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2021.06.10

色とりどりの花が束ねられた『bouquet』――。ゲストを迎えて開催されたスペシャルライブ“toku×鈴木このみ×やなぎなぎ Special Live「bouquet」”ライブレポート

色とりどりの花が束ねられた『bouquet』――。ゲストを迎えて開催されたスペシャルライブ“toku×鈴木このみ×やなぎなぎ Special Live「bouquet」”ライブレポート

初のソロアルバム『bouquet』の発売を控えるGARNiDELiAのコンポーザー・tokuが、同作のリリースを記念し6月6日にBillboard Live YOKOHAMAにてスペシャルライブ“toku×鈴木このみ×やなぎなぎ Special Live「bouquet」”を開催した。アルバムに参加した10名のゲストボーカリストのうち、鈴木このみ、やなぎなぎを迎え、昼夜2公演が行われた本ライブより、夜公演のレポートをお届けする。

会場での有観客公演とオンライン配信のハイブリッド形式で行われた今回のライブ。会場のBillboard Live YOKOHAMAは、食事をしながら音楽を楽しむことのできるライブレストランで、そのラグジュアリーな雰囲気は、10人の女性ボーカリストを花に見立てて制作された楽曲を束ねたアルバム『bouquet』の世界観にもピッタリと言えるだろう。会場の照明が暗転し、tokuサウンドには欠かせない星が流れるようなシンセ音をあしらったSEが流れ出すと、toku(key)をはじめとしたバンドメンバーがステージに登壇。梶原健生(g)、セキタヒロシ(b)、早川誠一郎(ds)という、GARNiDELiAのライブでもお馴染みの面々だ。

そしてバンドが1曲目のイントロを奏で始めると、この日の一人目の歌い手、鈴木このみが凛とした足取りで登場。黒を基調としたドレス衣装、両サイドに花を飾ったようなお洒落なヘアアレンジで、いつも以上に大人っぽく見える。彼女が1曲目に選んだのは、自身がリン役の声優として主演したTVアニメ『LOST SONG』のOPテーマ「歌えばそこに君がいるから」。鈴木が畑 亜貴との共作で作詞した楽曲で、彼女自身の歌う意味を形にしたような歌詞、エモーショナルな曲調が胸を熱くさせるライブの定番曲だ。いつもとは違ってtokuらの演奏をバックに歌ったこの日の「歌えばそこに君がいるから」は、メリハリの効いたバンドのアレンジも込みでドラマチックさが引き立っていたし、鈴木がtokuとのコラボを楽しむように笑顔を多めに浮かべていたのが印象的だった。

その後のMCで、tokuが「基本的に僕のライブは(MCパートが)ゆるいです」と語っていた通り、この日は配信もありということで鈴木が「うちの母親が楽しみにしてました」「おかん観てる~!」とカメラに向かってアピールすると、tokuも「僕の母も観てます(笑)」と明かすなど、ライブはリラックスした雰囲気で進行していく。その後、鈴木の音頭で会場の観客と乾杯を行うと、続いては「Humming Flight!」を披露。鈴木がアイルランド旅行の経験を活かして作曲したこの楽曲は、アイリッシュミュージック調の陽気なノリが特徴で、乾杯の直後には最適な選曲と言えるだろう。梶原はマンドリンを演奏したほか、間奏でバンドメンバーが鈴木の呼びかけに応じてソロ回しを行うパートでは、tokuがハーモニカを披露するレアな一幕もあった。

鈴木は「Humming Flight!」で太陽にように明るい笑顔と歌声を振りまいたかと思えば、続く「Bursty Greedy Spider」ではパワフルかつアグレッシブな一面を見せつける。TVアニメ『蜘蛛ですが、なにか?』の後期OPテーマとして現在オンエア中のこの楽曲は、草野華余子が作詞・作曲を担当。鈴木は披露する前のMCで「リハーサルでやったときに、tokuさん節が加わって、新曲だけど新鮮な風が吹いた感動がありました」と語っていたが、まさにtokuによる鮮烈なシンセサウンドが加わった今回のアレンジは、鈴木の空気を震わすような絶唱にマッチしていたように思う。

その熱狂的なパフォーマンスに続いては、鈴木の2ndアルバム『18 -Colorful Gift-』収録のナンバー「フラジャイルな君」をしっとりと歌唱。鈴木いわく「会いたい人になかなか会えない状況が続いていますが、そんな今にピッタリの曲だと思って選ばせていただきました」とのことで、傷ついたり弱っている“きみ”に優しく寄り添う歌声、tokuのキーボードが紡ぐ柔らかな音色が心に浸透していく。演奏後、tokuが「いや~、かっこいいなあ」としみじみ感想を漏らしたのも納得の名演だった。

そしてtokuのアルバム『bouquet』に収録される鈴木が参加した楽曲「青い薔薇」が披露されることに。tokuは、いつも難易度の高いナンバーを歌いこなしている鈴木に楽曲を書き下ろすにあたって、あえて捻くれたメロディにアレンジしたとのことで(tokuは「ある意味、挑戦状」と表現していた)、鈴木も楽曲を受け取ったときに、tokuの音楽に対する情熱を改めて感じたと言う。ステージでは、青いライトに照らされて、ときに自身の体を抱き締めながら情熱的に歌う鈴木の姿が印象深く、例え“変わり果てた世界”でも未来を信じて前に進む意志、青いバラの花言葉になぞらえた「不可能を可能にする」という強固な想いを、大河のようなスケール感なれど激動的に展開していく楽曲とともに届けてくれた。

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