温泉地をモチーフにした地域活性化プロジェクト「温泉むすめ」にとって、約5年ぶりとなる単独の音楽ライブ“FUSION☆FUSION!!”が「温泉むすめの日」となる3月15日(土)に開催された。ライブには9人組のSPRiNGSから選抜された有馬 輪花役の本宮佳奈、道後 泉海役の篠田みなみ、登別 綾瀬役の日岡なつみ、奏・バーデン・由布院役の和多田美咲、そして新ユニットのVUCCA(ヴッカ)のかみのやま 庵役の進藤あまね、福地 珊瑚役の反田葉月、稲取 ひなめ役の鈴木杏奈、別所 愛染役の立石凛が出演。2部行われたうち、今回は1部の模様をレポートする。
TEXT BY はるのおと
PHOTOGRAPHY BY 星野耕作
「温泉むすめ」のライブでは恒例の出囃子的なBGMをOvertureとしてこの日のステージは始まった。最初にステージに姿を見せたのはSPRiNGS選抜の4人。彼女たちが歌い出したのはプロジェクトの始まりの曲でありSPRiNGSの代表曲でもある「未来イマジネーション!」。「温泉むすめの日」にふさわしい楽曲に、客席のテンションは最初から全開に。特徴的なフリや、その後のMCでの自己紹介時のコールアンドレスポンスも久々のライブとは思えないほどステージ上と客席の息が合っており、篠田は「9人でも4人でも関係ないね」と客席の盛り上がりに感じ入っていた。
続いて新ユニットのVUCCAが「オーバーフロー!」でさっそくのお披露目。後輩ポジションらしい、かわいらしいポップナンバーに対し、観客はコールやクラップでお出迎え。最後はステージ上の4人が手をつないで掲げ初ステージを終えた。そんな彼女たちは最初のMCからポテンシャルの高さを発揮。VUCCAの由来(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Captivate:魅了する、とりこにする、心をつかむ、夢中にさせる、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性の頭文字)を紹介するくだりでは、進藤が説明を始めるとすかさず鈴木が「リハの時に読めなかったから(カンペの英語が)カタカナになってる!」とツッコミを入れると、その鈴木は最後に「MC中、ずっと足がつっていて(伸ばしていた)」と明かす。トラブルに見舞われながらもVUCCAはパフォーマンスとMCで客席の心を掴んで上々のデビューを飾ることに成功した。
その後はSPRiNGS選抜の面々によるソロパフォーマンスのコーナーへ。トップを飾った篠田の「うぇるかむ to ONSEN!!」を除いた3曲は、リリースこそ2020年から2021年とかなり前なものの意外にもライブ初披露。和多田はバラードの「ユメを抱いて生きてく私たち」で由布院のポジティブな気持ちを表現し、日岡はダンサブルな「湯けむりトキメキゲーム」でダンサー2人と共に華やかなステージを展開する。キラキラ感のある「進化系ミライ」で本宮が“みんな大好き!”とツンデレキャラらしからぬストレートなラブコールを届けると客席からは大歓声が。バラエティ豊かな楽曲、そしてパフォーマンスで4人は各キャラクターが持つ世界観を表していった。
待望のソロ曲のライブができた4人がその感想を語り合っていると、ステージにVUCCAの進藤が登場。「SPRiNGSさんとやりたい曲があるんです!」と告げた彼女が一緒に歌うために指名したのは篠田と日岡の2人。期待外れに終わった本宮が「後で裏来いよ」と突っ込む一幕に笑いが起きた後は、SPRiNGSとVUCCAのメンバーが“FUSION”して「おはようジャポニカ」「Petit Etoile」といったハイテンションな楽曲を連発。進藤と篠田、日岡による「おはようジャポニカ」では“ワッショイ”“J・A・P・A・N”“ソイヤソイヤ”と大ボリュームのコールが発生。和多田、進藤、鈴木、立石による、とびきりキュートで電波チックな「Petit Etoile」は「温泉むすめ」内のユニットpetit corollaの楽曲のカバーで、ユニットの壁を超えた選曲でもライブテーマを体現する。
その後に披露されたのはSPRiNGS選抜の4人による同ユニットの1stシングル表題曲「Hop Step Jump!」。間奏後のセリフは本来9人でリレーしていくが、この日は出演する4人以外の語りパートがステージ上で流され、SPRiNGSを構成する9人の繋がりが感じられる演出となっていた。プロジェクト内屈指の感動曲を歌い終えた4人は、リハーサルを重ねるなかでVUCCAの面々と徐々に仲良くなっていったことを報告。そしてその後輩ユニットにライブのバトンが渡される。
SPRiNGS選抜と同じく、VUCCAもソロ曲でそれぞれのキャラクターの個性を存分に表現していく。トップバッターの立石は番傘を片手にバラード「雨の雫」を歌い上げてミステリアスな別所らしさを艷やかに届け、反田は「気分はストレンジャー」の“ぐるぐるぐるぐる”というキャッチーなフレーズに合わせて観客を回転させ、鈴木は圧倒的な歌唱力でテンションの高い「まつりごと」を歌い上げてファンを魅了した。唯一新曲ではないものの、最後に登場した進藤はノリのいい「ココロコノママ」の間奏で、客席をバックにしてマイペースにスマホでカメラをパチリ。そしてVUCCAのフレッシュなパフォーマンスに興奮冷めやらぬなか、会場が暗転して幕間映像がスタートする。今回のライブに出演する8人が演じるキャラクターがライブテーマを決めるまでを描く物語がコメディ仕立てで語られ、大きな拍手や爆笑が飛び交う「温泉むすめ」らしい時間が流れていく。
SHARE