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2019.02.23

田所あずさが見せた、1年間の決意と成長。“AZUSA TADOKORO LIVE 2018~RESOLVE~”レポート

田所あずさが見せた、1年間の決意と成長。“AZUSA TADOKORO LIVE 2018~RESOLVE~”レポート

12月16日、Zepp DiverCity(TOKYO)にて“AZUSA TADOKORO LIVE 2018~RESOLVE~”が開催。声優・田所あずさの、ちょうど1年ぶりのワンマンとなったこの日のライブは、そのタイトル通り先へ進む決意の感じられる、あらたな挑戦がふんだんに盛り込まれたものとなっていた。

フロアを満員のファンが埋め尽くすなか、OPを飾るinterludeに続いて田所が登場すると、お立ち台に登って、ソロアーティストとして初めて受け取った楽曲「ヒカリになって」からライブをスタート。「ようこそー!盛り上がっていくよー!」のシャウトに続けて、ポップ寄りのロックナンバーをスカッと青空や光を感じさせる歌声で会場に届けていく。加えて、間奏で煽る田所の表情もまた、陽なものに。そこから続く2曲は、シングル「DEAREST DROP」からの披露。まず「レッドラズベリー」では照明でステージがラズベリー色に染まるなか、持ち味の歌声のまっすぐさは活かしつつ、そこにちょっぴりかわいげといたずらっぽさも乗せて楽曲の魅力を引き立てていき、最終盤でもとびきり小悪魔キュートなセリフでファンのハートを撃ち抜く。また、コールも頭サビから大きく響き渡っており、終盤でもそれを用いてうまくフロアを乗せていった。また、ジャジーな「残存エレジー」では、サビラストの尻下がりになるロングトーンなどでセクシーさがボーカルに現出。それでいて生ならではの強さと荒さも随所で発揮し、曲に込めた想いを炸裂させていった。

3曲披露して、フロアの様子を確認した田所は「予想以上に楽しんでもらえてるみたいで」とニッコリ。昨年のツアーファイナル以来、丸1年ぶりとなるワンマンライブを開催できた喜びと、楽曲に恵まれている感謝を語ったところで、この日のライブは「“RESOLVE”というタイトルにちなんで、決意を込めたライブ」と意気込みを語ってライブ再開。最新シングルのカップリング曲2曲を連続で歌唱していく。
まず「SHAKA BOOM」では、イントロからクラップが起こりフロアがステージ上を盛り立てる。かつてレコーディングで苦労したと語ったラップ部もしっかりカッコよく乗りこなし、その中でのフロアからのコールもバッチリ!両者ともに、この日だけのグルーヴ感をもって作り上げる1曲にする。こうして田所流ダンスロックを披露すると、再びのポップ寄りなナンバー「スキライ」へ。“TADOKOROCK”での経験を経た今だからこそ歌える爽やかなナンバーでも笑顔で煽りつつ、歌いながらステージ上を動き回ってあらゆる場所のファンに届けようとしている姿が印象的。そのサウンド感も、彼女の声質によくマッチする。

こうしてあっという間に5曲が終了。田所自身も「あー!楽しいー!」とその感情を隠さない。そして開演前の楽屋に家族が挨拶に来た話題を呼び水に、その中にもいた祖母へ捧げる歌として、次の曲を初披露すると宣言。それは、2019年春に発売予定の、<声優×昭和歌謡曲>コンピレーションアルバム『ネヴァーランド』に収録される新曲「あなたの淋しさは、愛」。作詞・売野雅勇、作曲・筒美京平のタッグによるこの曲は、ミドルテンポのまさしく歌謡曲ド真ん中のナンバー。またひとつ新基軸となる楽曲の初披露の場をこのライブに選んだところからも、前述の“決意”を感じさせる。歌詞に合わせて壁面には照明で花が映し出されるなか、引くところはしっかり引いてたっぷりと歌唱。ここまで見せてきたような楽曲とは一線を画すジャンルのナンバーでも、その地力と魅力とを確かに感じさせてくれた。
そして久々に開催のアコースティックコーナーでは、まず初心に戻るべく、初めて自分で買ったCD・スキマスイッチの「藍」のカバーを披露。ギターがイントロを奏でるなか、スポットライトに照らされながら、優しくも涼やかなスーッとしたボーカルを響かせて再び場内を引き込んでいく。その一方で大サビでは感情を強めに乗せてのボーカルワークをみせ、メリハリのある歌声で聴かせてくれた。さらにもう1曲、大好きなバンド・忘れらんねえよの柴田隆浩から提供を受けた大切なナンバー「ころあるき」もアコースティックで披露。こちらは楽曲のテーマに合わせて歌声も演奏も少々明るく元気めで、頭サビ後にはフロアからクラップが起こり、暖かく盛り上がっていく。アコースティックならではの、その場限りのグルーヴ感でこの曲を披露できるという機会自体にも喜びを感じているような様子で、ラストは気持ちよさそうにフェイクを響かせていく。それをファンのシンガロングが下支えするという構図は、ゆっくりとでも一緒に歩いていく、というこれからの両者の関係が現れたようなものでもあった。

続くMCでは、最近自身の兄の結婚を知ったという田所が、観客の中からも結婚予定のファンを探して祝福すると、「深い愛の話をしたところで、深い愛の曲を」と「DEAREST DROP」からライブ再開。後半戦の幕開けにふさわしいキラーチューンにフロアは一発で沸き、記者席のあった2階も物理的に揺らす。そのフロアに向けて、強さもありながら整理もされた巧みさもあるボーカルを放っていく田所。特にDメロをまっすぐに力強く歌う姿は、その歌声も相まって非常に美しく印象に残るものだった。そして「世界が終わったあとの夜」は楽曲に合わせた歌声の起伏を味わえるナンバーに。引き目の入りからどんどんクレッシェンドしていき、大サビでは心の叫びにまで高ぶらせてその感情を発露。かと思えば再びラストフレーズはぽつりとこぼすように歌い、その表現の幅の広さに改めて感服させられた。

そしてバンドメンバーの紹介を挟んでコール・アンド・レスポンスを行うと、ライブ本編は終盤へと突入。「こっから飛ばしていくよ!」との言葉に続けてスタートした「ギミーシェルター・ブライトネス」は、冒頭のコール部もファンとともに大きく決めると、お立ち台に脚をかけながらシャッフルのリズムにも乗って歌唱。間奏部にフェイクも交えつつ、髪を振り乱したりサビでは痛快に巻き舌を織り込んだりと、カッコよくロックボーカリストとしてのステージをまっとうしてフロアの温度を上げると、そのまま「ストーリーテラー」に突入。5年目を見据えて構成されたこのライブの終盤を飾るにふさわしい未来向きのナンバーに乗せて、その楽曲ともマッチする明るくスカッとしたボーカルで突き抜けていく。また、Dメロのコールはフロアからの大合唱へと発展し、それを田所は両腕を掲げて受け止めると、大サビはそのレスポンスのようにシャウト気味に歌唱。アツくアツく場内を高めたところで、本編ラストナンバーでありライブのタイトルチューンでもある「RESOLVE」へ。曲が始まった瞬間この曲らしい凛とした表情へと一気に切り替えた彼女は、間奏ではストロボの光の中でバッキバキに動いたりと視覚の面からもこの曲を表現しながら、サビではファルセットも交えつつ、思い切り体を折り曲げるようにしたりと力強く歌いゆく。大サビでも再び頭を振り乱し、お立ち台にも足をかけつつ力いっぱいに歌いながら、それでいて最後の最後はちょっと挑発的に締めくくって、ジャンプエンドでライブ本編に幕を下ろした。

降壇後、すかさず起こったアンコールを求める声。それに応じてまずバンドメンバーが戻り、コールが「あ・ず・さ!」に変化すると、すると「スキミ→♡」のイントロとともにシスター姿の田所がステージに降臨!頭サビで明転した瞬間の歓声はすさまじいもので、自身もBメロでは身振りでコールをあくまでキュートに煽ったり、本編とはまったく違うボーカルとパフォーマンスで観客を魅了していく。2サビ明けの間奏では、その衣装になぞらえて本編中に手を上げたふたりの結婚予定ファンと、さらに観覧していた自身の兄へも花束を贈呈!ハッピーな空間を作ると、最後は両手でハートマークを作って楽曲を締めくくった。
曲明け、田所からコントライブの開催やこの日の模様のTVオンエアなど様々な告知がなされたところで、「あの子を連れてきてー!」とステージ袖に呼びかけると、TVアニメ『転生したらスライムだった件』の主人公・リムルのぬいぐるみが登場。それをステージ後方に据えると、田所の2019年第一弾シングルとなる、同作のエンディング主題歌第二弾2クール目のEDテーマ「リトルソルジャー」を宇宙初披露!TADOKOROCKにストリングスが壮麗さを与える、異世界モノの主題歌らしいナンバーだが、突然メロディに高音が混じってくるなど難易度は高め。しかしその困難さを感じさせることなく歌うその姿は、ひとつ突き詰めたからこそなし得たもの。定番モノであるナンバーをしっかり歌いこなせる力を持った今だからこそ、改めて歌ってほしい1曲になったように思う。
その新曲を歌い終わった田所は、背後から強い光を浴びながら、アカペラで「DREAM LINE」を歌い始める。この日のラストナンバーとなったその曲の頭サビを前向きに伸びやかに歌い上げた田所は、イントロでファンへの感謝と「これからもよろしくー!」とのシャウトを届け、中央のお立ち台に上って歌う。会場全体を見回しながら歌唱することで、今心の中にある感謝とこれからへの想いを歌声に込めて、そのすべてをファンへと届けようとしていたのだろう。Dメロでの必死さは、この曲では若干小さめになっていたように感じたのだが、それはライブを通じて彼女が、未来へとひた走る楽しさと希望を改めて抱いていたからなのではないだろうか。その未来に向けるように、天高く手を掲げてラストフレーズも歌いきってジャンプエンド。歌唱後に、ファンの涙する姿を見て「私も泣きそうになっちゃって!」「5年目でこういうライブができて幸せに思います。ライブって、やっぱり楽しいですね!!」と満足気な言葉を残し、ファンとの恒例のコール・アンド・レスポンスとともに1年ぶりのワンマンライブを悔いなく締めくくったのだった。

ワンマンライブ自体は久しぶりではあったが、コンスタントにリリースを重ねてきた田所あずさ。その活動のなかで培った経験から「レッドラズベリー」のような楽曲においては、ストレートにロックを叩きつけるだけではなく、さらにそこから一段上へと上った姿を見せてくれた。そんな今だからこそ、力強く走り続ける2018年末の彼女が歌う「DREAM LINE」はより説得力を持ち、ファンの涙を誘ったのではないだろうか。そんな彼女の決意と1年間の成長がギュッと詰まったライブを見せられてしまっては、まだまだ田所あずさに、期待しちゃってしょうがない!

Text By 須永兼次

AZUSA TADOKORO LIVE 2018~RESOLVE~
2018.12.16@Zepp DiverCity(TOKYO)
【SET LIST】
M1.ヒカリになって
M2.レッドラズベリー
M3.残存エレジー
M4.SHAKA BOOM
M5.スキライ
M6.あなたの淋しさは、愛(初披露)
M7.藍(スキマスイッチ cover)
M8.ころあるき
M9.DEAREST DROP
M10.世界が終わったあとの夜
M11.ギミーシェルター・ブライトネス
M12.ストーリーテラー
M13.RESOLVE
EN1.スキミ→♥
EN2.リトルソルジャー(新曲/初披露)
EN3.DREAM LINE

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