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INTERVIEW

2020.04.27

22thシングル「ラストチャプター」発売記念インタビュー!きみコが語る「食戟のソーマ」とnano.RIPE、ふたつの“最終章”

22thシングル「ラストチャプター」発売記念インタビュー!きみコが語る「食戟のソーマ」とnano.RIPE、ふたつの“最終章”

これまでTVアニメ「食戟のソーマ」シリーズにED主題歌3曲を提供してきたnano.RIPEが、目下放送中の最新作「豪ノ皿」で満を持してOP主題歌を担当。その「ラストチャプター」を収録したシングルCDが4月22日にリリースされる。この楽曲にかける思いについて、作詞し、ボーカルとして歌ったきみコにインタビューを実施。するとクライマックスに突入する「食戟のソーマ」、そして“最終章”にあるnano.RIPEが共有するひとつの思いが浮かび上がってきた。

――まず、これまで担当されたED主題歌3曲がどんな曲だったか振り返りをお願いします。

きみコ 「スノードロップ」は主人公の創真の目線で書いた曲でした。あの頃の「ソーマ」(「弐ノ皿」)は、創真は負けてばかりでえりなもいろいろ大変という時期で、みんな何が正しいのか悩んでいました。その悩んでいる様子を歌にしたくて、当日ガツガツしていたサウンドに強めの言葉を交えて作りました。

――続いて「餐ノ皿」の「虚虚実実」です。

きみコ これはえりなの目線で書いた曲です。薊による鳥かごから飛び立つという原作の表現が印象的だったので、そこを起点に書き始めました。楽曲のテイスト的には「スノードロップ」の延長ですね。

――そして「神ノ皿」の「エンブレム」です。

きみコ 「ソーマ」の1年生編のストーリーが終盤に近づき創真達も少し成長していたので、私達もバチバチした曲ではなく、先に進んだ曲にしようと意識しました。歌詞もソーマ達の気持ちをそのまま書こうと思っていましたが、同時にnano.RIPEに照らし合わせてもおかしくないものになっています。

――ありがとうございます。それらの曲を経て提供された「豪ノ皿」オープニングテーマ「ラストチャプター」ですが、この曲が発表されたときに原作が掲載されていた週刊少年ジャンプに載っていた「音楽を作る上で本当に大切なことを創真達から教わりました」というきみコさんのコメントが印象的でした。具体的にはどんなことを教わったのでしょうか?

きみコ 料理と音楽はすごく似ているということですね。何かを作るという点でももちろんそうだけど、誰かに美味しいと言ってもらうことに意味があるというか。自己満足でやっていても、それだけではなく届けたい相手もいる。それは「ソーマ」という作品に出会えたから気付けたことなので、その思いを曲に託しました。

――それでは楽曲について詳しく伺いますが、今回もササキジュンさんの曲が先にあったんですよね?

きみコ はい。でも今回はジュンも結構悩んでいたんです。「エンブレム」もあったし「ソーマ」もラストシリーズだから、元々「スノードロップ」や「虚虚実実」みたいなバチバチした曲が得意だけど。そっちじゃなくもっと先の物語をnano.RIPEも見せたいよねって。でも結果的にいいものが出てきたので歌詞はスラスラと書けました。

――あがってきた曲を聴いて、どんなインスピレーションを受けました?

きみコ 最初の「どれだけ美しい旋律なら 傷ついたあの子へと届くだろう」は、すごくきれいなメロディーがあったから生まれました。それと歌詞については「ソーマ」も終盤だし、ただ美しい終わりに向かうだけでなく、これまでの創真達の葛藤なども入れ込た上で最後に何か答えを提示したいと思っていました。それが冒頭の問いに対する最後のフレーズです。

――最後のサビのあとに、音が落ち着いた中で歌われる「さよなら ひとりで歌う僕よ 終わりへと向かおうか 誰にもなれない物語で ぼくらしくあるために」ですね。ここは最初からあった箇所でしょうか?

きみコ いえ、そこはTV用に1コーラスしかないところから、フル尺を作る際に淳と相談して追加しました。「何か一工夫欲しいよね」と話をしたら、ジュンが「最後にAメロ持ってくるのはどうだろう」と言って簡単に打ち込んだものがあがってきたんです。それがとてもグッと来るものだったので、この曲で伝えたいことをここで包み隠さずに言おうと思って歌詞を書きました。

――CDでしか聴けないのがもったいないくらいです。ほかにも「ソーマ」を想起させる歌詞が多いと感じました。例えば2番Aメロ、Bメロは「豪ノ皿」のライバルとなる才波朝陽のことを歌われていますよね?

きみコ そうです。私の中で朝陽がこのタイミングで出てきて、成長した創真と出会うことって大きくって。他人の力を奪って自分のものにできるという朝陽の力はすごく強そうだけど、創真も強いし芯があるんですよ。音楽をやっていても、器用にいろんなことができる人が羨ましくなることもあるけど、nano.RIPEはnano.RIPEだけの武器がちゃんとある。そんなことを作品を通じて教えてくれたので、朝陽の葛藤みたいなものは今回盛り込みたかったんです。ほかにも「ソーマ」ファンにはわかるようなセリフの引用なんかもあるので、探していただけると嬉しいです。

――ちなみに今回の曲が「ラストチャプター」というタイトルで、きみコさんもTwitterでこの曲について「最終章を歩いている僕らの新たな決意表明」とつぶやかれていたので念のため伺いたいのですが……解散とかしないですよね?

きみコ 全然そんなつもりはありません(笑)。確かにnano.RIPEが二人体制になってから「最終章に入った」と言っていて、「ラストチャプター」というタイトルで「終わりへと向かおうか」なんて歌っていたら「お客さんもそう思うよな」と自分でも思いますけど。ただ最終章になって「永遠はない」「終わりがあるということから目をそらさない」と考え始めてから見えてきたものやできているライブがあるんです。例えば今回歌っている、これまで自分のために歌ってきた私が、誰かが喜んでくれることが嬉しくて歌っていることとか。そういう再確認をここでしておかないと、万が一終わるタイミングが来ても気持ちよく終われない気がして。でも、終わらないですけど(笑)

――その言葉を聞けてよかったです。ところで今回はMrs. GREEN APPLEなどの楽曲を手がけられている山下洋介さんが初めて編曲で参加されていますが、どんな流れで頼まれたのでしょうか?

きみコ 山下さんは「エンブレム」のときも候補に挙がっていた方でした。大きく分けると「エンブレム」の編曲をしてくれた出羽良彰さんはロック寄りだけど、元々鍵盤を弾かれていた山下さんはポップ寄りなんです。それで今回はオープニングだからポップさも欲しいと思い、お願いしました。

――あがってきたアレンジの印象は?

きみコ 今回はアレンジャーにお願いするということで、ジュンが作ったデモはかなり簡易的なものでした。だから今回はほとんど山下さんのアレンジなんです。元々のデモを聴いたときは「少し切なく仕上がるかな」と思っていたんですけど、山下さんのアレンジがハマって想像以上に前向きな曲になりました。

――具体的にはどんなところがハマったと感じますか?

きみコ 例えば2番のAメロでリズムが抜けるのは、nano.RIPEからは出てこない思い切ったアレンジでした。あと間奏のジュンが得意とする感じのギターソロが、後半で弦につながるのもバトンタッチみたいで美しいですよね。

――続いて本のジャケットについて伺います。この写真で手に持っているのは本ですか?

きみコ 本です。二人体制になって最終章に突入したnano.RIPEの冒険の書というイメージです。これはデザイナーさんの提案だったんですけど、冒険の書を開くと違う景色があると思いきや、目の前にある景色が続いていた。つまり今まで冒険してきた僕達の物語がこれからも続くんだという意味合いです。

――「ラストチャプター」にふさわしいジャケットですね。そして今回のシングルCDにはカップリング曲がなく、代わりに2018年のツアー「きせきのつるぎ」の東京ファイナル公演の模様を収録したBlu-rayが同梱します。

きみコ 今回は「ラストチャプター」の一曲入魂にしました。nano.RIPEはずっと曲を書き続けているので曲自体はあるんですけど、サブスクも解禁されてみんなの中でCDの位置づけも変わってきていると思うんですよ。ライトに好きな人はサブスクで聴いていただいて、CDは僕達のことをすごく好きでいてくれる人が買ってくださるグッズ的なものになるのかなと。それに二人体制になってから映像化されていなかったのもあって、今回はカップリング曲ではなくライブ映像を付けました。

――それでいて2000円という。

きみコ はい、とってもお得だと思います(笑)。

――ライブ映像はダイジェストだそうですが、何分くらいですか?

きみコ 40分くらいです。あのライブは30曲で3時間くらいやって長かったし、さすがに全曲は入れられない。だから頭からバランスよく曲を摘んで、ダイジェストだけどライブの流れがわかるようにしました。

――このライブでは「Best of nano.RIPE」という企画で、ファンから募った曲も多数演奏されていたんですよね。

きみコ そう、代表曲が並んだライブだったので選ぶのに苦労したんです。最終的には、新しい曲やまだ映像化されていない曲を中心に選んでいきました。

――もう1年半前くらいの企画ですが、「Best of nano.RIPE」のランキングを振り返っていかがですか? 意外な曲のランクインもありましたが。

きみコ ありましたね、デビューシングルのカップリングの「水性キャスト」とか。ライブで1回もやったことない「パルスター」も入っていたし、意外とそういう曲が人気なんだと勉強になりました。

――映像を制作するためにライブを振り返っていかがでしたか?

きみコ 自分のライブを観たのは久しぶりでしたが、こんな顔で歌うようになったんだと思いました。本当に幸せそうに歌ってるなって。実際にライブをしていて楽しいんですけど、それが外から見てもこんな風にわかるんだと我ながらびっくりしました。

――特に印象的な曲は?

きみコ 「ポラリス」です。あれはジュンとふたりになって「これからどうやって歩いていこうか」と悩んでいたけど、その歩いた先にファンのみんながいてくれた……みたいなことを歌ったんです。それをとても幸せそうに歌えていて、この映像の中でも大切な1シーンになっています。

――注目して観てみます。それと今回のCDの店舗特典として、ライブ音源入りCDも用意されていますね。収録曲と選曲理由を教えてもらえますか?

きみコ 「絵空事」と「うてな」の2曲です。最初は「マイナーな曲を選ぼう」と考えて思い入れの深い「うてな」はすぐに決まったんですけど、マイナーな2曲だとバランスが悪いので、出来がよかった「絵空事」を選びました。どちらもライブ映像に入っていますけど、映像は家でゆっくりじゃないと観られないので、こちらは気軽に聴いてほしいです。

Inteview & Text By はるのおと


●リリース情報
nano.RIPE
「ラストチャプター」
発売中
品番:LACM-14995
価格:¥2,000+税

<CD>
1. ラストチャプター(TVアニメ『食戟のソーマ 豪ノ皿』OP主題歌)

<BD>
nano.RIPE TOUR 2018「きせきのつるぎ」@新宿BLAZE ダイジェスト映像

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