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2026.03.18

seiza、感涙のファンとのファーストコンタクト――初ワンマンライブ“seiza 1st ONE MAN LIVE -Opportunity-”で確かめたこれまでの轍

seiza、感涙のファンとのファーストコンタクト――初ワンマンライブ“seiza 1st ONE MAN LIVE -Opportunity-”で確かめたこれまでの轍

まるで宇宙遊泳をしているかのような、音の無重力空間に惹き込まれてしまう一夜だった。2月27日、東京・青山月見ル君想フで行われた、シンガーソングライターのseizaによる初のワンマンライブ“seiza 1st ONE MAN LIVE -Opportunity-”。2022年1月にボカロPとして活動を開始してから約4年、2024年にスタジオライブ“SEIZA SPACE RADIO”を配信したことはあったが、seizaとして観客の前で直接ライブを届けるのは今回が初めてのことだ。これまで音楽を介して繋がっていた彼とファンのファーストコンタクトは、その絆を直接確かめ合う感動的なランデヴーとなった。

TEXT BY 北野 創
PHOTOGRAPHY BY ヤオタケシ

seizaと共に、いざ宇宙へ!バンドアレンジで届ける珠玉の楽曲群

会場の月見ル君想フは、ステージ背面に浮かぶ大きな満月が印象的なライブハウス。seizaは自身のXアカウントのプロフィール欄に「猫と宇宙が好きです」と記しているように、楽曲においても宇宙に関連したものをモチーフにすることが多いので、記念すべき初ライブにはぴったりの場所と言えるだろう。1Fのオーディエンス観覧フロアにはファンがぎっしり。チケットは即完売したとのことで、いかに彼のライブが待たれていたか、その期待の大きさを会場の密度からも感じることができた。

先ほど、月見ル君想フと言えば大きな満月と紹介したが、この日はステージに宇宙船の窓を模した特別なセットが組まれており、ライブ中はその丸窓に様々な映像が投影されていく演出に。開演前にはseizaのロゴが映されて会場の期待を高めるなか、宇宙船の打ち上げを思わせるカウントダウンと共にSEが流れ始めると、ギター、ベース、ドラムス、キーボードから成るサポートバンドのメンバーに続いて、seizaがステージに登場。自身のボカロ活動1周年に発表した「宇宙船」でライブの幕を開ける。

生演奏ならではの熱を纏った疾走感溢れるバンドサウンドが推進力となって、seizaの青く澄んだ歌声が猛スピードでオーディエンスの心に迫る。客席に目を向けると、初めて目の当たりにするseizaの姿を食い入るように見つめる人、一緒に歌を口ずさむ人、体を揺らして楽しむ人など、リアクションは人によって様々だが、誰もが彼の音楽を心から待ち望んでいたことが伝わってくる。その様子に心を打たれたのか、seizaが歌の途中で声を詰まらせて上空を仰ぎ見る場面もありつつ、すぐに持ち直し、その場にいる全員を自らの宇宙船に乗せて、無数の星が煌めくライブの銀河へと誘っていく。

続いて、音源よりも性急かつパンキッシュなアレンジが新鮮だった「蒼の太陽」を自らもギターを掻き鳴らしながら披露。MCでは「君たちはそんな顔をしているんだね。良かったよ会えて……ちょっと込み上げるものが多すぎて……」とタオルで目元を押さえて、「こんなはずじゃなかった(笑)」と弁解する。照れ隠しのように「まあ積もる話はありますけど、どんどんやっていこうと思います」と宣言すると、横揺れ系のグルーヴが心地良い「クリイムソーダ」へ。宇宙空間から地球を眺めているような映像が丸窓に映る中、seizaはハンドマイクを手にして、音楽にゆったりと身を任せながら歌を紡いでいく。終盤のフェイクも自由で快い。

そのチルなムードから一転、ドラムンベースにも通じる前のめりな高速リズムに乗せてシリアスな歌声を届けたのが「抜け星」。平歌の低音を効かせたつぶやくようなアプローチと、サビで力強く放たれるハイトーンとの対比が鮮やかで、ボーカリストとしての表現の幅広さをアピールする。

そのように自分のペースを取り戻したseizaは、続くMCで、冒頭から自分でも驚くほど涙が込み上げてきた理由について語り始める。かつてボカロPになる前は、バンドでライブハウスなどに出演していたという彼。青春を捧げてきたバンド活動が潰えたことの喪失感は大きく、今でも夢に見ることがあるのだという。「そんななかでも音楽活動を続けてきて良かったと改めて思えているのは、まさに今、僕のことを見てくれている“あなた”のおかげなんです」と、その場にいるすべての人に向けて感謝の言葉を伝える。

再び込み上げてくる涙をこらえながらも、「特にしんどかった時期、自分の気持ちに整理を付けるために、デトックスの意味を込めて書き綴った曲がありまして」と語るseiza。「この曲があるから、僕は今、もう一度前を向いて進めていると言っても過言ではないし、今まで会ったことのある人も、初めましての方も、今日までに出会ってくれている人も、みんなまとめて、どこまでも行きたいなと思えたんです」「僕が音楽を続ける理由は“あなた”がいるからです。本当に今日はどうもありがとう」。そして彼が歌い始めたのは「星を編む」。2022年にボカロ曲として発表し、2024年に自身のボーカルでセルフカバーした代表曲のひとつだ。広大な宇宙空間を思わせるスケール感と浮遊感を併せ持ったサウンド、そこに流れ星の如く美しい光の軌跡を描くメロディと歌声。この宇宙のどこかにいるまだ見ぬ誰かに呼びかけるように、目の前の“あなた”にとっての“ポラリス”でいられるように、seizaは高らかと歌い上げてこの日だけの星を編んだ。

そこから間髪入れず歌われたのが「金木犀」。宇宙をモチーフにした壮大な詞世界を得意とするseizaには珍しく、“曲がり角のコンビニ”など生活感のあるワードを歌詞に散りばめたバラードだ。照明がステージを暖かく照らし出すなか、seizaは胸をギュッと締め付ける哀切感を帯びたボーカルでリアリティある思い出の香りを浮かび上がらせる。そしてバンドメンバーの紹介を兼ねたジャムセッション風の前奏から流れるように「星間漂流」へ。優しく甘やかな歌声が“あなた”との出会いを祝福するように降り注ぎ、うっとりするほどにロマンチックな時間が過ぎ去っていった。

星と星が繋がり合って、無数のファンと作り上げるseizaのライブ

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