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INTERVIEW

2021.10.19

【インタビュー】アニメ『刃牙』シリーズとのタイアップ第3弾!作品と見事にシンクロした最新シングル「Treasure Pleasure」の制作の裏側をGRANRODEOに聞く

【インタビュー】アニメ『刃牙』シリーズとのタイアップ第3弾!作品と見事にシンクロした最新シングル「Treasure Pleasure」の制作の裏側をGRANRODEOに聞く

GRANRODEOの最新シングル「Treasure Pleasure」は、現在Netflixで世界全話一挙配信中のアニメ『範馬刃牙』のOPテーマだ。2018年の「BEASTFUL」、2020年の「情熱は覚えている」に続いて、アニメ『刃牙』シリーズとのコラボレーションはこれが3曲目。過激でぶっ飛んだ肉弾戦を繰り広げる『範馬刃牙』という作品と見事にシンクロする、とてもパワフルなファンクナンバーに仕上がった。

意外にも、リスアニ!WEBには初登場となるKISHOW(Vo)とe-ZUKA(Gt)に、楽曲を聴きながらぜひ読んでもらいたい「Treasure Pleasure」とカップリング曲「青色センセーション」のちょっとマニアックな制作エピソードをたっぷりと語ってもらった!

――最新曲「Treasure Pleasure」は、GRANRODEOにとって32枚目のシングル。『刃牙』シリーズとのお付き合いも長くなってきましたね。

KISHOW そうそう、気がついたらね、意外と長くシリーズに関わらせてもらえてて。

e-ZUKA ありがたいですよね。

――『刃牙』シリーズは、主題歌が流れる作品の予告編が先行公開されるたびに、YouTubeの動画コメント欄に、日本のファンはもちろんですが、海外のアニメファンからコメントがたくさん寄せられますね。他の作品とはまた違う、世界からの期待と熱気を感じるアニメでもあります。

KISHOW そうなんだよね。夏くらいに公開されたノンクレジットOPの動画なんて、もういきなり外国人の方の書き込みから始まってたっていうし。しかも英語だけじゃなくスペイン語?とかロシア語とか、ほんとに世界中から愛されてる作品なんだなというのがよくわかるよね。

――熱狂的ですよね、海外の『刃牙』ファンの皆さんは。

KISHOW ほんとにね。やっぱり板垣恵介先生が描かれている原作の胆力というのかな? すべてがはみ出しているというか。すごすぎて笑っちゃう、みたいな唯一無二の世界が展開している作品だからね。

――GRANRODEOが担当してきた主題歌についても、日本のファンはもちろん海外からも毎回、予告編やティザー動画には熱いコメントが寄せられていますね。

KISHOW まぁ英語の場合はなんとなく意味はわかるかな。ほかの国の言葉はGRANRODEOという単語以外、わからないけど(苦笑)。

e-ZUKA GRANRODEOの悪口かも知れない! またお前らか!って(笑)。

KISHOW だったらヘコむなぁ(笑)。でも海外のコメントって、シンプルに気持ちを伝えてくれてるのがいいですよ、「Awesome!!」とか。

e-ZUKA ビックリマークや絵文字がめちゃくちゃ並んでたりね。コロナ禍で海外となかなか行き来できない世の中なので、そういう海外の皆さんの応援というのも励みになりますね。僕らがやっているFMラジオの番組(『GRANRODEOのまだまだハートに火をつけて』/TOKYO FM)でも「Treasure Pleasure」を先駆けてかけさせてもらったんですけど、感想メールもかなり好評でホッとしました(笑)。

――そんな今回の「Treasure Pleasure」はファンクテイストが色濃いグルーヴィーなナンバーになりましたね。『刃牙』シリーズ1作目の「BEASTFUL」はGRANRODEOのルーツを感じるヘヴィメタル色が強く、前作の「情熱は覚えている」はエスニック色が強く……と、毎回曲調にも様々な変化があります。

e-ZUKA そこはね、GRANRODEOが飽きられないように!というのも大きいんですけど(笑)、「BEASTFUL」は最初でもあったので、まずとんでもなく強い格闘家の話だということを意識して、ハードさやテンポの速さで“戦い”をイメージしてたんですね。第2弾の「情熱は覚えている」は、舞台が中国に移った『大擂台賽編』のオープニングでもあるし、前回とは違う曲調をアニメ側からも求められていたので、振り切った曲に。

――そこでアジアのテイストが強くなったと。さらに「情熱は覚えている」でタブラやシタールといったアジアの民族楽器を使ったイントロは、例えばムエタイ選手だったり、格闘家が花道を通ってリングに出ていく情景のイメージもあったと、以前、e-ZUKAさんはおっしゃってました。

e-ZUKA そうそう。『大擂台賽編』は、ストーリーも格闘家がしのぎを削る大会というイメージでしたからね。

――では今回の「Treasure Pleasure」でファンクをフィーチャーしたのは、どういうイメージからでしたか?

e-ZUKA あえて言葉にするなら……マッチョでダンサブル、ですかねぇ(笑)。同じシリーズでの3曲目ということもあるし、今度はダンサブルでファンキーな曲調はどうだろう?という話が僕らのチームで出ましてね。そもそも格闘家って上半身裸じゃないですか。

KISHOW たしかに。「Treasure Pleasure」のMVに出演してくれた総合格闘家の朝倉海選手だってそうだしね。

e-ZUKA で、上半身裸っていったらレッチリ(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)だな!と思って(笑)。初期のレッチリはブラスも入ったミクスチャーサウンドなので、ブラスをぜひ入れようと。

――そのブラスセクションを担当したのは、スガシカオさんやSKY-HIさんなどとも共演し、GRANRODEOの楽曲やライブにも度々参加しているFIRE HORNSの皆さんですね。

e-ZUKA そうですね。僕がブラスサウンドを好きだというのもあるんですけど、せっかくの「バキ」なんでね、ずっと戦ってるようなホーンを入れたかったんですよ。

――たしかに、細かいフレーズをスピーディーにブイブイ吹き上げているところは、ちょっと懐かしく泥臭いソウル/ファンクの系譜を感じますね。

e-ZUKA そうそう、懐かしのマッチョさは意識しましたね。何のタイミングだったか忘れましたけど、1979年にNHKでも放送されたアース・ウィンド&ファイアー(EW&F)の武道館公演の映像を改めて大人になってから観て、すげーな!と思ったんですよ。当時、初期のEW&Fのサウンドにはフェニックス・ホーンというホーン隊が欠かせなくて、曲の始めから最後まで、休むことなくめっちゃ吹いてるんですよ。その後、80年代に入ると、そういう血の濃いファンキーな演奏はダサいとなって……。

――EW&Fも80年代になるとフェニックス・ホーンと決別し、デジタルなダンスサウンドを追求し始めましたよね。

e-ZUKA そうそう。デジタルの打ち込みのほうがオシャレだという流れでね。でも、ブラスがブイブイいわせている当時のファンクは、すごくマッチョ。この曲にはむしろ、そういうのがいい。ホーンが入ったレッチリもヤンチャなイメージがあったし、「バキ」らしくていいなと。FIRE HORNSにもイマドキなかなかやらない、かなりカロリーの高い演奏をしてもらったんですけど、本人達もやりがいを感じてくれてたらしくて。すごく楽しんで演ってくれましたね。

――途中の「Huh!」の掛け声もマッチョ感出てますしね。

e-ZUKA あの掛け声は、格闘=戦争のイメージで往年のソウルの名曲、エドウィン・スターの「War」へのリスペクトですね。あと今回のサウンドでは、メタリックなギターを入れず、クリーントーンをメインにしてます。

――歪み系のギターサウンドとファンクとの相性の問題ですか?

e-ZUKA ……ってわけでもないんですけどね。例えばエクストリームなんかはファンクメタルで成功してるし、ファンクメタルだとインフェクシャスグルーヴスもいるし。ガチャガチャしたサウンドの中ですごくギターが歪んでいるリヴィング・カラーもいるし……と、ミクスチャーロックってスケーターティストとスラッシュメタルとファンクが融合してたりしますからね。ただ今回は、いつものディストーションはちょっと抑えめに、レッチリぐらいに収めた感じ(笑)。で、そんなクリーン気味のバッキングを、僕のストラトキャスタータイプの“ZUKAPPER-7”というシグネイチャーモデルで弾いたので、ギターソロも必然的にアーミングをフィーチャーしましたね。ただ、それだけだと懐かしいノリだけになっちゃうので、ギターソロに入る前のホーンセクションのキメはちょっとオシャレにして、マッチョなだけじゃないぞ!と(笑)。

KISHOW そもそもGRANRODEOはマッチョなバンドでもないしね。かといって繊細な線が細い音楽をやってるわけでもないんだけど(苦笑)。

――でもファンクとGRANRODEOは実は相性がいいですよね。既存曲でも「BRUSH the SCAR LEMON」や「CANNON★BALL」といったシングルになっていないファンクナンバーは、ファンからとても人気がありますからね。またKISHOWさんは、ゴリゴリのロックボーカリストのイメージも大きいですが、グルーヴィーなファンクを歌っても絶品で。

KISHOW あ、ほんと? 嬉しいなぁ。もともとブラックミュージックも大好きだしね。

――e-ZUKAさんもそう思われますよね?

e-ZUKA いや~、どうなんですかね。

――え?……思わないですか?

e-ZUKA 逆に、もしKISHOWに似合わない曲があるんだったら、教えてほしいですけどね。

KISHOWe-ZUKA (顔を見合わせて)……うはははっ!!(爆笑)

KISHOW なんだそのかっこいいセリフ(笑)。まぁなんていうのかな、僕は本当に曲調によって歌い方が変わってくるんですよ。自分が(役を演じ分ける)声優だからっていうのもあるのかかも知れないけど、歌に関していえば、僕は音楽畑で研鑽を積んだことがないカラオケ出身だというのは大きいと思う。未だにカラオケでいろんな人の歌を歌うのが好きで、そうすると自分のスタイルがこれだ!というのがないわけですよ。歌詞の世界や曲調で、歌い方がコロコロ変わる。“カメレオン”までは言わないけど、そういうノリはあるかなぁ、自分の中では。

――では「Treasure Pleasure」のボーカルでポイントとなったのは?

KISHOW そうだなぁ……ほかの取材の方からよく指摘されたのは、2番のAメロパートの“ちょいラップ”かな(笑)。

――たしかに“ちょい”ですね(笑)。

KISHOW ラップというほど特別に韻を踏んでいるわけでもなくね。パートとしても短いし。

――例えばシングルだと「RIMFIRE」などが顕著ですが、GRANRODEOナンバーとしては初期から “ちょいラップ”を盛りこんだ曲は時々あったので、そういう意味での懐かしさも感じました。

KISHOW そうなんだよ、今回はラップ風のテイストも曲に合わせてよりファンキーにはなってるけどね。e-ZUKAさんから曲をもらったときも、「久々に来たな!」と思ったな(笑)。

――歌詞はいかがでしたか? これまでの「バキ」ナンバーは、より作品の世界観に寄り添った、好戦的な歌詞になっていましたが、今回の『範馬刃牙』はさらに、主人公の刃牙が父・勇次郎を倒すためにバトルを続けていく、ファンの間では壮大な親子喧嘩の話とも言われているそうですが。

KISHOW そうまさに、超えることのできないと思われていた、絶対的強者に挑戦する話なんですよね。というシナリオを読ませてもらっていちばんによぎったのは、惜しくも若くして亡くなってしまったけど、僕が大好きなNBA選手のコービー・ブライアントと、コービーが憧れて、絶対に彼を超えてやろうと思って挑戦を続けていた相手、マイケル・ジョーダンとの関係。桜木花道と流川楓っていうのもあるけど(笑)。憧れていた存在が目標に変わっていったとか、挑戦することが生きがいだとかいうフレーズは、コービーが思い浮かんでましたよね。イメージがハッキリしていたぶん、歌詞はすごくスムーズに書けた気がしますね。

――歌詞の中に下品な英語のスラングが盛り込まれていたりするのも、過激な『範馬刃牙』らしくて。

KISHOW あぁ、1番のBメロのアレね(笑)。そういう過激なワードも原作に出てくるエピソードをちゃんと踏襲しているので、原作ファンの方はチェックしていただければね(苦笑)。まぁ、そういうのも含めて割と今回は1番の歌詞に、言いたいことは全部詰め込めたかなと思う。

――タイトルにもなっていますが、サビの“戦ってればプレジャーそれがトレジャー”というフレーズも、刃牙らしいですし。

KISHOW うまくハマったよね。e-ZUKAさんはデモ音源をくれるときに、英語のような日本語のような適当な仮の歌詞をつけた “ヅカ歌”をのせてくれるんですよ。それが、サビで“~ジャー、~ジャー”と韻を踏んでて、あ、PleasureとTreasureってどうかな? 挑戦、戦うことこそが喜びで宝物……それだ!とインスパイアされた。それって、GRANRODEO歌詞あるあるで。メロを作る人にとってのベストな響きというのが、自然と湧いている証拠だから、そこはあえて活かす方向でね。

e-ZUKA なので、歌詞印税の何パーセントかを、KISHOWが振り込んでくれる日を待ってます(笑)。

KISHOW あはは! ほかにも“ヒマこいてちゃ枯れんだファイティングカレンダー”とか、韻を踏みながらの言葉遊びもいろいろ入れられたし、歌ってても気持ちがいい曲になったなと。まぁ、ファイティングカレンダーって何なんだ?って話はあるけど……。

e-ZUKA 何だよ(笑)。

KISHOW まぁ……なんだろう、365日、日めくりカレンダーみたいに毎日戦ってるんだ!って造語だよ!(笑)

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