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INTERVIEW

2018.08.30

エッジの利いた楽曲の魅力をさらに深掘り!『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』OPテーマ「DeCIDE」発売記念 唐沢美帆×加藤裕介 スペシャル対談【後編】

現在放送中のTVアニメ『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』。そのOPテーマが、8月29日にリリースされる「DeCIDE」だ。前後編にわたってお届けしている作詞・唐沢美帆と作編曲・加藤裕介の対談だが、後編では楽曲のねらいについてさらに深くふたりに話を聞いていく。そこで語られた数々のこだわりをぜひ受け止め、楽曲をより深く味わってほしい。

あえて歌い手に寄せず、楽曲単体として成立するものを目指しました(唐沢)

――「DeCIDE」はアニメのオープニングでありながらキャラソンという部分もあるので、歌詞の面でもそのさじ加減がとても大事になってくる曲だと思うのですが。

唐沢美帆 そうですね。まず「作品と同じようにライバルとしてふたりの女の子がいるんだけど、いがみ合うだけじゃなくてきちんと同じ方向を向いているような楽曲」というオーダーをいただいたので、そのとおりにきちんと大切に作っていこうかな、という気持ちはありました。あとは、前編で加藤さんもおっしゃってくださったように、難しい言葉を散りばめることはすごく簡単なんですけど、そうではなくてこの曲だけでも完成できるように、受け取り手が自分たちの感性で考えられるような歌詞にしよう、というのはすごく意識しました。なので、キャラソンだからといって今回のキャラクターの曲で終わりではなく、これからもいろんなところできちんと皆さんに愛されていく楽曲に仕上がったんじゃないかな、と思います。

――キャラクターや作品というものを外しても、愛し続けられるような曲、というところを意図された。

唐沢 そうですね。メインで歌っているおふたりも、普段からTwitterとかで頑張っている姿を拝見しているので、そんなふたりにも重なるといいなとも思いましたし、そんな第一線で頑張ろうとしているふたりをコーラスとして支える先輩方、みたいな構図が出てくると、メインのおふたりにも今後も自分たちの曲として歌っていただけるのかな、なんて考えまして。セリちゃん(=芹澤 優)は以前から歌詞を書かせていただいたりと付き合いもあってホントに頑張ってる子だと思いますし、(和氣)あず未さんもそうですけど、ふたりを応援できるような曲になればいいな、というのはありました。

――そのおふたりの声質がかわいめなので、かっこいい方向性のデジタルチューンとは音の面でも言葉の面でも、ミスマッチ過ぎないところを狙わなければいけないという難しさもあったのでは?

加藤裕介 はい。でも作曲の時点では、僕的にはもう芹澤さんと和氣さんの歌というよりも、シェラとレムが歌ってるんだという入り口から作曲をしまして。それで、最終的にミックスダウンをするときに、普通のアーティストのミックスダウンよりもあえてキャラがちょっと浮くようにしたといいますか。丸く馴染んでいるというよりは、ボーカルの音質をちょっととんがって浮き立つような感じでミックスしたんですよ。

――それは、なぜですか?

加藤 普通の曲だったらそこまではやらないんですけど、5人の顔が聴いている人に見えるようにというのが、僕にとっては大事だったんですよ。なので音質的におふたりの声がガッと前に出てくる感じで、それを包み込むコーラスもきちんとそれぞれの声が聴こえて、キャラの顔が見える形にしたんです。普通はコーラスって、もっとぼやーっとさせるんですけど。

唐沢 なるほど……。

加藤 それは最終的なミックスでの話なんですけど、メロディライン自体もコーラスをぼやっと作ってしまうといくらミックスで頑張っても混ざってしまうので、「コーラスが出てくるところには余計な音は入れない」といった技術的なところは、この形式でこの5人が歌うとなったときから念頭に置いて作業をしていたと思います。

唐沢 すごいですね……いつも自分の曲のときはある程度自分でボーカルディレクションもするので、「そんな作り方もあるんだなぁ」って聞き入っちゃいました(笑)。私は「とにかくかっこいい楽曲を」というオーダーを実現させようと考えまして、楽曲では彼女たちのかっこいいところだけをとにかく追求して作っていったら、おふたりの歌い方や声での表現でキャラクターに寄っていくんじゃないかなと思ったんです。なので作詞の面ではこのふたりが喋りそうなことだけを歌詞にするといったことは考えずに、楽曲として成立するものを目指しました。

――あえて、歌い手のほうには寄り添わなかった。

唐沢 そうですね。「ただのキャラソンを作ってしまうのはもったいないな」と思ったし、オーダーからも「とにかく“かっこいい”を追求した楽曲を作りたい」「ライバルだけれども同じところを目指している、彼女たちの姿を表現したい」という意志を強く感じたので、楽曲としてしっかり自立できるようなかっこいいものを作ろう、というのはすごく意識しました。おふたりすごく表現力があると思うので、それを歌ったらそのままキャラソンになっていくんじゃないかなと思ったんです。そうしたら、思った以上にキャラとしてそこに生きてくださっていたので、正解だったなって思いました。

加藤 そのかわいい声と激しい楽曲とのミスマッチ度合いというところに関しては、僕はミスマッチでいいと思っていました。なので先ほど申し上げたように、音として成立するギリギリのところまでキャラを立たせた、というものになっていると思います。

唐沢 なんだか、妙に中毒性がありますよね。

加藤 で、唐沢さんのキャラにあえて特化していない歌詞が乗っているので、それが前編で言っていたいいチグハグ感を結果として生んだんじゃないかな……っていうのを、今お話を聞いていて思いました。

――そう考えると、やはりいろいろな部分からギリギリを攻めてらっしゃる曲なんだなぁ、と感じます。

加藤 そうですね。わりと冒険していい作品なんじゃないかな?っていう印象を、打ち合わせのときに受けたんですよ。そういう作品を担当させていただけるのって、すごく楽しいので、ここぞとばかりに普段抑えているものを開放したところはあるかもしれないです。僕自身が昔から濃いものやとんがったものが好きで、それは自分の作風でもあると思うので、できるときはできるところまでやらせてもらうという感じですね。

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