【インタビュー】今年3クール連続のタイアップとなった最新シングルを自身の誕生日にリリース!鈴木このみ「命の灯火」インタビュー

鈴木このみが今年3枚目のシングル「命の灯火」を、自身の25歳のバースデー当日にあたる11月5日にリリース。TVアニメ『ディープインサニティ ザ・ロストチャイルド』のOPテーマとなる表題曲は、草野華余子がサウンドプロデュースおよび作詞・作曲を担当、草野、eba、岸田(岸田教団&THE明星ロケッツ)が編曲を手がけた、モダンかつエキサイティングなダンスロックチューンだ。今この瞬間の鈴木このみ自身、燃え上がらんばかりの命の灯を焼き付けた本シングルについて、たっぷりと話を聞いた。

自らの“生きてきた意味”を刻み込んだ、全身全霊の歌「命の灯火」

――今回のシングル表題曲「命の灯火」は、草野華余子さんがサウンドプロデュースを担当。前々作「Bursty Greedy Spider」に引き続いてのタッグになります。

鈴木鈴木このみ 華余子さんとは、「Bursty Greedy Spider」の制作時から、この作品のプロデュースもお願いしたいというお話をしていて。それまでは誰かにサウンドプロデュースという形で入ってもらうことはあまりなかったんですけど、華余子さんにはチーム鈴木としても信頼を置いていますし、個人的にも華余子さんとの制作はすごく刺激的で面白いんです。ディレクションや進め方も今までと違って新鮮ですし、華余子さんは性格的にも現場を明るくしてくださる方なので、今回もお願いしました。

――「命の灯火」はTVアニメ『ディープインサニティ ザ・ロストチャイルド』のOPテーマですが、作品のどんな部分を意識して華余子さんと制作を進めたのですか?

鈴木 まずシナリオを読ませていただいたときに、この作品は“恐れ”がキーワードの1つになっていると感じたんですよね。第1話で主人公(時雨・ダニエル・魁)が(戦場では)恐れることが大切と教わったり、その後も物語の要所要所で“恐れ”という言葉が出てくるんです。それと主人公の戦う姿から、「命をどう使っていくか」みたいなところもポイントになっていると感じて。その2つのテーマを受けて何を歌うか、華余子さんと話し合いました。最初はスタッフの方々も交えて大人数でリモート会議をしたんですけど、その後、華余子さんと2人で私の人生相談的なことも兼ねて喫茶店で密会をしまして(笑)。そのときに自分が今恐れを感じていることの話になったんですけど……私、最近歳を重ねることが結構リアルになってきて(苦笑)。

――いやいや、まだ24歳じゃないですか。

鈴木 でも私、15歳でデビューしているので、自分はいつまでも若いみたいな気持ちがどこかにあったんですよね、多分。でも最近、火傷が昔よりも治りにくかったり……。

――そこなんですか(笑)。

鈴木 そういう普段過ごしていて感じることもあるし、25歳にもなると、周りからも「大人になったね」とかじゃなく、普通に大人として見られるようになって。それが自分の中では結構大きなことで、この状態がずっと続くわけではないんだなって感じたんです。声もどんどん変わってきていますし、いつまでも今と同じ輝き方ができるわけじゃない。そう考えると、今のこのめちゃくちゃ轟々と燃えている感じをしっかりと残さなくちゃいけない、それをみんなに見逃しくてほしくないっていう気持ちがあって。華余子さんにも「みんなが無視できないくらい今燃えたいんです」って素直に言ったのを覚えています。

――そういった今この瞬間を全力で生きる気持ち、それこそ「命の灯火」を燃やすような感覚は、この曲から顕著に伝わってきました。

鈴木 ありがとうございます! 華余子さんとは結構雑談ベースで色々話していたんですけど、この話をしたときに「それあんた、歌にした方がええんちゃう?」って言ってくださって(笑)。自分も華余子さんに勇気をもらいながら歌えた気がします。

――鈴木さんが今歌いたいことを、華余子さんがしっかりと汲み取ってくれたわけですね。

鈴木 華余子さんは私の意見をすごく尊重してくださる方で、この曲、デモの時点でメロディを2パターン用意してくださって、私にどっちを歌いたいか選ばせてくれたんですよ。1つは音の跳躍がキッチリとあるメロディっぽいもの。もう1つは、言葉がダダダダダって横ばいに並んでいる感じでメロディが進んでいくもので。個人的には横ばいのものに挑戦してみたかったので選んだら、完成版は自分が思っていた以上に歌うのが大変そうな曲になっていました(笑)。

――この曲、アグレッシブかつダークな雰囲気のデジタルポップに仕上がっていて、特に冒頭やA・Bメロの低音が続く部分は今までの鈴木さんにはないテイストに感じました。

鈴木 ファンの方からも「最初このみんの声だと思わなかった」という反応が多かったのが、すごく嬉しくて。喉の調子的にも、春よりも今のほうがどんどん馴染んでいい感じなので(※鈴木は昨年12月に声帯結節の手術治療を行った)、「今ならこの低音もいけるかも」と思って、音域がすごく広いけど挑戦してみました。

――サビのメロディとの高低差がすさまじい曲ですよね。

鈴木 いやあ、本当にそうですね(笑)。華余子さんのディレクションも面白くて、例えばサビの頭では結構ガラッとした声をわざと使っているんですけど、きれいに歌うところもあれば、急にぶん投げるような声の使い方をしてみてもいいっていうのがすごく新鮮でした。ご自身も歌われる方なので指示も的確で、歌の節について「そこはもう少し切った方がいいよ」とか指定してくださるんですけど、それが今までの自分にはなかった引き出しだったりして。それが今回の曲では新しいパンチとして効いてると思います。今度、(音の)波形を見ながら教えてもらう約束もしていて。

――ディープですね(笑)。でも、たしかにこの曲の歌は、ただ感情を吐き出すだけでなく、あえて抑制を効かせているような部分もあって、間違いなく表現の幅が広がっていると思います。

鈴木 たしかに全力感を出すというよりは、パッと見はクールだけど触るとめっちゃ熱いイメージがAメロとかにはありますね。あと、私は元々低音に苦手意識があったんですけど、「Bursty Greedy Spider」のあとに華余子さんとある番組でご一緒したとき、「(鈴木は)低音に色気があるんだよね」と言っていただけたのがすごく嬉しくて。その言葉もあって今回、堂々とこの曲を歌うことができたし、声量でゴリ押しするのではなく、ちょっと余裕のある感じだったり、急に苦しそうになったり、表情の変化で表現することができたと思います。

――先ほど年を重ねることに対して“恐れ”を感じるようになったとおしゃっていましたが、今回の楽曲の歌唱表現、それこそ低音の響きとかは、年を重ねたことによる変化や進化が活かされているように思うのですが。

鈴木 ありがとうございます! 年を重ねて大人っぽくなった部分も意外とありましたね、良かった(笑)。私の気持ち的にもフィフティフィフティなんですよね。やっぱりアニソンシンガーとして長く活動されている方々、それこそJAM Projectの皆さんとか、歌が素晴らしいじゃないですか。そういう先輩の姿を見ているので、自分も年を重ねるのは楽しみという部分もあるんです。だけど今は今しかない、だから常に必死でやらなくちゃいけないっていう焦りに近い気持ちもあって、今回はそのみんなに覚えていてほしい渇望感、必死な気持ちのほうが強いと思います。

――まさに歌詞には“生きてきた その意味遺したい”とありますし、“絶望さえも 灰になるまで 燃やし尽くせばいい”とも歌われていて。生きることの意味、人生について考えさせられる曲でもあると思います。

鈴木 自分的には人生の始まりから終わりまでを歌った感じ、命のバトンを渡して終わるイメージがすごくあります。人が一生懸命生きるのは何故なのか考えたとき、私はたくさんの人に優しくしてもらってきたから、そんな自分を大事にしないといけないと思うし、逆にそれを次に繋いでいくことが大切だと思うんです。その意味でこの曲の歌詞は、1番は必死に走っている自分、2番は“託され繋がる生命の火種”というワードもあるので、自分がもらった優しさを守ってバトンを繋ぐ感じがして。自分も今は現場で最年少ということがなくなったので(笑)、先輩たちが切り拓いてきた道で自分も精一杯歌って、そのバトンを渡さねばみたいな気持ちが多少は芽生えてきた気がします。

――その意味では、ますます鈴木さんが今歌う意味のある曲に感じますね。

鈴木 この曲は私の25歳の誕生日当日にリリースされるんですけど、私もこのタイミングで歌えてすごく幸せなテーマだと思いますし、『ディープインサニティ』という作品に引っ張られて生まれたテーマでもあるので、すごく運命的だと思います。しかも監督の大沼(心)さんは、私が15歳のときに歌ったデビュー曲「CHOIR JAIL」(TVアニメ『黄昏乙女×アムネジア』OPテーマ)以来、初めてまたご一緒することになったので、それも込みですごくエモかったです。

――「命の灯火」はMVもすでに公開されていますが、人気のないホテルみたいな場所で撮影されていて、これまたどこかダークで趣きのある映像に仕上がっています。

鈴木 今回は前作の「Missing Promise」のMVと同じ青木監督にお願いしました。監督からは、普段は人がたくさんいるはずの場所に誰もいなくて、でもそこに人の魂みたいなものが焦げ付いていることを表現できたら面白いMVになるんじゃないか、というご提案をいただきまして。結構メリハリが効いたMVになったと思います。私は気持ちが乗るとワーってやりたくなるんですけど、廃ホテルの一室のシーンは逆に「動かないで!」ってすごく言われました(笑)。個人的にはそこが一番大変だったかもしれない。

――あの1人で淡々と歌っているカットは、雰囲気が出ていて良かったです。ああいう鈴木さんの姿は普段あまり見られないですし。

鈴木 自分も「こんなにボーッと歌っていて大丈夫かな?」って不安だったんですけど、完成した映像を観て「こういうことか!」って思いました(笑)。あのカットがあることで、サビにすごく効いてくるんだなと思って。

――それと「Missing Promise」のMVに続いてコンテンポラリーダンスの要素が入っていますよね。あれは動き的に暗黒舞踏のようでしたが……。

鈴木 暗黒舞踏?

スタッフ 今回MVに出てくれた大駱駝艦の人たちがやっているダンスのジャンル。

鈴木 そういうジャンルがあるんですね! あのダンスシーンの撮影も少し見学させてもらったんですけど、凄まじかったです。パン!って手を叩いた瞬間に役に入り切って、身体が今にも崩れそうな動きをされて。すごく圧倒されました。

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