立ち、キャラの語尾をちゃんと守っていたりするんですよね。それを資料から見つけ出せている。でもそれが自分本意になると、ご自身の言葉になってしまうんです。それってキャラソンとしてはよくないですよね。そのキャラクターの言葉じゃなくなっちゃうから。
――自分の考えではなく、あくまで歌う人やキャラクターのこと第一に考えると。
PA-NON はい。主人公がいた場合、自分として描かないでちゃんと主人公を立てて書く。シンガーソングライターさんはいいんです。でも誰かに曲提供したり、アニメ作品の歌詞を書くなら、その主人公だったらどういう感情で動くかなって。だから、時には私は思ってもいないことも歌詞に書きます。「ピンチはチャンスなんだ」っていうフレーズを何回も書いてきていますけど、私にとっては「ピンチはピンチ」なんですよ(笑)。でもこのキャラクターがそう言うだろうと思ったなら「ピンチはチャンス」って書きます。
――なるほど……。応募者の方の個性も大事だけど、どんなテーマで書くのか、そして誰が思って歌うのかを考えて書くというのは、それよりも重要なことなんですね。
PA-NON 個性が大事なこともありますよね。でも個性というものは、削いでも削いでも削いでも出てくるもので、それこそ“柵”を設けてもわかる、という考え方です。それが本当の個性だと思っています。
――誰かに提供するもののなかでも、その人の良さは必ず見えてくるわけですね。さて、このオーディションでは作詞家以外にもシンガーや作曲、編曲、バンドなど多岐にわたる募集をしています。今後PA-NONさんと仕事をするシンガーや作曲家たちが生まれる可能性もあるわけですが、そのなかでPA-NONさんはどんな才能と出会いたいですか?
PA-NON 私の中では、音楽は年齢とかを問わない世界であってほしいという希望がありまして、小さい子からおじいちゃんおばあちゃんまで、幅広い年齢の方とお仕事をご一緒してみたいです。ジャンルも問わず。昨今音数が多くて一聴しただけでは言葉の意味が伝わりづらい音楽もありますが、演歌やフォークソングのように丁寧に噛み締めながら歌われるものがもしかしたらこれから必要になるかもしれないですよね。あと、ご経験を重ねたからこそ作り出せる深さってあると思うんです。なので、年齢はまったく気にせず応募していただければと。
――なるほど。デビューに遅すぎるということはないと。
PA-NON 私の生徒さんも、40歳過ぎてから作詞を学ばれてデビューされた方たちがたくさんいらっしゃるんですよ。しかも経歴もバラバラで、クイズ番組のクイズを作っていた方とか、飲食店やガソリンスタンドで働いている方とか、職歴も年齢も関係ないんです。歌も曲もそうであってほしいと思っていますし、何かコンプレックスがあったとしても、それはコンプレックスじゃなくて、私たちにとっては魅力かもしれないので、まずは行動を、と思います。
――では最後に、これからオーディションに募集しようと思っている皆さんにメッセージをお願いします。
PA-NON 人生の中で好きになれるものや興味を持てるものって数が限られていると思っていて。そこで「やってみたい」と心が反応したのならそれは本当に素晴らしいことで、大切にしていただきたいなと思います。もし迷われている方がいたらぜひ参加していただきたいです。その願いが叶うよう心から応援しています。
TEXT & INTERVIEW BY 澄川龍一
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●オーディション情報
「アニメ音楽のこと!マッチング・オーディション2021」
<応募資格>
・応募部門自由(ソロシンガー、ユニット、バンド、作詞、作曲、編曲、その他)
・年齢、性別、国籍:不問
<審査員>
渡辺 翔 / 作詞・作曲・プロデュース
黒須克彦 / 作曲・編曲・作詞・ベース・プロデュース
渡辺拓也 / 作曲・編曲・作詞・ギター・プロデュース
PA-NON / 作詞・プロデュース
sana(sajou no hana)/ ヴォーカリスト
甲 克裕 / 音楽ディレクター
<応募方法>
応募フォームよりエントリーをお願いします。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScGSGRRlK5smi7d9dYN3eE-Nmwmp4ETdwazQeromfgI74pqUA/viewform
<募集期間>
2021年11月17日(水)~2022年1月31日(月)23:59
<応募上の注意>
・審査結果は通過者のみにご連絡させていただきます。
・審査状況や選考結果に関するお問い合わせには一切応じておりません。
・オーディション参加費、選考費、またその後にかかる費用は一切ありません。(ただし、審査会場までの交通費は各自ご負担ください)
・未成年の場合は保護者の承諾が必要です。
・お送りいただいた応募資料は選考以外の目的で使用することはありません。
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