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REPORT

2018.11.19

LiSA 2018年を締めくくるホールツアー“LiVE is Smile Always~ASiA TOUR 2018~[core]”東京公演レポート

LiSA 2018年を締めくくるホールツアー“LiVE is Smile Always~ASiA TOUR 2018~[core]”東京公演レポート

「泣きすぎて、目がパンパン!」と照れたような声で、全曲歌い終えたLiSAは、明るい笑みでオーディエンスに「一緒に写真を撮らせてください!」と言って、満員の客席に向かってスマートフォンのカメラを向けた。11月2日(金)、TOKYO DOME CITY HALL。10月6日(土)の千葉県文化会館から始まった全国ホールツアー“LiVE is Smile Always~ASiA TOUR 2018~[core]”は、この東京公演2デイズ初日でちょうど半分を過ぎ、ドラマティックに折り返し地点を迎えた。

デビュー以来、毎年、精力的にワンマンライブを続けてきたLiSAだが、今年のライブのスタートは、4月のライブハウスツアー“LiVE is Smile Always〜FUN & FANFARE〜”から。5月にはソロデビュー8年目にして初めてのベストアルバム『LiSA BEST -Day-』&『LiSA BEST -Way-』をリリースし、それを引っさげてアジア5都市&日本武道館・大阪城ホールと大会場をパンパンに埋めた「〜ASiA TOUR 2018〜[eN]」を6月からスタート。「[eN]」の勢いをそのままに、よりファンとの絆を確かめ合える遊び場となったのが、世界を縦横無尽にトップスピードで駆け抜けてきた2018年を締めくくるホールツアー「[core]」だ。

ここで少し思い出話を。筆者がLiSAのワンマンライブを観たのは、2012年4月のことだ。ソロ活動2年目の東名阪ツアー“LiVE is Smile Always〜LOVER“S”MiLE〜”で、彼女が初めて東京・日比谷野外大音楽堂のステージに立ったときが最初だった。1stフルアルバム『LOVER”S”MiLE』リリース前、初めて彼女にインタビューしたときに日比谷野音への意気込みを聞くと、LiSAは「本番前はすごく緊張するんですけど、私はバンドをやっていたからライブハウス育ちでもある。ライブは本当に大好きなんです!」と目を輝かせていた。

そのライブへの熱い想いは、場所も会場がどんどん大きくなった今も、LiSAの中では何一つ変わらない。先日も『リスアニ!』Vol.35の取材で、記事には書き切れなかったのだが、ライブについてLiSAはこんなことを話してくれていた。
「LiSAの曲ってすごいなって思うんですよ。アニメのフェスに行っても、ロックフェスに行っても、海外に行ってもたくさんの人が楽しんでくれる。ワンマンでもアリーナ、ホール、ライブハウスと会場の規模やスタイルが違っても、それぞれの楽しみ方が作れるんですよね。人は活動が長く続けば続くほど、スタイルや道筋が固定されがちですけど、いろんなやり方で違う楽しさを提供できるのは、LiSAというアーティストならではだと思うんです」

11月2日のTOKYO DOME CITY HALLのステージは、そんなLiSAの言葉のとおり、演出を細部まで練り込みショーアップされた初夏の武道館公演とも違い、モミクチャになりながら汗と熱を共有するライブハウスとも違う、オーディエンスとLiSAの一体感が絶妙な距離感で感動を伝えられる、ホールならではの楽しさに満ちあふれていた。

まだツアーも途中なので、開幕から終幕までを順を追って紹介することはできないが、今回は「[eN]の華やかさを受け継ぎながらも、よりカジュアルな演出と選曲が楽しめたというのが、何よりの印象だ。今ツアーの選曲は、激しいロックゾーンとキュートなポップゾーン、女らしい情念を叩きつけるセクシーゾーン、それぞれで全く違う顔と音楽性を見せてくれる。コケットリーなロックチューンでは、妖艶な衣装とセクシーなパフォーマンスでファンを翻弄し、ポップチューンでは、明るい笑顔で軽やかに、爽やかな歌声を響かせる。

選曲の妙もあったのかも知れないが、初めてLiSAのワンマンを観た日比谷野音の風景や、富士急ハイランド・コニファーフォレストに吹き抜けていく涼しい風を感じながら観た、2014年夏の“〜LiSAMMERLAND〜”ライブの光景が、不思議と頭の中に広がる楽曲も。毎回、ライブを観るたびに、シンガーとしての表現力がアップデートされていることは知っていたが、キャリアを重ねながら、こんなにもフレッシュに若いナンバーを歌いきることができるLiSAのポテンシャルに、またしても驚かされた。

そして、本ツアーの一番の目玉といえば、CDリリースに先駆けて配信済みだった最新シングルからの1曲「ADAMAS」が早くも披露されたことだ。これも『リスアニ!』Vol.35のインタビューで、「私、大太鼓をガンガン叩くんですよ!スタッフさんには、“親の敵”みたいだって言われちゃった(笑)」とLiSAが笑いながら話してくれていたのだが、たしかに彼女の言うとおり。ステージ中央のお立ち台にフロアタムを乗せ、髪を振り乱しながら激しくマレット(バチ)を打ち下ろすLiSAの力強い姿は、圧巻だった。

「ADAMAS」にまつわるMCでは、「この曲はハートがモチーフになっています。それぞれがいろんなハートを持っています。すごく好きな気持ちや真っ直ぐな気持ちがピュアなハートだとしたら、それが否定されると、棘が刺さってイガイガして、傷ついていく。だけど傷ついたぶん、そのハートはどんどん強くなっていけると私は思います。そんな歌をみんなと一緒に歌いたくて、新しい曲を作り、今回の[core]を作ったんだけど、一緒に遊んでくれる?」と語りかけたLiSA。彼女自身の人生観を、いつもライブで素直に語るからこそ、LiSAのライブはオーディエンスに強さをくれる。そのことを、「ADAMAS」と[core]ツアーは改めて教えてくれる。

LiSAのライブでの見どころとなる演出へのこだわりも、オープニングブロックから炸裂。意外性あふれるキャッチーなナンバーを畳みかける選曲は、とても新鮮だ。ホールならではのセット演出を使った楽曲では、パフォーマーとしての本領も発揮。“魅せる&観せる”と“聴かせる”の両方のボールを、常に全力投球でストライクゾーンめがけて投げ込んでくるLiSAの「ライブが大好き! みんなと一緒に遊びたい!」という想いは、昔も今も変わらない。だから尊い。

そしてファンの皆さんはご存じのように、TOKYO DOME CITY HALLの2デイズの後、LiSAは声帯の炎症のため札幌公演を延期するという苦渋の決断を迫られることになった。じつは彼女は、終演後の関係者打ち上げの席でも、この日の東京公演も直前まで喉が不調だったのだと告白していたのが、そんな不調は彼女の見事なステージパフォーマンスからは、ほとんど想像はできなかった。

そんな背景があったからか、東京公演初日のアンコールでは、涙に声を何度もつまらせながら、「1回、1回のステージが毎回緊張するし、毎回すごく大切で……。来てくれるひとり1人に本当に感謝してます。楽しいこと、幸せなことがいっぱいあると、その先が不安になる性格は変わらないんですけど、いつかみんなと一緒におばあちゃんになれるんじゃないか?という想いで〈Catch the Moment〉という曲を作りました。その曲をみんなが一緒に歌ってくれる空間が本当に貴重です」と告げ、「今日がとても幸せ」だと泣きながら語っていたLiSA。LiSA にとってライブは、彼女がアーティストとして生きるために、全力で守るべき空間なのだ。様々なアクシデントが、きっとまたひとつLiSAとファンの絆を強くする。そんな想いを、改めて胸に刻むことができた [core]ツアー東京公演、最後にLiSAがオーディエンスに投げた「あー!楽しかった!」の言葉は、集まったファンのハートのコアにしっかりと届き、LiSAの歌を愛する心を、これからも育て続けるに違いない。

Text By 阿部美香
Photography By Viola Kam

“LiVE is Smile Always~ASiA TOUR 2018~[core]” 開催中
2018年10月6日(土)  千葉県文化会館
2018年10月8日(月・祝) コラニー文化ホール(山梨)
2018年10月14日(日) 福岡サンパレス
2018年10月20日(土) 倉敷市民会館(岡山)
2018年10月24日(水) 名古屋センチュリーホール
2018年10月26日(金) オリックス劇場(大阪)
2018年11月2日(金) TOKYO DOME CITY HALL(東京)
2018年11月3日(土・祝) TOKYO DOME CITY HALL(東京)
2018年11月9日(金) わくわくホリデーホール(札幌市民ホール)(北海道)※公演延期
2018年11月18日(日) 金沢歌劇座(石川)
2018年11月25日(日) 福井フェニックス・プラザ
2018年11月30日(金) 鳴門市民文化会館(徳島)
2018年12月9日(日)  仙台サンプラザホール(宮城)


●ライブ情報
全国Zeppツアー開催決定!
「LiVE is Smile Always~eNcore~」
2019年1月29日(火)Zepp Fukuoka(福岡)
2019年2月4日(月)Zepp Osaka Bayside(大阪)
2019年2月5日(火)Zepp Nagoya(愛知)
2019年2月13日(水)Zepp Tokyo(東京)
2019年2月14日(木)Zepp Tokyo(東京)
2019年2月22日(金)Zepp Sapporo(北海道)

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