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INTERVIEW

2023.03.17

Morfonicaが歩んできた軌跡――直田姫奈(桐ヶ谷透子役)、Ayasa(八潮瑠唯役)が3年にわたる五重奏を1st Album『QUINTET』とともに語る

Morfonicaが歩んできた軌跡――直田姫奈(桐ヶ谷透子役)、Ayasa(八潮瑠唯役)が3年にわたる五重奏を1st Album『QUINTET』とともに語る

メディアミックスプロジェクト「BanG Dream!」(以下、バンドリ!)のリアルバンドとして、2020年3月に産声をあげたMorfonica(以下、モニカ)。進藤あまね(倉田ましろ役)、直田姫奈(桐ヶ谷透子役)、西尾夕香(広町七深役)、mika(二葉つくし役)、Ayasa(八潮瑠唯役)から成るバイオリン奏者を含めた編成は、クラシカルな側面の中にもエモーショナルなロックサウンドを聴かせ、「バンドリ!」に新たな風を吹かせた。そんな彼女たちの3年間のキャリアを総括するような1st Album『QUINTET』がついにリリース。今回はギターの直田姫奈とバイオリンのAyasaの2人に、モニカが鳴らした3年にわたる五重奏を『QUINTET』とともに振り返ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY 澄川龍一
PHOTOGRAPHY BY 三橋優美子

Roseliaとのコラボで実感した、モニカという”QUINTET”の強み

――まずは2月に行われた“BanG Dream! 11th☆LIVE”について。モニカは、“Roselia×Morfonica「星空の夜想曲」”に出演しました。

直田姫奈 モニカとしては結構大変でしたね。

Ayasa “Morfonica 1st Live「Cantabile」”も大変でしたけど、あれ以来。

直田 1st Liveより新曲の数が多かったですし、Roseliaさんの曲もあったので、新しく学ばなきゃいけない曲がたくさんありましたね。

Ayasa モニカとしての新曲、カバー曲も難しい曲が重なったのもありましたね。

直田姫奈

直田姫奈

――また、構成もまとまったセットではなく、およそ3曲ごとにバンドが交代するというものだったので、テンションの持っていき方などもこれまでとは違いましたか?

直田 全然違った気がしましたね。

Ayasa すごく新鮮で、対バン形式だとまとまった時間でこちらもゆったりできるんですけど、3曲くらいで「出番です!」って呼びに来られるという(笑)。

直田 あと、私たちはRoseliaさんの楽曲に出張モニカとして参加させていただいた身だったこともあり、3曲やって自分の中でボルテージが上がったときに引っ込むので、なんなら楽屋が一番テンション高かったですね(笑)。

Ayasa

Ayasa

――お二人はRoseliaとのコラボも見せ場になっていましたが、まず直田さんは「THE HISTORIC…」で工藤晴香さんとツインギターを披露していました。

直田 「THE HISTORIC…」のソロから透子が登場したんですけど、今までツインでギターを弾く機会がなかったので、初めての経験だったんです。工藤さんと同じメロディをオクターブ下で弾かせていただいたんですけど、先輩と弾くというので絶対に間違えられないというプレッシャーを課していたのもあって、めちゃくちゃ緊張しましたね。

――あのザクザクとしたリフが倍になった音がかっこ良く、直田さんのステージングもモニカの時同様に堂々としたもので。

直田 透子としてはすごく光栄なステージを用意していただいて、お客さんとして観たかったなってくらいで(笑)。隣で工藤さんの弾いている姿を観て、自分としても透子としても師匠に学べたなと思っています。でも本当に緊張しました……ステージ上で「ピース!」とかやっちゃいましたけど(笑)。

Ayasa すごく良かったですよね!私たちもモニターで観ていたんですけど、ステージに入ってきたときに透子ちゃんがいつもやるポーズで現れたときは、みんなで「うわ、きたー!」って(笑)。

直田 弾いたあとに一旦はけて、そのあとモニカで「Nameless Story」をやったんですけど、そのときのみんながすごく温かくて……それこそモニカのブロックが終わったあとに、mikaさんとAyasaさんがピースしながら「見たよ、これこれ!」ってすごいテンションで迎えてくれたんですよ(笑)。モニカっていいなあって、出張ですけどほかの4人のぶんを背負って出られたんだなと思ったりして。あとは5人で合わせているときもいいなと思うんですけど、それとは別ベクトルでやっぱモニカっしょ!って気づけた瞬間だったので、やらせていただいて良かったなと思います。

――たしかに「Nameless Story」からのブロックはまたモニカのテンションも一気に上がった印象でした。

直田 (進藤)あまねちゃんも「Nameless Story」が始まる前の真っ暗なところで舞台に板づくんですけど、袖からピースしながら入ってきたんですよ(笑)。

Ayasa そうなるよね(笑)。

直田 「こいつー!」って思いながら(笑)、でもそれですごくテンションは上がりましたね。

――そしてAyasaさんは「Ringing Bloom」でRoseliaとコラボしましたね。

Ayasa この曲をコラボさせていただくと聞いたときは、曲のチョイスがさすがだなと思って。いざどう弾くか考えたときに、私はモニカに入る前に、Roseliaさんの……ファンだったから(笑)。Roseliaさんの楽曲を自分のYouTubeでカバーしたくらいだったので、すごく嬉しかったんです。

――Roseliaとストリングスの親和性もあって素晴らしいコラボでした。

Ayasa 以前にもポピパさんやRASさんとは合同ライブで共演していたんですけど、正直Roseliaさんのときが一番難しくて。ポピパさんとRASさんは元々の曲にストリングスは入っていないから、そこの部分が空いていて好きに入れるけど、Roseliaさんは元々ストリングスが入っていて、隙間が埋まった状態で「何弾こう?」っていうのがあったんですよね。あと「Ringing Bloom」は燐子の曲ということで、のんちゃん(志崎樺音)さんが歌うのと、いつも相羽(あいな)さんがそこを立てるパフォーマンスをされているので、そこをすごく気をつけたというか。あと(白金)燐子と(八潮)瑠唯の絡みもすごく大事なので、大変でしたけどとても楽しかったですね。

この3年で感じた、バンドとキャラクターたちの成長

――そうしたBanG Dream! 11th☆LIVE のあと、いよいよリリースとなる1st Album『QUINTET』ですが、モニカが産声をあげた2020年3月からのおよそ3年間を封じ込めた1枚という側面もあります。改めてモニカの3年間をどう捉えていますか?

Ayasa 3年!?

直田 3年って感じがしないんですよね。何年って感覚ですか?

Ayasa 2年。

直田 わかります(笑)。でもこれから4年目なんですよね。

Ayasa しかも2020年の3月に発表だったけど、その前から一緒にいたじゃない?

直田 そう、だから4年近く一緒にいるんですよね。

Ayasa 3年というのはあっという間でもあるんですけど、最初のお披露目が2020年の夏の富士急ハイランド・コニファーフォレストだったんですよね。私はそのときから「大丈夫だよな」っていう気持ちがあって。

――1年目から感じていた?

Ayasa もちろんそこから信頼関係がどんどん強くなったんですけど、あのお披露目で壁を乗り越えられた感があって、そのときくらいから絶大な信頼をもってライブをやれていました。姫ちゃんもベースの西尾(夕香)さんも、楽器を持って初めた頃からびっくりするくらい努力をしてめきめき上達されて、もう普通に長年音楽を一緒にやってきた感じで、なんなら私こそ足を引っ張らないようにって思うくらいで。あと、最近ライブをやっていて思ったのは、「Daylight -デイライト- 」でのあまねす(進藤)の表現力がどんどん上がっていること。より大人として、ボーカリストとして成長していって、2月のライブでもサビの“過去には 戻りたくはない”というところの感情の入れ方がすごいなと思っていて。

直田 すごく凝縮された3年間だったので、自分でも気づかないことも多いんですけど、過去のライブ映像を観たときに、パフォーマンスや弾いているものが幼く見えると思えるというのは、自分が変わってきていることなのかなって。バンド全体としては、仲も良くなったと思うんですよ。別に仲が悪かったわけではなくて、私が喋るようになったということなんですけど。

Ayasa そうだね。

直田 すごく人見知りだったので、しゃべらなかったというよりしゃべれなかったんですね。練習でも弾いて即帰るという(笑)。

――透子とは真逆だったと。

直田 そう、真逆。私が八潮瑠唯だったっていう(笑)。みんな想像付かないかもしれないけど、あまねちゃんにも最初敬語で話していたんですよ。

Ayasa そうだ。私が最初に入った練習のとき、姫ちゃんはあまねすとしかしゃべってなかったと思う。仲が悪いとかじゃなくて初対面だから。

直田 それが今ではライブパフォーマンスやセトリとか、Morfonicaを今後こうしていきたいって壁なく話せるようになったのは、年月のおかげかなと思います。

――一方で、お二人が演じる桐ヶ谷透子と八潮瑠唯は、この3年で演じて変わったところはありますか?

直田 桐ヶ谷大先生は初期から変わらない(笑)。「やりたいからやる!ついてこい!」っていうのは変わらないですけど、でも透子ちゃんって周りにたくさんのお友達がいて、周りに人がいるのは当たり前の人生ですけど、Morfonicaのメンバーに対しては特別視しているというか。ただの友達じゃなくて、本人も初めて本気になれたのがバンドでありギターでもあるので、そこの変化はすごく感じて演じています。

――透子がバンドにどんどん本気になっていく姿は感じられますよね。

直田 最初はドライだったかもしれないし、メンバーもただの友達という感じで、そこから変わってきたという演じ方でありますよね。私も見守りながら、そのまま突っ走って、たまに瑠唯にはちょっかいかけていけたらと思います(笑)。

――透子と瑠唯の関係性というのもストーリーの1つのトピックですよね。

直田 瑠唯に関しても、矢印がすごくて。ストーリーの第1章は透子ちゃんも「ギター楽しい!」って感じですけど、第2章に入ると透子ちゃんは瑠唯のことしか話していないんですよ。「あいつムカつく!ムカつくけど……」と。だからそこは一緒に頑張って練習して瑠唯に認めてもらおうねっていうのが、私たちの一番の課題なのかなって。でも、曲で瑠唯は少しずつ歩み寄ってきてくれていますよね。

Ayasa うん、それはすごく思う。

直田 最初は、「flame of hope」とかは殴り合いって感じの曲ですけど、色んな曲をやってきて、同じメロディを……。

Ayasa ユニゾンしている。

直田 そう!それこそAlbumに入っている「Sweet Cheers!」なんてガッツリ一緒に弾いているし、口では言わないけど音楽で返してくれているんだろうな、透子は気づいてないけど!っていう(笑)。

――気づいてなさそうですね(笑)。

直田 正面切って「あなたを認めるわ」って言われない限り透子は気づかないから(笑)。いつか言ってくれる日がくるんじゃないかなって私も楽しみにしています。

――そんな瑠唯について、Ayasaさんはどう感じていますか?

Ayasa 瑠唯に関しては、この3年間でもっとも変わったんじゃないかなと思っていますし、まだまだもっと変わっていくんだろうなって。最初は本当に人間なんだろうかっていうくらい感情がなかったけど、一緒に過ごしていくうちにメンバーへの想いも芽生えていって。あと、瑠唯に関してはましろちゃんのことを大切にしているというか、瑠唯を変えるきっかけがましろちゃんなのかなと。ましろを含めてMorfonicaが頑張っていく姿を見るのが、何より瑠唯を変える要素になる。そこにいるっていうことは彼女も変わりたいんじゃないかなと思います。今もメンバーのことをちゃんと見ていて、優しいんですよ。透子ちゃん以外には(笑)。

直田 そうなんですよー!あとは透子だけなんですよ!(笑)。

Ayasa そういうMorfonicaの中の変化もあるし、2月のライブでもりんりんとも改めて一緒に演奏してバイオリン弾きとしての変化もあったと思う。表情も柔らかくなってきたし、その彼女の良さはモニカが引き出してくれているなって、私は共に歩んでいる身としては、新しいストーリーを読むたびに思っていますね。

――改めてこの3年は、皆さんにとってもキャラクターにとっても成長が見られる、またそれがリンクする時間でもあったのかなと。

Ayasa 実際のパフォーマンスもそうで、「Daylight -デイライト- 」の頃には歌う気さらさらないってくらいの弾き方だったんですよ。でも「寄る辺のSunny, Sunny」や「誓いのWingbeat」では瑠唯が曲を作りながら、ここは私が歌うのならバイオリンは少し休むか、とか考えているのかなと思うと、ちょっとエモいなって。

『QUINTET』とツアーから始まる、Morfonicaの“第2章”

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