【ライブレポート】華麗に反転、コドモタチの逆襲! “THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 10th ANNIVERSARY M@GICAL WONDERLAND TOUR!!! MerryMaerchen Land”福岡公演DAY2レポート

「アイドルマスター シンデレラガールズ」のライブイベント“THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 10th ANNIVERSARY M@GICAL WONDERLAND TOUR!!! MerryMaerchen Land” DAY2が2021年10月3日、福岡県・西日本総合展示場新館にて開催された。

同公演には関裕美役の会沢紗弥、辻野あかり役の梅澤めぐ、黒埼ちとせ役の佐倉薫、 宮本フレデリカ役の髙野麻美、椎名法子役の都丸ちよ、遊佐こずえ役の花谷麻妃、棟方愛海役の藤本彩花、佐久間まゆ役の牧野由依、佐々木千枝役の今井麻夏、白坂小梅役の桜咲千依、橘ありす役の佐藤亜美菜、森久保乃々役の高橋花林、川島瑞樹役の東山奈央、久川颯役の長江里加、北条加蓮役の渕上舞、赤城みりあ役の黒沢ともよ、依田芳乃役の高田憂希、久川凪役の立花日菜、龍崎薫役の春瀬なつみ、喜多日菜子役の深川芹亜が出演した。

開演前の前説と諸注意には、スクリーンにアシスタントの千川ちひろが登場。「かわいらしくて幻想的で、ちょっぴりダークな、そんな一夜の冒険の幕が上がります」と予告して、ライブへの期待を高めていた。

大宇宙を描き出したスクリーン映像は、太陽系、地球、そして地上の奥地に秘められた土地へとフォーカスしていく。オーバーラップして「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS」「10th ANNIVERSARY」「M@GICAL WONDERLAND TOUR!!!」とライブタイトルが表示されていく様子は壮大な劇場映画のオープニング映像のようだ。ステージに探検隊に扮したダンサーたちが登場すると、雷鳴を越え、急流を船で渡り、極寒の寒波と炎の洞窟の罠さえ越えて辿り着いたのは花咲き乱れる高地の果て、MerryMaerchen Land! 神秘とメルヘンに彩られた城で、幻想的なライブの幕が開く。

ステージを包むカーテンがゆっくりと上がると、天井の巨大なシャンデリア状の照明と、メインステージを守護するように躍動する一対のペガサスの置物が目を引く。メインステージと左右に張り出したサイドステージ、そして階段を上がったバルコニー状のステージが印象的で、お城の正面玄関のようなゴージャスな風情だ。

シャンデリアの下、大階段に腰掛けて歌うのは桜咲千依、高橋花林、都丸ちよ、立花日菜、会沢紗弥の5人。“枯れ木のアーチをくぐったら世界がぐるんぱ わたしお城にいたの!”から始まる歌詞の世界が映像とステージセットにぴったりで、ライブのためにあつらえた楽曲、その楽曲を意識した演出のぜいたくさを感じる。それぞれのらしさあふれるソロパートを歌い継ぐと、長江里加のはっとする歌声が見るものの意識を別のステージへ導く。次々と主役が移り変わっていく、全体曲としての「かぼちゃ姫」だ。深川芹亜の全身をつかった感情表現。黒沢が“あの方? この方?”と笑顔で見つめる先には“誰か”の姿がありありと浮かぶよう。渕上舞の“あなたしかいない”のフレーズは歌劇のように流麗な美しさだ。様々な表現を一巡すると、ふたたび物語のバトンはセンターステージの5人へ。ラストは妖しくも楽しい“おなかいっぱいだ!”の大合唱で締めくくった。

オープニングの挨拶では、相葉夕美役の木村珠莉がライブ直前の熱中症で公演に参加できなくなったことが告知された。告知を担当した東山は一緒に練習を重ねてきた木村の無念に想いを寄せると、夕美と木村の分も気持ちをこめてパフォーマンスしたいとと語っていた。

メンバー挨拶では、それぞれのアイドルらしさあふれる台詞と、本人からの一言挨拶が行なわれた。おっと思わされたのは、ありすという名前と公演コンセプトが合っていると自分の名前を肯定的に受け止めた(佐藤の)台詞だった。東山が川島瑞樹を“永遠の28ちゃい”と表現した台詞も、長年演じてきた東山が川島瑞樹と同じ年になり、ついには追い越した歴史をふまえると感慨深い。立花演じる凪がライブ会場の展示場を広すぎるワンルームと表現したり、深川が自ら王子様を演じた凛とした演技も印象的だった。

本編のオープニングナンバーは、立花日菜と長江里加の双子ユニット・miroirの楽曲「O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!」。実は開演のメンバー挨拶で長江里加が“日曜日”“はーとなーの日”を強調しまくっており、この曲はほぼ予告先発という珍しいパターンだ。

スカートタイプとパンツタイプのピクシーケープをまとったふたりが並ぶと、まるでユニット衣装のようにおさまりがいい。双子ふたりでの最高の自己紹介曲があるのはこのふたりならではの特権で、浮遊感のある掛け合いを生歌唱で見事に実演。凪の真顔なのに感情豊かな感じ、颯のきらきらの笑顔の表情豊かさの対比と魅力がしっかり出ていた。お互いの背中越しに顔を出して互い違いに動くようなムーブも見えやすくなっていて、研究を感じる。立花のラップ中のウィンクもばっちり決まった。落ちサビで歌い上げる長江の包み込むようなニュアンスだったりと、しっぽまで姉妹の魅力が詰まったステージだった。

DAY2ソロのトップバッターは春瀬なつみの「ひまわりマークをさがせ!」。初披露だ。ハイテンポなドラムとともに、輝く笑顔の春瀬が“いってきまー!”と軽やかなステップでステージに登場。ひまわりのブローチ、ひまわりの背景、しかし何よりもキラキラの笑顔と躍動する彼女自身のエネルギーがひまわりそのもの! “身長が伸びたら”の背伸び感からはリアル薫を感じる。間奏ではクラップをよびこみ、ダンサーと一体になって躍動感のあるダンスを披露。パフォーマンス全体を通じて、立ち位置をあまり変えないままでこんなにも動きと躍動を感じさせられるのかと驚かされた。終盤には観客のせんせぇたちに誰が一番にこにこができるか勝負を挑み、自身も最高の笑顔を見せていた。スクリーンには“よくできました”のはなまるマークが踊っていた。

ステージを振り返った春瀬はソロ曲がなかなかもらえなくて悩んでいたことを明かすと、自分の人生の中で一番大きな夢は薫のソロ曲を歌うことだったと感極まった様子を見せた。春瀬が気持ちが届いていたら嬉しいと伝えると、横にいた深川が足を踏み鳴らしながら肯定していたのが印象的だった。

今井麻夏は「あこがれステッチ」を初披露。ハイレベルなダンスの印象が強い彼女が、佐々木千枝らしさを表現することに特化した楽曲だ。イントロの優しい調べに乗ってそっとポーズを取った立ち姿が柔らかな印象。千枝そのものの高いトーンのキャラクターボーカルで繊細に歌う。“大丈夫!って 背中押してくれたから 大丈夫って今なら思えちゃうよ”の訥々とした落ちサビでは千枝ちゃん頑張れ! と応援したくなる気持ちになった。今井は頑張ったこと、また披露できるように頑張ることをシンプルに伝えていた。

会沢紗弥は「楽園」を披露。個人的にこの曲は「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS SS3A」での初披露の印象がとても強く、今回この曲をステージを見た瞬間「あ、そういえば今日は前髪を作ってる」と思ったぐらい、関裕美をビジュアルでも再現したようなあの日のパフォーマンスと強く結びついている。ピンと張り詰めたような切実さがあの日の“関裕美らしさ”を構成する要素だったとすると、今日の彼女は安定して落ち着いて、その分の余裕をしっかりと気持ちを伝えることに振り向けたような表現に感じた。“見守ってください”のぺこりという感じのおじぎと、万感の想いを込めた“あなたとふたり”のフレーズで二本指をさしだすなんともいえない表情。ラストはこぼれるような笑顔でステージを締めくくった。

梅澤めぐ、佐倉薫、花谷麻妃、藤本彩花はDAY1に続き「Heart Voice」を披露。選曲のインパクトが少し収まった2回目の目で見ると、歌いだしの花谷がこの曲を完全にこずえのものにしているぐらいのハマり方に改めて驚くし、花谷→藤本→梅澤というファニーボイスの畳み掛けのバランスが完璧だ。そこに甘さの中に大人っぽい成分がある佐倉の歌声がぴんと芯を通す。落ちサビで静かな歌唱のバッグに心臓の鼓動をとくんと鳴らすパートでは、天井にレーザーが心電図の線を描き出す演出がとても印象的だった。ステージを振り返った梅澤は、一面ピンクのペンライトに包まれた嬉しさを女の子になれた気分、と独特の表現であらわしていた。

MCコーナーは、前日に続いてリクエストトーク企画が行なわれた。「歌いたい!あの曲」「踊りたい!あの曲」「着てみたい!あの衣装」「★私「○○なんです…」」というお題と、「個性的な、14歳」「双子の、14歳」「3人合わせて、31歳」「★2人合わせて、47歳…」という解答者の選択肢を、配信視聴者が選択肢で選ぶというものだ。選ばれた回答アイドルは髙野麻美と東山奈央のふたりだ。

東山は自身が29歳を迎えて川島瑞樹の年齢を越えたことを話し、これも作品が10年続いたからこそだと回答。一方、考えていなかったという髙野が自身には色気があるという話を始めるとキャスト陣からどよめきが。聞いてみると、以前飯田友子、ルゥティン、髙野麻美の中で誰が一番色気があるかと会議をした際、一緒にいた今井麻夏に(髙野は)ふとしたときに色気があると言われたことを心の支えにしているというエピソードだった。今井がその3人の中ではと条件をつけたことも含め、微笑ましいエピソードだった。

「Sing the Prologue♪」はロングイントロバージョンで会沢紗弥、高田憂希、高橋花林、立花日菜、都丸ちよ、花谷麻妃が披露。アニメ「シンデレラガールズ劇場 Extra Stage」のEDテーマで、会沢、立花、花谷はオリジナルメンバーだ。軽やかなステップワークが新しい始まりの心浮き立つ感じを表現しているよう。メンバーがにこっと笑う笑顔であふれているのが印象的で、カメラをじっと見つめてふるふるっとするような仕草を立花(凪)がするのもなんだか新鮮だ。立花は、凪が初めてのセンターとしてオリジナルメンバーに入った曲を会沢と並んで真ん中で歌えた嬉しさを伝えていた。

深川芹亜の「世界滅亡 or KISS」は、ロングイントロでさらに物語感たっぷりに披露。壮大な叙事詩とも言うべき超大作楽曲だけに、早いタイミングでの登場はいきなりラスボスが現れたような驚きがある。だがメルヘンランドを求めての冒険譚から幕を開けたライブで、この曲を歌わないことはありえないだろう。

それにしても、何度聞いても生ライブで正確に歌うのは酷に思うほど超高速超技巧の中に多彩な表現を求められる難度の高い楽曲だ。今回は超早口パートで一瞬躓いたのだが、すぐに加速して追いついてリカバーする対処も見事だ。怒涛の歌唱から燃えるようなロックテイストにシフトチェンジ、さらにペースアップを重ねると今度は崩壊の時を歌う“運命の日”の独唱へ。崩壊パートで衣装のフードをかぶることで“魔女”を表現していたのは共通衣装のうまい使い方だった。最後まで歌い、演じ、走りきった深川がやりきった笑顔を浮かべると、会場は万雷の拍手に包まれていた。有観客では初めてこの曲を披露した深川は、完成度が高かったのはゲネ(リハーサル)、でもプロデューサーの顔を見てわくわくと妄想があふれでたのは本番、という粋な表現をしていた。

高田憂希は「祈りの花」を披露。ステージにゆらりと現れた高田は、梅の小枝を手におだやかに、語りかけるように歌う。楽曲の世界に深く入りこんでいる様子を見ていると、ゆったりとしたケープの衣装がどこか和のテイストであるように錯覚する。決めポーズの立ち姿が本当に絵になる。実は今回ライブが行なわれた会場は、4年前に彼女が「祈りの花」を初披露した場所。また逢えますね、で始まる歌詞をここで再び歌うことが粋だし、再会の喜びを分かち合う歌はこの時代だからこそ深く染みた。

「あいくるしい」は渕上舞、桜咲千依、牧野由依、佐藤亜美菜が披露。DAY1の「Love∞Destiny」で実現しなかった渕上、牧野のダブルフロントをこの曲に持ってくる構成が面白い。階段に腰掛けて優しく歌い上げるのだが、座り方に演じるアイドルの個性が出ている。渕上は大胆に足を組んで、牧野は内股気味に角度をつけて女の子らしく。佐藤はブーツをきちんと揃えて座り、桜咲の座り方はどこかちんまりとしたイメージだ。悲恋を歌う声はどこまでも優しく、美しいハーモニーを紡いでいた。

お題を配信アンケートで決める企画トーク第二弾では、「歌いたい!あの曲」が選ばれた。トーク担当は牧野由依、渕上舞、高田憂希の3人。

牧野は歌いたい曲として「命燃やして恋せよ乙女」をチョイスするとまゆにぴったりの口上を言ってみたいと回答。渕上は真面目な答として「君のステージ衣装、本当は…」を挙げ、真面目じゃない? 回答として「毒茸伝説」を示した。高田は「絶対特権主張します」を選び、歌詞の積極性が実は芳乃に合うのではないかと話していた。

ここからは各属性メンバーによる歌唱コーナー。パッション演出で登場したのは黒沢ともよと深川芹亜で曲は「shabon song」。CDや「デレステ」版では5人編成だが、アニメのBD特典としての初出では城ヶ崎美嘉と小日向美穂のデュオ曲だったので先祖返りと言えるかもしれない。恋をあまり知らないであろうみりあと、恋に無限の妄想を抱く日菜子という組み合わせが抜群に面白い。演者としても表現力にあふれたふたりで、お互いに目線を合わせる仕草や、間奏で会場とのコミュニケーションを楽しむような振付が印象的。落ちサビでは黒沢が歌声にまっすぐに想いを込める仕草に少し大人びたみりあを感じて、そのあとのはっと恋を自覚したような表情と合わせて記憶に残った。

クール演出で登場したのは桜咲千依、佐藤亜美菜、東山奈央の3人で、「オルゴールの小箱」を披露。恋の歌が続く。「シンデレラガールズ」のかなり初期の楽曲で、桜咲と東山はオリジナルメンバーだ。その中で(比較的)新世代の佐藤亜美菜がセンターを務めるのは世代をつなぐ広がりを感じる。福岡公演はU149アイドルに存在感がある公演だが、少し背伸びして恋の歌に挑戦する小学生というコンセプトは「shabon song」に通じるものがあるかもしれない。

思わず見入ってしまったのが東山の表現で、ゆったりしたソロパートを歌い終えたあとにたっぷりと余韻を残す東山のまなざしの残心が印象的。2番では少し伏し目がちな表情と歌声のトーンの取り合わせが絶妙だ。佐藤の想いをこめた“新しい自分になろう”のフレーズの、一途さと幼さが同居した感じもハッとするものがあった。佐藤と桜咲の“君が好きだ”“君が好きで”のささやきが優しくてはかなくて、だからこそ思慕の深さを感じさせてとても良かった。この曲のライブ歌唱が念願だったという東山は、今回の表現をひとりの女としての歌唱をイメージしたと語っていた。

「Sweet Witches’ Night ~6人目はだぁれ~」はライブコンセプトとハロウィンシーズンを意識した選曲で、キュートだけどどこか妖しいこの曲はいかにもMerryMaerchen Landらしい。キュートチームから梅澤めぐ、佐倉薫、都丸ちよ、藤本彩花、牧野由依が歌唱した。センターはオリジナルメンバーでもある都丸で、甘~いお菓子で見る者たちを魅了した。佐倉の歌声に強い芯のある大人っぽい表現、牧野のかわいさの奥にどこか怖さをにじませる表現。都丸や梅澤のかわいらしさと小悪魔感が同居した表現を見ていると、藤本の天真爛漫さの奥にも何かがあるように見えてくるから不思議だ。“赤い果実をかじったら”のフレーズを歌う時の梅澤のどや! という顔を見て、なるほど林檎アイドル……と納得してしまった。キュートアイドルによる楽曲の再解釈とも言えるパフォーマンスだった。都丸は法子として初めて参加したユニット曲を歌えた喜びを語っていた。

続く髙野麻美の「き・ま・ぐ・れ☆Cafe au lait!」は前曲からのアン・ドゥ・トロワつながりか。おフランス感を表現するためにスクリーンにはフランスの町並みが映し出され、画面のあちこちでダンサーたちが街行く人々に扮して踊る。スクリーン映像にモナ・リザをはじめとする名画たちが登場したり、ステージが教会に早変わりしたりの新演出もあった。髙野とフレデリカの天真爛漫な魅力がよくでた楽曲で、好きな人の話題を飄々と“なんだっけ?”と笑いとばす姿がキュート。ステージ裏ではいろいろあったとのことで、落ちサビ以降涙をこらえているような歌唱のギャップに引き込まれるものがあった。ライブは生モノだ。ラストはにかみながらぴょんとはねると、観客に投げキッスを放った。

観客に身構える暇を与えないタイミングでステージにおどりでたのは黒沢ともよの「Romantic Now」。客席を煽りながら見せる軽快なダンスは躍動するようで、喜びと楽しさの感情があふれでてくるよう。間奏では客席を煽りながら楽しそうに頭上で手を打ち合わせた。やはりこの曲の真骨頂は真に迫った感情表現で、“赤城みりあが”本当にびっくりしたりあわてたりしているように見えるのは彼女ならではのスペシャルな表現だ。今回のステージでは“Romantic now”の文字を観客が体文字で表現していくリクエストがされ、声が出せないライブでも可能な一体感を楽しんでいた。初披露からずいぶん時間がたって表現の深みを増したステージは、「なーう!」の大ジャンプで締めくくられた。

ここでちょっとしたサプライズだったのは、黒沢がステージに残っているうちに会場にサイレンが鳴り響き、黒沢がみりあとしてそれにリアクションするという演出が行なわれたことだ。黒沢が誰だ!? と指差した先に登場したのは、今井麻夏、春瀬なつみ、藤本彩花の3人。みりあだけ一人で楽しんでてずるいときりっとした表情を見せるセンターの春瀬。その横で腰に手を当て“むんっ”という表情をしている今井の姿がとても新鮮で微笑ましい。3人はステージ上でマシンガンを乱射してみたりとやりたい放題。春瀬が“ちっちゃくたって、悪を征する。薫たち、ちびっこギルティ!”と叫んではじまったのは、ちびっこアイドルたちによる「モーレツ★世直しギルティ!」! 曲名が明かされた瞬間に、藤本演じる棟方愛海はギルティ行為で逮捕される側では? と思ってしまったら仕掛けの思うつぼなのだろう。“ギルティ! Ah”のフレーズは藤本が雰囲気たっぷりに担当していた。

3人が本当に楽しそうに歌っているのが印象的で、子供たちがお姉さんたちの表現を真似している無邪気さがあふれているのがとても楽しく好ましい。演出もノリノリで、「千枝の上四方固め!」の叫びでは“上四方固め”の必殺技名エフェクトが表示されていた。とてつもなく楽しいと同時に、背伸びしてセクシーに挑戦するちびっこたちという表現を体現する姿に唸らされるパフォーマンスだった。

ライブ終盤戦は梅澤めぐ、長江里加、花谷麻妃による「Palette」から! キュート属性を象徴するようなユニット・ピンクチェックスクールの楽曲に新世代アイドルたちが挑戦した。歌いだし、くるっと回っての“ときめくわ 心のアンテナ”の節回しを長江が完全に自分のものにして颯の魅力を振りまいているのにまずはびっくり。本当にひとりひとりがオリジナルな歌声と魅力を持った3人だ。かなりダンスも本格的なアップテンポで心浮き立つナンバーで、この曲を花谷とこずえが歌っているのはかなり新鮮だった(花谷のダンスがまたキレがいい)。梅澤の魅力はやはり笑顔で、特に“お洒落も初恋もね”のフレーズを歌う時のそれが最高にチャーミングだった。

「THE VILLAIN’S NIGHT」は会沢紗弥、黒沢ともよ、髙野麻美が披露。DAY1は4人バージョン、DAY2は3人バージョンというのはかなり珍しいパターンだ。歌い出しが木村珠莉から黒沢ともよにスイッチしたことで、楽曲の表情も変わってくるようだ。準備期間が限られていたであろう中で、きっちりと成立した魅力的な表現に仕上げてきた3人とスタッフに拍手を贈りたい。木村のパートの多くは黒沢が担っていたようだが、サビのソロの夕美らしからぬ力強いワイルドさが懐かしくなったらDAY1に還れるのはアーカイブありの配信ライブの良さだと思う。

「アンデッド・ダンスロック」は佐倉薫、高橋花林、東山奈央、渕上舞が披露。「THE VILLAIN’S NIGHT」からの世界観のつながりの良さは言うまでもない。佐倉と渕上がそれぞれの存在感をぶつけあい火花を散らすような表現のバトルで見せたと思えば、東山が圧巻の低音から浮かべる微笑みはまさに千両役者。東山や渕上というスペシャルな表現者とやりあえる佐倉のボーカルの強さと、ワンポイントとして最強の高橋のキャラクターボイスがなんともバランスがいい。楽しそうな笑顔で攻め攻めのパフォーマンスを見せる高橋の表現の選択もとても興味深かった。

「Hungry Bambi」は前日に続き今井麻夏、佐藤亜美菜、花谷麻妃、春瀬なつみ、藤本彩花のオリメンチームが披露。不穏なヴァイオリンが鳴り響く中5人が登場。小柄な身体を沈みこませてぐいーんと上体を回す藤本の動きのメリハリが印象的だ。DAY1とDAY2の一番の違いは、DAY2には「ちびっこギルティ」という前段があったことだろう。お姉さんたちに憧れてセクシーを模倣する無邪気な表現があったからこそ、少女たちが本気で表現に入りこむ「Hungry Bambi」の表現との落差にドキッとさせられる。DAY2ならではの要素としては、花谷の“ひとりで歩いてみせるから”のフレーズの、謎めいた笑顔のつややかさに表現の変化を感じた。

「Starry-Go-Round」は会沢紗弥、梅澤めぐ、桜咲千依、佐倉薫、立花日菜、都丸ちよ、長江里加が披露。DAY1は本編開幕に歌われた曲をラスト付近に持ってくることで遊園地の閉園を示すとともに、次へとつなぐ意味を感じる。同じ楽曲でも披露のタイミングが変わると、魔法の時間が終わる寂しさを微かに感じるのが面白いところ。ラストの“イェーイ”で会沢が本当に楽しそうに幸せそうにピースサインをしているのが、見ている側までハッピーになるようだった。

祭りの最後に打ち上げる花火のように打ち込まれたのが、ここに来ての「ハイファイ☆デイズ」! 今井麻夏、黒沢ともよ、佐藤亜美菜、高田憂希、髙野麻美、高橋花林、東山奈央、春瀬なつみ、深川芹亜、渕上舞、牧野由依という、オリメン小学生+お姉さんたちという構成だ。この人数で歌い踊っているにも関わらず、ダンス……というか全身の表現の過剰さとダイナミックさが際立って伝わってくる深川は流石の一言。伏し目がちをキープしながら全力で歌唱してやけくぼ感を出す高橋も面白い。U149アイドルの様々な側面を表現したライブで、最後は明るく楽しく最強に! 正調のきらめきで締めくくったことで大団円感が生まれたように思う。

ライブ本編を締めくくるラストナンバーは「Shine!!」。次の曲が最後になってしまうという東山の言葉に、演者たちが「ええ~!」と観客全員の声を代弁してくれるのが嬉しい。前日は新たな世代のアイドルたちとの出会いを感じた“新たなヒカリに会いに行こう”のフレーズだったが、DAY2を締めくくるこのタイミングでは次なる、そしてその先にある公演たちへと繋がっていく希望の次回予告であるようにも感じた。

アンコールの告知コーナーでは、第2回ボイスアイドルオーディション上位3名による楽曲「Let’s Sail Away!!!」が「デレステ」に登場することが発表されて拍手を浴びた。また、DAY1のアンコールで初披露された新曲「EVERLASTING」が11月24日にCDリリースされることや、今秋10周年記念楽曲として「デレステ」に実装されることが発表された。また、「シンデレラガールズ」のベスト盤4タイトルのリリース決定も告知された。そして大きな拍手を集めたのが、「シンデレラガールズ」と備前商工会議所のコラボ。内容は藤原肇が備前焼小町に就任するというもので、備前の町を紹介する肇の描き下ろしイラストが公開されていた。

アンコールの一曲目は「EVERLASTING」。新衣装“シンデレラ・コレクション”に身を包んでの披露だ。初めて体験する新しい音でありながら、これまでの「シンデレラガールズ」のエッセンスをふんだんに感じる楽曲はコンテンツの10周年を飾るのにふさわしい。これから「シンデレラガールズ」がまた大きな節目を迎える時、きっとこの日この瞬間が大きな基点のひとつになるのだろう。

ラストの挨拶では、関裕美として4年を過ごしたと語る会沢が、ライトと笑顔に照らされたステージこそが自分の“楽園”と表現したのがとても印象に残った。10年の節目だからこそ、髙野のきっと10年も20年もここに立てたらという願いが特別に響く。高田も20周年を含むたくさんの節目をプロデューサーと一緒に迎えることを現実的な未来としてとらえていた。梅澤が初めての有観客ライブで至らない点があったかもと語る時、隣の牧野はそんなことないよ、というように優しく首を振っていた。黒沢はペンライトの力で会場の一番うしろまで見えたことを伝えると、もっと広い会場に連れていってほしいと締めくくっていた。

ライブの幕を下ろすラストナンバーはもちろん、「お願い!シンデレラ」。魔法の時間は次なる冒険の彼方、幕張に咲く“Celebration Land”へと続く。

Text by 中里キリ

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 10th ANNIVERSARY M@GICAL WONDERLAND TOUR!!! MerryMaerchen Land DAY2
2021年10月3日(日)福岡県・西日本総合展示場新館

<セットリスト>
M01:かぼちゃ姫(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
M02:O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!(立花日菜、長江里加)
M03:ひまわりマークをさがせ!(春瀬なつみ)
M04:あこがれステッチ(今井麻夏)
M05:楽園(会沢紗弥)
M06:Heart Voice(梅澤めぐ、佐倉薫、花谷麻妃、藤本彩花)
M07:Sing the Prologue♪(Long Intro Ver.)(会沢紗弥、高田憂希、高橋花林、立花日菜、都丸ちよ、花谷麻妃)
M08:世界滅亡 or KISS (Long Intro Ver.)(深川芹亜)
M09:祈りの花(高田憂希)
M10:あいくるしい(桜咲千依、佐藤亜美菜、渕上舞、牧野由依)
M11:shabon song(黒沢ともよ、深川芹亜)
M12:オルゴールの小箱(桜咲千依、佐藤亜美菜、東山奈央)
M13:Sweet Witches’ Night ~6人目はだぁれ~(梅澤めぐ、佐倉薫、都丸ちよ、藤本彩花、牧野由依)
M14:き・ま・ぐ・れ☆Cafe au lait!(髙野麻美)
M15:Romantic Now(黒沢ともよ)
M16:モーレツ★世直しギルティ!(今井麻夏、春瀬なつみ、藤本彩花)
M17:Palette (Long Intro Ver.)(梅澤めぐ、長江里加、花谷麻妃)
M18:THE VILLAIN’S NIGHT(会沢紗弥、黒沢ともよ、髙野麻美)
M19:アンデッド・ダンスロック(佐倉薫、高橋花林、東山奈央、渕上舞)
M20:Hungry Bambi(今井麻夏、佐藤亜美菜、花谷麻妃、春瀬なつみ、藤本彩花)
M21:Starry-Go-Round(会沢紗弥、梅澤めぐ、桜咲千依、佐倉薫、立花日菜、都丸ちよ、長江里加)
M22:ハイファイ☆デイズ(今井麻夏、黒沢ともよ、佐藤亜美菜、高田憂希、髙野麻美、高橋花林、東山奈央、春瀬なつみ、深川芹亜、渕上舞、牧野由依)
M23:Shine!! (Long Intro Ver.)(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
-ENCORE-
EC1:EVERLASTING(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
EC2:お願い!シンデレラ(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)

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