INTERVIEW
2026.07.08
学生時代からの仲間で京都を拠点に活動しているロックバンド・Redhair Rosy。2024年に前身バンド・the McFaddinから改名して約1年を経た2026年7月、両A面シングル「羊羽羽る / license」でメジャーデビューを果たした。「license」はTVアニメ『世界最強の後衛 ~迷宮国の新人探索者~』のOPテーマとして書き下ろされた1曲。デジタルサウンドと生バンドの融合を武器に、”仲間がいるから前に進める”というリアルな実感をアニメの世界観に重ねたという。そんなRedhair RosyのソングライターでありボーカリストのRyosei Yamadaに、結成からメジャーデビューに至る道のり、新曲に込めた想いをじっくり聞いた。
INTERVIEW & TEXT BY 阿部美香
―― Redhair Rosyは、今回のシングルでメジャーデビュー。それまでも長く活動されていたそうですね。
Ryosei Yamada はい。元々メンバーみんな、学生時代の友達で。音楽をやりたくて集まった仲間っていうんじゃないんですよ。ギターのTaito(Taito Katahira)は高校の同級生で、実家がライブハウスみたいな営業をしてるカフェ。すごく音楽に触れて育ってきてて、ギターも親父さんの知り合いから伝わってきたすごく古いものだったから、最初に会った時は、本人よりも赤いセミアコのギターに目がいきましたよね(笑)。
――ギターのほうが目立ってたんですね(笑)。
Ryosei ドラムのAndo(Yu Ando)は、僕の1個下の後輩。ドラムを昔から習っていたみたいで、入ってきた段階で高校1年にしてはかなり上手かったですね。ベースのMatsushi(Masayuki Matsunaga)はTaitoの大学の軽音楽部の友達で、元々ジャズとかもできて、フレットレスベースからエレキベースに転向したっていう経歴をもっています。もう1人のギターのKeisho(Keisho Miyawaki)は、僕の高校の時の友達がやってたバンドでギターを弾いていて、そこを辞めて暇してたんですよ。それで、うちの前のベースが辞めてしまったタイミングでサポートベースとして参加してもらったんですけど……ギターのほうが上手いな!ってなって。ギターを弾いてもらうことになりました(笑)。
――そんな楽器の転向もあるんですね(笑)。
Ryosei あるんですね(笑)。そしてVJのRyoma(Ryoma Matsumoto)はTaitoと同じ大学、学部も一緒の友達です。最初は僕らのミュージックビデオを撮ってもらったのがきっかけ。そこから、ライブでも色々やってくれないか?みたいな話になっていくうちに、本人がVJを始めたんですよ。音楽の趣味も遊びも似てたので仲良くなって、メンバーになりたいって言ってくれて。僕は大阪出身なんですけど、みんな大学も京都だったんで、バンドもずっと京都で活動してます。
――元々the McFaddinというバンド名でやっていて、2024年に今のRedhair Rosyに改名されたそうですが、ネーミングの由来は?
Ryosei “Rosy”は、the McFaddinの1stアルバムのタイトルから採りました。で、“Redhair”のほうは……昔から、ただ音楽が好きで、売れるためとかそういうつもりはなく、自分たちにできるものを作りたいっていう気持ちでいたんですよね。当時はまだ子供だったから、大人になったらこうなるぞ!っていうイメージで色々曲を作ってたんですけど、実際、大人になってみたら、思ってたのとちゃうくて(笑)。世界は悪くなっていくし、不満も募っていくし、それと同時に髪の毛が赤くなってったんですよ。
――反抗心だ。
Ryosei そうですね、「髪も赤くせなやっていけへん!」という(笑)。黒髪で普通に会社に勤めることは俺にはできへんなっていう感じがあって、僕らには仲間と音楽があったので、それを表現する意味で、Redhair Rosyという名前にしました。
――だからRyoseiさんも赤髪で。これで髪が赤くなかったら、話がちゃう!となるところでした(笑)。
Ryosei やばい、よかった赤くしてて(笑)。
――そんな学生時代からの長いバンド歴があり、改名から1年で、いよいよメジャーデビュー。それについては、どう思っていました?
Ryosei 僕ら、メジャーデビューを目指していたわけではないから、まさかそんな未来が来るとは思ってなかったですね。だから、こんな自分たちのことを理解してくれて、背中を押してくれる人たちが、たまたまメジャーの方やったっていう感じです。
――メジャー志向ではなかった。
Ryosei はい。でも、声をかけてもらったからには、その期待に応えたい。今はそういう気持ちでいます。
――よく、Redhair Rosyのようにインディーズからメジャーにいくバンドのファンが、「見つかった!」みたいな言い方をしますけど、Redhair Rosyも遂に見つかっちゃった。
Ryosei いや、まだ見つかってないですよ。ここから、想像を超えて飛んでいきたいですね(笑)。
――そんなRedhair Rosyはどんなバンドで、何を武器にしているかを言葉にすると?
Ryosei 替えの利かないものっていうのは意識してます。だけどスタイルはロックバンド。僕はビートルズとか昔のロックバンドもしっかり聴いてきたけど、それを繰り返すつもりはなくて。今やからできることっていうのをすごく活かしたい。だけど、そもそもロックバンドが紡いできた“愛と平和”っていうテーマは、最近どうしても感じてしまうことが多いから、その“魂”とバンドという形は引き継いで、昔のロックバンドにはできなかったものをやっていくというのが、今の強みかもしれないですね。
――具体的には、デジタルサウンドと生バンドの融合というのがまず特徴だと思います。ライブでVJ専門のメンバーがいて、空間を演出するというのもデジタルとバンドの融合といえますし。そのあたりもポリシーですか?
Ryosei うーん……ポリシーって言われるとちょっと重い気がするし、あんまり形に縛られるつもりはなくて。スタイルはロックだけどリバイバルではない。J-POPも聴くし、エレクトロなダンスミュージックも聴くので、僕は最初にパソコンの打ち込みでデモを作ることが多くて。それをスタジオでバンドに落としていくと、Redhair Rosyの音楽になるっていうパターンが多いです。
――作詞・作曲はRyoseiさんがメインですが、打ち込みも昔からやっていたんですか?
Ryosei コロナ禍で変わりましたね。元々やってはいたんですけど、バンドがあるからそんなに重視してなかったんです。技術もそこまで追いついてなかったから、昔はエンジニアさんに頼ってたんですけど、コロナで新しいパソコンやオーディオインターフェース、マイクとかを全部買い揃えて、家に籠って自分たちだけでマスタリングまでやってみようっていう期間があったんです。なので2019年以降の作品は、マスタリングまで自分たちでやってました。今はマスタリングは人にお任せしてますけど、ミックスまではやってます。
――作曲の起点はどこですか?弾き語りで作ったりも?
Ryosei そうですね、弾き語りは今でもやります。あと鼻歌で作ったり、ビートから作ったり、色んなパターンで、できるだけ縛られないようにしていて。最近ハマってるのは、大学1年の時に両親に買ってもらった一番古いMacBook Airで作ること。10トラックくらいを超えると、オーバーロードだとパソコンが言ってくるんですけど、あえてその縛りプレイでデモを作って、制限かけて曲を書くっていう、自分なりの遊びをしてます(笑)。そこから、デモにしてバンドに落とし込む、みたいなこともやったりしてます。使ってるDAWは「Logic Pro」ですね。ガレージバンド出身だから、Logicが肌に合うんですよ(笑)。
――Redhair Rosyの曲を聴いて、真っ先に気になったのがボーカルにエフェクトをかけていることですが、それはこだわり?
Ryosei 好きなんですよね、オートチューンのかかったボーカル。ハイパーポップも好きだし、昔になかった機材を今だから使えるっていうところも良くて。エフェクトをかけてない曲もいっぱいあるんですけど、今回のシングル「羊羽羽る / license」は、2曲ともかかってます。
――メジャーデビューシングル「羊羽羽る / license」は、両A⾯の意欲的な作品になりました。しかも「license」のほうは、7月5日から順次放送がスタートしているTVアニメ『世界最強の後衛 ~迷宮国の新人探索者~』のOPテーマとして書き下ろされました。アニメソングをやりたい気持ちは、前からありました?
Ryosei アニメソングは絶対やりたいと思ってました。音楽やるうえで、バンドやるうえで、誰かの青春の思い出の1曲になるって、すごいことですよね。僕にもそういう曲はあるし、誰にもあると思うんです。それが叶うのは素敵だし光栄なことなので、めちゃくちゃ嬉しかったですね。
――Ryoseiさんもアニメには興味が?
Ryosei 毎日観てます。サブスクでアニメを観ることがもう習慣になっていて、常に「次、何観ようかな?」ってなってます。
――どんなアニメが好きですか?
Ryosei いっぱいあるんですけど、今パッと出てくるのは『キングダム』とか『ダイヤのA』とか『ドロヘドロ』とか『あひるの空』とか。最近は『涼宮ハルヒの憂鬱』も観てますね。音楽ものだと『けいおん!』とか『ぼっち・ざ・ろっく』も観てるし、『ドラゴンボール』とかジャンプ系の王道も全部。メンバーもみんなアニメ好きです。
――今回主題歌を担当された『世界最強の後衛』は、社畜サラリーマンのアリヒトが事故に巻き込まれ、「迷宮国」という異世界に転生するお話ですが、そういうジャンルは?
Ryosei 異世界転生ものは、今回初めて触れました。曲を作るのに初めて原作を読んで、こういうもんがあるんや!男の夢が詰まってるなって。謎の力を得て、仲間が集まって、かわいい子もいっぱいいて、敵が強くて、迷宮がある。めっちゃいい、理想的なお話ですよね(笑)。
――作品にも共感できました?
Ryosei できました。リリックを書くうえで、自分たちとの共通点を探したら、やっぱり「1人じゃ無理だ」というのが一番でしたね。僕自身もすごく感じるんです。マジで大したことない人間なんですけど、それを支えてくれる仲間のおかげで前に進めてる。あと、僕にとっては知らない町っていうのは迷宮やと思うんですね。海外もそうだし、関西育ちの僕には東京も迷宮。こうやって取材とかで上京すると、冒険してる気分になるんですよ。日常生活の中でも、例えば空が晴れてるのに雨が降ってきたら魔法みたいやなって感じるし(笑)、探したらいっぱいありましたね。
――しかも、作品に寄り添う曲を作るのは、Redhair Rosyにとって初めての経験。そこも冒険っぽいですね。
Ryosei すごく迷ったし、結構苦労しました。監督さんと原作者さんとお話をさせていただいて、ヒントをいただいて、なんとか形にできたっていう感じでした。
――アニメ制作側からのリクエストはどんなものでしたか。
Ryosei まずロックバンドらしい曲で!というのと、あとは主人公のアリヒトは「後衛」としてみんなを支える存在だから、そこを大切に歌ってほしいと。それは、しっかり曲に落とし込めたなと思ってるんですけど、アフレコのスタジオで、原作者さんや監督さんと初めてお会いした時は……音楽じゃないスタジオも初めてだし、スタッフさんがいっぱいいて、めちゃめちゃ緊張しました(笑)。
――そこから生まれた「license」。タイトルにはどんな想いを込めました?
Ryosei みんな、現実でも多分、生まれた段階で実はもう何かのライセンスを持ってるんやと思うんです。でも、それって謎じゃないですか。何者になるかなんて、自分じゃわかんない。
――この物語でも、主人公の有人は転生先で自分が迷宮探索者だというライセンスを手にしますよね。
Ryosei そこがヒントになりましたね。ライセンスってみんな持ってるんやろうな、ってことを自分なりに置き換えて、このタイトルに。手には1つのライセンスをもうみんな持ってる。ただ、それが表に出てくるか出てこないかは、その人次第、仲間次第だなと。
――歌詞にも、“だってもう⼿には1つのライセンス”の次に“君とrank upすれば 怖くなんかないね”とありますからね。
Ryosei そうなんですよ。まずは「license」というタイトルが最初に決まり、この曲を作っていく一番のキーワードになりましたね。
――作曲・編曲をしていくうえ、アニメ本編で流れるOPテーマは、89秒という尺が決まっています。今までそういう制約なく楽曲制作をしてきたRyoseiさんにとっては、それもハードルになったかと。
Ryosei いや、本当にそうで、めっちゃ研究しました。最近のアニソンをできるだけたくさん聴いて研究したら、最初にサビメロが来る曲が多い。だから「license」もサビを思わせる始まり方にしたんですけど、一番頭はサビと同じリリックなんですけど、メロディラインは違う。それがイントロになって、しっかりAメロBメロサビまでいくぞ!っていう展開を、頑張ってつけるつもりで書きました。1番を89秒に、びっちりビタビタに収めてます(笑)。頭の中で「これが流れるオープニング映像ってどうなるのかな?」というのも想像しながら書いたんで、それも今までやったことない面白さでしたね。
――サウンド的にこだわったところを教えてください。
Ryosei ロックバンドらしくギターでもっていきたいっていうのと……あとはそうですね、アニメでは流れないフルサイズを聴いてもらったらわかるんですけど、2番で、次にサビが来そうなところで、ギターソロを入れたんです。サビメロを超えるギターソロを、って僕がメンバーにハードルを上げたんですけど、それにしっかり応えてくれて、めちゃくちゃ気に入ってます。バッキングもそうですね。裏で2本のギターが絡み合っているんですど、ギターは2人とも、得意なフレーズ感がまるで違うんですよ。それを僕の歌の左右から聴こえる。なんか、僕がこうバンドに支えられつつ、操っているようにも聴こえるのって、いいですよね。
――この楽曲でRyoseiさんが言いたかった、“仲間のおかげで前に進めてる”感が、サウンドからも感じられますね。コンセプトにばっちり!
Ryosei そうかもしれないですね(笑)。デモで僕がなんとなく楽器のフレーズ作ってからメンバーに投げることもあって、それがこう……彼らの個性が入ったアレンジになって返ってくるのを、いつも楽しみにしてるんですよ。今回の曲もそうでした。ボーカルもちょっと工夫をしてて、Bメロの頭の“預ける背中”というフレーズなんかは、仲間と一緒にやってるんだという、ちょっと弱い部分も垣間見えるようなアレンジにしていて、だから一緒なら怖くないんだ、前に行けるんだ、という気持ちを表したかったです。
――作品の世界観にも寄り添った歌詞と工夫を凝らしたサウンド。曲だけ聴いていても、勇気が出るしワクワクします。ちなみに、実際にアニメをご覧になって、どう思いました?
Ryosei 主人公が何にもわからんまんま、手探りで戦っていく勇気と、主人公の前世が会社員なんですけど、やっぱりサラリーマンってすげぇ!ってめっちゃ思いました(笑)。しっかり会社で働いてきた人って、迷宮に行っても即座に戦えるんじゃないか?って。能力すごいなって思いますね。
――もしもRyoseiさんが突然、迷宮に行くことになったら?
Ryosei 僕、一応格闘技はやってたことがあるんですけど……戦いたくないんですよ。だから……泣いちゃうかも!歌ってるほうが断然いいです(笑)。
SHARE