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REPORT

2021.09.22

【ライブレポート】“今までも、これからも、ありがとう!”――学芸大青春が開催したツアー“学芸大青春 3rd LIVE TOUR 「Hit your City!!」 supported by BREAK OUT”ファイナル公演をレポート!

【ライブレポート】“今までも、これからも、ありがとう!”――学芸大青春が開催したツアー“学芸大青春 3rd LIVE TOUR 「Hit your City!!」 supported by BREAK OUT”ファイナル公演をレポート!

2021年9月5日、神奈川・KT Zepp Yokohamaにて“学芸大青春 3rd LIVE TOUR 「Hit your City!!」 supported by BREAK OUT”のファイナル公演が開催された。2次元と3次元を行き来するダンス&ボーカルグループ・学芸大青春ならではのAR演出をはじめ、漫才など音楽以外の面でも彼らの強みを取り入れて届けられた本公演の模様をレポートする。

ファンと一緒に作り上げる“最高の夏の思い出”

8月7日の愛知公演を皮切りに、大阪、福岡のZeppを巡ってきた初のライブツアー。このファイナル公演も、レゲエホーンや繰り返されるストリングスのフレーズが特徴的なトラックを用いたOPムービーからスタートした。

“YOKOHAMA”の地名とツアーロゴが映し出されると、真っ赤なムービングライトが飛び交うなか、「待たせたな、調子はどうだ横浜!」(相沢勇仁)、「最後の公演ぶち上がれ!」(南  優輝)といつにも増してハイテンションなメンバーがステージにイン。OPナンバーは今ツアーで初披露の「HOLD US DOWN」だ。歌い出しに合わせてライブ用仮面姿の五人にスポットが当たり、そこから一気に仕掛けていく。メンバー自身がジュネス史上ナンバーワンのダンス曲と語るだけあって、歌詞に込められている強い意志が反映されたようなアグレッシブさが際立つパフォーマンス。ファイナル公演のみ実施されたライブストリーミングでは、AR演出によって配信ならではの形でメンバーが2次元と3次元を行き来し、今の学芸大青春にできるすべてを詰め込んだような始まりとなった。

彼らがこのKT Zepp Yokohamaのステージに立つのはこの日が二度目で、今年5月に行った2ndライブ以来。しかし前回は開催直前に無観客配信ライブへと切り替えられ、空っぽのフロアを前にパフォーマンスしていた。1曲目を歌い終え、南の「横浜、リベンジだー!!」という一言に続いて、温かい拍手に包まれながらまずはそれぞれの思いをぶつける。そしてしばしのトークタイムへ。

神奈川県出身の南は「青春を過ごした場所にジュネスとして戻って来られたことがすごく嬉しい」と笑顔で話した。そこに「ちょっと話したいことがあってさ」と切り出した星野陽介は、本番前こそいつも通り過ごす派だったはずの相沢(と仲川 蓮)が昨晩カツ丼を食べていたことを暴露する。以前もライブ前日にカツ丼を食べていたらしく、相沢は「まじでたまたま」「普段から食うわけよ。腹持ちいいんだよ、カツ丼って。知ってる?」と教えてくれるが、南に「次ライブができるってなったら何食べるの?」と聞かれれば「え?カツ丼」と、キレッキレの返答。その後、星野が「しかも、もう一人“トンカツボーイ”がいたんですよ。誰だと思う?」と重ねると、内田将綺が水分補給中の仲川を全力で指さしている傍ら、それに気づいておらず正解を知らない南がなぜか星野のことを「蓮」と呼び間違える場面も。戻った仲川も「僕がすべったみたいで嫌なんだけど(笑)」と苦笑いを見せた。

感染拡大防止のため、来場者は発声禁止となっているコロナ禍でのライブ。独自に開発・リリースされた学芸大青春のライブ専用歓声アプリ「KANSEI」とスティックバルーンを紹介したのち、ツアーテーマソングである「Hit the City!!」へ。3次元の姿での披露はこのツアーが初めてで、仮面を手に入れた今だからこそ成せる表現を積極的に取り入れていた印象だ。特に相沢は、「HOLD US DOWN」から胸元に指をすべらせるなど大胆なパフォーマンスを披露していたが、ここでも衣装の裾をまくりあげて腹筋を露わにするという、素顔は隠しながらも素肌を見せつけていくスタイル。さすがはセクシー担当。最終公演、Aメロをリードしていく内田の歌声には、この4公演のなかでひときわ熱がこもっていたように感じる。ラストも仲川のフェイクが伸びやかに響き、興奮を加速させた。

こちらもダンスがハードな楽曲ということで、ジャケットを脱いで少し身軽になった五人。ブレイクがてら「この夏にやりたかったこと」を思い思いのジェスチャーで発表したあとは、「僕ら男子の初デートの心境を歌った曲です」という星野の曲振りで、「I’m in love」がスタート。曲中にPASMOが登場することから、各地の交通系ICカードをポケットから取り出すなど遊び心たっぷりのパフォーマンスを見せてきたが、ここ横浜はPASMO圏内。というわけで今回は南のラップパートの歌詞がアレンジされ、「今日のコース 夜景みなとみらいにあるじゃーん!」と無邪気な笑顔でファンの心のど真ん中を撃ち抜いていく。「I’m in love」といえば、前回のライブ初披露後に「(曲中で)実はいつも蓮のお尻をさわさわしてるんですよ」(星野)、「それを見て俺も陽介のお尻をさわさわしてる」(南)という謎の告白があったことも記憶に新しい。内田と相沢から若干呆れられていたものの今回も懲りずに実行され、別の箇所では南が仲川にちょっかいを出し、やり返され、お互いにしてやったりな表情。内田と相沢が気持ちの良いボーカルで引っ張っていく陰で、いたずら好きの三人は自分のパートはしっかり歌いつつおふざけを仕込み、さらなる笑顔を生み出す。

続く「星になれ」も、公演ごとの日替わり要素が盛りだくさん。個人仕事のオーディションで上手くいかず凹んで帰ってきた星野をそれぞれが慰める実際のエピソードを元にした1曲で、1番には本来であればエピソード通りチューハイが出てくるが、今回は「一人で飲むビールはいつもより苦めな気がするな」と歌われる。ただ流し込むようにあおったビールは、苦かった――今年4月、2ndライブの大阪公演中止と神奈川公演の無観客開催への変更が決まり、気持ちを切り替えるためにと一人やけ酒をしていた星野。そんな出来事が思い起こされるアレンジを、あのとき見られるはずだった景色を前に届けたのだ。2番でも、「好きなもの買ってやる」という内田に何かしらのアイスを買ってもらうのが定番になるかと思われたが、大阪公演では“飴ちゃん”が登場。そして福岡公演では「将綺、いつもありがとな。このアイスで大丈夫」と内田もびっくりの変化球が飛ばされ、このファイナル公演は「みんながいるから、大丈夫」の一言に。アイスの行方はさておき、メンバー、そしてファンに向けた屈託のない言葉が胸に響く。ほかのメンバーの歌声も、相沢と仲川はその揺るぎない意志を示すような真っ直ぐな力強さ、内田と南は力強さもありながらそっと寄り添うような優しさが感じられ、あの日の悔しさを昇華させたパフォーマンスでファンを魅了した。

次元を超えた先はファイナル公演特別仕様!

暗転すると次の瞬間、五人が2次元の姿でステージに登場し、初めての配信ライブ「WHO WE ARE !」で着用していた赤いライブ衣装で「Hit me !」を披露する。MVでは「WHO WE ARE ! Return!!」のライブ衣装(2次元)、2ndライブではミニアルバムの衣装(3次元)と、次元と衣装の様々な組み合わせが見られるのは学芸大青春らしく面白いポイント。さらに今回、会場では紗幕に五人の3Dモデルを投影し照明で演出をつけるという、ここまでの3次元パートと変わらない見方で楽しむことができるARライブに近い形で2次元パートを届けているが、ライブストリーミングでは2ndライブをベースにしたバーチャルセットを使って配信され、ライブ感と映像としての魅せ方を追求した見事な仕上がりをみせた。「JUST」は、水中でクリスタルガラス風の生物たちに囲まれながら歌い踊るという、初の配信ライブとも繋がる幻想的な演出。そのMVでグループのコンセプトを知らしめた「Happy Ever After」は、初めてすべて2次元で披露された。

衣装を早着替えすると、ツアー初日に解禁された、9月24日に配信リリース予定の新曲「IF…」を披露。ボーカル担当とダンス担当を分けた新たな挑戦の1曲でもあり、TikTokに自ら企画・編集した次元超えダンスを多数投稿してきた南と星野は、マイクを持たずひたすら踊る。相沢、内田、仲川は、夏の終わりの失恋ソングということで、“もっと僕に勇気があったなら”“もしもあの日”と別の人のものになってしまった君への未練を歌い上げた。ライブストリーミングでは、バーチャルセット上で夏に関連したスライドショーが流れ続け、そのなかには、このツアーの舞台裏で撮影された写真もいくつか。そしてラスサビを前にステージを飛び出し、横浜の街を思わせる桟橋で夕日をバックにパフォーマンスするという特別仕様で配信された。

2次元パートはここまで。セット転換でステージを覆っていた幕が開けると、そこには新たな衣装に身を包んだ五人の姿が。素顔を隠すのは仮面ではなくサングラス。紗幕もない。後半戦を勢いづけるようにロックナンバー「Race !」が始まる。一人レースに参加したりしなかったりの仲川は今回「参加するぞーぅ!」と元気よく叫び、そんな仲川を含むフロントメンバーがスティックバルーンを手に盛り上げていく。思いっきり飛び跳ねたり自由にステージを駆け回り、最後はスティックバルーンを投げ捨ててクールに決めた。

MCでは新衣装の見どころを紹介するべくポージング対決を行う。南に「誰のポーズから見たい?」と振られた仲川は、内田の「それはね、俺やんねっ」アピールを受けて珍しく素直に内田を指名し、星野がなぜか「イロモネア」のBGMを再現し始めれば笑いすぎて膝から崩れ落ちるなど、気持ちの高ぶりが見て取れる。対決は最終的に、ルールを無視して3段階で腕の筋肉を見せつけた相沢が勝利したのだが、福岡公演での“博多弁選手権”惨敗を引きずっていたようで満足そう。ちなみに公演ごとに襟の出し方を変えていた南は、一周回って初日と同じく右襟だけ出す仕様になっていた。

MC中のゆるっとした雰囲気のまま届けられる「Lazy Day」は、4年目に突入した五人の寮生活を覗き見ているようなリラックスソング。相沢と南の掛け合いやセリフは公演を重ねるごとに甘くなり、少し険悪だったという出会った当初の二人の関係性を思うと感慨深さもある。続けて「youthful days」が始まると会場の空気がきゅっと引き締まり、爽やかに歌い踊った。各曲でこれでもかとメロディをアレンジして楽しませてくれる相沢がここに来て「WHO WE ARE ! Return!!」のときと同じアレンジを聴かせる、まさかの思い出プレイバックも……。

そして、恒例のお知らせコーナー。12月1日にリリースすることを解禁したばかりの2ndアルバム『PUMP YOU UP!!』については、新情報も告知された。今回も全国流通CDで、ミニアルバム『Hit the City!!』以降の楽曲に加え、かっこよさも甘さもあるリード曲「Sugar」を含む7曲の未発表曲が収録されるということで、続報を楽しみに待ちたい。

本編ラストを飾るのは自己紹介曲「WHO WE ARE !」。この曲のために用意されたと言っても過言ではないKANSEIアプリの練習タイムを挟んで、メンバーもファンも準備ばっちりの状態でイントロが流れ出した。ファイナル公演ということでソロバースはやりたい放題だが、このライブ感がとにかく楽しく、内田はアプリでの歓声を浴びて「いいねいいねぇ!!」とトーンを上げる。五人で元気いっぱいのユニゾンを響かせステージをあとにすると、客席からは手拍子&スティックバルーンでのアンコールが。

それに応えてまず登場したのは、相沢と南だ。日替わりコーナーとして“勇仁&優輝”のじゅね漫才「メリーさん」を披露した。YouTubeチャンネルで公開されている2次元の姿での「メリーさん」は3分半のネタだが、日頃のお笑いレッスンの成果か、今回はなんと6分間にわたって相沢がボケ続ける大作に。それから「漫才は終わったんですけど何か残ってる気がする」(内田)と星野のターンへ。一発ギャグの新ネタ「背後霊」からのそれに乗っかる内田、広げようとする相沢、と自由奔放なやり取りで和ませる。

いつもであればここで最後の挨拶……となるが、その前に南から、今回のツアーのリハーサルが本格化するタイミングで、メンバー全員が新型コロナウイルスに感染していたことが明かされた。全員の療養期間が明けてから初日までに行えたリハーサルは回数も限られていたが、五人が抱いていたのは、それでも絶対にツアーをやり遂げたいという強い気持ち。全公演を予定通り実施するべく調整を重ねたそうで、メンバー自身の決断の結果ではあるものの不安を抱えながら臨むこととなった今ツアーを、一人ずつ振り返っていく。

次のページ:また会えるからね、絶対」再会を約束し、ラストは“はじまり”の曲で

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