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INTERVIEW

2018.08.29

好評の鍵は“チグハグ感”!? 『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』OPテーマ「DeCIDE」発売記念 唐沢美帆×加藤裕介 スペシャル対談【前編】

現在放送中のTVアニメ『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』。主人公・坂本拓真がMMORPGの世界にひょんなことから魔王・ディアヴロとしてシェラとレムという少女ふたりに召喚されるところから幕を開ける、異世界冒険譚だ。これまでにリスアニ!WEBではEDテーマを歌う芹澤 優のソロインタビューと、芹澤とそのEDを手がけたHoneyWorksのGomとの対談を掲載してきたが、今回は満を持して8月29日にリリースされたOPテーマ「DeCIDE」を手がけた作詞・唐沢美帆と作編曲・加藤裕介の対談を前後編にわたってお届けする。まず前編では、様々な名曲を生んだこの名タッグのこれまでを振り返りつつ、この作品自体への印象を中心に語ってもらった。

年月を経て、互いの作品へ深まった理解

――おふたりが最初に作詞・作曲でタッグを組まれたのは2013年でしたが、その頃のことは覚えていますか?

加藤裕介 そうですね……事務所が同じなので、いらっしゃるのは知っていて。おかげさまでたくさんやらせてもらっているので、いつの間にかいろいろお世話になってた、みたいなイメージがあるんですけれども。

唐沢美帆 同じ事務所の作家さんと顔を合わせる機会って、あまりないんですよ。年に一度事務所の忘年会とかでお話するぐらいですし、直接やりとりをすることもなくて、「この人が作曲者だよ」って聞かないで書いてることも多いんです。だから「この作家さんだから、こう」とかは考えずに書いていて。加藤さんの曲は、個性的なので結構わかるんですけど。あと加藤さんは、最初についてる仮歌詞もわかりやすいですよね?すごい中二というか……素敵な言葉が散りばめられていて(笑)。

加藤 あぁ、いい感じで言っていただいて(笑)。

唐沢 もちろん曲からも“らしさ”みたいなものは感じますし、同じ会社内で言うと山下(洋介)くんっていう別の作家さんは書きやすくて、歌詞を書くのに1時間もかからないことが多いです。単に書きやすければいいというわけじゃなくて、苦戦して書いた曲でいいものもいっぱいあるんですけど、たぶんなんとなく相性がいいんだと思うんですよね。

――でも、直接顔を合わせる機会はあまりない。

加藤 そうですね。基本的には。何か伝えることがあればメールで伝えますし、たとえば僕が曲を上げてそれに歌詞をふってもらう必要があっても、それを直接渡すわけじゃなくて事務所を通してお願いするので。

唐沢 私がTRUEとしてアーティストデビューしてからは自分の曲をお願いすることも多いので、それでお会いする機会は増えたと思うんですけど、たぶん通常の作家さん同士だともっとお会いしていないと思います。

加藤 あと……唐沢さんは忙しいんで。

唐沢 そんなことないですよ!(笑)。

加藤 曲を提供してるアーティストさんのライブでお会いすることもあるんですけど、「忙しいなか、頑張って来てるのかな?」って。

唐沢 え、なんでですか?……あ、そうか。皆さんライブのあとによくお酒飲みに行ったりされてるのに、私が帰るからですね(笑)。

――それから5年ほどいろんなお仕事を一緒にされてきたなかで、印象が変わったり、新しく見えてきた部分もあるのでは?

加藤 最初は「どんな詞を書くんだろうな?」っていう見方をするじゃないですか?でも2~3年もやってると、唐沢さんの歌詞の世界観がなんとなく見えてきて。なので、“変わった”というよりも“理解ができてきた”っていう感じだと思います。それは僕の目から見てですし、作詞のことをどうこう言えるような立場でもないんですが……技術はもちろん上がってるんでしょうけど、想いみたいなのは変わってないんじゃないかな、と個人的には思います。

――年月を経て理解も深まって、信頼も強くなって。

加藤 あ、信頼というか安心感みたいなものは、わりと早いうちからありました。「どんな歌詞になっちゃうんだろう?」っていう心配よりも、わりと初期からワクワクのほうが強かったのを覚えてます。

唐沢 私はどなたもあまり知らない状態で今の事務所に入って、コンペに対してとにかくたくさん曲を書くことから始まったんですけど、加藤さんの楽曲のコンペにも参加させていただいたなかで、とても繊細な音を作られる方なので「すごく神経質な方なのかな?」って思っていたんです。でも実際お会いしてみたら、すごく物腰が柔らかい方で。そういうところで加藤さんが作る楽曲の奥行きみたいなものをより感じられるようになりましたし、印象も変わったと思います。

――そこは先ほど加藤さんがおっしゃっていた、“理解が深まった”というところにも繋がりますね。

唐沢 たしかに。そうかもしれませんね。

――では続いて、実際にお互い曲や歌詞のやり取りをされていくなかで、お互い魅力的に思っているところを教えていただけますか?

加藤 唐沢さんとよくご一緒させていただくのはアニソンが多いんですけど、アニソンってわりと難しい言葉や漢字が並んでいたり、違う読み方をするものが多いんです。でも基本的に唐沢さんの歌詞は、技術で聴かせるというよりも日常生活で出てくるような言葉を使って、思ったことをストレートに伝えてくるんですよね。

――それで、いろんな解釈ができたりもしますし。

加藤 そうなんです。わかりやすいけど、決して浅くはなくて。ストレートな言葉なのに深いので、いろんなアニメの歌詞の中で唐沢さんの歌詞ってすごく好きなんですよ。そういう歌詞って逆にガツンとくるので、いつもそこがすごいなぁと思うんです。僕なんか仮歌詞を書くときに、さっき言ったような小手先の……。

唐沢 小手先(笑)。

加藤 見た目だけかっこよさそうな言葉を並べてしまうんですけど、唐沢さんはそういうところが素敵だなぁと思っています。

唐沢 私が思うに、加藤さんの曲ってメロディを1回で覚えられるものばかりなんですよ。それって、誰にでもできそうでできないことで。コンペをするときって多いときは100曲近く集めて聴くんですけど、やっぱり一度で覚えられるメロディを作ってくださる方ってなかなかいないんです。でもそれが、誰にも似ていないメロディでもあるので「不思議だな」っていつも歌いながら思っていて。なので歌詞もすごく書きやすいし、素直になれるというか心を開きやすいメロディなんだと思います。あと、なんでも書けますよね?

加藤 ……そうですか?

唐沢 「絶対加藤さんじゃない!」って思った曲が加藤さんで、びっくりするときがたまにあるんですよ。

加藤 ありがとうございます。そういうことに、しておきます(笑)。

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