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INTERVIEW

2021.04.24

ソロアーティスト・高垣彩陽として歩んだ10年で紡いだ数々の縁を振り返る。初のベストアルバム『Radiant Memories』リリースインタビュー

ソロアーティスト・高垣彩陽として歩んだ10年で紡いだ数々の縁を振り返る。初のベストアルバム『Radiant Memories』リリースインタビュー

私が私のまま曲に向かい合えばそれが高垣彩陽の曲になる

――今回は限定盤に付いてくるBlu-rayでベスト盤には収録されていない楽曲も、ライブ映像として収録されていますね。

高垣 実を言うと収録曲を完全にしぼり切ることができていなくて……。もっとたくさん入れたい曲があった中から「ライブの印象が強いよね」という意見が出た曲を限定盤についてくるBlu-rayに入れたんです。私の優柔不断さがこういうところにも表れています(笑)。

――ここからは今回収録されている楽曲についてお話を伺っていきたいと思います。まずは1曲目、デビューシングルの「君がいる場所」ですが、ご自身の中でこれは外せないという想いがありましたか?

高垣 やはり外せない曲でしたね。ベストを作るとなったときに1曲目は絶対「君がいる場所」にしようって真っ先に思いました。

――ご自身の楽曲として初のレコーディングだったと思うのですが、難しい部分はありましたか?

高垣 この楽曲をリリースするまでもキャラクターソングを歌った経験はあったんです。ただ、キャラクターソングってキャラクターという拠りどころがあるので、私の中ではアフレコの延長線上に歌があるんです。キャラクターがセリフとして言えなかった想いを歌で補ったり、キャラクターの魅力を楽曲に乗せて伝えたり……という感じで。でも自分の曲となるとそれがない、高垣彩陽としてこの曲を歌わなければいけないってことになるじゃないですか。それがすごく難しくて、レコーディングのときに何度も「キャラを作らないで」って言われたのを覚えています。別に作っているつもりはないんですけど、これまで自身の楽曲として歌ったことがなかったので私の中に高垣彩陽という軸がなかったんですよね。なので歌いながら少しずつ自分自身という軸を構築していきながらのレコーディングでした。

――「君のいる場所」のレコーディングを経験することによって高垣彩陽としての楽曲へのアプローチを培った、ということなんですね。

高垣 そうですね。結局行き着いたところは「あんまり考えなくていいや」なんですけど(笑)。高垣彩陽らしさみたいなものがどこにあるのか、というのはまだ自分の中でも言葉にできないんです。でも、私が私のまま曲に向かい合えばそれが高垣彩陽の曲になるんだ、というのは感じていて。そこに至るまでは仮歌の方のレコーディングとか見学に行ったりして「自分の歌」というのものがなんなのか探ったりしていましたね。

――高垣さんにとって「君がいる場所」がとても大切な楽曲だということが伝わってきます。そこから2曲目に選ばれたのが2ndシングルである「光のフィルメント」。

高垣 この曲はTVアニメ『伝説の勇者の伝説』のエンディングとして歌わせていただきまして。私自身もフェリスという役で出演させていただいたアニメなんですけど、とにかく現場がすごく楽しくて、今でもすごく好きな作品なんですよ。あと、この作品で福山 潤さんと小野大輔さんとラジオをやらせていただいて、そこで私のダジャレが培われたと思っています。この作品には色んな意味で影響受けていますね(笑)。

――なるほど(笑)。そこで自身の歌唱がエンディングに流れることも大きかったわけですね。

高垣 アフレコがスタートしたときは、私がエンディング歌うという話は全然出ていなかったんです。でも後期に入ったときに「エンディングは高垣さんにお願いします」って言っていただけて。この楽曲はeufoniusさんに作っていただいたんですけど、それは私からリクエストをしたんですよ。『true tears』でeufoniusさんに出会って以来ずっと大好きで、『伝説の勇者の伝説』はアニメの音楽制作のレーベルが(eufoniusが作品をリリースしていた)ランティスさんだったのもあってお願いしてみました。本当に色んなご縁に恵まれて生まれたのがこの曲なんです。

――そして「たからもの」。こちらはこれまでのアニメタイアップではなくご自身も出演されたドラマとのタイアップということで。

高垣 そうなんです。私、当時は自分自身がTVドラマに出るようなお仕事が来るなんて想像もしていなかったんです。それがスフィアの日本武道館ライブで舞台をやったことがあって、それを観てくださった方が私にオファーしてくださり、まさかのドラマ出演をすることになりました。「春休みの恋人」というドラマで、高校生の子たちの卒業から春休みを経て次のスタートまでを描いていた作品だったんです。そのなかで私が演じた倉持紅緒という子が歌う卒業ソングとして作られたんですよ。

――ドラマ出演に関しては想像もしていなかった、とのことでしたが、実際に出演してみた印象はいかがでしたか。

高垣 全然知らない世界に飛び込んだ感じでしたね。役者としてもすごく大きなチャレンジでした。いただいた末光 篤さんの楽曲は本当に素晴らしくて、そこに私がデビュー当時からお世話になっているmavieさんがとてもいい歌詞を提供してくださって。最高の卒業ソングになったと思っています。

――本作がリリースされたのが2011年、時期的にも3.11後のリリースとなりました。そういった部分でも感じるところはありましたか?

高垣 すごくありましたね。ドラマの放送もその時期だったので私自身も楽曲に描かれていることも含めたくさんのことを考えさせられました。ドラマ作品という枠を超えてこの曲には本当に色んなものが込められていると感じて、そういった部分でもすごく特別な1曲です。

――最初の3曲はご自身の初期シングルからのチョイスでしたが、そこから次にアルバム『relation』から「ソプラノ」が入ります。

高垣 『機動戦士ガンダム00』との出会いがあって、そこで石川智晶さんと出会えたから生まれた曲ですね。声優としてデビューする前から智晶さんの楽曲はずっと聴かせていただいていたんですよ。それで、1stアルバムの表題曲をどういった方に作ってもらいたいかな、ということを考えたときに智晶さんに作っていただきたいと思ってお願いしました。

――曲を作っていただくにあたってどのようなお話をされたんですか。

高垣 実はこの曲は直接の打ち合わせとかをほとんどしていなくて。私の今までの歌やコンサートの映像を智晶さんが観てくださって、それを元に曲ををあげてくださったんです。私がまだ知らない私を智晶さんは見てくださったんじゃないかと感じました。レコーディングのときに智晶さんが「高垣さんはこの楽曲の歌詞みたいなところがあると思いますよ」っておっしゃられていたのがすごく印象に残っています。

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