INTERVIEW
2025.04.23
――続いてカップリング曲の「D~螺旋~」ですが、こちらは作曲・編曲をR・O・Nさんが担当していて、ソロとしては初のタッグになります。
奥井 2020年にリリースしたJAM Projectのアルバム『The Age of Dragon Knights』にメンバーそれぞれがプロデュースした曲が収録されていて。私はその時にR・O・Nくんと組んで「羽衣伝説 ~龍と天女の愛物語~」という曲を作ったんです。他のメンバーも歌っているのでJAM Project featuring 奥井雅美みたいな感じでしたけど、それがR・O・Nくんとの初めてのタッグになります。あの時は確かR・O・Nくんが「奥井さんとやってみたいと言ってくれた~」と聞いてました。違ったかな?彼は私がアニメの主題歌を歌っていた90年代に多感な時期を過ごされていて、私の昔のこともご存知でしたので。今回のカップリングにはJAM Projectの時とはまた違う、女が1人で歌うロックを入れたくて、お洒落で今っぽいロックの人といえばということでR・O・Nくんにオファーを出させていただきました。
――奥井さんはR・O・Nさんにどういった印象を持たれていますか?
奥井 とても才能がある方だと思っています。JAM Projectの楽曲でR・O・Nくんが編曲を担当した「NAWABARI~背徳のシナリオ~」という曲があるんです。作曲は兄さん(影山ヒロノブ)ですけど、R・O・Nくんのアレンジで世界観がしっかり見えるんですよ。今回の「D~螺旋~」は、“かっこ良くてロックで今っぽい曲”とお願いして作ってもらいました。あと、曲作りとしてピアノで作る曲とギターリフで作る曲には違いがあって、私がピアノで曲を作る人だから、今回ギターリフで作るような曲にしたいとは打ち合わせの時に話しましたね。
――そんな「D~螺旋~」の歌詞は聴く人を奮い立たせるような内容です。
奥井 私のように感じている人がどれだけいるのかわかりませんが、私は日本という国が好きなんですけど、昨今の世界情勢的に日本人が元々持っている素晴らしい魂、遺伝子みたいなのが軟弱になっているような気がしていて。「D~螺旋~」のDはドラゴンを表していて、それは私が日本を龍の国だと思っているから。今は少し生き辛い世の中だけど、Dの遺伝子を持った日本人にその遺伝子や細胞を震わせてほしい、侍の頃の魂を思い出してほしいという願いを前面に出したくてできた歌詞です。R・O・Nくんが曲中に入れてくれたお客さんと掛け合いができる部分はリリースイベントでも楽しかったので、ライブだったらより楽しくなると思います。
――少し話が逸れますが、奥井さんはカップリング曲に対してどういう捉え方をされていますか?
奥井 いわゆる表題曲とは違う部分をカップリング曲で表現したいんです。例えば表題曲が絶望的なものであればカップリングは希望を見出せる温かい曲にしたり、光を感じられるロックに対しては闇を感じられるロックを入れたり。対や陰陽という形でバランスを取るのが好きですね。
――なるほど。そして今回の初回限定盤は昔懐かしの8cm CD仕様でリリースされます。
奥井 どちらかというと聴くためではなくグッズとして置いてほしいんですよ。今は皆さん全部サブスクで聴くじゃないですか。だけど私は欲しいものは絶対に物理的に置いておきたいタイプの世代だし、90年代のアニソンシンガーとしては8cm CDはすごく楽しいので、スタッフさんからご提案いただいて「ぜひよろしくお願いします」と2つ返事でOKしちゃいました。8cm CDの短冊部分ってかわいいですからね。
――そして奥井さんの楽曲「ONENESS」が8月に開催される“Animelo Summer Live 2025 “ThanXX!””のテーマソングにも決定しました。こちらの楽曲は元々は“Animelo Summer Live 2005 -THE BRIDGE-”のテーマソングとして制作された曲でしたね。
奥井 そうなんです。しかも今回は2005年当時のアレンジのままの「ONENESS」が使わるんです。本楽曲は2年前にリリースした自分の30周年ベストアルバム『Mas“ami Okui”terpiece』でセルフカバーするくらい大切な曲で、導入だけで泣けちゃうくらい特にこのイントロがすごく好きなんですよ。楽曲の持つ思いがイントロにすごく詰まっているので。この曲って世界平和を願う歌ですけど、国境や人種を超えるというのはもちろん、人間だけではなくこの地球に住まうすべての生命体を思いやってほしいという気持ちがあって。そういう意味での「ONENESS」なんです。
――なるほど。
奥井 あと、2005年当時もアニメやアニソンが世界ですごいと言われていたけど、海外に行って歌うアニソンシンガーはほとんどいなくて、“アニソンが世界の架け橋になるように”という想いも「ONENESS」には詰まっているんです。実際それから20年経って活躍されている若いアニソンシンガーさんや声優さんがたくさん出てきたし、海外に行く人も増えた。国同士が揉めていてもアニソンにはそれを超える力があることも実感できるようになったんです。当時思い描いていたことが現実になった一方で、最近の世の中はあの頃よりも悪くなっているような部分もある。なので「ONENESS」に込めた想いは自分が可能な限り伝えたいなと思います。
――最後に、奥井さんは以前から生涯現役でやりたいというお話もされています。JAM Project もソロも近年はさらに活発に活動されていますが、今後の展望はありますか?
奥井 ボンちゃんも含め若い同性のアニソンシンガーさんたちと接した時にいつも感じることなんですけど、やっぱり背中をすごく見られている。デビューから30年が過ぎて、どういうふうに歳を重ねながら仕事をしていくかは自分も手探りなんですけど、ロールモデルとなる人が自分の前にいなかったので、できれば誰かのお手本になれるようにやっていきたいなというのはあります。男性アニソンシンガーさんはいくつになってもそのままでいられるような気がするんですが、女性はちょっとアイドルみたいな?ところもあって特殊なので、シンガーとしてどういうふうにかっこ良く年を重ねて自分の居場所を残していくか。みんなの指針になれるように頑張りたいですね。
●リリース情報
Baby Baby Baby
4月23日発売
【初回限定盤(8cmCD仕様)】
品番:LACM-34686
価格:¥2,200(税込)
【通常版】
品番:LACM-24686
価格:¥1,650(税込)
<CD>
1.Baby Baby Baby / 奥井雅美 with ボンジュール鈴木
作詞:奥井雅美
作曲:ボンジュール鈴木
編曲:鈴木Daichi秀行
2.D~螺旋~
作詞:奥井雅美
作曲・編曲:R・O・N
3.Baby Baby Baby (Off Vocal)
4.D~螺旋~ (Off Vocal)
オフィシャルサイト
http://makusonia.com/
オフィシャルX
https://x.com/LoveLoveDragon
オフィシャルYouTube
https://www.youtube.com/channel/UChikvWlmS7GRKi-veLfljBw
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