オーイシマサヨシの音楽的思考回路に迫る! スランプの末に辿り着いた、『SSSS.DYNAZENON』『ドラゴン、家を買う。』のダブルOP主題歌リリースインタビュー

――続いて「ロールプレイング」の制作にも取りかかったわけですよね。

オーイシ スランプを脱してすぐ書いたんですけど、めちゃくちゃ速かったですね。多分、実際に書いた時間は3、4日だったんじゃないかな。

――え!? むしろスランプ前は常にそれくらいのペースだったんですか?

オーイシ そうですね。だから、書けないこと自体が珍しくて。人生の中で1ヵ月も書けないなんてなかったんですよ。だから、すごくびっくりしましたし、いかに「インパーフェクト」のときが異常事態だったか。

――「インパーフェクト」で歌っているように“これは僕のエマージェンシー”だったんですね。あの歌詞は本当にリアルな心境だったと(笑)。

オーイシ ドキュメンタリーな(笑)。でも、スランプのなかでももちろん、『ドラゴン、家を買う。』の原作は読んでいたので、言葉にしたりメロディにしたりという下準備は整っていたんです。だから早く書けたんでしょうけど。

――『ドラゴン、家を買う。』に対してはどのようなイメージで捉えましたか?

オーイシ 元々原作を知ってはいたんですけど、今回お話をいただいてから読んでみたらめちゃくちゃ面白いんですよね。コメディだけどハートフルな部分を押さえていて、「感動する物語だなぁ」と改めてファンになりました。じゃあその上で、「この作品の真髄はどこにあるのか?」と考えたとき、まずは「すれ違い」ネタですよね。ドラゴンなのにステータスが弱い、不動産屋なのに魔王、勇者なのに性格が悪い、そういった掛け違いの面白さが絶妙なコミカルさを生んで僕らに響いていると思うんですけど、その下地にあるのって「RPGあるある」なんですよね。ドラゴンのステータスが高いはず、ということを例えば、うちの婆さんとかは知らないわけですよ(笑)。作品中にハンターが出てきたり、勇者のパーティの構成だったり、魔王とはこういうものという固定観念だったりというのは知識がないと成り立たない。なので、ど頭に「人生は一生をかけたロールプレイング」ってフレーズを持ってきて、RPGであることを匂わせる導入にしたいと思いました。実はこのフレーズ、RPG界のレジェンドである堀井雄二さんの言葉を引用させていただきまして。何年か前にNHKの特番(「ドラゴンクエスト30th~そして新たな伝説へ~」)を観てから、「人生はロールプレイングゲームである」っていう発言がずーっと頭にあったんですよ。今回の『ドラゴン、家を買う。』の主題歌にぴったりだと思い、そこを出発点に書いていったって感じでしたね。

――そこが作品の主題の1つであるRPG感であると思いますが、もう1つのテーマである不動産関係については?

オーイシ RPG部分の上に成り立っていて、ドラマの面白さという下地になっているのが、その不動産アニメの部分ですよね。「理想の住居を探す」という異世界不動産アニメである、と。で、理想の住居が何かというと、主人公・レティの居場所のことを示していると思ったんです。家を勘当される前には気づかなかったことに気づき、仲間たちといることが人生における「ホーム」になっている。だからこの歌に関しても、理想の住居というのはどこに住むかではなく誰と住むかなんだ、というつもりで書きました。

――ちなみに、オーイシさんは住居探しは好きなタイプですか?

オーイシ 好きですね。特に僕らクリエイターって、家で音を出せないとダメじゃないですか。なので防音物件をめちゃくちゃ調べていて、都内の物件は大体把握しています。クリエイター同士で話していても、「あ、お前あそこに住んでんの?「何号室が空いてたよね」って話をしますね。

――では引っ越しも苦にならない?

オーイシ そうですね。同じマンション内で引っ越すということもありますよ。号室だけを変えるとか。

――ああ、そうすると周辺環境は変えずに済みますね。

オーイシ そうそうそうそう。今の家がそうで。実は僕、験を担ぐところがあって、今の家に来てからヒット作に恵まれたんですよ。それもあって極力環境を変えたくなかったんですけど、手狭になってきたところに運良く同じマンションの広めの部屋に空きが出たので引っ越しました。

――それは非常にラッキーな。歌詞についてもRPGらしい民族音楽風味を感じさせながら、ロックオペラな面も持っていると感じました。作曲はどういったイメージから進めたのでしょうか?

オーイシ まず、ケルトな要素に関して説明すると、『ドラゴン、家を買う。』の劇伴にケルトミュージックを採用しているということは事前に聞いており、OP主題歌にもケルティックな要素を入れてほしいとはあらかじめオーダーをいただいていました。ただ、ケルティックな音楽でポップスらしいキャッチーさを獲得するのって、めちゃくちゃ難しいんですよ。なので、ケルトと同じような開放弦の響きを持っていて気持ち良さそうなのは何か? と考えました。そうしたら、ロックオペラの三度のハマりがあるものをかけ合わせたらめちゃめちゃパンチのある楽曲になるかな、って考えに至ったのが楽曲制作のミソですね。結構、転調もしているんですけど、転調の面白さというか妙も出していますし。あと、冒頭のAメロはポップスというより、メロの運びや言葉の並びがミュージカルを感じさせるような語り口調で始まっているのも、RPG然としていていいと思ったからでした。「おお、しんでしまうとはなさけない」みたいな(笑)。語り部の語りから始まるという入りにしたいとは思っていました。

――今仰ったところもそうですが、特に“手を(手を)”の合唱部分は歌詞からも楽曲からもQUEENを感じさせますね。

オーイシ オマージュ感はご想像にお任せしますが、QUEENを継承したと言われるMIKAというアーティストがいて。QUEENも大好きなんですけど、僕は彼が大好きなんですよ。彼の世界的なヒット曲である「Grace Kelly」のオマージュが入っていて、その辺りは音楽好きな方が「ニチャア」としてくれたら嬉しいな、と(笑)。

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