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INTERVIEW

2023.10.11

『陰実』2nd seasonOPテーマ「grayscale dominator」の制作風景や“噂”を生むライブ作りやステージングについて、OxT(オーイシマサヨシ×Tom-H@ck)が語る

『陰実』2nd seasonOPテーマ「grayscale dominator」の制作風景や“噂”を生むライブ作りやステージングについて、OxT(オーイシマサヨシ×Tom-H@ck)が語る

海外を経て、日本で人気を得た作品をまとっていく

――先ほど少しお話に挙がりましたが、9月9日と9月10日にそれぞれ大阪と東京で開催された“OxTの日~2023”で「grayscale dominator」を披露しています。ステージで歌ってみて感じたところとしては、どのようなものがありましたか?

オーイシ ライブ初披露とは思えない、昔からやっていたようなフィット感がありましたね。新曲披露となると、どこかで高揚したりとか、ちょっと緊張感があったりするんですけど、“OxTの日”というイベントの雰囲気もあったからか、数年前からの持ち歌のように着地できたと思います。うん、楽しかったです。

Tom 確かに、それはあったと思います。自分の中に入っていくスムーズさみたいなものを感じましたね。ワンコーラスだけだったというのもあるかもしれないですけど。

オーイシ まあね。むしろ、身内(=ファン)がいる場で1回やっといて良かった(笑)。

――ほかにも2023年はOxTとして“Animelo Summer Live 2023 -AXEL-”にも出演し、ソロや別ユニットでの活動などでもライブやイベント出演を重ねていますが、コロナ禍を経た今、自身にとってのライブという存在や、ライブを通して感じる変化などがあれば教えてもらえますか?

Tom 僕には明確に感じるところが1つあって。僕も40歳近くになり、完全なるおっさんの年齢になってきたわけですけど、ここにくるまでに極めようと切磋琢磨してきた案件やジャンル、技というのがたくさんあるじゃないですか?

オーイシ そうね。

Tom 例えば、音楽を作ることにおける精度もそうです。趣味の面でもそういったところは色々と増えています。そうやって、どれについても「熟成」の中でやる心境になってきた今、「新境地」とか「開けたことのない扉」といったものへの意識がすごく強くなっているとは感じます。で、ライブって僕の場合、まだまだ覚束ないもので。

オーイシ へぇー。

Tom だからこそ、ものすごく楽しいんですよね。人間、新しいことをやるときは楽しいじゃないですか?周囲のプロフェッショナルから助言をもらうのも、「確かにそうだよな」と開拓していくこともめちゃめちゃ楽しいんですよね。今の僕にとってライブはまさにそういうものです。そこはMYTH & ROIDもOxTも同じで、細かい例で言えば、「ライブで2コーラス目にいったらオーイシさんと左右の位置を入れ替わるんだけど、そのときお客さんに対してこういうアプローチをしたら喜んでくれるかな」、とか考えながらやっているんです。そういうのは、この40年近く僕が開拓してこなかった部分なのでやりがいがあるし、熱量を持ってやれていると実感していますね。

――モチベーションが高まっている感覚ですか?

Tom というのもありますけど、どちらかというと日々の忙しい中でのガス抜きというか。僕にしてはなかなかないことですけど、そういった感覚がありますね。あと、コロナ禍を経ての違いという点に関しては、それはもう、それぞれのアーティストが持っている想いやそのパワーによってまた新しい形で芽が出てくる、と思っているので。今は継続していければそれでいいと思っています。

オーイシ あの、Tom君は僕をすごく評価してくれているみたいですけど、僕はライブに関して自分のステータスがカンストしているとはまったく思ってなくて。毎回毎回反省点を見つけては修正していっているので、まだまだ自分には伸びしろしかない、と思っているんですけど(笑)。

Tom (笑)。

オーイシ それはさておき。コロナ前とは変わってしまった部分という意味では、お客さんがプロフェッショナルになってきたという印象が実はあります。要は、「声を出して盛り上がりたい」とか「席に座ってエレガントな音楽をたしなみたい」とか、それは今までもあった部分ですけれど、明確に自分が求めるものをわかったうえでライブやコンサートに来ている気がしますね。このイベントの出演者はこういうラインナップだからこういうお客さんが集まるとか、そういう予測もできているとステージの上から感じ取れます。なので自分は、お神輿の上から音頭を取るみたいな、そういうステージングをさせていただいています。とにかくお客さんが玄人になってきたというところはあると思います。

――金銭的にも精神的にもライブへ行くには労力が必要だった時期が長かったので、ライブに参加する際に強い気持ちを皆が持つようになりましたね。

オーイシ 誰もが、自分がライブで何をしたいのかを見直す、ということもあったと思います。その結果、ライブに行かないという選択肢を選ぶ人もいたでしょうし、興行的に苦しいアーティストもいるかもしれないんですけど、ただ、相変わらずチケットを取れないアーティストは取れないままだし。そのコントラストはお客さんがプロフェッショナルになってきたからであって、僕らとしては来たくなるようなエンターテインメントを目指すだけなのかな、とは思います。「噂」を生むような。「あいつのライブに来たら楽しいらしいぜ」みたいな雰囲気作りですよね。それが集客に繋がる、そんな風な佇まいで考えています。

――お二人のお話を聞くと、OxTとしても大規模なライブなりツアーなりを期待できるのかな、と思いましたが。

オーイシ いや、やりたいですよ。(“OxTの日~2023”のように)2時間で7曲と言わず(笑)。

――それこそ、『陰実』人気もありますし、OxTでしか味わえない音楽もあると思うので、海外のファンにもぜひ生で聴かせてあげてほしいと思います。

Tom 実は幸いにも、ほかのアーティスト活動へオファーと合わせて、「OxTも出演してほしい」という海外からの話は結構僕のほうに届いているんですよ。

オーイシ 僕としても、海外には海外のノリがありますし、異なるユーザーさんの盛り上がり方を肌で感じてみたい気持ちもあるので、時間ができたら虎視眈々と海外公演を狙いたいとは思います。

――改めて、「grayscale dominator」はどのような1曲になったと感じていますか?

Tom 活動を何年も続け、熟成されてきたOxTが見せる振り幅の1つとして、とても良い楽曲だと思います。年数が長くなったアーティストにマンネリ化って付き物だと思いますけど、そこを払拭してみせることができた、そんな楽曲ですね。

オーイシ もちろんすごく良い曲ですし、ライブでもこれから歌っていくんだろうと思いますけど、アーティストって(同じ作品の)主題歌を続ければ続けるほど、そのコンテンツをまとっていくところがあるじゃないですか?僕らのフィルターを通してコンテンツを見るという部分があると思いますし、僕らにとっても代表作になる楽曲だとは感じています。それに『陰実』はその人気の高まり方が特殊で、2nd seasonへの期待感みたいなものを多方面から聞いてもいるんですよ。なので、アニメフェスやそういったイベントなど色々な場所で歌っていきたい曲になりましたね。

――最後に、1st season、2nd seasonと『陰実』のOPテーマを担当する側からの作品へのエール、ではないですが。数々のアニメで主題歌を担当してきたお二人から見て、『陰実』にはどのような魅力があると感じますか?

Tom オーイシさんも話していましたけど、『陰実』のヒットの形は良い意味でいびつで、海外から火がつき、ゲームから火がつき、日本でも徐々に熱が上がってくるという流れだったのかなと思います。そのときに思ったのが、海外では変わらず俺TUEEE系が人気を集めてるということと、最初にもお話しした、主人公が俯瞰視点で物語を進めていくという部分の割合がほかのアニメよりも大きいんじゃないかということで。僕たちが携わった『オーバーロード』や、あるいは僕がMYTH & ROIDで関わった『Re:ゼロから始める異世界生活』とも違っていて、そういった面でも新しい匂いを感じる作品だと思いますね。

オーイシ Tom君が言った通りなんですけど、自分としては「こういった俺TUEEE系がまだいけるんや」っていうファーストインプレッションだったんですよね。それが、海外というフィルターを通って逆輸入されたことで日本でも人気になったと思います。そこにすごく今っぽさは感じますね。これからは、同じような売れ方をする作品が出てくるのかもしれない。日本では飽きられているようなカテゴリーだったとしても、別の国でヒットしたあとで連鎖として起きる、みたいな。だから、『陰実』はその走りになるんじゃないかな、というところですね。でもそれって結局、好きなものは好き、というところじゃないですか?日本人、特にヲタクって擦られたコンテンツに対して斜にかまえたり、批判的に悪態ついたりしがちですけど(笑)。「やっぱ俺好きだわ」という流れを体験させてくれる『陰実』というコンテンツに携われているというのは光栄ですよね。


●配信情報
TVアニメ『陰の実力者になりたくて! 2nd season』オープニングテーマ)
OxT
「grayscale dominator」
配信中

作詞:hotaru
作・編曲:Tom-H@ck

配信リンクはこちら

■mora
通常/配信リンクはこちら
ハイレゾ/配信リンクはこちら

●作品情報
TVアニメ『陰の実力者になりたくて! 2nd season』

【STAFF】
原作:逢沢大介
(『陰の実力者になりたくて!』/KADOKAWA 刊)
キャラクター原案:東西
監督:中西和也
シリーズ構成・脚本:加藤還一
キャラクターデザイン:飯野まこと
美術監督:李 凡善
色彩設計:田中直人、岡崎順子
プロップデザイン:北原大地
撮影監督:廣岡岳
3DCG監督:濱村敏郎
編集:坪根健太郎
音楽:末廣健一郎
音楽制作:KADOKAWA
音響監督:明田川仁
音響制作:マジックカプセル
アニメーションプロデューサー:中村浩士
アニメーション制作:Nexus
製作:シャドウガーデン

【CAST】
シド・カゲノー/シャドウ:山下誠一郎
クレア・カゲノー:日高里菜
メアリー:加隈亜衣
ユキメ:伊藤静
ジャガノート:小山剛志
クリムゾン:杉田智和
アルファ:瀬戸麻沙美
ベータ:水瀬いのり
ガンマ:三森すずこ
デルタ:ファイルーズあい
イプシロン:金元寿子
ゼータ:朝井彩加
イータ:近藤玲奈

(c)逢沢大介・KADOKAWA刊/シャドウガーデン

関連リンク

OxT公式サイト
http://www.oxt-music.com

オーイシマサヨシ公式X
https://twitter.com/Masayoshi_Oishi

Tom-H@ck 公式X
https://twitter.com/TomOshima_TH

TVアニメ「陰の実力者になりたくて! 2nd season」
公式サイト
https://shadow-garden.jp/

公式X
https://twitter.com/Shadowgarden_PR

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