「どこへ行ってもfhánaはfhánaです」――“fhána World Atlas Tour 2018”ファイナル公演レポート!

fhánaのツアー“fhána World Atlas Tour 2018”の国内最後となる東京公演が、2018年6月24日にZepp DiverCity(TOKYO)にて開催された。5月18日にアメリカ・シカゴでのライブから始まったツアーは、北海道、名古屋、大阪と巡り、今回の東京公演で国内ファイナルとなる。この後もツアーの日程としては、カナダ・モントリオールでのライブを残しているが、今回のライブが実質的に“旅の終着駅”となる。最近、アニメ・ソングのみならず活躍の場を広げているfhánaだが、“アニソン”“J-POP”などといったカテゴリーを超越するfhánaの強烈な個性を発揮したライブだった。

「音楽のジャンルって、長い歴史の上にしっかりと立ってきたものなんですけど、表面的なカテゴライズは何もない虚構みたいなものなので、fhánaは“アニソン”とか“ロック”とか“J-POP”とか“アイドル”とかなんとか、全然関係がないです。ジャンルで音楽をやっているわけではないし、どこへ行ってもfhánaはfhánaです」
アンコールのMCで、fhánaのリーダーである佐藤純一はそう言い切った。

今回のライブを象徴的するような忘れられないシーンが、ダブルアンコールであった。観客の大歓声に応えて再々登場したfhánaのメンバーが弾き始めた曲が、なんと「今夜はブギー・バック」だったのだ。言うまでもなく、小沢健二とスチャダラパーによる名曲(1994年)。この曲はもともとボーカルのtowanaの誕生日(6月17日)に開催された大阪公演で特別にカバーしたものだったのだが、佐藤純一は「あまりにも楽しすぎたんで、今日もう一回やります」と何とも軽快に言って、今回のダブルアンコールという重要な場面にこの曲を持ってきたのだった。

towanaとkevin mitsunagaがラップで掛け合い、観客とのコール&レスポンスで盛り上げた。バースデー仕様のアレンジなので、最後は「ハッピーバースデーtowana」の大合唱。多くのfhánaファンは原曲をリアルタイムで知らない若い世代だと思われるが、そんなことはお構いなしにぶち上がっていた。カテゴリーも時代も軽やかに飛び越えて、どんな曲を歌ってもfhánaはfhánaである。そう言い切れる強度をfhánaが持っていることが、誰の目にもはっきりとわかるシーンだった。

東京公演では1曲目にtowanaのボーカルと佐藤純一のキーボードだけで「kotonoha breakdown」が歌われた。この曲はfhánaの結成後最初に作られたもので、3・11の東日本大震災にまつわる出来事が主題となっている。6月18日に発生した大阪府北部地震の記憶も鮮明な時期。地震の前日に大阪でライブが行われていたこともあって、当地で地震に遭ったファンも少なくないだろう。静かな歌声が祈りのように会場に響く。そして「わたしのための物語 ~My Uncompleted Story~」でtowanaが「行くよ!」と呼びかけ、観客は一気にヒートアップ。歌詞の通り、ツアーの“物語の扉”を開く役割の曲だ。次は「star chart」で幻想的な星の世界へ。「Rebuilt world」「ムーンリバー」と旅は続いていく。

「Hello!My World!!」ではkevinがクラップを煽り、ギターのyuxuki waga、キーボードの佐藤にスポットが当たる。超満員の会場はすごい反応の良さで、ライブは早くも序盤の山場を迎える。その後のMCで佐藤は「ここ、Zepp DiverCityが僕たちの旅の終着駅です。けれども、何かの終わりは同時に何かのはじまりでもあるので、そんな終わりとはじまりの瞬間をこの場にいるみんなで一緒に迎えたいと思っています」と今回の旅の意味を語る。このように佐藤がライブや曲の意味づけをしていくというのがfhánaのライブのひとつの特徴で、旅のナビゲーションのような役割を果たしている。

ライブも終盤へ。今回のツアーのタイトルにもなっているアルバムのリード曲「World Atlas」では、メンバーがライブグッズとして販売されていたフラッグを振って楽しく盛り上がる。このフラッグはtowanaの希望で作られたもので、ツアーコンダクターの旗をイメージしたものらしい。次の「青空のラプソディ」では、動画再生回数2000万回を超えるMVでもおなじみのダンスを披露。メンバーの動きに合わせて、オールスタンディングの観客が左右に揺れ動く様子は圧巻だ。そして「星屑のインターリュード」はfhánaのライブでは有数の熱い一体感のある曲で、3連続でものすごい攻勢をかけてきた。

ライブ本編最後の曲「calling」では佐藤、yuxuki、kevinが感情をぶつけるかのように激しい演奏を行い、明滅する強い光の中をtowanaから順にひとりずつ退場していく。観客に強い印象を残して、ここでいったん旅は打ち切られる。

アンコールの歓声に応えて再び姿を現したメンバーが演奏したのは「white light」。“長い旅の果て”を歌った、この時にふさわしい曲だ。そして、アンコールではちょっとゆるい雰囲気のMCとなり、もはや恒例となっているyuxukiの好物であるカレーの話などで和やかな時間を過ごした。続く「虹を編めたら」は“多様性”を意味する虹を編むように、いろいろな個性を持つ人々が交わるという曲で、このツアーという場に集う人々を象徴しているかのようだ。最後の曲、「It’s a Popular Song」は冒頭で触れた「fhánaはfhána」という話を受けて、「本質は変わらない」ということを歌っているものだ。

そして前述のようにダブルアンコールがかかって、「今夜はブギー・バック」で大いに盛り上がった。

MCで発表されたベスト盤制作の他にも来年に向けていろいろなプロジェクトが動いていて、これからライブやコンサートもできるだけたくさんやっていきたいという意向を示したfhána。「またライブでお会いしましょう。ライブじゃない普段の生活の中では、僕たちの音楽を聴いてください。音楽はいつだって、そばに必ずあります」。そんな言葉を残し、最後に「Outside of Melancholy ~憂鬱の向こう側~」を歌って今回の旅はひとまず終わりとなった。

だが、「何かの終わりは何かのはじまりでもある」。佐藤が語ったように、fhánaが今回のツアーの先に何を見せてくれるのか、今後の活動も目が離せない。

Text By 金子光晴

fhána World Atlass Tour 2018
2018年6月24日(日)東京・Zepp DiverCity(TOKYO)
<セットリスト>
01.kotonoha breakdown (Piano and Vocal Ver.)
02.わたしのための物語 ~My Uncompleted Story~
03.star chart
04.Rebuilt world
05.ムーンリバー
06.Hello!My World!!
07.snow scene
-MC-
08.ユーレカ
09.reaching for the cities
10.アネモネの花
11.現在地
12.Do you realize?
13.光舞う冬の日に
-MC-
14.World Atlas
15.青空のラプソディ
16.星屑のインターリュード
17.Relief
18.calling

EN01.white light
EN02.虹を編めたら
EN03.It’s a Popular Song

W01.今夜はブギー・バック(カバー)
W02.Outside of Melancholy 〜憂鬱の向こう側〜

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