――そのライブでも色々な曲を歌われたように、これから青山さんご自身としても様々な曲を歌っていきたいと思われているのでしょうか。
青山 そうですね。例えば今思い浮かぶものだと、ジャズ系の曲が好きなので、ジャジーでちょっと大人な曲とか。ハイヒールを履いて、伏し目がちにしている赤リップの良い女……みたいなイメージの曲を、いつか歌ってみたいです。そのほかにも、自分がまだ知らない“好き”というものを、このアーティスト活動を通して見つけていきたいとも思っているんですよ。“好き”が増えるって、すごく幸せなことなので。
――そう思うきっかけって、何かあったんですか?
青山 “よぴぴん家らいぶ”で何曲かリクエストを募って歌ったことで、今まで知らなかったような曲とも出会えた経験が大きかったと思います。そういうことを通じて“好き”を増やして、どんどん自分のものにしていきたいですね。
――青山さんは今、出会いのためにそういったインプットを意識的にされているんですか?
青山 まだやってないんですよ。それに、これは音楽をやる人間らしからぬ発言かもしれないんですけど……私、音楽をあまり聴かないんです。でもあまり聴かないからこそ、今まで聴いてきた音楽を私はものすごく大事にしていて。例えば私、小中高と合唱をやっていたのでルーツは合唱になるんですけど、その頃好きだった合唱曲って1曲も忘れてないんです。だから、みんなが100曲聴くだけの時間を私は1曲にあてている……というくらい、1曲への熱量の高さを大事にしています。
――ふとしたところから、それくらい熱量を注ぎたくなるものにまた出会うかもしれないし。
青山 出会ったら、次回作は完全にそういう曲になるんでしょうね(笑)。それに私、音楽についてすごく詳しいわけではないので、「Page」のデモを聴くまでは「こんな曲やりたかったけど、『こういう曲』ってどう発注すればいいかわかんない」という感じだったんです。そういうふうに出会って初めて知るジャンルもあるはずなので、今は新しいものにどんどん出会ってみたいですね。
――たくさんの出会いがあると、例えばアルバムの中に色んなジャンルの曲が収められたり……。
青山 わ!たしかに。宝箱みたいに1枚の中にばーっと色んな曲を詰め込んだり……それもいいですね。
――ただ最初のほうのお話だと、ストック自体は何曲かありそうですね。
青山 そうなんですよ。しかも全部すごく良いんです。どれもゴン攻め曲ばかりなので……早く出したい。まだデビューシングルのリリース前なのに(笑)、今は早く次を出したい気持ちでいっぱいです。
――そのお言葉と「Page」の成り立ちを合わせて考えると、今の青山さんは、すごく音楽活動に前向きなのでは?
青山 たしかに……そうかもしれない。良いですね、今前向きです私(笑)。でも、いつか後ろ向きになったときの反動が怖い……。
――もうそこ考えちゃいますか?(笑)
青山 あはは(笑)。やっぱ後ろ向き人間なんで、リスクヘッジをしちゃうんですよね。
――それでは最後に、今後に向けての意欲をいただけますか。
青山 やっぱり“ソロデビュー”というと、特に声優さんに詳しい方だと「これからアニメの主題歌を歌って、ライブツアーが決まって、大きなフェスにも出ちゃって」みたいなことを想像されるかもしれないんですけど……もしも青山吉能のソロデビューにそれを感じている方がいたらとても申し訳ないのですが、このソロデビューは「私がやりたい」から始まったもので、逆に言うと「私がやりたくないことは絶対にやらない」というプロジェクトなんです。だから、「色んな準備やお膳立てが元々あって、華々しくどーん!と展開する」というものではなくて。私はもちろんプロデューサーやディレクターが音楽に対して大切にしていることとか、色んな人の大切にしたいものを大事に活動したいんですよね。もちろんいつか大きな景色も見てみたいなぁとは思いますけど、決してそれが目標というわけではなくて。自分が大切にしてきた音楽というものを忘れずに、牛歩でもいいから進んでいけたらいいかなという気持ちで活動していくので、その小さな歩みについてきていただけたら嬉しいです。
INTERVIEW & TEXT BY 須永兼次
●配信情報
青山吉能
1st デジタルシングル
「Page」
2022年3月9日(水)リリース
作詞:Yoshino Aoyama
作曲:Kana Yabuki
編曲:Wataru Maeguchi
青山吉能 Twitter
https://twitter.com/Yopipi555
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