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INTERVIEW

2022.02.03

【インタビュー】Survive Said The Prophetが描く『東京24区』の世界観、現在のアニメシーンについてYosh(vo)とShow(dr)から話を聞く――。榎木淳弥(蒼生シュウタ役)からはメールインタビューも到着!

【インタビュー】Survive Said The Prophetが描く『東京24区』の世界観、現在のアニメシーンについてYosh(vo)とShow(dr)から話を聞く――。榎木淳弥(蒼生シュウタ役)からはメールインタビューも到着!

オリジナルアニメ『東京24区』の、スタイリッシュながら街の匂いまでしてきそうなオープニング映像。疾走感ある絵が印象的なこの「89秒」を彩るのは日本のロックバンド・Survive Said The Prophet(以下、サバプロ)だ。メジャーデビュー前から各地フェスを賑わすライブバンドでもあった彼らは、2018年に4thアルバム『space[s]』でメジャーデビューを果たす。勢いある英詞とエモーショナルなサウンドで人気を博す彼らは、「アニメによって自身のサウンドを広げてもらった」と話す。そんなサバプロがアニメ『東京24区』との邂逅によって生み出したものとは。

そして、今回『東京24区』より蒼生シュウタを演じる榎木淳弥へのメールインタビューも実施。ぜひ併せて読んでほしい。

ロックバンドとアニメーションのコラボレーション

――まずはお二人の「忘れられないアニメソング」について教えてください。

Show いきなり(笑)!

Yosh すごいプレッシャー!

Show 僕は『フルメタル・パニック!The Second Raid』というアニメのOPテーマだった下川みくにさんの「南風」です。15年くらい前に観たものですが、すごく好きでした。

Yosh Aimerの「誰か、海を。」です(アニメ『残響のテロル』EDテーマ)。あれは好きでしたね。でもそうですね……TK from 凛として時雨の「unravel」も好きでした。『東京喰種トーキョーグール』の。どちらにするか悩みました。でもSurvive Said The Prophet的には「unravel」のような気もします。「このままでいいんだ」という勇気を与えてくれた1曲なんです。ロックの、攻撃的な面を持ったままでいていいんだよってことを、僕に感じさせてくれました。

――昨今はロックバンドがアニメーションとコラボレーションすることは当たり前の光景となりましたが、かつてはそうではなかった。今、そういったシーンについてはどのように感じられますか?

Yosh 僕たち自身も、その部分については音楽活動をしながら感じています。Showはアニメーションも含めたジャパニーズカルチャーの知識が豊富で、日本人で良かったと思えるものがそういったジャパニーズカルチャーに詰まっていたことを色々教えてくれまして。そんなカルチャーをかっこいいと言い続けているヤツと一緒に、自分はバンドをやっているんだな、という面も時の変化とともに感じています。

Show そもそも僕はアニメが好きで、結構観てきているんですが、昔のアニソンってアニソン然としていないと成立しないところがあって。今もジャンルによってはそういった傾向にあるとは思うんですが、近年は英詞の曲でも受け入れられる、と感じるんですよね。僕らは英詞中心なので、英詞だけでも成立するアニメも最近はあって。それはオーバーグラウンドにアニメが広がるきっかけにもなると思うんです。昔のニッチな視聴者層から、ライト層にも響くようになったことで、主題歌の間口も広がり、僕らもコラボレーションができるようになったんだなぁ、と思います。

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――海外にも広がりますしね。

Yosh 向こうに行くと、「日本の音楽のスタンダードはアニメだよね」って言われます。去年、ロサンゼルスで開催された“FINAL FANTASY VII REMAKE Orchestra World Tour”で「FINAL FANTASY Ⅶ REMAKE」のテーマソング「Hollow」を歌いに行ったんですね。お店に入って、ドラゴンボ-ルやワンピースといった作品のTシャツが売っていても、有名なことは知っているから驚かないですが、まさに今放送されているアニメのグッズが売っていたんです。僕よりも遥かに深い知識を持っているだけではなく、アニメーションからしか日本の音楽を知ることができないんだ、と言われたりもして……そうしたシーンの盛り上がりも知ることができたのは大きな経験でした。

――サバプロさんは、これまでにも『コードギアス反逆のルルーシュⅢ 皇道』の主題歌やアニメ『BANANA FISH』のオープニング&エンディングも担当されています。そうしたアニメとのコラボレーションの際に、サバプロとしては「こういうことをしたい」と思っていることはありますか?

Show (Yoshは)日本語よりも英語が得意なので、最初の『コードギアス反逆のルルーシュⅢ 皇道』のときには、まず引き受けるか、それとも断るか、ですごく悩んだんです。さらには引き受けた場合にはどんなことがあるか、もしも断ったならどうなっていくのか、まで考えてしまっていたんです。だからあそこは……。

Yosh ターニングポイントでしたね。カルチャーという大きな面で見れば、自分が悩んでいることは本当に小さいものなんですよね。ただプラスすること、マイナスすること、と考えていくなかで、自分の表現に新たなものをプラスする機会をもらったように感じたんです。ただ日本語を入れ込むのではなく、もっと言葉に注視して。例えば日本語は単語1つに二重にも三重にも意味があって。その言葉の美学って日本語にしかないものだなと感じたんです。それから音。「あ」とか「お」といった母音の響きを、英語と混ぜ込むことで出せることに気づきがあった。そして僕らが歌うことで、そのアニメがどういった作品なのかというイメージを掴める。作品のイメージを大きく感じるための援護をするような楽曲を作れるんじゃないか、という面白味を感じて。その個性を維持していきたいと思っています。

――バンドのスタンスが広がるきっかけになったんですね。

Yosh すごく大きくなりましたね。初めてのタイアップを経験してからの自分たちの広がりは驚くべきものです。

――そのアニメの楽曲には「89秒」という尺があります。ここに言いたいことを詰め込むような印象があるかと思いますが、タイアップを経て楽曲の構成に対する考え方などに影響はありましたか?

Show 曲によります。Yoshが作詞をしていることもあって英語が中心なので、89秒の中での構成では言いたいことが繋がらなくなってしまうこともあって。そうした場合は構成を考えながら、アニメの制作サイドの方々の心も汲みながら作っています。でも僕らも妥協をしたくなくて、そこで意見を戦わせながら作っていくこともあります。

Yosh ポジティブに考えると、関わるすべての人たちのこだわりが詰まっているからなんですよね。お互いのアイデアをぶつけ合いながら伝え合っていくことで上手く回っていくんだということも、こういった機会を重ねながら覚えているところです。でも一時期、算数で考えてしまったことはありました。「89秒だから、このくらいの秒数でこれをしたいからbpmはこんな感じにして」みたいな。

Show テンポ上げたりして調整もしたよね(笑)。

Yosh テンポを上げて、キーを下げて、みたいなこともやった(笑)。

Show 世界観を崩さずにやりたいな、という気持ちがありますからね。

次ページ:彼らが描く『東京24区』の世界観

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