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INTERVIEW

2018.05.28

Fo’xTailsラストシングル TVアニメ『食戟のソーマ 餐ノ皿』遠月列車篇EDテーマ「アトリア」インタビュー

Fo’xTailsラストシングル TVアニメ『食戟のソーマ 餐ノ皿』遠月列車篇EDテーマ「アトリア」インタビュー

5月6日。HP上で8月1日を持っての解散を発表したFo’xTails。活動は5年。2015年にアニメ『黒子のバスケ』のEDテーマとなったシングル「GLITTER DAYS」でメジャー・デビューしてから4年。駆け抜けた彼らのラストシングル「アトリア」についてボーカルのtakaoとギターの鳴風に話を聞いた。

――いろいろとお話は伺わなければいけないタイミングではありますが、まずは新曲「アトリア」について伺います。こちらはTVアニメ『食戟のソーマ 餐ノ皿』遠月列車篇のEDテーマとなっています。実は週刊少年ジャンプ作品の主題歌は2度目ですね。

takao そうです。『黒子のバスケ』でも「GLITTER DAYS」でエンディングをやらせていただきました。

――男性としてはやはりジャンプ作品というのは……

takao 高まりますよね。今の時代、アニメであったりマンガであったり様々に作品はあるんですけど、個人的には、アニメやマンガの原点的な存在がジャンプ作品でもあるので、そんな作品に携われることはうれしさでいっぱいです。本当に、気持ちが昂ります。

――そんな中で今回の「アトリア」はどのように出来ていったんでしょうか。

鳴風 今回に関しては元々あった曲から作り上げた感じなんです。原曲自体は去年の11月に結成4周年のライブをやったんですが、そのライブに向けて書いていた曲で。それはリリースとか関係なく書いたんですけど、バンドとしては大事にしてきて、今後もずっと歌っていきたいと思っていた曲なんです。それをこのタイミングで、『食戟のソーマ』の話が来て、それならこの曲を使おう、ということで、作品の雰囲気に合せてアレンジをし直して作り上げました。

――リアレンジとしていちばん大きな部分はどんなところだったんでしょうか。

鳴風 原曲が一曲を通して構成が凝った楽曲になっていて。

takao 曲始まりはバラードっぽい感じで、そこから2番に向かう中で疾走感があって、落ちサビからまたバラードっぽくなったり。全体を通しての波をけっこう作り込んだ曲だったんですけど、今回『食戟のソーマ』のお話をいただいたときに、制作サイドからの要望で「疾走感が欲しい」というものがありましたし、自分たちの中でも「ジャンプ作品には疾走感だ!」というイメージもあったので、今の形になりました。『食戟のソーマ』の視聴者は若い人も多いと思うんですね。深夜帯のアニメではありますが、配信や録画でも追えるし。そういうジャンプ世代の人たちには爽やかで疾走感があるアレンジだと胸に響いてくれるんじゃないかというところで、鳴風がうまくアレンジしてくれた感じでした。

――エンディングながら、アガっていく感覚がありますよね。

鳴風 「エンディングだからこうしてください」みたいなことを言われなかったので、物語に繋がるように考えましたね。

takao それもあって疾走感を意識しました。エンディング前にキャラクターがセリフをポンと言ったところで効果的な音がドンと鳴って、そこに鳴風のギターがバッと乗ったらいいなぁ、とイメージをしていたのが、うまくハマったなとすごく満足です。

――楽曲に関してのリアレンジはあったかと思いますが、歌詞はいかがでしたか?

takao 歌詞自体は、去年の11月のワンマンライブで披露したものとほぼ変わらず。出来上がっていたものなんですけど、楽曲の構成が変わったので、その部分で少し変えたところと、『食戟のソーマ』のお話もあったことで書き直そうと向き合って、いろいろと手を加えていたんですけど、メンバーにも見せていく中で最初の形がいいね、と。難しいことを考えていないし、俺の言いたいことがいちばん伝わる歌詞でもあったから、という意見ももらったことで、最初に書いた歌詞で歌うことにしました。

――その「原曲の歌詞」。描かれたのはどのような想いだったのでしょうか。

takao ワンマンライブに向けて曲を作ろう、とメンバーと話をしたんです。僕ら自身はバンドマンでライブハウスでやっているんですが、今までは「リリースが決まったから」「タイアップが来たから」「アルバムを出すことになったから」と発売に向けて楽曲を作ることが多くなっていたんですね。「決められたものに対して作っていくのではなく、自由に自分たちの曲を作りたい」「楽しくやりたい」とメンバーに話したときに「それならワンマンライブに向けての曲を作ろう」という話になったんです。そのときに思ったのは、「自分たちは音楽をやっていていろいろなところで発信しているけれど、その中でも情報を受け取ってライブハウスに来てくれる人たちって大切だな」ということ。ちょうど楽曲を作ろうと思った時期に、そのことを感じることが多かったんです。ライブハウスに誰もいなかったら、俺たちはライブが出来ないかもしれないし、ただ作る音楽だけを待っていてくれて、ライブする俺たちは求められていなかったら、ネットでアップしたりCDだけを作ればいい。でも足を運んでくれる人たちがいる。そういう人たちがいるからこそ俺は歌えるし、バンドはステージで演奏ができる。そういう、来てくれる人たちに感謝だな、と思うことがその頃に結構あったんですね。だからそこでの想いを楽曲に乗せました。ライブというものを大切にしてきたバンドだったので、その生の感じを出したい、と思ったらストレートな歌詞になりました。

――その想い。どういった部分で『食戟のソーマ』とリンクしたと感じられますか?

takao やっぱり(幸平)創真もご飯を作って、それを食べる人がいて、完成すると思うんです。俺たちも曲を作って、聴いてもらって、それで完成すると思う。だからリンクするのは、クリエイトな部分ですね。創真も仲間がいて切磋琢磨しているし、俺たちもメンバーがいてお客さんも含めての仲間だと思っているので、そういう人たちがいるからこそ輝ける。創真たちも戦いを通して輝いている。前の『黒子のバスケ』でも同じように伝えたい想いが自然とリンクしていったので、あまり強く意識することなく歌ったんですが、お客さんは聴いていて「黒子くんと重なる」と言ってくれて。そこで初めてリンクしていたことに気づいたくらいで。たしかにキャラクターと俺の成り立ちや想いは似ているなぁって思えたりもしたんです。そういう意味でも夢を追う者同士の想いは重なるんじゃないかなと思います。

――そんな『食戟のソーマ』はおふたりにとってどのような存在ですか?

takao 俺は元々連載でもずっと読んでいます。これまで料理マンガでハマった作品がなかったんですね。そうしたなかでこの物語は、卒業生で先輩の四宮(小次郎)と戦うシーンでシビれました。田所(恵)ちゃんが退学ってなったときに「ふざけるな!取り消せ!」って挑む創真がカッコよくて。そこからハマりました。創真の言っている一言ひとことが本当にカッコいいし、誰もが付いていきたくなる、いかにも主人公!って印象があって。王道ですよね、話も。俺は王道のものが大好きだし、料理なのにバトルというのが斬新だったので、すごく面白いです。

鳴風 『黒子のバスケ』のときもそうだったんですけど、バスケマンガならその頃までは『スラムダンク』一択でしたし、料理マンガも『食戟のソーマ』に出会うまでは『美味しんぼ』一択だったので、その頭で読んで、どちらも違いすぎて。斬新ですし、新しい形のスタイルを取り入れているのが面白いなと思いますね。どちらの作品にも共通しているのは「熱」。熱い物語。そういうのって男子は好きですよ。

takao しかも『食戟のソーマ』ってすごく細かく料理について描写しているんです。それも楽しいですし、キャラクターそれぞれの個性として調理スタイルが違うんですよね。ひとつの料理に対してのアプローチが全員違うのがカッコいい。自分に合うスタイルで勝負する、というのがとにかくカッコよくて。そこがいちばん好きです。

――実際に楽曲にその『食戟のソーマ』の絵がついたのをご覧になっていかがでしたか?

takao 良かったです。今回のタイトル「アトリア」って、星の名前なんです。星自体が輝いている“恒星”で、南三角座にあるひとつなんです。それがエンディングの中でもちゃんと描いていただいていて。「アトリアだ!」って興奮しました。あのエンディングの中でアトリアを見たときの衝撃は忘れられません。合せて描いていただいたのが本当に感動で。俺たちが書いた曲をアニメサイドさんが絵で表現してくれたのが感動しました。しかも電車の中から空を見上げて輝いているのがうれしかったです。

――カップリングには「これが今のFo’xTailsの気持ちなのかな」と感じるような、グッと胸に刺さる「Try Me!!!!」、そして「flow」と収録。このシングルを作っているときには、このシングルがFo’xTailsのラストシングルになる、ということは意識されていたんですか?

鳴風 カップリングを作っているときはもう、その意識でした。「Try Me!!!!」に関しては、バンドをやっていくなかで葛藤や戦いがあった、ということを出しました。本心を言いたかった。それを曲に出来たらな、という想いの一曲です。「flow」はtakaoが歌うとストレートなメッセージが合うので、5年やってきたことをざっくりと、飾らずに俺の気持ちを綴りました。まさに歌詞の通りです。関わってくれた人たち、出会った人たちへ感謝を込めて書きました。

――そんなラストシングルのお話を伺ったとろこで、やはりこれを聞かねばなりません。活動休止ではなく解散を決意したのはどうしてだったのでしょうか。

takao いろいろと考えていく中でも活動休止というのは考えていなくて。話は今年に入ってからなんですが、メンバーの中で考え方や方向性も変わって来て、すれ違いも増えてきましたし、このままやっていくのはどうなんだろう、と話し合いながら解散かガッツリ続けるかにしよう、となっていたんです。このバンドは俺と鳴風が中心にやってきたものなんですが、鳴風がサポートしているバンドを見に行ったときに自由にギターを鳴らしている感じがカッコよかったんです。輝いているのを感じて。俺自身ももっと違った表現がしたくなってきて。ほかのメンバーの気持ちも含めて、解散へと向かっていきました。カッコいい姿をお客さんに見せて、終わりにしよう、と。

――活動してきた5年はどんな時間でしたか?

takao 短かったです。でも簡単に言ってしまうと「濃かった」。最初の1年半はインディーズで、自分たちだけで進むところから始まって、メジャー・デビューによって関わる方も増えてたくさんの出会いを経て。解散という選択をしてからたくさん感謝を感じています。

鳴風 このバンドを始めてから自分にも周りにも厳しくなれたかなと思います。学生のときから同じメンバーでやっているバンドには適わない部分もあるけど、個で勝負できるパワーが集まったバンドだからこその個性もあったと思っています。自分の中ではすごく大事な5年間でした。

――そう考えると「アトリア」が『食戟のソーマ』と出会ったのは運命的ですよね。創真たちだっていつかはあの寮から出ていく。共に戦う仲間たちと違う道を歩み始める。それがFo’xTailsの選んだ道と重なります。

takao たしかに。実は今思い出したんですが、歌詞の2番の“ありのままの僕らで自分を救いだそう”というのは、個人の料理法があって勝負している彼らと重なったんですよね。自分の中にあるもので表現をした方が伝わる、と感じたことを表現したくて、意識して入れました。

――この先の音楽活動に向けての気づきも多かったFo’xTailsとしての5年間だったと思いますが、このラストシングルをどのように聴いてもらいたいですか?

takao 道に迷っているときに聴いて欲しいと思います。3曲共、どれも前向きな曲だと思っているし、「アトリア」は道しるべになる曲だとも思うんです。バンドはなくなってしまうけれど、曲は永遠に残るので、会いたくなった時には曲を聴いてください。俺らはそのCDの中でいつだって歌っています。最後の最後まで走り切る強さを示したい。その想いが今回の3曲に入っています。

鳴風 未来に対して期待より不安の方が大きいんです。自分は。それを壊すために今を一生懸命やるスタンスなんです。過去を振り返ればその行動が未来に繋がるから。「アトリア」に限らずすべての曲がそのスタンスでもあるんですが、前向きに聴いてもらえたらうれしいです。

――そして迎える最後の日。鳴風さんのお誕生日でもある8月1日のラストライブへ向けての意気込みをお願いします。

鳴風 実はFo’xTailsの初ライブも8月1日だったんですよ。

takao セッションバンドとして最初にお披露目したのがその日だったんです。

鳴風 なので、ぴったり5年で終わります。

takao 最後に会いに来てもらいたいです。この日で解散となりますが、俺たちはギリギリまで踏ん張っているので、「終わっちゃったから残念」や、終わってから「ライブに行けばよかった」ではなく、ぜひラストは観にきてください。俺たちはライブバンドだから、生で演奏する姿を最後の最後に見てほしいです!

 Interview&Text By えびさわなち


●リリース情報
「アトリア」
5月23日発売

品番:LACM-14765
価格:¥1,300+税

<CD>
1.アトリア(TVアニメ『食戟のソーマ 餐ノ皿』遠月列車篇 ED主題歌)
作詞:takao 作曲:鳴風 編曲:Fo’xTails
2.Try Me!!!!
作詞:takao 作曲:鳴風 編曲:Fo’xTails
3.flow
作詞・作曲:鳴風 編曲:Fo’xTails

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