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INTERVIEW

2019.06.23

バーチャルシンガー吉七味。TVアニメ『賢者の孫』EDテーマでメジャーデビュー!「圧倒的Vivid Days」インタビュー

バーチャルシンガー吉七味。TVアニメ『賢者の孫』EDテーマでメジャーデビュー!「圧倒的Vivid Days」インタビュー

昨年にエイベックスピクチャーズとSHOWROOMの共同企画で行われた、史上初の女性バーチャルタレント限定オーディションで見事優勝し、TVアニメ『賢者の孫』のエンディングテーマでアーティストデビュー&声優デビューという権利を獲得。バーチャル界の新星として注目を集める吉七味。が、そのデビューシングル「圧倒的 Vivid Days」を完成させた。Elements Gardenのプロデュースにより、圧倒的な歌唱センスを開花させた彼女は、「普段のしゃべりはポンコツ」を自認しているが、歌とは直接関係のない意外な才能を含め、なかなかに興味深いアーティスト性を有している様子。ということで本人に取材を試みた。

――吉さんは普段、バーチャルシンガーとしてどんな活動をされているのですか?

吉七味。 普段はSHOWROOMをメインにライブ配信をしていまして、そこでファンの方とコミュニケーションを取ったり、歌を歌ったりしています。それと最近YouTubeチャンネルも開設しました。

――プロフィールの趣味の項目に「エモい曲収集」とありますが、音楽好きなのでしょうか?

 はい、聴くのも歌うのも好きです。いつもApple Musicとかで「今週のおすすめ」みたいなのをなるべくチェックするようにしていて、具体的にはフレデリックさん、ずっと真夜中でいいのに。さん、ものんくるさんとかをよく聴きます。

――「エモい曲」と書かれていたのでエモロック系のバンドを想像していたのですが、意外とポップなテイストのバンドが多いですね。

 私にとっての「エモい曲」というのは、感傷に浸れるような曲のことなんです。聴いてて個人的に悲しくなってくるくらいの感じが好きなんですよ。なので、普段よく聴く曲はロックというよりも、ちょっとアンニュイな感じの曲が好きです。きのこ帝国さんとか。

――きのこ帝国、ちょうど先日に活動休止を発表しましたね(取材は5月末に実施)。

 そうなんですよ~!(泣)。昨日はすごくショックでした……。

――生傷に触れてしまってすみません……。気を取り直して、他にも気になるプロフィールの項目があるので聞かせてください。趣味に「中国語」とありますが、こちらは?

 中国にはまだ行ったことないんですけど、上海や香港のアニソンイベントに出演したいという夢があるので、その日に向けて中国語を勉強しているんです。中華料理がすごく好きなので、仕事で行けば本場の中華料理をいっぱい食べれるかなと思って……。

――超不純な動機ですね(笑)。それと苦手なものに「カタカナ」を挙げているのが、よくわからなかったのですが……。

 IT用語とか音楽用語とかによくある、カタカナの専門用語がよくわからないんです。「フィックスでOKですよね?」とか「フィードバックください」とか言われても「フィ、フィックス? フィードバック……?」みたいになってしまって(笑)。だって業界的にはよく使うのかもしれないですけど、普段はあまり使わない言葉じゃないですか。

――なんかバーチャルタレントらしからぬ発言ですが(笑)。もうひとつ、特技の「探偵」も気になりました。

 あっ、これはちょっとヤバいやつなので秘密です。パンドラの箱なので何も語れません(笑)。

――インタビューで語れないことをプロフィールに書かないでください(笑)。それと吉さんは小説を書かれているんですよね? 実は吉さんが小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿されている作品「心臓のうた」を読ませていただきまして……。

 えっ!うっそー!キャー!(あまりの恥ずかしさに声を上げながら悶える)。

――(笑)。現状アップされている分は全部拝読したのですが、これが独特のリアリティーがあって、思わず物語の世界観に引き込まれてしまう面白さでした。

 いやいやいや! すごく暗い内容になってしまって……。今は3万文字まで書いたんですけど、あと5万文字書いて8万文字になったら、LINEノベルの「令和小説大賞」に応募できるんですよ。なので締め切りの9月までに続きを書いて、応募して、大賞を獲って、アニメ化して、その主題歌を自分で歌うのが夢なんです。私はアニメの主題歌が歌いたいので、であれば自分で原作者になろうと思って。

――行動力がありますね。ただ、アニメ化を狙うにしては話の内容が暗すぎるような……。

 そうなんです、ちょっと間違えてしまいました(笑)。自分でも暗すぎて多分映像化は無理だろうな、と思いながら書いてます。自伝というわけではないんですけど、過去のヘビーな出来事をベースにしている部分もありまして。映像化されるのであれば実写でもありがたいんですけど、一番の理想はアニメ映画かもしれません。これは秘密なんですけど、後半になるにつれて××××××(※ネタバレのため伏せ字)したりするんですよ。

――……ちょっとドン引きするぐらいヘビーな展開ですね(笑)。吉さんの闇を垣間見た気がします。そういえば吉さんは天涯孤独というお話ですが。

 はい、小学生になる前に両親がいなくなってしまったので、今は住んでいるアパートの大家さんに育ててもらっています。

――で、昨年に「TVアニメ『賢者の孫』エンディング曲&声優デビューオーディション」で優勝し、この度のデビューが決定したわけですが、そもそもオーディションに参加されたきっかけは?

 私は元々引きこもりがちな性格で、なおかつアニメがすごく好きだし、歌うことも大好きなので、まさにそのふたつが掛け合わさったオーディションということで受けました。実はSHOWROOMのイベントに参加するのも、オーディションを受けること自体も初めてのことだったので、右も左もわからない状態だったんです。なのでとにかく無我夢中で自分をPRして。でも七味。ひとりの力というよりは、ファンの方に支えていただくことで一緒にオーディションを勝ち抜くことができたので、ふたつの意味でうれしかったです。

――ファンの大切さを実感されたわけですね。ちなみにどんなアニメが好きなんでしょうか。

 元々はCLAMP作品が大好きで、『カードキャプターさくら』から始まって、『ツバサ・クロニクル』、一番好きなのは『xxxHOLiC』です。他にも『ハガレン(鋼の錬金術師)』や『HUNTER×HUNTER』『まどマギ(魔法少女まどか☆マギカ)』『デュラララ!!』とか、メジャーな作品はほとんど観てると思います。『のんのんびより』とかの萌え系も観ますし、ギャグ系も好きで『日常』とか『斉木楠雄のΨ難』も。今放送しているものだと『ワンパンマン』が好きです。最近は考えながら観なくちゃいけない作品が苦手でして、『賢者の孫』もそうですけど、主人公が圧倒的に強い作品は、観ていて気持ちいいので大好きですね。

――アニソンも聴かれる?

 大好きです。よく歌っているのは『マクロスF』や『マクロスΔ』の曲で、私はあえて難しい歌を歌おうとしますね。ダンジョンを攻略するような楽しさというか、その歌をコンプリートしたい気持ちが強いんです。チャレンジして歌えたときに達成感があるので、難しそうな曲ほど好きかもしれないです。

――声優さんでお好きな方はいらっしゃいますか?

 それこそ『xxxHOLiC』に出演されていた福山 潤さんと大原さやかさんの大ファンです。しかも『賢者の孫』に大原さんが出演されていたので興奮しました(笑)。

――吉さんは今回、『賢者の孫』に女騎士のミランダ=ウォーレス役の声優として出演もされましたが、以前から声優という職業に憧れはあった?

 いえ、私は歌をメインで考えていたので。今回初めてアフレコに挑戦させていただいたんですけど、マイクの入り方も台本のメモの取り方も何もかもわからなくて、本当に難しかったです……。ただ、一緒に収録させていただいた声優の皆さんが、一人ひとり私のところに来てくださって、いろいろ教えてくださったんです。主演の小林(裕介)さんには、「キャラに入りすぎて自然な演技ができていないから、まずは自然な演技を心がけてみては?」と演技指導もしていただいて、いかに声優さんが偉大かということが身に染みてわかる経験になりました。(感慨深げに)皆さんすごく優しかった……。

――今後も声優に挑戦してみたい?

 えへへへ。もっと勉強してからにします、はい(笑)。

――『賢者の孫』という作品については、どのような印象をお持ちですか?

 魔人vs人類とか、国同士の権力争いみたいなことも絡んできて、後半になるにつれてどんどんスケールが大きくなっていくんです。そうなるにつれて主人公たちもどんどん強くなっていくところが見どころだと思います。戦闘シーンもさらに多くなって、迫力もあるので、私もすごく楽しみです。

――その『賢者の孫』のエンディングテーマが、吉さんのデビュー曲「圧倒的 Vivid Days」。Elements Garden制作による、圧倒的にワイルドなロックチューンですね(作詞は織田あすか、作曲・編曲は都丸椋太)。

 七味。はこれからロックシンガーとして活動していきたいので、「ロックな曲が歌いたいです」とお願いさせていただきました。初めて聴いたときは、まさに七味。のデビューシングルにピッタリの曲だと思いました。アップテンポですごくかっこよくて、私が求めていた通りのテイストだったんです。

――楽曲のみならず吉さんの歌いっぷりも堂々としたものですが、これまでボーカルレッスンを受けた経験は?

 小学生の頃に、合唱団に6年間所属していて、週1ぐらいでレッスンを受けていた経験はあります。それと楽曲をいただいてからは、ちゃんとしたボイストレーニングにも行くようになりました。

――この曲での吉さんの歌声は、普段の話している声とは雰囲気の違うクールな響きがあって、驚きました。

 歌うと人格が変わっちゃうんです(笑)。七味。は「強く生きたい」という思いが強いので、その気持ちが歌にも自然と反映されるんですよ。どうしても強い歌い方になってしまうこともあって、ロックな曲を歌うのが好きなんです。

――歌唱面でこだわったところはありますか?

 ラスサビ前の助走をつけるところは、最後に向けてガーっと盛り上げていくイメージで大切に歌いました。それとこの曲は後半になるにつれて盛り上がっていくので、感情の入れ方を調整するように気をつけました。最初の段階から感情を入れすぎてしまうと、盛り上がりがなくなってしまうので、最初はちょっと抑えた歌い方にして、後半につれてどんどん入れ込んでいくように歌っています。

――歌詞でお気に入りのフレーズは?

 “生まれ変わっても 何万回も光るんだ”の部分が好きです。なんとなくバーチャルっぽくないですか?(笑)。もちろん『賢者の孫』に合わせた歌詞ではあるんですけど、バーチャルにも通じるところが私っぽくていいなあと思いました。

――タイトルにある「Vivid Days」をはじめ、英語やカタカナの言葉も多く使われている歌詞ですが、大丈夫でしたか?

 「プリズム」とか「センセーション」は最初何なのかよくわかってなかったですけど、魂で歌いました(笑)。なので大丈夫です!

――歌う前に調べましょうよ(笑)。そして『賢者の孫』のエンディングでもオンエアされたMVでは、吉さんがダンスを披露しています。撮影はいかがでしたか?

 私はダンスの経験がなかったので大変でした。そもそも私はバーチャル体なので、手の動かし方によってはスカートとかを貫通してしまうんですよ。なのでダンスの動きが制限されてしまうんです。まあ普段の配信でもちょっと貫通気味なんですけど(笑)、これはバーチャル体ならではの悩みですね……。

――なるほど(笑)。舞台も『賢者の孫』の世界観に合わせてファンタジー風の場所で踊ってますね。

 あれは魔女の館なんです。最初はスタッフさんに目隠しで連れていかれて、「どこどこどこ~?」と思ったら、急に「じゃあ踊ってください」と言われまして。『水曜日のダウンタウン』のクロちゃんみたいな感じでした(笑)。

――同じくエレガ制作によるカップリング曲「Heart×Nexus」は、表題曲に比べると明るくて開放感のあるギターロックです。

 この曲は今後のライブをイメージして作っていただいた曲で、ライブの最後にファンの皆さんと一緒に歌えるようなフレーズも入れていただきました。途中でクラップもあるので、そこでみんな一緒に手を叩けたらと思いますし、サビの冒頭に“おいで”という歌詞があるので、そこでみんなに「おーいーで♪」と呼びかけたりしたいです。

――「バーチャルの世界に飛び込んできて!」というメッセージもあるわけですね。歌詞からは聴き手を応援してくれるような印象も受けました。

 はい! 元気が出る曲だと思いますし、自分で歌っていても元気が出てくる感じがして、レコーディングも楽しかったです。何テイクか歌ったんですけど、テイクを重ねるごとに自分の気持ちも高まっていきました。「圧倒的 Vivid Days」は発信したり自分の気持ちを届ける感じの曲ですけど、「Heart×Nexus」は「一緒に歌おう?」という曲なので、歌っているときの感情も全然違うものになりました。

――歌う際に工夫したところは?

 私は歌ってるときの滑舌があまりよくなくて、なんて言っているのかよくわからなくなることがあるんですよ。なので、そこには気をつけて歌ったんですけど、まだまだだと思います。ボイトレの先生にも「あなたは何を歌ってるのかわからない!」と怒られました(笑)。

――でも、歌詞はちゃんとわかりますし、吉さんの歌も清々しさを感じさせて素敵な曲だと思います。ちなみに自分自身のシンガーとしての特徴は、どんなところにあると思いますか?

 私は普段はあまり自分の感情を出さないし、特別熱いものを持っているわけでもないんですけど、歌でしか表現できない気持ちがあるんです。なので、自分のやりたい世界観だとか届けたいものを、歌声に反映して発信していきたいです。普段しゃべってるとポンコツなんですけど(笑)、歌が七味。の芯の部分だし、「力強さ」とか「強く生きたい」ということを歌うロックシンガーでありたいので。

――普段は熱いものを持ってないんですか?

 持ってないです(笑)。歌でしか気持ちを込められないんです。歌うと人格が変わります。なんでなんでしょうね?

――きっと吉さんは歌を歌うために生まれてきたからではないでしょうか。

 (うれしそうに)あら!?(笑)。でも、ずっと歌が好きだったので、まずこうして形にできたことがすごくうれしかったですし、周りに協力してくれる方もたくさんできたので、これからファンの皆さんやスタッフの方も含めて、みんなで一緒に七味。を築き上げていけたらと思っています。

――小説を執筆しているぐらいですし、今後自分で歌詞を書いてみたい気持ちもあるのでは?

 実は元々歌詞をずっと書いてたんですよ。昔は畳の編み込みの数を数えながら歌詞を書いているような子だったんです(笑)。でも歌詞を書くだけでは足りなくなって、小説を書き始めたところがあって。作詞はすごく好きなので、いずれチャンスがあれば自分で作詞もしてみたいです。

――どんな内容の歌詞を書いていたのですか?

 葛藤とかが多いですね。七味。は元々暗い子だったので、心の叫びみたいなものを書いたりとかしていました。

――胸の内にはちゃんと熱い気持ちを持ってらっしゃるじゃないですか。

 ……ふっふっふーん(笑)。

――では最後に、シンガーとしての今後の目標や夢をお聞かせください。

 現時点で持ち曲が4曲あるので、これからはそれを基本に、SHOWROOMでの活動で曲を増やしていきつつ、ライブ活動をメインに行っていきたいです。七味。はロックなので、ライブは絶対に生バンドがいいんですよ。それでいずれは大きな会場だとか、上海や香港でもライブができるように活動を広げていくのが目標です。

Interview & Text By 北野 創(リスアニ!)


●リリース情報
「圧倒的 Vivid Days」
発売中

【CD+DVD】
品番:EYCA-12524/B
価格:¥1,800+税

【CD】
品番:EYCA-12525
価格:¥1,200+税

<CD>
1.圧倒的 Vivid Days(TVアニメ『賢者の孫』エンディング主題歌)
2.Heart×Nexus
3.圧倒的 Vivid Days (Instrumental)
4.Heart×Nexus (Instrumental)

<DVD>
圧倒的 Vivid Days -Music Video-

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