好評の鍵は“チグハグ感”!? 『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』OPテーマ「DeCIDE」発売記念 唐沢美帆×加藤裕介 スペシャル対談【前編】

ふたりが持つ、この作品への印象とは?

――一見簡単に見えてそれがただわかりやすいだけのものじゃない、という点でお互い似たようなものを感じられているのかもしれませんね。そんなおふたりで今回手がけられた「DeCIDE」ですが、この曲がオープニングを飾る『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』という作品自体へは、どのような印象をお持ちですか?

加藤 僕は劇伴もやらせていただいているので、そちらのスタートの時点でいただいた資料と漫画を全部読んで頭に入れたんですけど……絵も含めて、ちょっとエロい感じじゃないですか?でも、話の内容自体はすごく面白くて、「前向きに仕事ができるんじゃないかな」と思ったのが第一印象ですね。それで2回3回と読み返すと、“うまくできてる”と言うとすごく失礼な言い方になるかもしれないんですが、場面展開の絶妙さを感じて、そういう意味でも読みやすくて。なので、仕事で資料として読み始めてるのに、普通に楽しんで読んじゃって「何を調べようとして読んだのか」を忘れたこともありました(笑)。

――作業の途中にも、そういうことが。

加藤 はい。

唐沢 誘惑多いですもんね(笑)。

加藤 そうですね。いろんな。

――それぐらい引き込まれたというか。

加藤 しかも僕、ファンタジーがとても好きなんですけど、わりとオーソドックスなファンタジーの世界じゃないですか?その中での人間ドラマであって……そのへんがすごく、はっきりしていていいなと思いました。

唐沢 私も最初は「肌色多いな」っていう印象だったんですけど(笑)、いわゆる“異世界モノ”のなかでもバランスの良い作品だなと感じました。シリアスとコミカルのバランスが絶妙で、誰もがフラットな気持ちで観ていられるようなアニメだなと思いました。あとアニメが、コンテとかシナリオ以上に、すごく面白いんですよ。アニメでまた新しい魅せ方をした物語だと思っていて。すごく楽しく観させていただいています。

――製作前から魅力を感じつつ、放送が始まったらさらに。

唐沢 そうなんですよ。テンポ感も良くて、30分がすごく短く感じるんです。

――そんなこの作品には、どんな世界観の曲・歌詞が合いそうだなと思われました?

唐沢 オーダーは、「とにかくかっこいいもの」とのことでしたよね。

加藤 今回は曲先だったんですけど、この曲の前に劇伴の作業を始めていたなかでは、もっと生の楽器を使ったクラシカルなファンタジーのオープニングを勝手にイメージしていたんです。でもサウンドプロデューサーや監督たちと相談させていただいて、「そうじゃないものにしよう」という流れに決まって。僕も「オープニングはオープニングということで、案外いいんじゃないかな?」と思ったんですよ。言ったらキャラソンですし、ファンタジーと言っても主人公は現実の人物なので、そのあたりも含めてうまくバランスが取れるものになっていると思います。

――そうですよね。突然MMORPGの世界に召喚されちゃったっていうところから始まる物語ですから。

加藤 はい。なので最初は、クラシカルなものにデジタルな要素を入れるということから考え始めたんですけど、「いや、違うな」ということでもっと冒険して、逆にデジタルなものにクラシカルな要素を少し入れる、というところに落ち着けたんです。それってバランス的には作品世界からちょっと浮き出ているんですけど、それが逆によかったんじゃないかな、と思っています。

唐沢 先に原作を読ませていただいていたんですけど、私もそれこそもっとファンタジーっぽい曲が来るのかなと思っていました。その想像よりもかなり激しかったというかキャラクターがすごくたくさん動きそうな楽曲だったので、最初に聴いたときはびっくりしました。なので改めて、「アニメの世界観と激しく切り裂くような楽曲と、あとキャラクターの、特にメインで歌っているふたりのとにかくかわいい歌声とをどう着地させようかな?」っていうのは考えましたね。それにセリちゃん(=芹澤)が歌うEDテーマ曲も、また違うかわいらしい感じで……なんだか作品すべてを通したときのチグハグ感が、すごく人をひきつけてるんじゃないかな、いい意味でのチグハグ感を全体的に出せたんじゃないかな、って思ってます。

――なるほど。いいチグハグ感を。

唐沢 はい。でもコーラスで参加してくださっている3人(原 由実・大久保瑠美・加藤英美里)の声もすごく良いスパイスになっていて、バラバラなんだけど妙にまとまりがいいという、不思議な楽曲に仕上がったんじゃないかなと思っています。でもこの曲は、たとえばですけど私が歌ったらたぶん全然違う強い曲になっていたでしょうし、誰でも気軽に聴けるマイルド感は彼女たちだから出せた魅力だと思うので、いい着地の仕方ができたんじゃないかな。

――そのコーラスや、普通ならギターが入ってきそうなパートでバイオリンが入ってくる部分に、ファンタジー感が感られました。

加藤 全然違う感じの音楽を攻めつつも、その一本のバイオリンと、メロディラインとコード感で、ギリギリのところでファンタジーに少ししがみついてるんですよ。ちょうどバッチリなものを作ってしまうと普通のオープニングになってしまうし、まったく違うものを作ってしまうと別のアニメのオープニングっぽくなってしまう。そのギリギリのところっていう感じで、自分では思っています。

――それが、先ほど唐沢さんがおっしゃられていた心地よいチグハグ感。

加藤 そうですね。“チグハグ感”っていうのは、まさにそうだなと思いますね。

唐沢 でも、オープニングのAメロについてた絵が、ベッドでふたりが横に寝てるカットで。「えー!?」って思いました(笑)。

加藤 そうなんですよ。ああいう曲って、普通戦ってるシーンとかが多くなるんですけど。

唐沢 たくさん絵がバンバン動いていく、みたいなシーンですよね。

加藤 「このアニメは、こんなアニメだぞ!」っていうのをガッと絵で表現しつつ、カット割りでは全然テンポ感が失われていないんですよ。そうやって、ちょっと曲にミスマッチなものをマッチさせてるっていうのは、やっぱりすごいなと思いました。それにサビもものすごく動いていて。「ガツガツ行ってくれたらいいなぁ」と思っていたんですけど、僕が考えてた以上にバッチリ当て込んでもらっていたんで、本当に頑張っていただいたんだなぁって思いましたし。なのでOP映像に関しては、いろんな絵が入るわりには違和感がないっていうのをすごく感じましたね。

唐沢 愛情を感じますよね。スケジュールも、結構タイトだったと思うんですけど……。

加藤 でもそのなかで、ガッツリ作っていただいて。僕も、すごく愛を感じましたね。

唐沢 おかげで大好評ですもんね。私、配信サイトの夏アニメランキングでも、上位に入ってるのも見ましたもん。(後編へ続く!)

Interview & Text By 須永兼次


●リリース情報
TVアニメ『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』OPテーマ
「DeCIDE/SUMMONERS 2+」
歌:シェラ・L・グリーンウッド:芹澤優/レム・ガレウ:和氣あず未/アリシア:原 由実/シルヴィ:大久保瑠美/エデルガルト:加藤英美里
8月29日発売

【CD+Blu-ray】

品番:EYCA-11966/B
価格:¥2,100+税

【CD only】

品番:EYCA-11967
価格:¥1,200+税

<CD>
01.DeCIDE
作詞:唐沢美帆、作曲・編曲:加藤裕介
02.イルメナイト
作詞:古屋 真 作曲・編曲:山下洋介
03. DeCIDE(Instrumental)
04.イルメナイト(Instrumental)

<BD>
アーティストによるミュージックビデオ収録予定

●作品情報
TVアニメ『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』
TOKYO MX・BS11・AT-Xにて放送中

【スタッフ】
原作:むらさきゆきや (講談社ラノベ文庫刊)
キャラクター原案:鶴崎貴大
監督:村野佑太
シリーズ構成:筆安一幸
キャラクターデザイン:金子志津枝
総作画監督:西岡夕樹
アニメーション制作:亜細亜堂

【キャスト】
ディアヴロ:水中雅章
シェラ・L・グリーンウッド:芹澤 優
レム・ガレウ:和氣あず未

©むらさきゆきや・講談社/異世界魔王製作委員会

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