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2021.09.14

【ライブレポート】一夜限りの特別ライブ!“『プリンセス・プリンシパル Crown Handler』× Void_Chords Acoustic Live”レポート

【ライブレポート】一夜限りの特別ライブ!“『プリンセス・プリンシパル Crown Handler』× Void_Chords Acoustic Live”レポート

数々のアーティストや作品の音楽に携わるサウンドクリエイター・高橋 諒が、自身の音楽を追求するべく立ち上げたプロジェクト・Void_Chords。スタイリッシュな音楽性でアニメ音楽シーンにおいて注目を集める同プロジェクトが、9月11日に生配信ライブ“『プリンセス・プリンシパル Crown Handler』× Void_Chords Acoustic Live”を開催。アニメ『プリンセス・プリンシパル』にまつわる楽曲たちを新たなアレンジで披露し、同作品およびVoid_Chordsの音楽的な魅力を伝える特別な一夜となった。

『プリンセス・プリンシパル』といえば、2017年にTV放送され、スチームパンク的な世界観とスパイを題材にした骨太なストーリーで話題を呼んだ作品。梶浦由記による劇伴、Void_Chordsが担当したOPテーマ「The Other Side of the Wall」、高橋が楽曲提供したキャラクターソングなど、作品の舞台モデルとなったロンドンおよびUKやスパイ音楽の要素を採り入れた楽曲も人気を集め、2019年10月には梶浦由記とVoid_Chordsによるスペシャルライブ“プリンセス・プリンシパル THE LIVE Yuki Kajiura×Void_Chords”が行われた。

今回のVoid_Chordsのライブには、その2年前の公演にも参加したバンドメンバーが再集結。ベースの高橋 諒、ギターの北島優一、ドラムスの北村 望、ピアノの吹野クワガタ、サックスの才恵加(saeka)、そしてボーカルには『プリンセス・プリンシパル Crown Handler』のOP主題歌「LIES & TIES」でもフィーチャリングボーカリストを務めるYui Muginoを迎え、全楽曲を英語詞バージョンによる、ライブならではの特別アレンジで披露した。

この日の会場に選ばれたのは、レトロかつゴージャスな内装と独特の空気感をもったコンサートホールとして知られる、東京キネマ倶楽部。本来は有観客公演を予定していたが、コロナ禍による昨今の状況を受けて、無観客での生配信ライブとして行われることになった。だが、映像演出やカメラワークなどを含めオンラインライブならではの工夫が凝らされ、客席での観覧では味わえないような臨場感や特別感が、今回のライブでは体験できたように思う。

ライブは「LIES & TIES」からスタート。原曲はストリングスなども導入したゴージャスなフュージョン調のアップチューンだが、今回はややテンポを落とし、よりジャジーさが引き立つアレンジに。黒のチューブトップに赤のジャケットを合わせた、フォーマルかつセクシーな出で立ちのMuginoは、ステージ中央に置かれたマイクスタンドの前に立ち、パワフルな歌声を響かせる。これはライブ全編に通じる印象だが、高橋が弾く6弦ベースのグルーヴィーなリフを始め、楽器隊の各プレイヤーによる演奏も、小編成なだけにそれぞれの音がはっきりかつ粒立ち良く聴こえる。

続いてMuginoが「皆さんこんばんは、一緒に楽しんでね」と挨拶すると、「Take Me Up Higher」へ。青紫系の照明がステージを彩るなか、彼女はアシッドジャズ風のクールなサウンドに身を委ねながら、エモーショナルな裏声を交えた優雅なボーカルで楽曲をさらなる高み(ハイヤー)へと誘う。高橋の「今日だけのスペシャルな夜にできれば」という挨拶を挿みつつ、次曲「Under the Moonlight」では雨が降っているような映像効果によりムーディーな雰囲気を醸成。ピアノのロマンチックな響き、ドラムのブラシ演奏による柔らかなリズム、ピアノ~ベース~サックスと続いた各ソロパート、それに合わせてスキャットを披露するMuginoと、ジャズクラブさながらのパフォーマンスで、まるでスタンダードの名曲を聴いているような気分になる。

ソウルフルなアレンジが光った「Drive My Fate」では、サビの開放的なパートでMuginoが手を上げて左右に振りながら「皆さん一緒に!」と呼びかけ、画面を通して一体感を演出。「リトルブレイバー」はアコギの音が目立つフォーキーソウルな曲調に変貌。その風通しの良いサウンドと緑がかった照明とが相まって、まるで高原を散策しているような心地良さだ。その直後のMCで高橋が今回のライブのアレンジについて、「温かいアレンジ、小編成でエッセンシャルな感じ」を意識したと語っていたが、そういった要素がこの楽曲には特に息づいていたのではないだろうか。

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