キャラクターの魅力・かわいさがポップに炸裂する、『ご注文はうさぎですか？？』OPテーマ。

2015年10月より放送されたTVアニメ『ご注文はうさぎですか？？』のOPテーマ。2014年に放送された『ご注文はうさぎですか？』のOPテーマ「Daydream café」に引き続き、メインキャストのココア（CV：佐倉綾音）、チノ（CV：水瀬いのり）、リゼ（CV：種田梨沙）、千夜（CV：佐藤聡美）、シャロ（CV：内田真礼）によるユニット、Petit Rabbit’sがヴォーカルを務めている。

ハイレゾ配信は当初、「ノーポイッ!」1曲のみであったが、2016年の5月25日にカップリング曲「なんとなくミライ」、「ノーポイッ!」の各キャラクター・ヴァージョン、インスト・ヴァージョンを追加して再配信された。このタイミングでチマメ隊『ときめきポポロン♪』にも同様の追加。またPetit Rabbit’s「宝箱のジェットコースター」、チマメ隊『ぴょん’sぷりんぷるん』、振り回され隊『ハートぷるぷる事件です』、チノ(水瀬いのり) 『cup of chino』もハイレゾ化。『ごちうさ』ファンのみならずハイレゾ・ユーザーにとってもうれしいリリースとなった。

「ノーポイッ!」

作詞は畑亜貴、作曲・編曲は大久保薫とこちらも前作と同じくの組み合わせ。“こころぴょんぴょん”でおなじみ「Daydream café」での5人の一体感はそのままに、アップテンポになることで元気なイメージがさらに加速するナンバーとなっている。

抜けの良い打ち込みを得意とする大久保薫のサウンドとハイレゾの相性は抜群で、すっきりと見通しの良い空間で音像はくっきりと、立ち上がりの早い音が飛び出してくるような、突き抜けるポップな躍動感が心地好い。CDと比べると刺激的なアタックがスピード感を高め、ベースラインのグルーヴィさとともに曲をパワフルに弾ませている。解像感がサウンドの構成要素を、分離感がアレンジの巧みさを浮き彫りにし、大久保薫によるサウンドメイキングの面白さがよくわかる。

定位の良さはヴォーカルからも伝わり、眼前でキャラの歌声が入れ替わり立ち替わりするさまは鮮やかで、アニメのカットがどんどん切り替わっていくような小気味好いテンポを感じる。コーラスや合いの手が左右から迫ってきて、ヘッドフォンで聴いていると耳元で囁かれているかのよう。サビの “ポイッてしないでよ” に差し込まれる “おねがいです” “だめです” も実にキュート。
シングルには5人のキャラクターそれぞれがソロでヴォーカルを取ったヴァージョンも収録されている。天真爛漫なココア、クールなチノ、まっすぐなリゼ、おおらかな千夜、いつもよりテンション高めなシャロ。ハイレゾの情報量が声の質感をリアルに描写しており、それぞれの個性がありのまま表われている歌声や合いの手のかわいらしさに魅了される。

「なんとなくミライ」

緩やかにのんびりと楽しいひと時、でも聴き終わった後に何処か一抹の寂しさを覚えてしまうような、第1期では最終羽のエンディングを飾った「日常デコレーション」（「Daydream café」カップリング曲）にも通ずるポップス・ナンバー。

作曲は、ももいろクローバーZの「オレンジノート」「コノウタ」、Drothy Little Happyなどアイドル作品や、『ロウきゅーぶ！』などに楽曲を提供していてるツキダタダシ。『ご注文はうさぎですか？』では、マヤ（CV：徳井青空）「ナマイキTiny Heart」（チマメ隊『ぴょん’ｓぷりんぷるん』収録）、ココア＆リゼ「Rabbit Hole」（シングル『TVアニメ「ご注文はうさぎですか?」キャラクターソング2』としてリリース。後に、ごちうさブレンド『「ご注文はうさぎですか?」キャラクターソングアルバム』にも収録）の作詞・作曲・編曲も手がけている。ツキダタダシは、デビュー当時、“大阪のティーンエイジ・ファンクラブ” と呼ばれていた（後にはっぴいえんどのようなフォーキーな要素も盛りこんでいった）LD&Kのギターロック・バンド、Raymondsのギタリスト、また音楽制作ユニット、ケダマのメンバーでもある。

イントロのピアノの繊細な抑揚にもダイナミクスレンジの微妙な差が表われているハイレゾ版。サウンドは丸みを帯びて柔らかく、ビーチボーイズを意識したようなベース・ラインやドラム、パワーポップ的に甘くにじむギターなど楽器の存在感も強まる。全体的によりリズミカルに、また優しさが増した印象だ。高域がまろやかで「ノーポイッ!」とは対照的に穏やかでふわっとした歌声は、アットホームな雰囲気を漂わせ耳に心地よく響く。声に清涼感があふれ、後半のリヴァーヴがかったユニゾンはますます透明度が高くなる。かわいさと懐かしさが絶妙にブレンドされた『ごちうさ』・ミーツ・ソフトロックなナンバーに仕上がっている。