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INTERVIEW

2022.02.28

【10周年記念連載】第1回:ZAQ「ZIGZAG」「悪夢/耺」―ー9ヵ月連続リリースとともに10年間を振り返る!

【10周年記念連載】第1回:ZAQ「ZIGZAG」「悪夢/耺」―ー9ヵ月連続リリースとともに10年間を振り返る!

幅広い音楽ジャンルに独特のカラーを織り交ぜ、様々な楽曲をアニメシーンに投入してきたZAQ。2022年はそんな彼女にとってアーティストデビュー10周年という節目となる年であり、その瞬間に向けてカウントダウンが始まる年明けの1月から、9ヵ月連続で楽曲をリリースすることが発表された。リスアニ!WEBでは来るべき2022年10月24日というデビュー10周年記念日に向かって、毎月連続でインタビューを敢行していく。 インタビュー第1弾となる今回は、2012年のデビュー前後に迫るとともに、当時の熱い想いをそのままに制作した連続リリース第1弾シングル「ZIGZAG」、2月に発売される第2弾シングルにしてTVアニメ『薔薇王の葬列』第1クールエンディングテーマである「悪夢」、そのカップリング曲である「耺」について聞いていく。シンガーソングライターZAQの隠れざる才能と魅力がさらに暴き出される連載をぜひチェックしてほしい。 ■連載一覧はこちら

1年を通してZAQの楽曲を楽しんでもらえる形を考えて

――今回の9ヵ月連続リリースについては、どういった経緯や意図があるのか教えてもらえますか? ZAQ 最初はアルバムを作ろうという話ではあったんですけど、配信シングルのほうがCDよりも手軽に聴ける形として楽しんでもらえるんじゃないか、という提案を(所属レーベルの)ランティスからいただきました。 ――ZAQさんの楽曲も、ランティスのサブスクリプションサービスでの配信がスタートしましたね。 ZAQ そうなんです。それに、9ヵ月連続リリースというのはなかなかできないことですし、アルバムを出してライブをやって終わり、というよりは1年を通して楽しんでいただけると思うんですよ。ライブ自体もまだまだオンラインでの開催が多い状況ですし。だから、今の時代に合った形でZAQの新曲を楽しんでもらえるんじゃないかと考えました。9ヵ月連続リリースが終わったあとの10月が10周年となるデビュー月となります。 ――2022年の1年を通してアニバーサリーイヤー感を出すということですね。 ZAQ お客さんを飽きさせないように。 ――デビューした2012年当時、10年後に自分が9ヵ月連続で楽曲をリリースすると想像していましたか? ZAQ まったく。私、10年後は劇伴作家になると思っていたんですよ。30(歳)を越えたらきっとライブをする体力なんてないから、作家として暮らしていくんだろうと思っていました。実際にはライブをやればやるほど、60(歳)、80(歳)になるまでライブをやりたい、と思うようになりましたね。でもデビュー当時は、10年も経ったらみんな私のことなんて忘れていると思っていましたよ。すごくネガティブでした。 ――2012年のZAQに至る、さらに前段階についてもお聞きしたいんですが……。 ZAQ パリピをやっていた頃ということですか?(笑)。 ――(笑)。音大のピアノ科出身とは知られていますが、音大生時代は音楽を仕事にしたいと考えていたんですか? ZAQ 音大の頃は本当に夢がなくて。高校で音大に入ると決めたときはピアノの先生になろうと思っていました。 ――堅実に。 ZAQ そう、堅実に。大学に4年通ってそれなりに結果を残したら地元の鹿児島に帰って、って。でも、大学でピアノの先生にはなれないことに気づいてしまって。それは性格的なところもあるんですけど、ピアノが自分よりも上手い人がこの世に何百、何千人もいることを目の当たりにしたんですね。それでグレました。 ――それでパリピに(笑)。 ZAQ そう(笑)。そこから先は全然夢が持てなくて。音楽で食べていく自信はないし、大学で卒業生の就職先を調べたら銀行員や郵便局員に進む人が圧倒的に多くて、音楽の道に進んだ音大生がほとんどいない、ということも知って超ショックを受けたんですよね。「だからみんな若いうちから婚活を頑張るのかな」とか思いました(笑)。でも、ピアニストとしてやっていける人って全国で1年に1人出てくるかどうかで。やっぱりクラシック音楽で食べていくのはすごく難しいんですよね。 ――そんな夢破れた頃にアニソンと出会ったんですね。 ZAQ 出会いましたね。大学在学中にアニソンと出会わなければ、今の自分はいないです。 ――そのとき、音楽で食べていく道が見えたということですか? ZAQ いや、全然見えてなかったです。でも、やるしかないと思っていました。そのとき、Hip HopのラッパーやR&Bシンガーとしての活動、コーラスやカラオケのガイドボーカルといった仕事など、色々なところに手を付けてはいたんですね。なので、インディーズでR&Bシンガーとしてのデビューや、誰々の弟子としてデビューみたいなお話も色々とあったんですよ。でも、全部「はい」とは返事しなかったんですよね。そのうちにランティスさんと関わりができて、もう「ここだ!」と思いました。ずっと自分がアニソンシンガーになっている姿しか想像できなかったんですよね。 ――そこまでアニソンに惹かれた理由は何だと思いますか? ZAQ なんだろう?でも、アニソンシンガーを夢見始めたときからとにかくキャラソンが好きで。ただ、私の声はアニソンに向いてないと色々な人に言われたんですよ。 ――Hip HopやR&Bシンガーとしてデビューの話がくるくらいですから。 ZAQ アニソンが好きだし、アニソンっぽい曲もいっぱい作れるのに……だから、それはすごくコンプレックスでした。でもそうすると誰かに歌ってもらうしかないんですよね。なので、自分が作った曲を色々なキャラクターに歌わせる、という妄想はすごくしていましたし、好きだったんです。星の数ほどいるアニメキャラクターの、その1人1人が持つストーリーにスポットを当てて1曲として完成させる、というのはまるで短編集を作るような感覚で。そのワクワク感にハマったんだと思います。それに、キャラソンって色々なジャンルの音楽で作られていると思うんですけど、キャラソンに関してはどんなジャンルの曲でも好きだったんですよね。 ――特に心掴まれたキャラソンというと? ZAQ 「恋愛サーキュレーション」はキャラソンとしての完成度が高すぎると思いましたね……!でも、一番衝撃だったのは『みつどもえ』というアニメのキャラクターソングアルバム(『みつどもべすと』)でしたね。『みつどもえ』のキャラソンは大部分をヒャダイン(前山田健一)さんが作られていて、どの曲もヒャダインさんのサウンドなんです。なのに全部、キャラクターごとに性格も音楽ジャンルも全然違っていて、「1人の脳内でこんなに物語を作れるんだ!?」ってすごく興味が湧きました。今でも私は『みつどもべすと』が一番好きなキャラソンアルバムだと言っています。 ――2012年、TVアニメ『中二病でも恋がしたい!』のオープニングテーマ「Sparkling Daydream」でデビューしますが、同アニメでは既存曲のカバーを除き、主題歌とキャラクターソングをすべてZAQさんが担当されました。今の『みつどもえ』のお話にも通じる流れも感じますが、どのような経緯で決まったのでしょうか? ZAQ 2011年くらいに作家としてランティスの副社長(※当時)にご挨拶したときに、「こんな面白い素材はいない!」って私のことを面白がってくれたんですよ。ヒャダインさんがすごく勢いある時期だったので、同じように歌えるうえに作曲もすごい、その女性版というところを打ち出そうと考えられたみたいですね。それで全部やることになって。でも私も、「わかりました!そういうの大好きです!」って感じだったと思います(笑)。 ――プレッシャーや仕事量よりも、さっきおっしゃったキャラソンを作るという楽しみが上回った? ZAQ そうですね。一度にたくさんのキャラクターソングを作ることになりましたけど、自分の中で着せ替え人形する感覚というか、気持ちを切り替えて作っていくことにすごくワクワクしていました。、 ――今振り返ると、デビュー当時の「Sparkling Daydream」やほかの『中二病』楽曲についてはどのように受け止めていますか? ZAQ 「昔から作り方は変わらないな」って思いますね。当時から、原作とアニメと声優さんたちと超向き合って作っていた覚えがあります。私、『中二病』エンディングテーマの「INSIDE IDENTITY」(Black Raison d’etre/小鳥遊六花、丹生谷森夏、五月七日くみん、凸守早苗)のレコーディングに立ち会わせていただいたんですよ。それで声優さんたちの性格とかを探って、そこから「こういうことならやってくれるんじゃないか?」って考えたりしていましたね。キャラクターと声優さんの親和性を私の中で落とし込みあらゆることを考えながら作る、というやり方はあのときにもう確立していたと思います。

Sparkling Daydream

――「Sparkling Daydream」は「平成アニソン大賞」で作曲賞(2010-2019)にも選ばれました。当時から手応えを感じていたんですか? ZAQ いや、あの曲を作った当時は「これでいいのかな?」と思っていたはずです。ワクワクが勝っていたとは思いますけど、「こんな感じでいいのかな?」が4割で、残り6割は「私のやりたいアニソンはこれーっ!」という気持ちでしたね。

次ページ:自分を振り返り、音楽に憧れを抱いていた頃の気持ちを

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